JPS6139596Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、筆記によつて摩耗する鉛芯を筆記時
における本体の把持位置を変えることなく摩耗量
に相当する分だけ順次供給するようなしたシヤー
プペンシルに関するものである。

従来この種のシヤープペンシルとして特開昭49
−125123号および同50−926号が提案されてい
る。これ等の提案によつて前記した如くの鉛芯の
供給が可能となつたが、尚次のような不都合が残
されていた。即ち、前記特開昭49−125123号に開
示されているガイドパイプおよび特開昭50−926
号に開示されている芯ガイドは、スプリング等に
より筆記面に向け弾撥されていなければならない
ため、筆記に際しては該スプリングの弾撥力に抗
して筆記を行わなければならず、換言すればガイ
ドパイプおよび芯ガイドをスプリングの弾撥力に
よつて筆記面に押しつけた状態で筆記を行わなけ
ればならず、従つて運筆が円滑に行えないという
不都合である。この不都合は、筆記面が柔かい場
合には該筆記面を損傷してしまうことにもなりか
ねないものである。

本考案出願人は、前述した従来の不都合を解消
するために、本体と、該本体の先端部内に前進後
退自在に配置した内部に鉛芯を軽く保持する保持
部材を有する鉛芯案内管と、前部を前記鉛芯案内
管に保持される鉛芯の後端部と当接可能となし前
記本体内に摺動可能に配置した鉛芯係止部材と、
前記本体内に移動可能に配置し、且つ、前記鉛芯
係止部材の後部と係合するようなした係合手段と
を有するシヤープペンシルを提案し、従来の必要
不可欠であつたスプリングを除去するようなし
た。しかしながらこの提案においても次のような
不具合の発生する恐れがあることを見い出した。
その発生する恐れのある不具合とは、本体先端部
を筆記面より離反させ、鉛芯、鉛芯案内管、鉛芯
係止部材および係合手段をその自重により移動せ
しめて鉛芯を供給する際に、本体に何らかの外力
が加わり鉛芯案内管がその移動を停止されている
にもかかわらず、更に鉛芯係止部材および係合手
段が移動されて鉛芯が鉛芯案内管の先端より必要
以上突出してしまうという不具合である。これは
通常の筆記中における鉛芯の供給の場合に発生す
る恐れはないが、シヤープペンシル本体を激しく
振つたり、あるいは該本体に衝撃力が加わつた場
合に発生する恐れがあるものであり、この不具合
が発生すると、鉛芯が鉛芯案内管先端より必要以
上突出するものであるから筆記の圧力によつて鉛
芯を折損してしまうことにもなりかねないもので
ある。

本考案は、前述した従来の欠点を解消するとと
もに本考案出願人の提案に係る発生する恐れのあ
る不具合を解消し、より信頼性のある前記目的の
シヤープペンシルを提供するためになされたもの
であり、次に添付図面に示す実施例に従つて本考
案を更に詳細に説明する。

第１図において、参照符号１は本体を示し、該
本体１は参照符号２によつて示した先部材と該先
部材２に連結した中間部材３と、該中間部材３に
連結した後部材４と、該後部材４の後部を閉塞す
る端部材５とより構成されている。前記先部材２
内には孔６を設けており、該孔６内には鉛芯Ｌを
軽く保持する弾性体よりなる保持部材７を後部内
に装着し、前部を前記先部材２内より外部へ突出
し得るようなし、且つ、前記孔６内で前進後退自
在となした鉛芯案内管８を配置してある。又前記
先部材２内壁には長手方向の溝９を適宜数設けて
あり、該溝９内には前部および後部を軸心へ向け
て折曲１０ａ，１０ｂした板状或いは線状の制動
部材１０を後部が軸心へ向つて揺動回転し得るよ
うに２個配置してある。該制動部材１０は、前部
の折曲部１０ａに前記鉛芯案内管８が前進当接さ
れたとき前部の折曲点１０ｃを中心に回転しよつ
てその後部の折曲部１０ｂの端部が鉛芯Ｌに当接
し該鉛芯Ｌを把持するようなしてある。前記中間
部材３内には鉛芯Ｌが遊嵌される程度の径を有す
る小径孔１１を設けてあり、該小径孔１１には、
前記した如く鉛芯Ｌが遊嵌されるとともに前部を
該鉛芯Ｌの後部に当接するようなした鉛芯係止部
材１２を移動可能に配置してある。該鉛芯係止部
材１２の後部には前方へ向かつて広がるテーパー
部１３を設けてあり、該テーパー部１３と後部材
４の内壁との間には球体あるいは円柱体等よりな
る適宜数の係合部材１４を配置してあり、該係合
部材１４は前記鉛芯係止部材１２のテーパー部１
３の後部に連設した鍔１５により前記鉛芯係止部
材１２より離脱しないようなしてある。又、前記
係合部材１４は本体１先端を下方に向けた状態に
おいて自重により落下し、前記テーパー部１３と
後部材４の内壁とに当接し、前記鉛芯係止部材１
２が後退されるときテーパー部１３と後部材４の
内壁との間にくさび作用を生じさせ、後部材４に
対し鉛芯係止部材１２を係止するようなしてあ
る。参照符号１６で示す部材は解除部材で、該解
除部材１６は筒体あるいは有底の筒体で底部に孔
（前記鉛芯係止部材１２が遊嵌される孔）を設け
た形状となし、その上端部１６ａが前記係合部材
１４と当接し前記したくさび作用を解除するよう
なしてある。

次に本考案の作用について説明する。

第１図に示す状態は筆記開始を示すもので、こ
の状態で筆記を開始すると本体１は筆記の圧力に
よつて筆記面Ｐへ向かつて押圧される。本体１が
前述のように押圧されると、鉛芯Ｌおよび鉛芯案
内管８も筆記面Ｐへ当接され前記本体１が押圧さ
れている向きと逆の方へ、即ち本体１内へ後退す
るように押圧される。この鉛芯Ｌへの押圧力は該
鉛芯Ｌの後部に当接している鉛芯係止部材１２へ
伝達され該鉛芯係止部材１２を本体１に対し後退
させるようになす。一方該鉛芯係止部材１２の後
部のテーパー部１３と後部材４の内壁との間に位
置している係合部材１４は、その自重により本体
１の前方へ移動せんとして前記テーパー部１３と
後部材４の内壁とへ当接している。この状態のテ
ーパー部１３に前記した押圧力が作用すると、該
テーパー部１３によつて前記係合部材１４を第１
図に示す矢印の向きに回転させるようなされるた
め、該押圧が係合部材１４とテーパー部１３およ
び後部材４の内壁との間にくさび作用を生じさせ
る。このくさび作用の発生によつて、本体１に対
し鉛芯係止部材１２が固定状態に係止されるか
ら、該鉛芯係止部材１２の前部に当接している鉛
芯Ｌも本体１に対し固定状態となされる。又、前
記鉛芯案内管８はその先端部を筆記面Ｐに押圧さ
れるも後部において保持部材７を介して鉛芯Ｌを
軽く保持しているのみであるから本体１との間に
移動を妨げるものはない。従つて、本体１を筆記
面Ｐへ向かつて押圧すると鉛芯Ｌも筆記面Ｐへ押
圧され筆記が可能となり、筆記によつて鉛芯Ｌの
先端部が摩耗するとその摩耗に従い鉛芯案内管８
が鉛芯Ｌの外周を摺動しつつ本体１の後方へ向か
つて後退する。このようにして鉛芯案内管８が後
退すると、該鉛芯案内管８と制動部材１０の前部
の折曲部１０ａとの当接が解かれ、よつて制動部
材１０の後部の折曲部１０ｂの端部による鉛芯Ｌ
の把持をも解除する。更に、前記鉛芯案内管８の
後退により鉛芯案内管８の後部が前記制動部材１
０の内方に当接し該制動部材の後部の折曲部１０
ｂを外方へ向かつて移動させ鉛芯Ｌより離反させ
る。（第２図参照） 筆記を終了し、鉛芯Ｌおよび鉛芯案内管８の先
端を筆記面より離反させ前記筆記の圧力を解除す
ると鉛芯Ｌおよび鉛芯案内管８には各々の自重以
外に外力が加わつていないので、両者はその自重
により移動し、鉛芯案内管８の後部が前部の折曲
部１０ａと当接し制動部材１０を回転させ後部の
折曲部１０ｂが再び鉛芯Ｌを把持した時点でその
移動を停止する。（第３図参照）これで筆記開始
より鉛芯供給までの一連の動作が完了する。再度
筆記を行う場合は、第３図に示す状態で鉛芯Ｌお
よび鉛芯案内管８の先端を筆記面Ｐに押圧すれば
よい。これにより第１図に示すように再び前記し
たくさび作用を生じさせ筆記可能となす。

更に第３図に示す如く、鉛芯Ｌおよび鉛芯案内
管８の先端がフリーとなされている状態で本体１
を激しく振つたり本体１に衝撃力が加わると、鉛
芯Ｌ・鉛芯係止部材１２・係合部材１４は保持部
材７による鉛芯Ｌの保持力のみで移動を停止され
ているものであり、又鉛芯係止部材１２が本体１
の前方へ移動する際には前記したくさび作用が発
生せず、従つて鉛芯係止部材１２は本体１に対し
係止されていないと同様であるため、前記鉛芯係
止部材１２が保持部材７による鉛芯Ｌの把持力に
抗して移動する恐れがある。このような鉛芯係止
部材１２の移動は次の作用によつて防止すること
ができる。鉛芯係止部材１２が前方へ移動せんと
すると、その移動せんとする力は該鉛芯係止部材
１２前端部に当接している鉛芯Ｌへ加わり、該鉛
芯Ｌを前進移動させるよう作用し、更に該鉛芯Ｌ
を保持部材７を介して保持する鉛芯案内管８をも
前進移動させるよう作用する。このように鉛芯案
内管８を前進移動させんとすると、該鉛芯案内管
８へ当接している制動部材１０の前部の折曲部１
０ａが押圧され、よつて制動部材１０は前述した
ように折曲点１０ｃを支点にして後部の折曲部１
０ｂが軸心へ向かい移動するように回転せんとな
され、これにより後部の折曲部１０ｂによる鉛芯
Ｌの把持力が付加される。従つて第３図に示す如
く、鉛芯案内管８が前方に位置しているときに鉛
芯係止部材１２の前方への移動が行われようとす
ると、その移動力により制動部材１０を回転させ
て鉛芯Ｌを把持し鉛芯Ｌの移動を阻止するもので
ある。又、鉛芯係止部材１２の前方への移動せん
とする力が大なればなる程、前記制動部材１０に
よる鉛芯Ｌの把持力も大きくなるものである。

前述した如く、本考案によれば、鉛芯Ｌの摩耗
の分の供給を筆記面よりシヤープペンシル先端を
離反させることで順次行え、従つて筆記のための
把持位置を変えることもない。又、筆記中におけ
る鉛芯案内管は保持部材を介して鉛芯を軽く保持
しているだけであるから、円滑な後退が可能とな
りスムーズな筆記感が得られるものである。更
に、シヤープペンシル本体を激しく振つたりある
いは該本体に衝撃力が加わつた場合に発生する恐
れのある鉛芯の鉛芯案内管よりの必要以上の突出
を防止することができるもので、実用上の効果大
なるものである。

尚、前記実施例中、制動部材１０に前部の折曲
部１０ａ、後部の折曲部１０ｂを形成した例につ
いて説明したが、本考案はこの実施例に限定され
るものではなく、第４図に示す如く鉛芯案内管１
０１に孔１０２を設け、一方先部材１０３内には
一端が折曲された板状或いは線状の制動部材１０
４を揺動自在に配置し、該揺動自在な折曲部を鉛
芯案内管１０１の前進移動により揺動させ前記孔
１０２より内方に突出させて鉛芯を把持するよう
にしてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図〜第３図は本考案の動作説明図、第４図は本
考案の他の実施例を示す縦断面図である。 １……本体、７……保持部材、８，１０１……
鉛芯案内管、１０，１０４……制動部材、１２…
…鉛芯係止部材、１４……係合部材、Ｌ……鉛
芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 本体と、該本体の先端部内に前進後退自在に配
   置し内部に鉛芯を軽く保持する保持部材を有する
   鉛芯案内管と、前部を前記鉛芯案内管に保持され
   る鉛芯の後端部と当接可能となし前記本体内に移
   動可能に配置した鉛芯係止部材と、前記本体内に
   移動可能に配置し、且つ、鉛芯係止部材のテーパ
   ー部と本体内壁に自重により当接し得る係合部材
   とよりなり、鉛芯に筆記圧が加わつた場合に鉛芯
   に当接せる前記鉛芯係止部材の本体後方への移動
   を阻止し、又鉛芯への筆記圧を解除した場合に鉛
   芯係止部材の本体前方への移動を許容し得るよう
   にしたシヤープペンシルであつて、前記鉛芯案内
   管と本体先端部内壁との間に該鉛芯案内管の前進
   移動により揺動し折曲部による鉛芯の把持を可能
   とした制動部材を配置してなるシヤープペンシ
   ル。