JP3639138B2

JP3639138B2 - 炊飯釜

Info

Publication number: JP3639138B2
Application number: JP03152999A
Authority: JP
Inventors: 亨鳥羽
Original assignee: NIKKEN COATING INDUSTRY CO.,LTD.
Current assignee: NIKKEN COATING INDUSTRY CO.,LTD.
Priority date: 1999-02-09
Filing date: 1999-02-09
Publication date: 2005-04-20
Anticipated expiration: 2019-02-09
Also published as: JP2000229027A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は炊飯釜に係り、特に炊込飯の剥離しやすいコーテイング層を持つ炊飯釜に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、炊飯器とは、ガスや石油、木、炭のような物の燃焼の燃焼熱、もしくは電気など直接的熱源やＩＨ（電磁加熱）により、米穀類を水分と共に加熱調理し、米飯を得るものを総称している。
これらに使用される釜においては、米飯の粘着力が強力であるために、釜から米飯の取り出しや使用後の洗浄を容易にするために、ＰＦＡ（パーフルオロアルコキシ樹脂）を釜内面にコーテイングしたものが多用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ＰＦＡは、通常の炊飯には良好な結果を示しているが、例えば酢飯や炊込みご飯などのような調味料を添加した米飯の剥離性は極端に悪化する。その原因として、樹脂の末端基が（−ＣＯＦ、−ＣＯＮＨ_２）が酸その他に反応し、例えば酢酸ではＰＦＡ表面に酢酸による皮膜形成（−ＣＯＣＨ_３など）が生じ、そのために剥離性が悪化する。一度皮膜が形成されると通常の炊飯を行っても性能が回復しないという問題があった。
この発明は、このような実情に鑑みて長年樹脂皮膜の研究を重ねて来た結果、樹脂コーティング層の表面に酢飯や調味料を添加した炊飯米による皮膜を形成させず、剥離性を高めた炊飯釜を提供することを目的としている。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項１の発明では、
素地金属からなる釜の内表面に末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂を主成分として４０％以上含有する樹脂コーテイング層が膜厚１０μｍ〜１００μｍの範囲で形成されており、上記樹脂コーティング層の表面に酢飯や調味料を添加した炊飯米による皮膜を形成させず、剥離性を高めてなる、という技術的手段を講じている。
【０００５】
また、請求項２の発明では、
前記樹脂コーテイング層は、前記末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂を５０％以上とし、これにＰＴＦＥ、ＰＦＡ、ＦＥＰの樹脂から選択される一種以上が配合されてなる、という技術的手段を講じている。
【０００６】
【作用】
上記のように構成されたこの発明は、次のような作用を有している。
前記末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂を主成分とする樹脂コーテイング層は、化学的に安定し、酢酸化皮膜を形成しないので、酢飯や調味料を使用した炊込飯などを炊いても粘着せず、剥離性にすぐれている。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の炊飯釜の一実施例について図面を参照しながら説明する。
図１は炊飯釜の縦断正面図である。
図において、炊飯釜１は、素地金属２（複層のこともある）の内表面にプライマ層３が形成され、該プライマ層３（場合によっては中塗を含めて二層）の上面に末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂コーティング層４が、膜厚１０μｍ〜１００μｍの範囲で形成されている。
【０００８】
前記末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂とは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体よりなる樹脂であり、末端基が（−ＣＦ_３）に処理されたもので、化学的に安定しているため酢酸による皮膜を形成しない特長を有している。この末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂はＮｅｗＰＦＡ樹脂とも称される。
【０００９】
この末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂は、単体での使用でもよいが、顔料などの添加物の混用、或いはＰＴＦＥ、ＰＦＡ，ＦＥＰ樹脂等の他の樹脂を混合して使用することができる。
【００１０】
前記混合樹脂の比率は、末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂が４０％以上、好ましくは５０％以上になるように配合することで、前記特性を発揮させることができる。
【００１１】
このような末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂を主体とする樹脂は、粉体のままか、あるいは界面活性剤を含んだ水または有機溶剤中に分散させ、ディスパージョンとして使用する。
【００１２】
塗布方法としては、粉体の場合には通常静電粉体スプレーなどを使用する。またディスパージョンのときにはエアスプレー、静電スプレーなどを使用することができる。
【００１３】
コーティングの際の下地処理としては、素地金属表面を空焼きや脱脂後、接着性を高めるためにブラスト処理、ホーニング処理などの機械的粗面化をし、或いは化学的または電気化学的エッチングを行う方法や、化成被膜や陽極酸化被膜も下地処理とすることができる。
しかし、一般的には、空焼、ブラスト、プライマ（場合によって二層目中塗）の工程後に、末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂をコーテイングして完成する。
【００１４】
このようにして形成された末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂によるコーテイング層は一般的なＰＦＡ樹脂コーテイング層に比較して、末端基の影響により熱安定性や多量の調味料入りの飯における剥離性も変化せず、米飯の粘着防止層として耐久性に優れている。
【００１５】
【発明の効果】
上記のように構成されたこの発明は次のような優れた効果を有している。
末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂は、化学的に安定しているため酢酸による皮膜を形成しないため、このコーテイング層が形成された炊飯釜は、酢飯、炊込飯など調味料の入った炊飯米が粘着せず、剥離しやすい。
また、末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂は、熱安定性に優れ、米飯の粘着防止層として耐久性に優れている。
更に、末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂コーテイング層は、コスト負担にならず、炊飯釜の性能向上を図ることができるので有益である。
【図面の簡単な説明】
【図１】炊飯釜の縦断正面図である。
【符号の説明】
１炊飯釜
２素地金属
３プライマ層
４末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂コーテイング層

Claims

素地金属からなる釜の内表面に、末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂を主成分として４０％以上含有する樹脂コーテイング層が膜厚１０μｍ〜１００μｍの範囲で形成されており、上記樹脂コーティング層の表面に酢飯や調味料を添加した炊飯米による皮膜を形成させず、剥離性を高めてなることを特徴とする炊飯釜。
前記樹脂コーテイング層は、前記末端基を−ＣＦ_３に処理済のパーフルオロアルコキシ樹脂を５０％以上とし、これにＰＴＦＥ、ＰＦＡ、ＦＥＰの樹脂から選択される一種以上が配合されたことを特徴とする請求項１に記載された炊飯釜。