JPS6134488Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は顕微鏡の落射暗視野照明装置の改良に
関するものである。

従来顕微鏡の落射暗視野照明装置は第１図に示
すような構成で、光源装置よりの平行光束２を円
環状表面反射鏡１により反射せしめ、対物レンズ
３の光軸と同軸に対物レンズ３の周囲を通つて供
給され円環状集光レンズ４により試料面５を照射
するように構成されている。そして試料面５で乱
反射を起こした光だけが対物レンズ３に入るよう
にすることによつてまつ暗な視野中に輝く試料の
微細構造を観察するようにしたものである。この
ような従来の落射暗視野照明装置は、円環状の光
束を集光するための円環状集光レンズを備えてい
るが、光源の照明むらや照明系レンズの収差等の
影響によつて視野の照明むらが多かつた。この欠
点を除くために円環状集光レンズ４の一方の面を
フロストまたはレモンピールに仕上げることによ
り照明光に軽い散乱を起こさせ、これによつて視
野の照明むらをなくすようにしていた。その結
果、照明むらは除去されるが観察視野以外の範囲
まで照明光が不必要に広がり、その一部の光が直
接反射光として対物レンズに入射し、これがフレ
アーとなつて像のコントラストを害することにな
る。このように照明光が不必要に広がるのを防ぐ
ため、フロスト面等の散乱部を円環状集光レンズ
４の表面ではなく、より光源に近い位置にするた
めに、円環状集光レンズ４よりも光源側に円環状
散乱部材を配置するようにした照明装置が考案さ
れていた。しかしこの照明装置では集光レンズよ
りも前の光路中にて照明光が散乱光となるために
円環状集光レンズ４の光軸に平行かそれに近い光
線群のみが集光レンズに達して集光され照明に寄
与し、他は照明に寄与しないため、照明系として
の効率が悪く、暗い照明しか得られない。また円
環状散乱部材を用いているので部品の数が多くな
りコスト高になる欠点も有している。

本考案は以上のような従来のものの欠点を除去
するためになされたもので、対物レンズの先端部
付近においてその周辺を囲むように配置された表
面を散乱面にした反射鏡で対物レンズの光軸を含
み試料面に垂直な平面内において反射される光が
試料面上で光軸の反対側を重点的に照明するよう
にした円環状ミラーを用いた落射暗視野照明装置
を提供するものである。

以下図示した一実施例にもとづき本考案の詳細
な内容を説明する。第２図は本考案照明装置の断
面図で、円環状表面反射鏡１よりの光束を対物レ
ンズ３の先端付近に配置した表面を散乱面とした
円環状ミラー６により反射せしめ、散乱光とした
上で試料５を照明するように構成されている。更
にこの円環状ミラー６は対物レンズ３の光軸を含
み試料面に垂直な断面で切断した部分を考えた場
合、円環状ミラー６の右の部分６ａにて反射され
た照明光は試料面５の左側の部分５ｂ（光軸で２
分された二つの部分のうち左側の部分）を重点的
に照射し、同様に円環状ミラー６の左の部分６ｂ
にて反射された光は試料面５の右側の部分５ａを
重点的に照射するように円環状ミラー６の形状を
きわめてある。

第２図は対物レンズの光軸を含み試料面に垂直
な面のうち一つの面について示してあるが、この
ような面は多数く存在しそのすべての面にて切断
した切断面がすべて第２図に示す曲線をなす反射
鏡にて円環状ミラーを構成している。つまり第２
図に示す曲線６ａ又は６ｂを対物レンズの光軸の
まわりに回転して出来た環状の面が反射面である
反射鏡がこの円環状ミラーである。したがつて円
環状表面反射鏡１より反射された照明光は円環状
ミラー６により反射されて散乱光となると共に試
料面上を円環状ミラー６の反射位置と光軸に対し
て反対側を重点的に照明することになる。このよ
うにこの照明装置は散乱光となつてから試料面ま
での距離が短いので、光源の明るさを損なうこと
が少なく明るくむらのない視野が得られる。また
第２図からも明らかなように試料面に対する照明
光の入射角が可能な限り大になるので、円環状ミ
ラーにて反射されて試料を照射する照明光のうち
試料面で直接反射された光が対物レンズに入射す
ることがない。

本考案で用いられる円環状ミラー６は例えば黄
銅製で反射面を鏡面仕上げし、その後反射面にエ
ツチングやサンドブラスト等の加工処理を施して
表面に凹凸を与え、最後にNiCr等の表面処理を
したもので、入射光の反射率の向上とともに適宜
な表面の凹凸によつて入射光が散乱するようにし
たものである。

尚第２図に示す実施例の円環状ミラー６は断面
が曲線になつているが、断面が直線の円環状ミラ
ーでも本考案の目的を達成することができる。ま
たこのような円環状ミラーの反射面を加工するの
はNC旋盤等を用いることによつてきわめて容易
であり、量産も可能である。

以上説明したように本考案の落射暗視野観察用
照明装置は光を散乱させる部材である凹凸面を円
環状ミラーの反射面と同一に形成したので、散乱
後の試料面までの距離を可能な現り短くすること
ができ、したがつて照明効率のすぐれたむらのな
い視野が得られる。また円環状ミラーで反射され
試料面を照射する散乱光は可能な限り大きな入射
角で試料面に到達するので試料面からの反射光が
直接光として対物レンズに入射することがなくフ
レアーのない暗視野効果のすぐれた観察が可能と
なる。更に集光部材を円環状ミラーとしその反射
面に散乱作用を与えるための凹凸を設けた構成と
したので、集光部材と散乱部材とを別々に設けた
ものに比べ構成が簡単でありまた円環状ミラーは
集光レンズにより安価であること等から従来の照
明装置よりも製造コストを安くすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の落射暗視野観察用照明装置の断
面図、第２図は本考案の落射暗視野観察用照明装
置の断面図である。 ３……対物レンズ、５……試料面、６……円環
状ミラー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 対物レンズの光軸と同軸にこれを囲むように供
   給される円環状の照明光束を対物レンズの先端付
   近に配置した集光部材により集光させ斜めより試
   料面を照明するようにした落射暗視野観察用照明
   装置において、前記集光部材としてミラー面を光
   散乱面とすると共に光軸を含み試料面に垂直な面
   内においてミラー面で反射された照明光が試料面
   上の光軸に対し反対側を重点的に照明するように
   構成した円環状ミラーを用いたことを特徴とする
   落射暗視野観察用照明装置。