JPS6145187Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、捺染台用の生地張り機、給布装置等
に係る布目矯正装置に関する。

布目矯正装置の公知技術としては、例えば実開
昭55−15056号公報において、布の走行方向に沿
つて末広がりに配置すると共に布の耳部を外周部
に突設したピンに掛けて各別に自由回転しうるよ
うにした一対のピンホイールを組込み、布目の斜
向等のひずみを相互に独立して自由回転しうる一
対のピンホイールの回転速度の差によつて吸収さ
せる手段が開示されている。しかしながら、上記
公知の布目矯正機構では、ピンホイールを布幅方
向へ自由に移動させることができないので、布幅
に応じた両ピンホイール間の距離の調節が困難で
あり、またピンホイールを布幅方向へ自由に移動
させることができないことから、走行する布の耳
部に対するピンホイールの自動追従システムを導
入することも全く不可能であるために、布目矯正
動作中における布幅方向への布の変位や布幅の変
化にピンホイールを自動的に即応させることがで
きず、ピンホイールからの布の脱落を生じる等の
問題があつた。また、上記公知の布目矯正機構で
は、両ピンホイールの末広がり度を調節する手段
としてピンホイール軸の内端をその外端に対して
変位させる方式を採用しているため、上記末広が
り度を変化させると必然的にピンホイール外周部
における布と最初に接する部分が変位することに
なり、その度ごとに布の掛け替え、その他の調整
を要する等の問題があつた。

本考案に係る布目矯正装置は、全く新規なピン
ホイール機構を採用することにより上記従来技術
の難点を解消したものであり、布の走行方向に沿
つて末広がりに配置すると共に布の耳部を外周部
に突設したピンに掛けて各別に自由回転しうるよ
うにした一対のピンホイールを組込んだ布目矯正
装置において、各ピンホイールをその外周部に接
し、もしくは近接する軸線を中心として変角させ
る変角機構と、少なくとも一方のピンホイールを
布幅方向へ移動させる送り機構とを備えたことを
特徴としている。

上記の変角機構の場合、ピンホイール外周部に
おける、上記軸線に接し、もしくは近接する部分
は、回転中心となるため、ピンホイールを変角さ
せても変位がゼロであり、もしくはゼロに近いの
で、ピンホイール外周部のこの部分から布を掛け
るようにすれば、この部分における布は、両ピン
ホイールの末広がり度の調節にもかかわらず、常
時、殆ど不変の位置に保持されることになる。ま
た、上記の送り機構により、少なくとも一方のピ
ンホイールは布幅方向へ自在に移動させることが
できるので、布幅に応じて両ピンホイール間の距
離を調節しうると共に布の耳部に対するピンホイ
ールの自動追従システムを採用することが可能で
ある。

なお、上記布目矯正装置における布目矯正は、
布が、その両耳部を、末広がりに、かつ回転自在
に配置された両ピンホイールに掛けられて、それ
らの両ピンホイールと共に回転しながら走行する
間に自然的に行なわれるものであり、そこでは、
例えば緯糸目の歪の検知や各ピンホイールの外部
からの回転駆動等を全く必要としない。すなわ
ち、布は、両ピンホイールに掛けられて回転走行
する間に拡布され、各緯糸の受ける張力は徐々に
増加するが、そのとき、両ピンホイール間に斜向
状態で掛けられた緯糸は、その張力に対する反
力、すなわち収縮力によつて、最短の長さとなる
まで、したがつて斜向状態が解消されるまで各ピ
ンホイールを前後に回転させるように作用するの
で、結局、両ピンホイール間に回転速度の差が自
然的に生じ、布目が矯正されるのである。

本考案を図面に示す実施例に基いて説明すれ
ば、第１図は本考案の実施例に係るピンホイール
機構の正面図、第２図は該ピンホイール機構の一
部断面を示した拡大右側面図であり、フレーム
１，１には布幅方向にガイド軸２，３、ネジ軸
４，４、およびウオーム軸５が中間支持片６を介
して架橋され、これらの軸には一対の断面略Ｕ字
状ピンホイール台７，７が、ガイド軸２，３とは
摺動自在に、ネジ軸４，４とは螺合状態で、また
ウオーム軸５とは各Ｕ字状溝部に遊嵌状態で、そ
れぞれ挿通されている。なお、本実施例における
ピンホイール機構は左右同一構造であるので、以
下、それらの構造に関しては一方のピンホイール
機構のみについて説明する。

ピンホイール台７には、ピンホイール変角軸８
が布幅方向と直角もしくは略直角の方向に、ベア
リング９，１０を介して軸架され、ピンホイール
変角軸８にはウオームホイール１１が付設され、
このウオームホイール１１は、ウオーム軸５に摺
動自在にはめ込んだウオーム１２と螺合もしくは
歯合されている。

ピンホイール変角軸８の一端には係合片１３が
はめ込まれると共にピン１４によつて固定され、
この係合片１３の両面にフオーク片１５，１５が
ボルト１６によつて固定され、さらにフオーク片
１５，１５の先端には軸受１７を介してピンホイ
ール軸１８が軸架されている。この場合、ピンホ
イール変角軸８の延長軸線がピンホイール１９外
周部に接し、もしくは近接するように設定されて
いる。

上記構成において、ピンホイール１９の角度を
調節する場合には、ウオーム軸５をその一端にお
いてかさ歯車（図示せず）等を介してハンドル
（図示せず）により必要方向に必要量だけ回転さ
せ、この回転をこれと一体的に回転するウオーム
１２、ウオームホイール１１、ピンホイール変角
軸８を介してピンホイール１９に伝達することに
なる。なお、このとき、一対のピンホイール１
９，１９は相互に逆方向に同量だけ変角するよう
に設計されている。

また、ピンホイール１９を布幅方向へ移動させ
る場合には、ピンホイール台７に螺合されたネジ
軸４をその一端においてかさ歯車（図示せず）等
を介してモーター（図示せず）に連結し、ネジ軸
４を必要方向に必要量だけ回転させることにより
行なうことができる。なお、このとき、一対のピ
ンホイール１９，１９は各々対応するネジ軸４，
４により相互に独立して布幅方向へ移動させるこ
とができることは言うまでもない。

なお、上記実施例におけるピンホイール機構の
構成は、本考案を限定するものでは勿論ない。例
えば、ピンホイールの変角機構やピンホイールの
布幅方向への送り機構に限定はなく、上記実施例
はその好ましい一例である。また、上記実施例に
おいて、ピンホイール変角軸の回転角の調節機構
やピンホイール台の布幅方向への送り機構として
別の手段を採用しても差支えなく、その場合にも
本考案の所期の効果が得られることは当然であ
る。

第３図は本考案の実施例の要部側面図であり、
布２０は、エキスパンダーロール２１、センタリ
ングロール２２、耳端検出器２３、フイードロー
ル２４，２５、ダンサーロール２６、耳端検出器
２７，２７、ブラシロール２８，２８、ピンホイ
ール１９，１９、バーエキスバンダー２９等を経
由して、例えばオーストクリーン捺染装置のエン
ドレスベルト（図示せず）に供給される。

上記構成において、布２０はその耳部を耳端検
出器２３により検出されると同時にセンタリング
ロール２２により走行修正された後、ブラシロー
ル２８，２８により押つけられながらピンホイー
ル１９，１９の各外周部に供給される。ピンホイ
ール１９，１９は各々独立して布幅方向へ移動さ
せることができ、これらと各々連動するように取
付けられた耳端検出器２７，２７により布２０の
各耳部を検出して、各ピンホイール１９，１９を
これらの耳部に自動追従させるようにしており、
拡幅効果を伴なつた確実な布目矯正を可能にして
いる。

上記において、ダンサーロール２６は、布２０
の引出し速度と送込み速度との差に応じて変位
し、布２０を常に低張力でピンホイール１９，１
９に供給し、またブラシロール２８，２８は、布
２０のオーバーフイード状態を効果的に保持し、
もしくはそれを促進することに役立つもので、い
ずれもより優れた布目矯正の実現に寄与してい
る。なお、ブラシロール２８，２８は、布２０の
走行による回転以外に、動力により積極的に回転
駆動させてもよく、後者の場合は布２０のオーバ
ーフイードをより促進することが可能である。

以上のように、本考案に係る布目矯正装置にお
いては、ピンホイールの末広がり度の調節を行な
つても布と最初に接する部分は殆ど変位しないの
で、上記末広がり度の調節のたびごとに布を調整
したり、耳端検出器の取付位置を調節したり、あ
るいはブラシロールの位置を調節するなどのわず
らわしい作業は全く必要としない。また、ピンホ
イールの末広がり度の調節機構として従来のよう
にピンホイール軸の内端を操作する手段を採らな
いので、従来のように冗長なピンホイール軸は全
く不要となり、その結果としてピンホイールの布
幅方向への移動のストロークを比較的大きくとる
ことができると同時に、ピンホイール機構の周辺
を簡素に仕上げることが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るピンホイール機
構の正面図、第２図は該ピンホイール機構の一部
断面を示した拡大右側面図、第３図は本考案の実
施例の要部側面図である。 １，１……フレーム、２，３……ガイド軸、
４，４……ネジ軸、５……ウオーム軸、７，７…
…ピンホイール台、８，８……ピンホイール変角
軸、１１……ウオームホイール、１２……ウオー
ム、１５，１５……フオーク片、１９，１９……
ピンホイール、２０……布、２２……センタリン
グロール、２３……耳端検出器、２４，２５……
フイードロール、２６……ダンサーロール、２
７，２７……耳端検出器、２８，２８……ブラシ
ロール。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 布の走行方向に沿つて末広がりに配置すると
   共に布の各耳部を外周部に突設したピンに掛け
   て各別に自由回転しうるようにした一対のピン
   ホイールを組込んだ布目矯正装置において、各
   ピンホイールをその外周部に接し、もしくは近
   接する軸線を中心として変角させる変角機構
   と、少なくとも一方のピンホイールを布幅方向
   へ移動させる送り機構とを備えたことを特徴と
   する布目矯正装置。 ２ 一対のピンホイール台を、布の両端部に沿つ
   て、その少なくとも一方が布幅方向へ移動しう
   るように並設し、該ピンホイール台にピンホイ
   ール変角軸を、布幅方向と直角もしくは略直角
   の方向に、回転角を調節しうるように軸架し、
   該ピンホイール変角軸にピンホイール軸受を、
   該ピンホイール変角軸の延長軸線がピンホイー
   ル外周部に接し、もしくは近接するように連結
   してなる、実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の布目矯正装置。 ３ ピンホイール台は、布幅方向に設けたネジ軸
   に螺合してなる、実用新案登録請求の範囲第２
   項記載の布目矯正装置。 ４ ピンホイール変角軸は、これに付設したウオ
   ームホイールにより、布幅方向に移動自在に設
   けたウオームに螺合もしくは歯合してなる、実
   用新案登録請求の範囲第２項記載の布目矯正装
   置。