JPS6132989B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、インクジエツト記録装置の気泡除去
装置、特に加熱してインク中の気泡を成長させ脱
気し易くした気泡除去装置に関するものである。

従来、インクジエツト記録装置には、ヘツドに
取付けられた圧電素子に電気信号を与え、それに
より発生する圧力波のみでインク粒子を噴射させ
る方式（例えば、インク・オン・デマンド方
式）、あるいはインク供給系より圧力を加えて、
ノズルから連続的にインクを噴射させ、ノズル先
端に設けられた偏向電極に電圧を加えることによ
り任意の方向にインク粒子を飛ばす方式（加圧励
振方式）等がある。

これらの方式には、圧力ポンプ、偏向電極およ
び高電圧の要、不要の違いはあるが、いずれもタ
ンク内にインクを充填し、インク通路よりフイル
タを通してヘツドのノズルまでインクを供給す
る。

しかし、記録装置のインク供給系では、通常、
タンク内のインクが空気と接触しているため、イ
ンクを補充する際に外部から気泡が混入したり、
あるいは外部の温度変化によりインク自体に溶解
している空気が遊離して気泡が生じたり、あるい
はインク内に含まれている有機物（微生物）によ
つて気泡が発生する。

そして、インク供給系に気泡が混入すると、導
管やフイルタを詰らせ、インクの流通を悪化させ
るため、インクの供給が追いつかず、噴射時のダ
レ等、一時的な噴射不能、あるいは噴射性能の低
下を招つている。特に、インク・オン・デマンド
方式では、供給インクを加圧していないため、イ
ンク供給系の流通が悪いと、ヘツドのノズルから
空気を引込む現象があり、またヘツドのインク室
に気泡が混入すると、圧電素子の振動がインクに
伝達されず、噴射性能が低下して記録ができなく
なる。

したがつて、従来より、気泡を除去する方法が
種々提案されている。

例えば、インク供給系に孔径５μｍの孔を多数
形成したステンレスのフイルタを設け、気泡の表
面張力を利用してフイルタでインク中の気泡をト
ラツプする方法（特開昭52―150028号公報参
照）、あるいは、第１図に示すようなインクと残
留空気とを分離する方法（特開昭52―15333号公
報参照）、あるいは第２図に示すように、イン
ク・タンクをカートリツジにして、インクが直接
空気に触れないようにし、気泡の混入を防止する
方法（実公昭52―38215号公報）等が提案されて
いる。

第１図において、インク・カードリツジ２を備
えたインク供給部１からのインク通路３は、弁５
を介してポンプ４に接続され、さらにインク通路
６は弁８を介してノズル７に接続される。ポンプ
４と弁８の間には、弁９を介した通路１０が設け
られ、その先端に空気留め１１が接続される。印
字状態で、弁９を開くと、弁９の下部に留つた空
気が通路１０を介してインクで充満されている空
気留め１１に流入される。

第２図では、端部に空気孔１２が穿孔された筒
体のインク・カートリツジ基体１３、この基体１
３の内部に収容されたインク収容袋１４、および
弾性部材のキヤツプ１５からなるカートリツジ
を、受け基体１８の中央に取付けられた針１７に
差込むと、インク１６は針１７、針支持板１９、
インク通路２０を通つてノズルに供給される。イ
ンク収容袋１４は、インク１６の減少にしたがつ
て収縮するので、空気とインクは接触することが
なく、気泡の混入は少い。

しかし、前記フイルタにより気泡をトラツプす
る方法では、微小孔に気泡が詰つてインクの流通
が悪くなり、またインクと残留空気を分離する方
法では、積極的にインク中の気泡を除去すること
ができず、さらにカートリツジ方式ではインク通
路で発生した気泡を除去することはできない。

本発明の目的は、インク中に含まれている気泡
を積極的に除去し、微小な気泡も有効に除去し
て、噴射不能、噴射性能の低下を未然に防止する
ことにある。

以下、図面により本発明を詳細に説明する。

第３図は、本発明によるインクジエツト記録装
置のインク供給系のブロツク図である。

インク・タンク３０とフイルタ３２との間に、
本発明による気泡除去装置３１を接続する。な
お、フイルタ３２が気泡で詰らないように、気泡
除去装置３１をフイルタ３２に前置しているが、
インク供給系の構成、あるいはその複雑さに応じ
て適当な場所、例えばフイルタ３２と噴射ヘツド
３３との間に設けてもよい。

第４図は、本発明の一実施例を示す気泡除去装
置の断面構造図である。

第３図における気泡除去装帯３１は、例えば第
４図に示すように、流入路４０側に加熱素子４２
を具備した加熱部４１と、上部に空気層４７と、
流出路５３側に冷却素子５１を具備した冷却部５
０を有しており、流入路４０と流出路５３とはイ
ンク層４８で連結されている。

いま、流入路４０から気泡を含んだインクが流
入してくると、加熱部４１で加熱されるため気泡
が成長してインク層４８を上昇し、空気層４７に
拡散する。空気層４７の上方は空気孔４６により
外気と接続しており、排出された気泡をここから
逃がして、空気層４７の圧力を大気圧と同じにす
る。なお、インクの蒸発を防止するためには、微
細な孔にするか、または比較的長い通路を持つ細
い管で外気と連絡すればよい。

脱気されたインクは、インク層４８を通つて冷
却部５０で冷却素子５１により常温に戻され、流
出路５３から流出する。

第４図に示すように、冷却部５０はインク層４
８の下部に配置されているため、インク層４８の
上部と下部の間には温度勾配があり、さらに圧力
差もあるので、インク層４８の上部あるいは空気
層４７からインク層４８の下部へ向つて気泡が進
入することはない。

第４図において、加熱部４１の出口付近と冷却
部５０の出口付近に感温素子４４，５２が設けら
れているが、これらは温度を検出して制御部によ
り加熱素子４２、冷却素子５１を制御するための
ものである。しかし、加熱素子４２あるいは冷却
素子５１が自己制御性を持つ場合、すなわち一定
温度以上あるいは以下にならないように自己抑制
する素子（例えばPTCサーミスタ等）である場
合、あるいはインクの流量に応じた適当な熱量を
有する素子である場合には、感温素子４４，５２
および制御部は特に必要ない。ただし、ニクロム
線等の発熱の高い加熱素子を用いた場合には、高
温になるとインクが分解するので、温度制御が必
要であり、また厳密に供給インクの温度を制御し
たい場合には感温素子４４，５２は必要である。

なお、第４図において、断熱材４３，４９は外
部との温度を遮断するためのもので、気泡除去装
置３１の外側に高温または低温が伝導されないよ
うにする。

なお、インクの流れが低速であり、特に冷却し
なくても常温に戻る場合には、冷却素子５１は不
要である。また、冷却素子５１のかわりに空冷用
フインを取付けることもできる。

第５図は、第４図の温度制御系のブロツク図で
ある。

インクジエツト記録装置のインク供給系制御部
５５は、外気の温度検出部５６と、気泡除去装置
３１の加熱部４１に取付けられた感温素子４４
と、冷却部５０に取付けられた感温素子５２が示
す温度を検出し、これらとあらかじめ設定した基
準温度とをそれぞれ比較して、その結果にしたが
つて加熱素子駆動制御回路５７と冷却素子駆動制
御回路５８を駆動させることにより加熱素子４２
および冷却素子５１を制御する。

第６図は、本発明の他の実施例を示す気泡除去
装置の断面構造図である。

第６図の気泡除去装帯３１′は、流入路４０側
に加熱素子４２を具備した加熱部４１、上部に減
圧ポンプ５９と電磁弁５４の制御により減圧され
た空気層４７、および流出路５３側に冷却素子５
１を具備した冷却部５０を有しており、流入路４
０と流出路５３とはインク層４８で連結される。

いま、流入路４０から気泡を含んだインクが流
入すると、加熱部４１で加熱されるため気泡が成
長してインク層４８を上昇する。インク層４８の
上部の空気層４７は、減圧ポンプ５９と電磁弁５
４により減圧されているため、気泡はインク層４
８の上部から空気層４７に吸収拡散され易くな
る。

脱気されたインクは、インク層４８を通つて冷
却部５０で常温に戻され、流出路５３から流出す
る。

気泡除去装置３１′の側壁には液面検出器６０
が取付けられており、液面４５が常にインク・タ
ンク３０の液面より高くなるように、すなわち空
気層４７の気圧がインク・タンク３０内の空気圧
よりも低くなるように監視する。

このように、第６図の装置は、気泡除去効果を
上げるために、加熱と減圧の両方の機能を具備し
ており、インクの流量が多い場合には、特に有効
である。

第６図においても、第５図と同じように、加熱
素子４２として例えばニクロム線やPTCサーミ
スタ等の半導体発熱体を、また冷却素子５１とし
て、例えばペルチヤー効果を応用した電子冷凍素
子、水冷の冷却装置あるいはコンプレツサによる
断熱圧縮・膨脹を利用した冷凍機を用いる。ま
た、必ずしも冷却素子５１を使う必要はなく、イ
ンク層４８が大きい場合や、インク供給量が多く
ない場合、あるいはインクの温度上昇が余り問題
にならない場合には、自然冷却または空冷装置を
取付けるのみでよい。

さらに、前述の電子冷凍素子やコンプレツサに
よる冷凍機は、冷却とともに発熱を伴うので、同
時に発熱素子４２として兼用することもできる。

第７図は、第６図における気圧および温度制御
系のブロツク図である。

インク供給系制御部７０は、外気の温度検出部
５６からの温度と、装置内の感温素子４４，５２
からの温度と、制御部内の散定基準温度とを比較
して、加熱素子駆動制御回路５７と冷却素子駆動
制御回路５８とを駆動させることにより、加熱素
子４２と冷却素子５１を制御する。この場合、外
気の温度が低いときには、加熱素子４２の能力を
上げるように制御される。

また、空気層４７の空気圧が変化すると、液面
４５の位置が変るので、液面検出器６０がこれを
検知して制御部７０に通知する。制御部７０は検
知信号レベルを判定し、弁駆動制御部６２と減圧
ポンプ駆動制御部６１を駆動することにより、電
磁弁５４と減圧ポンプ５９を制御して空気層４７
の圧力を調整し、液面４５を上昇または下降させ
る。

なお、減圧ポンプ５９のかわりにフアン・モー
タ等を常時回転させることにより、弱い力で空気
層４７を減圧させれば、電磁弁５４は不要とな
る。

以上説明したように、本発明によれば、何らか
の原因により気泡を含んだインクがインク供給系
に流入しても、加熱あるいは加熱と減圧機構を有
する気泡除去装置により有効に脱気され、フイル
タや噴射ヘツドに気泡の少いインクを供給するこ
とができるので、従来の欠点を解消して、気泡混
入による噴射不能、噴射性能の低下を未然に防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のインクジエツト記録装置におけ
る残留空気分離方法の説明図、第２図はインク・
カートリツジ方式のインク・タンクの説明図、第
３図は本発明によるインクジエツト記録装置のイ
ンク供給系のブロツク図、第４図は本発明の一実
施例を示す気泡除去装置の断面構造図、第５図は
第４図の温度制御系のブロツク図、第６図は本発
明の他の実施例を示す気泡除去装置の断面構造
図、第７図は第６図における気圧および温度制御
系のブロツク図である。 ３０…インク・タンク、３１，３１′…気泡除
去装置、３２…フイルタ、３３…噴射ヘツド、３
４…インク通路、４０…流入路、４１…加熱部、
４２…加熱素子、４３，４９…断熱材、４４，５
２…感温素子、４５…液面、４６…空気孔、４７
…空気層、４８…インク層、５０…冷却部、５１
…冷却素子、５３…流出路、５４…電磁弁、５
５，７０…インク供給系制御部、５６…外気の温
度検出部、５７…加熱素子駆動制御回路、５８…
冷却素子駆動制御回路、５９…減圧ポンプ、６０
…液面検出器、６１…減圧ポンプ駆動制御部、６
２…弁駆動制御部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ インク貯蔵器と、該インク貯蔵器よりインク
   通路を経てインクが供給されるノズルを備えたイ
   ンクジエツト記録装置において、上記インク貯蔵
   器とノズルの間に、インク中に含まれる気泡を成
   長させる加熱部と、成長した気泡を拡散させる空
   気層と、脱気されたインクを常温に戻す冷却部を
   備えた脱気タンクを設けることを特徴とするイン
   クジエツト記録装置の気泡除去装置。 ２ 前記の気泡を拡散させる空気層は、減圧され
   た空気層であることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載のインクジエツト記録装置の気泡除
   去装置。