JPS6142172B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車や家屋の室内の温度、湿度等を
調整する空気調整装置に関し、特に熱量を基準に
して制御する装置に関する。

従来の空気調整装置は、室内の温度を計測し、
その温度が所望の設定温度になるようにクーラや
ヒータを単にオン・オフするものである。

そのため室内の空気が大幅に入れ換つた場合、
例えば、自動車の乗員の乗降の際にドアが開かれ
て多量の外気が流入した場合等においては、一旦
変動した温度を所望の設定温度まで移動させるの
に長い時間が必要となる。

また室内各所に空気吹き出し口を設けている場
合においても、各吹き出し口から吹き出される空
気の熱量を制御していないので、室内の温度分布
が悪くなる場合があり、例えば室内のある場所の
温度を最適値にすると他の温度が低くなりすぎて
しまう等の問題があつた。

またクーラとヒータとを自動的に制御して室内
の温度や湿度を所望の値に保つ装置、いわゆるオ
ートエアコンにおいても、クーラモードとヒータ
モードとの切換時に、急に冷風から熱風に、あぬ
いはその逆に切換わるので、室内の人員に不快感
を与えるおそれがあつた。

本発明は上記の点に鑑みてなされたものであ
り、設定温度と吸気温度との差に応じて供給すべ
き基準熱量を演算し、それに室温等による補正を
付加して供給すべき熱量を算出し、実際の供給熱
量が算出された値と一致するようにフイードバツ
ク制御することにより、応答性と制御性を向上さ
せた空気調整装置を提供することを目的とする。

以下本発明について詳細に説明する。

室内を冷房あるいは暖房する場合、室温を所望
の設定温度Ｔ_sにするように制御するには、実際
の室温をT₁、空気の比熱をＣ_p、室容積をＶとす
れば、Ｑ＝（Ｔ_s−T₁）Ｃ_pＶなる熱量が必要とな
る。

一方、空気循環系においては、空気調整装置か
ら供給される空気の温度をT₂、該空気の流量を
ｖとすれば、Ｑ＝∫Ｃ_p（T₂−T₁）Ａ・vdt
（Ａ：流路断面積）なる熱量が供給される。

また上記の他にも、日射エネルギー、外気温、
室内の人体から放射されるエネルギー等による熱
量が供給され、それらがフイードバツク制御系の
外乱要因となる。

上記のごとき空気循環系を最適に制御するに
は、温度情報に加えて熱量情報が必要となる。

本発明は上記の考えに基づいたものである。

第１図は本発明の一実施例のブロツク図であ
る。

第１図において、１は空調の対象となる室、２
はフアン、３はクーラユニツト、４はヒータユニ
ツトであり、２〜４で空調ユニツトを構成してい
る。また５は冷風又は熱風を室１に供給する送気
ダクト、６は吸気ダクトであり、外気吸気口６′
と室内吸気口６″とをもち、切換用のダンパ７に
よつていずれか一方の吸気口から空気を吸入する
ようになつている。

また８は吸気温度を検出する温度センサ、９は
送気温度を検出する温度センサ、１０は送気流量
を検出する流量センサ、１１は室温を検出する温
度センサ、１２は室内に差し込む日射エネルギー
が室内の人員数（車両の場合は各座席に着席セン
サを設ければ良い）等を検出する各種のセンサ群
である。

次に１３は温度設定器であり、所望の温度に対
応した設定温度信号S₁を出力する。

また１４は基準熱量演算回路であり、温度セン
サ８から与えられる吸気温信号S₂と上記設定温度
信号S₁とによつて室１に供給すべき基準熱量を演
算し、基準熱量信号S₃を出力する。

なお、上記の基準熱量は、吸気温度と設定温度
との差及び空気調整装置を設定する室の条件（容
積等）に応じて実験的に設定される値であり、吸
気温度と設定温度との差が大きいほど大きな値に
なる。すなわち、室温に対して大きな温度差を有
する外気を吸気する場合と室内の空気を吸気する
場合とでは、クーラ又はヒータで付与すべき熱量
が大幅に変動するので、それに応じて上記のよう
に基準熱量を設定することにより、後述するフイ
ードバツク制御の作用が及ぶ以前に予め付与する
熱量の基準値を変えて応答性の向上させている。

一方、偏差検出回路１５は、温度センサ１１か
ら与えられる室温信号S₄と設定温度信号S₁との偏
差信号S₅を出力する。

制御回路１６は、例えば上記偏差信号の比例分
と積分分とを加算した制御信号S₆を出力する。

また補正熱量演算回路１７は、基準熱量信号S₃
に上記制御信号S₆及びセンサ群１２から与えられ
る各種情報信号S₇に応じ補正を付加し、供給すべ
き熱量に対応した補正熱量信号S₈を出力する。上
記の補正は、室温信号S₄と設定温度信号S₁との偏
差をなくす方向に補正するものであるから、室温
信号S₄と設定温度信号S₁との差が大きいほど基準
熱量を大きく（暖房時には加熱量を大きくし、冷
房時には吸熱量を大きくする）するように補正す
る。

一方、供給熱量演算回路１８は、温度センサ９
から与えられる送気温信号S₉、流量センサ１０か
ら与えられる送気流量信号S₁₀及び上記室温信号
S₄を入力し、送気ダクト５から室１に供給されて
いる単位時間当りの熱量（熱量Ｑ＝Ｋ｜T₂−T₁
｜ｖ）（ただしＫは比例定数）に対応した供給熱
量信号S₁₁を出力する。

次に偏差検出回路１９は、補正熱量信号S₈と供
給熱量信号S₁₁との偏差信号S₁₂を出力し、駆動回
路２０は上記偏差信号S₁₂に応じて該偏差信号S₁₂
が零に近づくようにフアン２、クーラユニツト
３、ヒータユニツト４を駆動する。

上記のように第１図の装置においては、吸気温
度と設定温度とによつて基準熱量を定め、それを
設定温度と室温との偏差及び日射エネルギー等の
室内状態に応じて補正することによつて供給すべ
き熱量を求め、一方、送気温度、送気流量及び室
温から実際に供給されている熱量を求め供給すべ
き熱量と供給されている熱量とが一致するように
空調ユニツトをフイードバツク制御している。

したがつて、室の容積が大きい場合や外気が大
量に流入して室温と設定温度との差が大きい場合
は、補正熱量信号S₈の値が大きくなるので、送気
ダクト５から供給される熱量も大きくなり、室温
を短時間に設定温度に近づけることが出来る。

また従来のオートエアコンの場合には、ヒータ
モードとクーラモードの切換時に、風量が一定の
まま風の温度が急変するので不快感を与えるが、
本発明においては熱量を基準にして制御している
ので、切換時に温度が急変すると自動的に流量が
小さくなるため、不快感や違和感を生ずるおそれ
がない。

また第１図において、送気ダクト５の吹き出し
口を複数個に分岐させて室内各所に配置すると共
に各吹き出し口の流量配分を制御するダンパを設
け、かつ各吹き出し口に流量センサ１０を設け、
また室温を検出する温度センサ１１も室内各所に
配置し、各温度センサ１１の出力と各流量センサ
１０の出力とに応じて、室内各所の温度が同一に
なるように上記ダンパを制御してやれば、室内の
温度分布を一様に制御することが出来る。例え
ば、日射の強い場所や熱源の付近の吹き出し口か
らは冷気を大流量で供給するようにすれば良い。

なお第１図の流量センサ１０としては、例えば
カルマン渦流量計を用いることが出来るが、その
場合、第２図に示すごとく、流体中に設置するカ
ルマン渦の渦発生体２１の表面に、サーミスタ２
２又は感温素子２３（熱線等）を取付ければ、流
量と温度とを容易に検出することが出来る。なお
第２図イは渦発生体２１が円柱形の場合、ロは三
角柱形の場合を示す。

以上説明したごとく本発明によれば、温度と熱
量とに応じて空調ユニツトを制御し、かつ現実の
供給熱量によつてフイードバツク制御することに
より、応答性及び制御性が向上し、不快感や違和
感を与えることなく、しかも迅速に室内温度を所
望の温度に制御することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例のブロツク図、第２
図は流量センサと温度センサの一実施例図であ
る。 符号の説明、１……室、２……フアン、３……
クーラユニツト、４……ヒータユニツト、５……
送気ダクト、６……吸気ダクト、６′……外気吸
入口、６″……室内吸入口、７……ダンパ、８，
９……温度センサ、１０……流量センサ、１１…
…温度センサ、１２……各種のセンサ群、１３…
…温度設定器、１４……基準熱量演算回路、１５
……偏差検出回路、１６……制御回路、１７……
補正熱量演算回路、１８……供給熱量演算回路、
１９……偏差検出回路、２０……駆動回路、２１
……渦発生体、２２……サーミスタ、２３……感
温素子。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 少なくとも送風機、冷却装置及び又は加熱装
   置を備え、かつ、外気と室内の空気とを任意に切
   換えて吸気することの出来る空調ユニツトと、所
   望の設定温度と空調ユニツトの吸気温度とに応じ
   て算出した基準熱量に、少なくとも上記設定温度
   と室温との偏差に対応した補正を付加することに
   よつて供給すべき熱量を算出する第１の手段と、
   送気温度、送気流量及び室温から実際に供給され
   ている熱量を検出する第２の手段と、上記第１の
   手段の信号と上記第２の手段の信号との偏差をな
   くすように空調ユニツトを制御する第３の手段と
   を備え、熱量を基準にして空調ユニツトをフイー
   ドバツク制御することを特徴とする空気調整装
   置。