JPS6137921Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は流動床ボイラ層内に配置される伝熱管
の曲り管部に確実に耐摩耗材を接合させた伝熱管
に関するものである。

流動床ボイラは、第１図に概略を示す如く、周
辺部に配した鉛直の炉壁管ａ同士を第２図の如く
フインｂで順次つないで管壁を構成し、炉内側に
は、流動媒体（たとえば、砂）を堆積させ、該流
動媒体の層ｃの下側に送り込まれた空気を層ｃ内
に吹き込むことにより流動媒体を流動させるよう
にし、前記炉壁管ａの上端を気水ドラムｅに接続
させ、炉壁管ａ内を上方へ向けて流れる水を層内
部及び層上部で加熱して、気水ドラムｅで分離さ
れた蒸気は過熱器伝熱管ｄへ、又、分離された水
は炉壁管ａの各下部へ戻して循環できるようにし
てある。流動層に埋め込んだ過熱器伝熱管ｄは直
管部と曲り管部の組み合わせにより蛇行させてあ
り、気水ドラムｅで分離された蒸気を過熱する役
目をしている。ｆは流動層へ燃料（たとえば、砕
粒化した石炭）を供給するための供給管、ｇは水
管、ｈは空気分散ノズルである。

上記構成としてある流動床ボイラにおいては、
流動層ｃの流動媒体が流動するとき、流動媒体で
ある砂の動きがはげしいため、上方へ吹き上げら
れる砂が伝熱管ｄの下面部等に当る。流動媒体の
種類により異なるが、一般に、流動媒体が砂の場
合、該流動媒体が流動する高さに対応する高さ位
置における伝熱管の下側面は、流動媒体が当たる
ことによる摩擦により摩耗が進行する。

本考案は、かかる流動床ボイラにおける流動層
の流動媒体が流動する範囲に位置する伝熱管が摩
耗しないようにしたもので、伝熱管を構成する直
管部の下半分及び曲り管部の下側に耐摩耗材を接
合し、特に、曲り管部では耐摩耗材間の隙間が迷
路のようにずれるようにしたものである。

以下、図面に基づき本考案の実施例を説明す
る。

第３図及び第４図は本考案の一例を示すもの
で、伝熱管を、直管部１と曲り管部２とを接続す
ることにより上下方向へ蛇行するよう形成するに
際し、直管部１を配設したときにおける下半分に
相当する部分に、耐摩耗材３を管長手方向に直交
する方向（円周方向）へ並べて乗せ、その状態で
焼き込み焼結させる。上記耐摩耗材３は、焼結金
属であり、その主成分は、Feをペースとし、
Cr、Mo、Ni、Ｗを含む複硼化物系のものであ
り、管表面に真空拡散接合により取り付けるよう
にする。

上記のように直管部１の下半分に耐摩耗材３を
位置させて焼くと、該耐摩耗材３は収縮して管表
面に付着し、一部では溶け込みにより付着する。
一方、表面側では隣接する耐摩耗材３同士の間に
収縮により隙間４が生じる。

このように耐摩耗材３が付着された直管部１の
下半分は補強され、流動媒体が当つても摩耗の進
行を防止することができる。

本考案の特徴は、上記直管部１表面に耐摩耗材
３を接合するほかに、曲り管部２表面に接合する
耐摩耗材３の接合個所を互にずらして同列に配し
た耐摩耗材３間の隙間が迷路となるようにしたこ
とである。

すなわち、曲り管部２表面が、吹き上げられる
流動媒体により摩耗するのを防止するため、浮上
させられる流動媒体が当り易いところの曲り管部
２の下側部分を耐摩耗材３で覆うようにするが、
この耐摩耗材３の接合の仕方は、曲り管部２の円
弧の外側と内側に耐摩耗材３を乗せて置く必要が
あり、しかも内側と外側の耐摩耗材の配置個所が
円弧の方向に互にずれていることから、曲り管部
２の円周方向に２分割した状態で耐摩耗材３を接
合する。すなわち、第４図及び第５図に示す如
く、曲り管部２に耐摩耗材３を接合しようとする
個所に、耐摩耗材３を密着させて乗せることがで
き且つ加熱処理時に滑り落ちることがないように
するため、曲り管部２を水平状態に置き、上側に
位置させられた耐摩耗材３施工個所に円周方向に
分割された短かい耐摩耗材３を順次並べて乗せ
る。次いで、加熱処理して耐摩耗材３を曲り管部
２の一部に焼結さて付着させる。次に、曲り管部
２を第４図及び第５図に示す上側が下側となるよ
うひつくり返し、二点鎖線で示す位置に円周方向
残り半分の耐摩耗材３を乗せ、加熱処理して付着
させる。

上記のようにして曲り管部２への耐摩耗材３の
接合を行うが、接合時の焼き込みにより耐摩耗材
３は収縮し、管長手方向に並設された耐摩耗材３
間に隙間４が生じると共に、円周方向に分割して
接合させた耐摩耗材３同士の間にも隙間５が生じ
る。この隙間５が管長手方向に沿い同じ位置にあ
ると、該隙間５自体がガスの通路となつて流動媒
体としての砂の通路ともなつてしまい、砂が管表
面を摩擦して摩耗を助長することになる。本考案
では、この現象を未然に防止するため、円周方向
に分割して接合する耐摩耗材３の端部を、第６図
に示す如く２〜３個所置きに管中心よりずらし、
隙間５が迷路となるようにしてガスの流れに対し
抵抗できるようにする。これによりガスの吹き抜
けがなくなり耐摩耗材３間の管表面の摩耗を防止
することができる。

第７図は本考案の他の例を示すもので、曲り管
部２に接合する耐摩耗材３端部を１個所ごとに管
中心よりずらして隙間５が迷路となるようにした
ものである。

以上述べた如く本考案の伝熱管によれば、流動
層内にあつて流動媒体が浮上することにより摩擦
して摩耗し易い下半分に耐摩耗材を接合すると共
に、曲り管部にも耐摩耗材を接合しているので、
伝熱管の摩耗の進行を防止でき、且つ耐摩耗材は
焼結金属であり、管表面の熱伝達率低下はほとん
どない。又、曲り管部への耐摩耗材の接合は、管
の内周方向に長く配する耐摩耗材を分割して上側
に乗せる状態で行うので、接合が確実で且つ容易
に行い得られ、更に、円周方向に分割された耐摩
耗材端部を管中心より互にずらして接合するの
で、耐摩耗材間に生じる隙間が迷路のようにな
り、ガスが該隙間内を流れることを阻害できて流
動媒体の通路とならず、隙間部における管表面の
摩擦による摩耗を防止できる、等の優れた効果を
奏し得る。適用例としては前記の過熱器伝熱管と
同様な形状の曲り部を有する層内伝熱管も含まれ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は流動床ボイラの一例を示す概略図、第
２図は第１図のボイラにおける炉壁管の一部を示
す平面図、第３図は本考案の伝熱管の部分側面
図、第４図は曲り管部への耐摩耗材の接合時の状
態を示す平面図、第５図は第４図のＡ−Ａ矢視
図、第６図は第３図のＢ−Ｂ矢印拡大図、第７図
は本考案の他の例を示す第６図に対応する図であ
る。 ａは炉壁管、ｃは流動層、ｄは伝熱管、１は直
管部、２は曲り管部、３は耐摩耗材、４，５は隙
間を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 流動床ボイラ層内部に配置される伝熱管におい
   て、少なくとも曲り管部の管中心より下側表面
   に、流動する流動媒体が衝突して摩耗するのを防
   止するための耐摩耗材を管の円周方向に分割して
   接合し、且つ該円周方向に分割された耐摩耗材同
   士の間に生ずる隙間が管長手方向に互にずれてい
   るように耐摩耗材の配置を行つたことを特徴とす
   る流動床ボイラ層内部伝熱管。