JPS6134309Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 高速増殖炉プラントのような高温で且つ化学的
に活性な金属ナトリウムを取扱う装置では、事故
時の損害を限定する等の理由から、複数の格納室
に区劃され、機器、配管等が設置されている。格
納室の天井、側壁、床は通常コンクリート製であ
るが、万一のナトリウム漏洩事故に備えてその内
面に鋼製ライナが張設され、ナトリウムとコンク
リートとの接触反応を避けるようになつている。
従つてライナには前記したような漏洩事故時にも
健全性を発揮しうる機能を具えることが要求され
る。

而して前記ライナに負荷される荷重は、事故時
の温度上昇に伴なう熱膨脹によるものと、躯体コ
ンクリートが加熱されることによつて生じるコン
クリート中含水の蒸発に基因する背圧等がある。
前者の荷重は避けられぬものとしても、後者の荷
重については、躯体コンクリート中の水分の蒸発
に伴なうライナ裏面の背圧を蒸気を逃がすことに
よつて解放しうるものである。

第１図は前記蒸気を逃がすための従来の装置を
示し、ａは躯体コンクリート、ｂ，ｃはその内周
面に張設された鋼製ライナ及びコーナライナで、
前記躯体コンクリートａにはライナ裏面から蒸気
逃がす蒸気ベント管ｄが埋設されている。

しかしながら１本のベント管の効力範囲には限
度があり、一定の配列ピツチで前記ベント管ｄを
設置しなくてはならず、結局多くの蒸気ベント管
ｄを必要とする。而して同ベント管の数を減らす
には、ライナ裏面に一定の空隙を設けて１個所よ
り放出することが必要となる。躯体コンクリート
を打設したのちライナを施工する場合は、一定の
間隙を保つようにライナを張設することが可能で
あるが、ライナ自体を内型枠として、ライナ施工
後、これに対設された外型枠との間に躯体コンク
リートを打設する工法においては、ライナと躯体
コンクリートとが密着するので両者の間に空隙を
形成できない。

本案はこのような実情に鑑みて提案されたもの
であつて、コンクリート躯体、同躯体の内側全面
に亘つて配接された内張片、同内張片と前記躯体
との間に介装された多孔質部材、及び前記躯体内
に埋設され、一端が前記多孔質部材に連絡される
とともに他端が前記躯体外部に開口した蒸気放出
部材を具えてなることを特徴とする格納室に係
り、その目的とする処は、内張片を躯体コンクリ
ート打設の際の型枠として使用する格納室の施工
方法において、内張片とコンクリート躯体との間
に蒸気流通層を形成して内張片にかかる背圧を低
減しうる、改良された格納室を供する点にある。

本案に係る格納室においては前記したように、
格納室における内側全面に亘つて内張片の張設さ
れたコンクリート躯体に埋設された蒸気放出管の
一端を直接前記内張片に連絡することなく、同内
張片と前記コンクリート躯体との間に多孔質部材
を介装して両者間に流通性が得られるようにし
て、同多孔質部材に前記蒸気放出管の一端を連絡
したので、どの領域の躯体コンクリートが加熱さ
れたとしても、コンクリートの含有水分の蒸発に
よつて発生する蒸気は前記多孔質部材を経て蒸気
放出管に導入され、同放出管より外部に放出され
た内張片にかかる蒸気による背圧を低減しうるも
のである。

このように本案によれば、内張片を躯体コンク
リート打設の際の型枠として使用する格納室の施
工方法において、簡単な構成で内張片とコンクリ
ート躯体との間に蒸気流通層を形成し、同層を介
してコンクリート躯体に埋設された蒸気放出管よ
り、コンクリート躯体から蒸発する蒸気を放出せ
しめ、前記内張片にかかる背圧を低減しうるもの
である。

以下本案を図示の実施例について説明する。

１は密閉容器の格納室のコンクリート躯体２は
同コンクリート躯体１の内側全面に亘つて配設さ
れた鋼製ライナ、２′はコーナ用鋼製ライナであ
る。

前記コンクリート躯体１と鋼製ライナ２，２′
との間には多孔質板３が介装され、前記躯体１の
コーナ部には集合ダクト４が埋設され、同ダクト
４は流通孔４ａを介して前記多孔質板３に連通し
ている。５はコンクリート躯体１に埋設された蒸
気放出管で、一端は集合ダクト４に連通するよう
に溶着され、他端は屋外等に導かれている。

前記多孔質板３は親水性とある程度の通気性と
を有する材質が必要で、例えば石綿、岩綿の成形
板等が使用される。

第３図は圧縮強度の高い石綿ボードを多孔質板
３として使用した場合を示し、同石綿ボードはボ
ルトナツト６を介して鋼製ライナ２に固定され
る。

第４図は圧縮強度の低い岩綿ボードを多孔質板
３として使用した場合を示し、躯体コンクリート
打設特に圧潰しないように金網層７で補強されて
いる。

図示の格納室を施工する場合、鋼製ライナ２，
２′を所定位置に設定するとともに多孔質板３を
取付け、集合ダクト４及び蒸気放出管５を所定位
置に設置したのち、前記鋼製ライナ２，２′を内
型枠とし、これに対設された外型枠との間に躯体
コンクリートを打設するものである。この際コン
クリートは多孔質板３の存在によつて鋼製ライナ
２，２′裏面に到達せず、この結果、同鋼製ライ
ナ２，２′とコンクリート躯体１との間には多孔
質板３が介在し、同多孔質板３による一定の通気
性を有する領域が形成され、コンクリート躯体１
と鋼製ライナ２，２′との間に流体の流通性が得
られる。

従つて何れの領域のコンクリート躯体１が加熱
されたとしても、コンクリート中に含有された水
分の蒸発によつて生じた蒸気は多孔質板３を通つ
て集合ダクト４に集約され、蒸気解放出管５を介
して外部に放出されるものである。

このように何れの領域のコンクリート躯体１が
加熱されても、１個所の蒸気放出管より蒸気を確
実に放出して、鋼製ライナ２，２′にかかる背圧
を低減しうるのみならず、多孔質板３として岩綿
ボードの如き断熱性能の高い材料を使用するとき
は、鋼製ライナ加熱時の断熱層としてコンクリー
ト躯体の温度上昇を防止しうるものである。

なお本案は例えだ原子力プラント格納室ライナ
設備等に利用されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の格納室の縦断面図、第２図は本
案に係る格納室の一実施例を示す縦断面図、第３
図及び第４図は鋼製ライナに多孔質板を取付けた
状態を示す縦断面図である。 １……コンクリート躯体、２……鋼製ライナ、
３……多孔質板、４……蒸気放出管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンクリート躯体、同躯体の内側全面に亘つて
   配接された内張片、同内張片と前記躯体との間に
   介装された多孔質部材、及び前記躯体内に埋設さ
   れ、一端が前記多孔質部材に連絡されるとともに
   他端が前記躯体外部に開口した蒸気放出部材を具
   えてなることを特徴とする格納室。