JPS6136172Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は炊飯器に用いる炊飯鍋に関するもので
あり、特にその内面の改良された樹脂コーテイン
グに関するものである。

ここでいう炊飯器とは、ガスや石油、木、炭の
如き燃料の燃焼熱もしくは電気等の直接的熱源に
より、あるいは湯水や水蒸気等の媒体による間接
的熱源により、米穀類を水分とともに加熱調理
し、米飯を得るものを称する。

米飯の粘着力は強力であるので、炊飯鍋からの
米飯の取出しや使用後の洗浄を容易にするため、
従来から炊飯鍋の内面にポリテトラフルオロエチ
レン樹脂（以下PTFE樹脂という）をコーテイン
グしたものが多かつた。しかしながらPTFE樹脂
をコーテイングした炊飯器は、米飯の良好な剥離
性能は示すものの、PTFE樹脂の特異な性質から
コーテイングされた皮膜にピンホールが避け難
く、炊飯鍋素材に腐食を生じることがあり、かつ
またPTFE樹脂は比較的軟かいので、米飯を取出
すときにシヤモジで引掻かれたり、洗浄時にタワ
シでこすられたりして、すり減つたり、剥れたり
する問題があつた。

本考案の目的は、このような欠点を解消すると
ともに、米飯の良好な剥離性をも有する炊飯鍋の
内面コーテイングを提供することであり、しかし
てこの目的は、コーテイング層として炊飯器の内
面にパーフルオロアルコキシ樹脂（以下PFA樹
脂という）を主体とする樹脂の層を形成すること
により達成される。

ここでいうPFA樹脂とは、テトラフルオロエ
チレンとパーフルオロアルキルパーフルオロビニ
ルとの共重合体よりなる樹脂を意味し、具体的に
は次のような構造式を有するものである。

（ただし、ｋ，ｌ，ｍ，ｎは自然数） そしてこのPFA樹脂は、単体で用いてもよい
し、また顔料等の添加物あるいは他の樹脂、例え
ばPTFE樹脂と混合した形で用いてもよい。ただ
本考案では、後に述べるPFA樹脂コーテイング
の効果を十分に発揮させるために、PFA樹脂を
主体する樹脂組成とする必要があり、具体的には
固体組成でPFA樹脂が50％以上となるようにす
る。

このようなPFA樹脂を主体とする樹脂は、粉
体のままか、あるいは界面活性剤を含んだ水また
は有機溶剤中に分散させ、デイスパージヨンとし
て使用する。塗布方法としては、粉体のときは粉
末スプレー法、静電スプレー法、流動浸漬法、静
電流動浸漬法等があるが、静電スプレー法が簡単
である。またデイスパージヨンのときは、刷け塗
り、浸漬、エアースプレー、エアレススプレー、
静電スプレー、ローラーコートが利用できる。

コーテイングの際の下地処理としては、表面を
洗浄・脱脂した後、接着性を高めるためにプラス
ト処理、ホーニング処理、ワイヤーやサンドペー
パーによるブラツシング等の機械的粗面化をした
り、あるいは化学的または電気化学的なエツチン
グを行なつたりするのが望ましい。またプライマ
ー等を使用してもよい。さらには化成皮膜や陽極
酸化皮膜もPFA樹脂には有効な下地処理とな
る。

なお、PFA樹脂を主体とする樹脂のコーテイ
ング層の形成は、炊飯鍋に加工する前のサークル
で行なつてもよいし、炊飯鍋に加工してから行な
つてもよい。

このようにして形成されたPFA樹脂を主体と
する樹脂によるコーテイング層は、PTFE樹脂コ
ーテイング層に比べ、ピンホールがはるかに少な
く、また硬度も高く、かつ米飯の剥離性能も変わ
らないので、米飯の粘着防止層として、長寿命で
有効に働く。

本考案の具体例を示す図面について説明する
と、第１図は直接加熱源によるる炊飯鍋の全体縦
断面図であり、第２図は本考案によるる炊飯鍋の
拡大部分縦断面図である。炊飯鍋１は、その中に
米飯２を入れ、加熱源参３からの熱によつて加熱
調理されるようになつている。そして本考案で
は、このる炊飯鍋１が、素地金属４で成形され、
その内面にPFA樹脂コーテイング層５を形成さ
せることによつて、構成されている。このPFA
樹脂コーテイング層５が米飯２の粘着防止層とし
て、長寿命で有効に働くのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は直接加熱源による炊飯鍋の全体縦断面
図であり、第２図は本考案による炊飯鍋の拡大部
分縦断面図である。 １……炊飯鍋、２……米飯、３……加熱源、４
……炊飯鍋素地金属、５……PFA樹脂コーテイ
ング層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. パーフルオロアルコキシ樹脂（PFA樹脂）を
   主体とする樹脂を内面にコーテイングしてなる炊
   飯鍋。