JPS6143885Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、浴室や台所の如き湿気の多い室の内
壁板、天井板として、或は風雨にさらされる外壁
板として、すこぶる好適に使用される新規な建築
用板に関する。

従来より、プレート本体の巾方向の一端に噛合
部を、他端に被噛合部を設けた種々の建築用板が
開発されている。此種の建築用板は、先に張付け
た建築用板の被噛合部に対し、次の建築用板の噛
合部を噛合し、該建築用板の他方の端部のみを止
具にて止着することによつて、順々に建築用板を
張付施工できるため、施工能率の大巾な向上を図
り得ると云う利点を備えたものである。しかしな
がら、斯る建築用板は、一般に、噛合接続を容易
ならしめるべく、噛合部と被噛合部とが遊噛合さ
れるように設計さており、従つて噛合接続状態に
於ては両者間にかなりの間隙を生じるものであ
る。このため、斯る建築用板を浴室等の内壁面や
天井面に張付けたり、或は風雨にさらされる外壁
面に張付ける場合には、上記間隙を通じて湿気や
雨水が裏側に容易に浸透し、カビが発生したり、
桟や野縁等の張付基材が早期に朽ちたりする欠点
があり、亦、浸透した湿気は建築用板の止着用の
止具にも直接触れることになり、一般には金属製
である斯る止具の発錆の原因ともなり、従つて、
そのような湿気の多い室の内壁板、天井板、或は
外壁板として使用し難いものであた。

本考案は、叙上の事情に鑑みてなされたもので
あつて、張付施工状態に於て、噛合部が被噛合部
と気密的に圧接し得るようになし、上記の湿気や
雨水に浸透、それによるカビの発生或は張付基材
の老朽更には止具の発錆等の欠点を一挙に解消せ
んとするものである。

以下、実施例を図に採つて本考案建築用板を詳
細に説明する。

即ち、本考案建築用板は、幅方向の一部もしく
は全体に亘り弾性変形し得る凹状に曲成したプレ
ート本体１の巾方向の一端に噛合部２を、他端に
被噛合部２１と止着脚部３を、裏面に支脚部４を
夫々設けたもので、張付施工状態に於ける被噛合
部２１に対する噛合部２の圧接力をプレート本体
１の復元弾力を利用して得るものである。

第１〜２図は本考案の建築用板で第１図はその
斜視図、第２図はその使用要領を示す断面図であ
る。

第１〜２図に示す建築用板に於ては、プレート
本体１を巾方向全体に亘つて凹状に曲成し、その
一端の裏面に断面逆Ｆ字状の上下２枚の舌片２
ａ，２ｂをもつ噛合部２を長手方向に一体に設け
ると共に、他端に断面Ｌ字状の止着脚部３を長手
方向に一体に設け、この止着脚部３の垂下部３２
の下端に設けた止着用舌片３１と同じく垂下部３
２の中間より外側方へ突出した平らな細長舌片３
３とを長手方向に二段に設けて被噛合部２１を形
成している。この被噛合部２１の上方には、止着
脚部３の付根より外側方へ凹曲して突出した彎曲
細長片からなる飾り目地部６１を長手方向に一体
形成してあり、これと同様の飾り目地部６をプレ
ート本体１の中央部表面にも一体形成している。
この目地部６の下方、即ちプレート本体１の中央
部裏面には、尖下端部４１を有する弾性変形し難
い断面角Ｙ字状の支脚部４を長手方向に一体に設
けており、この支脚部４と両端の噛合部３及び止
着脚部３との間には、例えば樹脂発泡板の如き断
熱板７，７をそれぞれプレート本体１裏面に貼合
せている。

斯る建築用板１は、第２図イに示すように、桟
や野縁の如き張付基材８に先に張付け建築用板の
止着用舌片３１と細長舌片３３よりなる被噛合部
２１に対して次の建築用板の上下２枚の舌片２
ａ，２ｂの噛合部２を止着用舌片３１の上側に
夫々重なるよう噛合し、取付基材８に当接した支
脚部４を支点として建築用板の止着脚部３のある
方の他端を矢印の如く押え、凹状に曲成したプレ
ート本体１を第２図ロに示す如くほぼ平板状に弾
性変形させ、張付基材８に当接した止着脚部３の
下端止着用舌片３１を釘等の止具９……にて該基
材８に止着することにより、順々に噛合接続しな
がらほぼ面一に張付施工するものであつて、この
張付施工状態に於ては、弾性変形したプレート本
体１に表面側（上方）へ反り曲ろうとする復元弾
力が生じており、従つて、噛合のみで止着されて
おらないプレート本体１一端の噛合部２は該復元
弾力によつて被噛合部２１に対して上向きに気密
的に圧接している。このため、噛合接続個所から
湿気や雨水が裏側に浸透して下地材や張付基材が
早期に朽ちたりカビが発生したり或いは止具を発
錆させたりする従来品の欠点を充分解消し得るの
である。しかもこの建築用板のように、噛合接続
個所及び支脚部４が夫々飾り目地部６１及び６で
隠蔽されて表面側から見えなくなつていると、美
感がすこぶる良好であり、亦、支脚部４が張付基
材８に対して喰込み易い尖下端部４１を有するも
のであると、張付施工時に該支脚部４がずれて建
築用板同志の間隔がまちまちになつたり、建築用
板が斜めになつたりすることもなく、整然と張付
施工することが可能となり、更に断熱板７，７が
裏打されていると、保温の点で極めて有利なもの
となる。

以上の如き建築用板は、断熱板７，７を除く部
分を合成樹脂にて押出成型し、その裏面に該断熱
板７，７を貼合せれことにより、容易且つ安価に
量産できる。

尚、第１〜２図の如きプレート本体１の弾性変
形による復元弾力を利用した建築用板の場合に
は、張付施工時にプレート本体１がほぼ面一な平
板状に弾性変形し得るように、プレート本体１の
凹曲部の曲率半径をあまり小さくせず、且つその
凹曲部のほぼ中央位置に止着脚部３と等しい脚高
の支脚部４を形成するのが望ましい。

本考案建築用板には、以上の如き実施例の他、
プレート本体１を弾性変形によりほぼ平板状とな
り得るような凹状板となすと共に、その裏面に、
弾性変形により脚高を短縮し得る支脚部４を設
け、張付施工時にプレート本体１及び支脚部４を
共に弾性変形させ、これらに生じた復元弾力を共
に利用して気密的に噛合圧接させるものも含まれ
るが、これについては、以上の実施例の説明から
容易に推察理解できるところであるから、図面を
挙げての詳細な説明は省略する。

以上、詳述したように、本考案建築用板は、張
付施工時に於て、プレート本体１を弾性変形さ
せ、そこに生じる復元弾力によつて噛合部２を被
噛合部２１の止着用舌片３１の上側において夫々
重なるよう噛合し気密的に圧接させると噛合部の
上下２枚の舌片により二重に封じられ、而して、
該噛合接続個所から湿気や雨水等が裏側に浸透す
るのを防止し、下地材や張付基材が早期に朽ち或
いはカビが発生し、更には止具が発錆する等の欠
点を充分解消し得るものであり、亦その製造が簡
単で合成樹の押出成型によつて高能率且つ安価に
量産でき、張付作業も極めて楽に行なえる便利な
ものであつて、例えば浴室、台所の如き湿気の多
い室の内壁板や天井板として、或は外壁板として
好適に使用できるものである。殊に、プレート本
体１の裏面に断熱板７を貼合せたもの等は、保温
性や気密性がより一層優れたものであり、上記の
用途に極めて適したものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案建築用板の一実施例を示す部分
斜視図、第２図イ及びロの同建築用板の使用要領
を示す断面図である。 図面の符号の説明、１……プレート本体、２…
…噛合部、２ａ，２ｂ……舌片、２１……被噛合
部、３……止着脚部、３１……下端止着用舌片、
３２……垂下部、４……支脚部、４１……尖下端
部、６，６１……飾り目地部、７……断熱板、８
……張付基材、９……止具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 幅方向の一部もしくは全体に亘り弾性変形し得
   る凹状に曲成したプレート本体１の幅方向の一端
   に上下２枚の舌片２ａ，２ｂよりなる噛合部を、
   他端に止着脚部３の垂下部３２の下端に設けた止
   着用舌片３１と同じく垂下部３２の中間より外側
   方へ突出した細長舌片３３とを長手方向に二段に
   形成した被噛合部を、裏面には支脚部４を夫々設
   けた建築用板であつて、上記プレート本体１の被
   噛合部２１に隣接するプレート本体１の噛合部２
   を噛合し、その支脚部４を支点としてプレート本
   体１の他端を押えることにより生じる復元弾力に
   よつて噛合部２の上下２枚の舌片が被噛合部２１
   と圧接し得るようにした建築用板。