JPS6143665Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は装軌型車輌に関し、特に、履帯シユー
と履帯リンク間のボルトの剪断応力を低減ないし
除去するための該シユーと該リンク間の改良され
た保持装置に関する。

装軌型車輌においては、履帯のシユーをリンク
上の所定の位置に保持する特殊な問題がある。通
常最も使用されている方法は、シユーをリンクに
ボルト止めするものであるが、非常に大きな負荷
がシユーにかゝるのでシユーがリンクに対してず
れる。この運動は、ボルトにかゝつた剪断負荷の
結果としてボルトを弛めるかまたは破断する原因
になり得る。またボルトが曲るとねじに高度の応
力を生じ、同様にボルトの破損と共にリンクのね
じがむしり取られることにもなり得る。シユーの
リンクに対する移動とボルトの曲りは、履帯の分
割型のマスターリンクにおいて特に問題である
が、それは履帯を組上げた時の全体としての組立
体の公差の集積に対応するため比較的大きな隙間
のある孔を設ける必要があるからである。

米国特許第2823080号に開示されたもの等で
は、シユーから下方に突出した一対の離隔した保
持装置を設け、この保持装置が各リンクに延び一
部が肥厚したタイ・バーに係合して本問題の一部
を解決する試みがなされている。この構造は、シ
ユーのリンクに対する回転を除去するのに役立つ
が、ボルトにかゝる剪断応力を除去する問題の解
決にはならない。更に、この構造は、シユーとリ
ンクに形状的な変更を必要とし、また所望の結果
を得るためには必ず両者を組合せて使用しなけれ
ばならない。また、シユーの当接部をリンクに対
するボルト用孔に関して正確に位置させることが
必要である。それというのも、当接部とタイ・バ
ー間に設けられた回転を有効に拘束するために
は、シユーとリンク間の弛みないし遊びを除去し
て両者を一体に固く嵌合しなければならないから
である。

この問題に対する他の構造は、隣接したリンク
の上面に形成した溝と、シユーの下面に形成した
たゝき出し部または鋳造部とを有し、このたゝき
出し部がリンクの溝に嵌入して心出しが行われる
様にし、シユーがリンクに対して回転または移動
するのを防止しようとするものがある。この装置
は、前述の特許の場合と同様の欠点を有し、たゝ
き出し部とスロツトの壁部との間の非常に正確な
適合が得られる様にしてシユーとリンク間の遊び
が除去されねばならなかつた。またこの装置は、
特にシユーの変更、即ちたゝき出し部を設けるこ
とを必要としており、これによりシユーは、適合
する溝を有するリンクに対してのみ使用可能にな
る。

従来技術の欠点は、シユーとリンクとの間に截
頭円錐形の保持装置を設け、シユーのリンクに対
する移動を実質的に低減ないし除去する様にする
ことによつて克服された。このことは特に履帯の
マスターリンクにおいて重要である。

本考案による保持装置は、リンクの端面のボル
ト孔の周囲に同心の孔を形成し、シユーの対応す
るボルト孔の周囲にも截頭円錐形の孔を形成す
る。くさび作用をする部材としてはカムブツシユ
を選ぶ。これは溝の切られた截頭円錐部を有して
いて、この円錐部がシユーの円錐形孔に装着さ
れ、その残部はリンクの同心孔に装着されるよう
にする。そのためボルトがリンクとシユーに対し
て締め上げられると、円錐部は孔の中に押込まれ
るような力、すなわちシユーとリンクとの間の剪
断負荷を受け、それによつてボルトの剪断負荷を
除去する。

第１図において、装軌型車輌、即ちこの場合に
は装軌型トラクタ１０は、機関１４、運転者の座
席１６および履帯乃至トラツク２０をキヤリアロ
ーラ２２及びアイドラ２３のまわりに駆動するス
プロケツト１８等を支持するフレーム１２を備え
ている。履帯１２は、トラツクシユー２６を各々
支持し、全体として旋回自在に一体に連結された
リンク２４を有している。マスターリンク２８
が、帯をぐるりと回して履帯を形成する際に、リ
ンクの最終の対、即ち帯の両端部を一体に結合す
るために設けられている。

第２，３図において、マスターリンク２８は、
ボルト３８，３８′でシユー２６が固定されてい
るマスターリンク部３０，３２を有している。ボ
ルト３８′は、シユーの孔３６を通り、更にマス
ターリンク部材３０の孔５２を貫通している。リ
ンク２８の端面２９は、孔５２の周囲が同心状に
孔ぐりされていて円筒形の凹所５４が形成されて
いる。シユーの底面は、孔３６の周囲が截頭円錐
形に同心状に孔ぐりされていて円錐形凹所５６を
形成している。即ち、シユーの凹所ないし孔５６
の壁はシユーの孔３６に向つて収斂し、５８にお
いて截頭されている。カムブツシユ４４が設けら
れていて、円筒形下部６０と截頭円錐形に壁面が
勾配付けられた上部６２とを有している。カムブ
ツシユ４４は、截頭端部５８から長手方向に溝６
４を切られた截頭上部を有している。溝６４は、
円錐部６２の傾斜壁の基部まで下方に延びてい
る。

組立てにあたつてはシユー２６を取付ける前に
カムブツシユ４４が、リンク２８の端面２９の円
筒形凹所ないし孔５４が押込まれる。シユー２６
は、シユーの孔３６の勾配ないし円錐形凹所５６
をカムブツシユ４４の截頭円錐部６２と心合せす
ることにより、リンク上の所定の位置におかれ
る。ボルト３８，３８′がシユー２６のシユーの
孔３６に挿通され、マスターリンクの二部材３
０，３２を適当に位置決めしておいてマスターリ
ンク部材３２にねじ込まれる。ボルト３８は締め
上げられ、ボルト３８′の場合には、更にキーの
円錐形部６２をしてシユーの截頭凹所５６に押込
む方向に締め、このとき溝６４は自由端側が閉鎖
されるようになつていく。これは、カムブツシユ
４４を履帯シユーに最適に心合せし、シユーをカ
ムブツシユにしつかりと係合させる働きを有して
いる。この様にして、シユーとリンク間の総ての
剪断負荷が、カムブツシユ４４によつて支持さ
れ、ボルト３８，３８′は、認められる程のいか
なる剪断力をも受けないことになる。また、カム
ブツシユ４４は、シユー２６をマスターリンク２
８に対して位置決めする役目を行い、それによつ
てシユーがリンクに対してずれるのを防止してい
る。

本考案は、リンクとシユーの当接面に心の合つ
た凹所を設け、この凹所に嵌入した保持装置を用
いて前記リンクとシユー間の剪断およびねじり力
を吸収する様にすることを包含する。リンクまた
はシユーに突出部が設けられていないので、実際
の場においては普通に用いられているシユーと本
願のリンクとを組合せたり、或は普通に用いられ
ているリンクに本願のシユーを取付けたりする互
換性が生ずる。勿論本願のシユーとリンクの組合
せが最上であることにかわりはない。

上述の説明では履帯のマスターリンクについて
述べたが、履帯を構成する他のシユーおよびリン
クに対しても構成は同一であり、同様の効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は履帯のマスターリンクとこれに隣接す
るいくつかのリンクを示す装軌型車輌の側面図、
第２図は本考案の実施例の側面図、第３図は同上
の平面図を示す。 図中、１０は装軌型トラクタ、２６はシユー、
２８はマスターリンク、２９はマスターリンクの
端面、３０，３２はマスターリンクを構成する部
材、４４はカムブツシユである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 長手方向のほゞ対角線を含む面に沿つて分割可
   能な２部材から構成され履帯シユーを装着するた
   めのリンクおよび履帯シユーにおいて、 前記シユーの前記リンクに当接する面において
   シユーとリンクとの取付ボルトと同心の截頭円錐
   形の凹所と、 前記リンクの前記シユーに当接する面において
   シユーとリンクとの取付ボルトと同心の円筒形の
   凹所と、 外周面が前記截頭円錐形の凹所および円筒形の
   凹所に密着かん合し内周面が前記取付ボルトと密
   着かん合し截頭部から傾斜壁の基部まで半径方向
   に複数個の溝を有するカムブツシユとより成る ことを特徴とする保持装置。