JPS6136552Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は荷役車両のキヤリツジ構造に関する。

従来のキヤリツジ構造としては、例えば第１図
乃至第３図に示すように、キヤリツジ１は一対の
フインガーバーすなわち上部フインガーバー２及
び下部フインガーバー３を有し、これらのフイン
ガーバー２，３を一対のリフトブラケツト４に溶
接によつて固着する一方、このリフトブラケツト
４を、このリフトブラケツト４に回動自動に取付
けられたリフトローラ５を介して、マスト６に沿
つて昇降自在に支持することにより、マスト６に
沿つて昇降動し得るように形成されている。そし
て、フオーク７の基端部に上下一対の係止片８を
設ける一方、上部フインガーバー２の背面側上方
及び下部フインガーバー３の背面側下方に係止溝
９を設け、上記係止片８を係止溝９に係合させて
フオーク７をフインガーバー２，３に係止するよ
うに形成されている。

ところで、従来この種のキヤリツジ１に於いて
は、フインガーバー２，３の上下方向寸法L₁が
前後方向寸法H₁より大きく形成されており、こ
のため、運転者Ｍがフオーク７上に載置された積
荷を注視する場合に、第１図に示すように、フイ
ンガーバー２，３によつて遮ぎられる死界S₁，S₂
が大きく、荷役車両の操作時における視野を十分
に確保できない虞れあつた。

そこで、この不具合を解決するために、従来採
られた手段として例えば第４図に示すように、上
部フインガーバー２の断面形状をその上下方向寸
法H₂が前後方向寸法L₂より狭くなるように形成
すると共に、その上面部を二段の段付きとして形
成し、フオーク７に形成した鉤状の係止片８を上
段部１０に係合させたもの、あるいは、第５図に
示すように、上部フインガーバー２の断面形状を
その上下方向寸法H₃が前後方向寸法L₃より狭く
なるように形成すると共に、上面部を一段の段付
きとし、しかも段部１１の段差を浅く形成して上
部フインガーバー２の背面側の上下方向寸法h₃を
第４図に示すフインガーバー２の背面側の上下方
向寸法h₂より大きくなるようにし、段部１１にフ
オーク７を形成された係止片８を係合させること
によつて荷役車両の作業時における視界の拡大を
企図したものが提案されている。尚、下部フイン
ガーバー３の断面形状は、上部フインガーバー２
と対称的に形成されている。

然しながら、第４図に示すキヤリツジにおいて
は、フインガーバー２の上面部を二段の段付きと
しており、そのため、フインガーバー２のリフト
ブラケツト４への溶接個所が上下方向寸法h₂の部
分のみしか確保できないので、フオーク７上へ載
置された積荷に対して十分支持し得るだけで強
度、剛性を確保することができなくなる虞れがあ
り、更に、前後方向寸法L₂が大きいため、その
分フオーク７が前方へ突出した状態で取付けられ
ることになり、荷役車両全体における前後方向の
バランスが崩れる結果につながる虞れがあつた。

また、第５図に示すキヤリツジにおいては、フ
インガーバー２のリフトブラケツト４への溶接個
所として、上下方向寸法h₃（h₃＞h₂）を確保する
ことができ、耐荷重の溶接強度の点では第４図に
示す従来例に比べ若干改善されるが、なお十分で
はなく、更にフインガーバー２の前後方向寸法
L₃が第４図に示す前後方向寸法L₂より若干小さ
いので、フオーク７の車体前方への突出度合が比
較的少なくそれ程見映えを損なうことはないが、
段部１１の段差が浅く形成されているため、係止
片８が外れ易いという不具合があつた。

本考案は以上の観点に立つて為されたものであ
つて、その目的とするところは、荷役車両の前後
方向におけるバランスを損うことなく、フインガ
ーバーのリフトブラケツトへの接合強度を満足さ
せながら、フインガーバーにより遮ぎられる死界
を減少させるようにした荷役車両のキヤリツジ構
造を提供することにある。

以下、添付図面に示す実施例に基づいて本考案
を詳細に説明する。

第６図乃至第８図に示す実施例に於いて、キヤ
リツジ１は、従来と同様に、一対のフインガーバ
ーすなわち上部フインガーバー２及び下部フイン
ガーバー３を有し、これらのフインガーバー２，
３を一対のリフトブラケツト４に溶接によつて固
定することにより、マスト６に沿つて昇降動でき
るように形成されている。

この実施例において、リフトブラケツト４は本
体部４ａの前面にフインガーバー２，３の前後方
向寸法Ｌと略対応した分だけ車体前方へ突出する
略矩形状の突部４ｂを有し、この突部４ｂの上下
方向寸法は上部フインガーバー２と下部フインガ
ーバー３との間の寸法に一致するよう形成される
と共に、リフトブラケツト４の本体部４ａの上下
方向寸法より小さく形成される。そして、上部フ
インガーバー２は、突部４ｂの上面及び本体部４
ａの前面で溶接され、下部フインガーバー３は突
部４ｂの下面及び本体部４ａの前面で溶接され、
夫々のフインガーバー２，３は車幅方向に架設さ
れた状態で取付けられる。

また、上部フインガーバー２及び下部フインガ
ーバー３の夫々の断面形状は、略矩形状に形成さ
れており、その上下方向寸法Ｈが前後方向寸法Ｌ
より狭くなるように形成される他、このフインガ
ーバー２，３の背面下陵には角部を切り欠いて
夫々傾斜面１３を形成している。この際、夫々の
寸法Ｈ，Ｌは、フオーク７上に載置される積荷の
許容荷重に対する剛性を維持できるように決定さ
れる。そして、上部フインガーバー２の上面及び
下部フインガーバー３の下面の略中央部には凹部
１２が形成され、この凹部１２内にフオーク７に
形成された係止片８を係合させてフオーク７がフ
インガーバー２，３に係止されるようになつてい
る。

従つて、この実施例に係るキヤリツジ構造によ
れば、フインガーバー２，３は夫々リフトブラケ
ツト４の本体部４ａ前面と突部４ｂの上面及び下
面とで形成された段部とにわたつて溶接されるの
で、溶接面積が拡大し、フインガーバー２，３を
リフトブラケツト４に強固に固着することができ
る他、このフインガーバー２，３をリフトブラケ
ツト４に溶接するに際して特に位置決め治具を用
いることなく容易に位置決めを行うことができ、
コストの低減を図ることができる。また、フイン
ガーバー２，３の上下方向寸法Ｈが前後方向寸法
Ｌより狭く形成されているほか、各フインガーバ
ー２，３の背面下陵には傾斜面１３が形成されて
いるので、第６図に示すように、フインガーバー
２，３により遮ぎられる死界S′₁，S′₂が第１図乃
至第３図に示す従来例における死界S₁，S₂より大
幅に狭いものとすることができ、作業時における
視野を拡大することができる。更に、フインガー
バー２，３の耐荷重に対する強度、剛性はその断
面積に略比例したものであるため、フインガーバ
ー２，３の前後方向寸法Ｌを第４図に示すフイン
ガーバー２，３の前後方向寸法L₂より小さくす
ることができ、その結果、その分フオーク７の係
止片８を短く形成してフオーク７の車体前方への
突出度合を減少することができ、荷役車両の前後
方向のバランスを維持することができる。更に、
また、この実施例のフインガーバー２，３は、そ
の製造工程において、凹部１２の溝切り加工のみ
でよいから、極めて加工が容易であり、第４図に
示すフインガーバー２，３のような二段付の加工
を要しない点で有利となるだけでなく材料の分溜
りが向上する。

また、凹部１２を比較的深く形成することによ
り、フオーク７の係止片８との係合状態を確実に
することができ、第５図に示すような従来例の不
具合を解消できる。

更に、フインガーバー２，３の前面上部を第７
図、第８図で仮想線で示すように切欠きば視界は
更に向上できる。

従つて、本考案に係るキヤリツジ構造によれ
ば、フインガーバーの上下方向寸法を前後方向寸
法より狭く形成している他、フインガーバーの背
面下陵の角部を切り欠き傾斜面を形成しているの
で、作業時におけるフインガーバーにより遮ぎら
れる死界を減少できると共に視野を拡大でき、そ
の結果、安全な運転作業を行うことができる。ま
たフインガーバーは夫々リフトブラケツトの本体
部の前面と突部の上面及び下面とで形成された段
部とにわたつて溶接されるので、溶接面積が拡大
して、リフトブラケツトに強固に固着することが
できるほかフインガーバーをリフトブラケツトに
溶接するに際して、特に位置決め治具を用いるこ
となく容易に位置決めを行なうことができ、コス
トの低減を図ることができる。更に、フインガー
バーの断面形状を単に凹部のみを有するものとし
たので、その加工が容易になるばかりでなく、フ
インガーバーの耐荷重に対する強度、剛性維持の
観点からもその前後方向の寸法を縮小することが
可能になり、荷役車両の前後方向におけるバラン
スを損うことは防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のキヤリツジの配置状態の一例を
示す説明図、第２図は第１図のキヤリツジにおけ
るフインガーバーの断面形状を示す説明図、第３
図はその取付状態を示す説明図、第４図及び第５
図は夫々第２図とは異なる従来のフインガーバー
の断面形状を示す説明図、第６図は本考案に係る
キヤリツジ構造の一実施例を示す説明図、第７図
は第６図に示すキヤリツジにおけるフインガーバ
ーの断面形状を示す説明図、第８図はその取付状
態を示す説明図である。 １……キヤリツジ、２……上部フインガーバ
ー、３……下部フインガーバー、４……リフトブ
ラケツト、４ａ……本体部、４ｂ……突部、６…
…マスト、７……フオーク、８……係止片、１２
……凹部、Ｌ……前後方向寸法、Ｈ……上下方向
寸法。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. マスト６に沿つて昇降自在に支持されたリフト
   ブラケツト４に一対のフインガーバー２，３を架
   設し、このフインガーバー２，３にフオーク７を
   係止する荷役車両のキヤリツジ構造に於いて、上
   記フインガーバー２，３の上下方向寸法Ｈを前後
   方向寸法Ｌより小さく形成する一方、このフイン
   ガーバー２，３の背面側下陵には傾斜面１３を形
   成する共に、上部フインガーバー２の上面及び下
   部フインガーバー３の下面に凹部１２を形成し、
   この凹部１２内にフオーク７に形成された係止片
   ８が係合するようにする一方、リフトブラケツト
   ４には、その本体部４ａの前面に上部フインガー
   バー２及び下部フインガーバー３間に突出する突
   部４ｂを形成し、上部フインガーバー２を突部４
   ｂの上面及び本体部４ｂの前面で並びに下部フイ
   ンガーバー３を突部４ｂの下面及び本体部４ａの
   前面でそれぞれ溶接接合するようにしたことを特
   徴とする荷役車両のキヤリツジ構造。