JPS6136441B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 農水畜産物等を原材料として、加工食品の生産
を行なう場合、廃棄物は生ものである事が多く、
一般に多量の水分を含む、したがつて、有効物の
回収には、濃縮、圧搾、蒸留等、エネルギーを要
する処理工程を経由しなければならない。本発明
は、上記の廃棄物を、何らエネルギーを必要とす
る処理を行なうことなく、貯槽に移し、トルエン
を廃棄物が、空気と全く、しや断される程度注ぎ
込み、必要に応じ水を添加、数ケ月放置すると
き、トルエンの殺菌作用で腐敗を防ぎ、無菌状態
のままで、長時間放置させると、時間の経過とと
もに、廃棄物中の組織に含まれている。種々の酵
素が作用し、細胞膜の崩壊が起り、保水性の消失
とともに、組織の軟化が生じ、有効物質が溶出し
てくるいわゆる、自己消化（autolysis）を利用
するものである。蛋白が存在すればペプタイド分
解が生じ、脂質があれば細胞膜脂質の崩壊遊離が
起ると考えられる。トルエンは溶剤としての作用
で、脂質を溶解して、貯槽の上層部にトルエン可
溶物質が、中間層には水可溶物質が移行し、さら
に下層には残留物が沈澱する。これらは定期的
に、貯槽の３層の抜出し用の栓から、それぞれ別
途に抜出し、さらに新しく廃棄物を投入して同様
の処理を繰り返す。これらの層から抜出した物質
は、各々の用途に応じ有効成分を回収する原料と
なり得る。又トルエンは上層部の表面に浮遊して
いる為、トルエン層の下から抽出液を抜き取るこ
とで、トルエンは廃棄物を新しく入れる度毎に加
える必要はない、又トルエンの回収を行なうとす
れば、より経済なものとなる。特に自己消化をよ
り一層促進させる目的で、温度や、水素イオン濃
度を適当に調節したり、溶解能を増加させる為
に、アセトン、アルコール其他の溶剤を添加する
と効果がある。例えば、かんきつ類の果汁粕（主
として果皮）の場合、水分を85％余り含んでいる
ので、処理法として、現在広く普及している方法
は、カルシウムを添加して、ペクチンを凝固させ
た後に圧搾し、糖質を回収し、残りの粕を乾燥さ
せて、家畜飼料として加工している。しかしカル
シウムが多すぎる場合は価値が低く、乾燥にも多
量の熱を必要としている。

本発明による処理法で、かんきつ類の果汁粕は
トルエンを注入して、約３ケ月間放置することに
より、下層からは、脂質と水可溶物質が除かれた
沈澱物を抜き取る。このものはトルエン臭も、ほ
とんど無く、脱水されているので、天日乾燥後
は、燃料、肥料として利用出来る。

中間層からは、組織中に酵素の作用で、溶出し
てきた水可溶物質より、ペクチン、糖質等、さら
に上層からは、トルエンに溶解した脂質、カロチ
ン等を回収することが出来る。

実施例 １ 1000C.Cの下口びんを用いて、下記の要領で約
３ケ月常温で放置した。……２月６日調製温州み
かん果汁粕、300g、水45g、それにトルエン200g
を同時に下口びんに入れた。時間の経過ととも
に、溶出が進み、上層部トルエン浸出液の色も、
黄色から朱色又は、褐色を呈し、脂質、カロチン
等が抽出されることを、認めた。残留物は原形を
とどめてはいるものの、黄土色から不透明な白色
が、一部に見られる迄に変化した。尚水可溶物質
については、次に示すごとく試料を採取して、糖
質、ペクチン、クカン酸、全窒素等を日数の経過
に伴つて、溶出されてくる量を測定した。又採取
時には、採取量と同量の水を補つた。

次の表に示す、水可溶物質の抽出結果から、果
汁粕の処理は３ケ月で十分であると判断した。

【図面の簡単な説明】

図表１は上記の処理結果の抽出量を示す。

【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 生ものを扱う農水畜産物から、加工食品を生
   産する際に生ずる、廃棄物処理法について、廃棄
   物に殺菌作用のあるトルエンを加え、空気に接触
   させることなく、保存させることにより、この廃
   棄物の、自己消化現象を利用して、それぞれの有
   効物質を溶出させた後、そのまま容易に分離抽出
   させる方法。