JPS6133693Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車等の車体壁に設けた取付孔に
対して伸縮形アンテナを車体壁の外側から取付け
るようにした車両用アンテナ装置に関する。

従来の車両用アンテナ装置は、アンテナの一部
を車体壁の裏面側から取付孔を通して車体壁の表
面側へ突出させ、その突出部にナツトを螺合させ
ることにより、アンテナを車体壁に取付ける構造
となつていた。上記構造の従来のアンテナ装置
は、アンテナ取付作業を車体壁の内側と外側とで
行なわねばならないので、取付作業がはなはだ面
倒で能率が悪かつた。上記欠点を除去すべくアン
テナを車体壁の外側での取付作業のみで取付け得
る手段が種々考えられている。しかし乍らこれま
でのものは、取付作業は簡単化するものゝ、その
取付機構の構成が複雑化し製作が容易でないばか
りでなく、車体の激しい振動によつて短期間のう
ちに取付状態が不安定になり改修または交換を要
するといつた不都合を生じ易い難点があつた。

この考案はこのような事情を考慮してなされた
ものであり、その目的は伸縮形アンテナを車体壁
の外側から簡単に取付けることができるものであ
り乍ら、構造が簡単で製作および組立が容易であ
ると共に、たとえ激しい振動が加つてもそれに十
分耐え得るように堅固に取付けることのできる車
両用アンテナ装置を提供することにある。

以下この考案の詳細を図面に示す実施例によつ
て明らかにする。第１図ａ，ｂはこの考案の一実
施例の概要を示す図で、１は合成樹脂等の絶縁部
材にて一体成型された取付ベースで、車体壁外表
面に当接可能な平担面Ｍを一側面に有する扁平な
取付ベース本体１Ａと、上記本体の平担面Ｍの一
部に突出し後述する車体壁取付孔内に嵌入可能な
膨出部１Ｂとからなつている。２は上記取付ベー
ス１の膨出部１Ｂに結合しているアンテナ素子収
納用の収納管であり、たとえば軟質な合成樹脂チ
ユーブで形成されている。３は複数本の径の異な
る導電管を互いに摺動自在に接続した伸縮形アン
テナ素子であり、取付ベース１に埋設されている
後述するガイドパイプ内を通つて収納管２の中へ
挿脱自在に収納されている。アンテナ素子３の最
小径ロツド頭部には装飾を兼ねたストツパ３ａが
取付けてあり、最大径管の基端部には抜止め用の
係合部３ｂが設けてある。４は一端を取付ベース
１の膨出部１Ｂに結合させた同軸型フイーダであ
り、その自由端にはコネクタ５が取付けてある。
上記フイーダ４の膨出部１Ｂ内に埋設されている
一端の中心導体および外部導体は後述するように
ガイドパイプおよび接地導体にそれぞれ接続され
ている。

第２図はアンテナ装置を車体壁Ｗに取付けた状
態の主要部の構成を示す断面図である。第２図に
おいて明らかなように、取付ベース１の本体１Ａ
と膨出部１Ｂとの境界部には、車体壁Ｗに設けて
ある取付孔６の縁部に咬合する咬合部７が設けて
ある。また取付ベース１のベース本体１Ａには、
ネジ挿入孔８が設けられている。このネジ挿入孔
８は、前記咬合部７を取付孔６の縁部に咬合させ
たとき、ベース本体１Ａを通して取付ネジ９が車
体壁Ｗに設けてあるネジ穴１０へ螺入し得るよう
に設けられたものである。

一方、１１は第８図ａ，ｂ，ｃに示す如き形状
に導電性部材で形成された接地導体であり、１２
は第４図に示す如き形状に導電性部材で形成され
たガイドパイプである。上記接地導体１１および
ガイドパイプ１２は、フイーダ４の一端部１３と
共に、取付ベース成型時において、上記ベース内
に少なくとも一部が埋設固定される。すなわち、
接地導体１１は一端に形成されたＣ字状舌片から
なる端子部１１ａをフイーダ端部１３の外部導体
（編組線）１３ａに圧着等の手段により接続し、
他端近傍に形成されたネジ貫通孔１１ｂを前記ベ
ース本体１Ａのネジ挿入孔８の軸心に合致させた
状態で取付ベース１と共にモールデイングされ
る。またガイドパイプ１２は、一端開口部を小径
に絞り加工した外部口１２ａをベース本体１Ａ側
にし、他端開口部である内部口１２ｂを膨出部１
Ｂ側にして上記本体１Ａおよび膨出部１Ｂを貫通
する如く取付ベース１と共にモールデイングされ
る。なお上記ガイドパイプ１２はフイーダ端部１
３の中心導体（芯線）１３ｂと電気的に接続され
ている。

ガイドパイプ１２の中には、内部口側から筒状
スプリング１４が挿入されカシメ部１５により係
止されている。上記筒状スプリング１４は第５図
のような形状にプレス加工された導電性弾撥材を
中心線Ｘ−Ｘを中心にＣ字状に彎曲させ第６図
ａ，ｂ，ｃに示すような形状にしたものである。
第６図ａ，ｂ，ｃから明らかなように筒状スプリ
ング１４のほぼ中央部位には両側に対向配設され
た一対の接触片１４ａ，１４ｂが設けてある。ま
たこれらの接触片１４ａ，１４ｂとは長手方向に
所定距離だけ離れた位置で周方向90゜ずれた位置
には、別の接触片１４ｃが設けてある。これらの
接触片１４ａ〜１４ｃはいずれもガイドパイプ１
２の中に挿着された状態において、ガイドパイプ
１２の外部口１２ａから内部口１２ｂへ近づくに
従つて自由端が漸次軸心に接近するように偏倚さ
れた舌片となつている。

ガイドパイプ１２の膨出部１Ｂから若干突出し
ている部分の外周には前記収納管２の一端開口部
が嵌込んであり、そのさらに外側に硬質部材から
なるカラー１６を嵌込み、カシメ加工等によつて
機械的結合をはかつている。

前記取付ベース本体１Ａの車体壁表面に当接す
る平担面Ｍには、第２図に示されているように、
パツド１７が接合されている。このパツド１７は
ゴム或いは軟質な合成樹脂等の部材により第７図
ａ，ｂに示す如く形成されたものであり、車体壁
Ｗの表面が平担でないような場合に凹凸部による
接触不均衡を吸収除去するためのものである。な
お上記パツド１７には膨出部１Ｂに嵌合する穴１
７ａ、接地導体１１のネジ貫通孔１１ｂに合致す
るネジ貫通孔１７ｂ、ベース本体１Ａの底部周辺
に嵌合する周壁部１７ｃ、車体壁Ｗに接触する周
壁部１７ｄ等が設けられている。

伸縮形アンテナ素子３は第８図に示すように、
複数本の導電管３１，３２…を互いに摺動自在に
接続したアンテナ素子本体の最大径管３１の基端
に抜け止め素子４０を取付けると共に、最大径管
３１の先端部に衝接素子５０を取付けたものとな
つている。

抜け止め素子４０は、たとえば金属あるいは硬
質合成樹脂にて形成されたもので、尖端部４１を
有するヘツド４２と、係止用環条部４３ａ，４３
ｂを有する尾部４４との間に、前記係合部３ｂを
設けたものとなつている。上記係合部３ｂはアン
テナ素子の尾端方向すなわちヘツド４２方向へ近
づくに従つて細径となり、ヘツド４２との境界部
に段部Ｓを有するものである。すなわち上記係合
部３ｂは前記筒状スプリング１４の接触片１４
ａ，１４ｂ，１４ｃと係合したとき、前記アンテ
ナ素子の最大径管３１が前記ガイドパイプ１２の
外部口１２ａ側へ摺動するのを阻止しアンテナ素
子全体がガイドパイプ外方へ脱抜するのを防止す
る機能を有している。なお尾部４４は最大径管３
１の基端に挿入し、係止用環条部４３ａ，４３ｂ
に最大径管３１の周壁を陥没させることにより、
抜け止め素子４０は最大径管３１に固定される。

衝接素子５０は、やはり金属あるいは硬質合成
樹脂にて形成されたものであり、最大径管３１の
先端部に管体部５１を挿入固定し、鍔部５２を最
大径管３１の外周面よりも径大に突出させたもの
となつている。すなわちこの衝接素子５０は最大
径管３１をガイドパイプ１２内に挿入したとき鍔
部５２がガイドパイプ１２の外部口１２ａ（外部
口１２ａが取付ベース内に埋設状態となつている
ときは取付ベースに設けられた孔の入口１Ｃとな
る）に衝接することによつて、最大径管３１がガ
イドパイプ１２の内部口１２ｂ側へ摺動するのを
阻止し、アンテナ素子全体が取付ベース内へ埋設
するのを防止する機能を有している。なお衝接素
子５０は最大径管３１に管体部５１を挿入した状
態にて最大径管３１の周壁の一部を陥没させるこ
とにより、最大径管３１に対し固定される。但し
上記固定手段はネジ止め等であつてもよい。上記
管体部５１の端縁部５３は次の管３２の抜け止め
としても機能する。なお上記衝接素子５０は最大
径管３１の先端部を変形加工することにより鍔部
５２および端縁部５３に相当する部分を最大径管
３１と一体的に形成したものであつてもよい。

次に上記の如き構成の本アンテナ装置の作用に
ついて説明する。先ず本アンテナ装置の製作およ
び組立手順を説明する。接地導体１１、ガイドパ
イプ１２、フイーダ端部１３を相互の接続をはか
つた状態で取付ベース１の成型時に一体的にモー
ルデイングする。次に筒状スプリング１４をガイ
ドパイプ１２内に挿着すると共にパツド１７をベ
ース本体１Ａの平担面Ｍに装填する。しかるのち
収納管２をガイドパイプ１２に嵌合固定する。以
上までは車体に関係なく行なえる。

そこで次に上記の如く組立てられたアンテナ組
立部品およびアンテナ素子３を車体壁Ｗに取付け
る場合の取付法を説明する。アンテナ素子３を除
いた組立部品の収納管２およびフイーダ４の部分
を車体壁Ｗの外側から取付孔６の中へ挿入してい
く。そして最後にベース１の膨出部１Ｂを取付孔
６の中へ入れると共に、第２図中右方へスライド
させることにより、咬合部７を取付孔６の縁部に
咬合させる。の状態において、取付ネジ９をネジ
挿入孔８の中へ挿入し締付け操作を行なう。そう
すると、取付ネジ９のネジ部は接地導体１１のネ
ジ貫通孔１１ｂおよびパツド１７のネジ貫通孔１
７ｂを貫通して車体壁Ｗのネジ穴１０へ螺入す
る。これにより取付ベース１は咬合部７による取
付孔縁部への咬合作用により車体壁Ｗの面に垂直
な方向への動きを阻止されると共に、取付ネジ９
の螺着作用により車体壁Ｗの面に平行な方向への
スライドならびに車体壁Ｗの面に垂直な方向への
動きを阻止される。同時にまたフイーダ端部１３
の外部導体１３ａが接地導体１１〜取付ネジ９〜
車体壁Ｗの経路で接地されることになる。

上記の如く組立部品が車体壁Ｗに取付けられた
状態において、アンテナ素子３を基端部側からベ
ース本体１Ａのガイドパイプ挿設部へ第２図中矢
印で示す如く挿入する。こうすることにより、ア
ンテナ素子３は、ガイドパイプ１２の外部口，筒
状スプリング１４，ガイドパイプ１２の内部口，
収納管２を順次経て挿入され衝接素子５０の鍔部
５２が取付ベース入口１Ｃの周辺に衝接したとこ
ろで停止する。アンテナ素子３が上記の如く一旦
挿入されるとこのアンテナ素子３はもはや取付ベ
ース１から外方へは抜け出ないものとなる。すな
わち、アンテナ素子３の最大径管３１の基端に取
付けてある抜け止め素子４０の係合部３ｂが筒状
スプリング１４の接触片１４ａ，１４ｂの位置ま
で引出されると、上記接触片１４ａ，１４ｂの自
由端が係合部９に陥入することになり、素子３の
引出しを阻むことになる。

かくしてアンテナ装置は車体壁Ｗに簡単に取付
けられる。なおアンテナ素子３の周面には筒状ス
プリング１４の接触片１４ａ，１４ｂおよび１４
ｃが常時圧接しているため、アンテナ素子３〜筒
状スプリング１４〜ガイドパイプ１２〜咬合部１
３の中心導体１３ｂなる経路で送受信々号の伝送
経路が形成されると共に、特に接触片１４ａ，１
４ｂの強い圧接力によつて収納管２の外方へ引出
されたアンテナ素子３をその位置で安定に保持す
ることになる。

このように本アンテナ装置においては、車体壁
Ｗの外側での取付作業だけで簡単にしかも確実に
車体壁Ｗに取着固定できる。特に車体壁Ｗの内側
からネジ止め作業等が一切不要であり、一本の取
付ネジ９を車体壁外方から螺挿するだけでよいの
で作業性が頗るとよい。また取付ベース１のモー
ルド部に対し、筒状スプリング１４，パツド１
７，収納管２，アンテナ素子３等を挿入，嵌合，
カシメ等の簡易な手段にて順次結合させていくだ
けで完全に一体化されるので、製造，組立作業が
容易となりコスト低減をはかれる利点もある。ま
た筒状スプリング１４の一対の接触片１４ａ，１
４ｂがアンテナ素子３の抜け止め用ストツパ機能
およびアンテナ素子３の保持機能という二つの機
械的機能と、アンテナ素子３とフイーダ１３との
導通機能という電気的機能を併めもつていること
から、単一の筒状スプリング１４を設けるだけで
よく、構造が単純化する利点がある。

なお本考案は上述した実施例に限定されるもの
ではなく本考案の要旨を変えない範囲で種々変形
実施できるのは勿論である。

以上説明したように本考案によれば車体壁の外
側から伸縮形アンテナを簡単に取付けることがで
きるものであり乍ら、構造が簡単で製作および組
立が容易でコスト低減をはかれると共に、取付ベ
ースの咬合作用と取付ネジによる締着力とが相俟
つて十分大きな固定力が働くのでたとえ激しい振
動が加つてもそれに十分耐え得る如く堅固に取付
けることのできる車両用アンテナ装置を提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ〜第８図はこの考案の一実施例を
示す図で、第１図ａ，ｂは概略的構成を示す上面
図と側面図、第２図は主要部を切断して示した側
面図、第３図ａ〜ｃは接地導体の構造を示す平面
図と側面図と斜視図、第４図はガイドパイプの断
面図、第５図は筒状スプリング形成部材を示す平
面図、第６図ａ〜ｃは筒状スプリングの上面図と
側面図と背面図、第７図ａ，ｂはパツドの平面図
と側断面図、第８図は伸縮形アンテナ素子の最大
径管の構造を一部破断して示す側面図である。 １……取付ベース、１Ａ……ベース本体、１Ｂ
……膨出部、２……収納管、３……伸縮形アンテ
ナ素子、３ｂ……係合部、４……同軸型フイー
ダ、６……取付孔、７……咬合部、９……取付ネ
ジ、１１……接地導体、１２……ガイドパイプ、
１３……フイーダ端部、１４……筒状スプリン
グ、１６……カラー、１７……パツド、３１……
最大径管、４０……抜け止め素子、５０……衝接
素子。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体壁の表面に当接可能な平担面を一部に有す
   る取付ベース本体、この本体の上記平担面の一部
   に突出した車体壁の取付孔に嵌入可能な膨出部、
   この膨出部と前記本体との境界部に前記取付孔の
   縁部に咬合するように設けられた咬合部、この咬
   合部を上記取付孔縁部に咬合させたとき前記本体
   を通して取付ネジの先端が車体壁のネジ穴に螺入
   する如く上記本体に設けられたネジ挿入孔、を有
   する絶縁材製の取付ベースと、この取付ベースの
   本体および膨出部を貫通する如く上記ベースに挿
   設された導電性ガイドパイプと、この導電性ガイ
   ドパイプに中心導体を接続された状態で前記取付
   ベースの膨出部内に一端を埋設された同軸型フイ
   ーダと、このフイーダの外部導体に一端を接続さ
   れた状態で前記ベース内に少なくとも一部を埋設
   され一部を前記ネジ挿入孔内に露出させた接地導
   体と、この接地導体と接触するように前記ネジ挿
   入口内に挿入されネジ部を前記車体壁のネジ孔に
   螺挿させる導電性の取付ネジと、前記ガイドパイ
   プ内に挿着され上記パイプのベース本体側の外部
   口からベース膨出側の内部口に近づくに従つて自
   由端が漸次軸心に接近するように偏倚された接触
   片を有する導電性弾撥部材からなる筒状スプリン
   グと、このスプリングの接触片に最大径管の外周
   面を接触させた状態で基端側から前記ガイドパイ
   プ内へ摺動自在に貫挿される伸縮形アンテナ素子
   と、この伸縮形アンテナ素子の前記膨出部から車
   体壁内方へ突出する部分を収容案内する収納管と
   を具備し、前記伸縮形アンテナ素子は複数本の径
   の異なる導電管を互いに摺動自在に接続したアン
   テナ素子本体と、このアンテナ素子本体における
   前記最大径管の基端部に取付けられ外周面に前記
   スプリングの接触片と係合したとき上記最大径管
   が前記ガイドパイプの外部口側へ摺動するのを阻
   止する係合部を有する抜け止め素子と、前記最大
   径管の先端部に設けられ前記ガイドパイプの外部
   口に衝接したとき上記最大径管が上記ガイドパイ
   プの内部口側へ摺動するのを阻止する衝接素子と
   で構成されていることを特徴とする車両用膨出部
   装置。