JPS6132854Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車の車体構造の改良に関する。

従来、車室内前部において、ブレーキペダルと
ステアリングコラムを支持する支持部材は、通常
操作時にもかなり大きな荷重を受ける必要がある
ために、強固に形成されると共に、その前端部が
トーボードに固定され後端部がフロントデツキに
固着された延長部材に固定されて、同支持部材の
車体に対する固定部間のスパンを広く設定できる
ように構成されていた。

また、上記トーボードの前面上における上記支
持部材の前端部に対応する部分に配設されるブレ
ーキ用マスタシリンダは、上記ブレーキペダルに
よる操作反力を確実に受けとめることができるよ
うに、多くの場合上記トーボードおよび支持部材
を貫通するボルトにより同トーボードおよび支持
部材の両方に固定されていた。

ところが、車両衝突時には、車体前部が変形し
て上記トーボード前方のエンジンルーム内のエン
ジンが勢い良く後方へ移動し、特にエンジンが横
置き式の場合にはそのエンジンが上記マスタシリ
ンダに衝突して上記支持部材の前端部に車体後方
向への大きな荷重が作用し、その荷重は支持部材
よび延長部材を介してフロントデツキに伝わつて
比較的剛性の高い同フロントデツキまでもが変形
され、結局上記ステアリングコラムがトーボー
ド、支持部材、上記延長部材およびフロントデツ
キと共に後方へ変位して、ステアリングホイール
による運転者への危害が増大する惧れがあるとい
う不具合があつた。

本考案は上記に鑑み創案されたもので、トーボ
ードの上端部に固着されたフロントデツキと、同
フロントデツキに固着され車体後方へ延びる延長
部材と、前端部が上記トーボードに後端部が上記
延長部材に夫々固定されかつブレーキペダルとス
テアリングコラムを支持する支持部材と、上記ト
ーボードの前面上における上記支持部材の前端部
に対応する部分に配設されたブレーキ用マスタシ
リンダとを具備するものにおいて、上記支持部材
は一体に形成され同支持部材における上記ステア
リングコラムの支持部よりも車体前方部分に上記
前端部と上記後端部が車幅方向にオフセツトする
ように屈曲した脆弱部が形成され、車両衝突時に
上記マスタシリンダを介して上記トーボードおよ
び上記支持部材の前端部に車体後方向への大きな
荷重が作用したときに、上記屈曲した脆弱部が変
形して同支持部材における前端部と上記ステアリ
ングコラムの支持部との距離が縮小されるように
構成されたことを特徴とする自動車の車体構造を
要旨とするものである。

本考案によれば、車両衝突時に車体前部が変形
して上記トーボード前方のエンジンルーム内のエ
ンジンが勢い良く後方へ移動し、そのエンジンが
上記マスタシリンダに衝突して上記支持部材の前
端部に車体後方への大きな荷重が作用しても、上
記脆弱部が変形して同支持部材における前端部と
上記ステアリングコラムの支持部との距離が縮小
されるので、同ステアリングコラムの後方への移
動をほぼ完全に防止でき、上記従来のものにおけ
るステアリングホイールによる運転者への危害の
増大等の不具合を防止できるという効果を奏す
る。

以下、本考案の実施例を添付図面に従つて詳細
に説明する。

先ず、第１実施例を第１図〜第３図に従つて説
明する。

トーボード２の上端部に固着されたフロントデ
ツキ４には車体後方へ延びる延長部材６が固着さ
れている。ブレーキペダル８を回動自在に支持す
るための軸部材１０が貫通する孔１２が形成され
た支持部材１４はその前端部１４ａをボルト１６
によりトーボード２に、後端部１４ｂをボルト１
８により延長部材６に固定せしめられている。倍
力装置２０を備えたマスタシリンダ２２はトーボ
ード２の前面において、支持部材１４を固定する
ためのボルト１６に共締めされることにより固定
されている。ステアリングホイール２４が固定さ
れたステアリングシヤフト２６を回転自在に支持
するステアリングコラム２８は、支持部材１４を
延長部材６に固定するためのボルト１８に共締め
されたブラケツト３０によつて同支持部材１４に
固定されている。支持部材１４は、ほぼコ字形断
面を成し、また第２図および第３図に明らかなよ
うに、車体前後方向に投影したときにマスタシリ
ンダ２２が固定される前端部１４ａとステアリン
グコラム２８が固定される後端部１４ｂとが偏位
するようにほぼクランク状に屈曲され、更にその
屈曲部分における側板部には開口３２が形成さ
れ、支持部材１４における同屈曲部分が他の部分
に比べて脆弱となるように構成されている。ま
た、同支持部材１４における屈曲部分は、他の部
分よりも脆弱ではあるものの、ブレーキペダル８
とステアリングホイール２４の通常使用時に支持
部材１４に作用する荷重に十分耐える程度の剛性
を有している。なお、支持部材１４に取付けられ
たブラケツト３４にはブレーキペダル８の回動範
囲を規制するための図示しない調整ボルトが装着
されるものである。

上記構成によれば、車両衝突時に図示しない車
体前部が変形してトーボード２前方のエンジンル
ーム内のエンジンが勢い良く後方へ移動し、その
エンジンがマスタシリンダ２２に衝突して支持部
材１４の前端部１４ａに車体後方向への大きな荷
重が作用しても、後端部１４ｂを延長部材６を介
して比較的剛性の高いフロントデツキ４に固定さ
れた支持部材１４はその屈曲部分が変形して、前
端部１４ａがトーボード２と共に後方へ変位する
だけで、その後端部１４ｂはほとんど変位するこ
とを防止される。したがつて、ステアリングコラ
ム２８と共にステアリングホイール２４の後方へ
の変位をほぼ防止できるので、同ステアリングホ
イール２４による運転者への危害の増大等の不具
合を防止できるという効果を奏する。

なお、上記実施例では、支持部材１４の屈曲部
分において開口３２がその側板部に形成されてい
るが、第３図に２点鎖線でで示されるようにその
上板部に形成することも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す側面図、第
２図は第１図の−線に沿いフロントデツキ４
および延長部材６を除く各部材を見た断面図、第
３図は支持部材１４の斜視図である。 ２……トーボード、４……フロントデツキ、６
……延長部材、８……ブレーキペダル、１４，４
０……支持部材、２２……マスタシリンダ、２８
……ステアリングコラム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トーボードの上端部に固着されたフロントデツ
   キと、同フロントデツキに固着され車体後方へ延
   びる延長部材と、前端部が上記トーボードに後端
   部が上記延長部材に夫々固定されかつブレーキペ
   ダルとステアリングコラムを支持する支持部材
   と、上記トーボードの前面上における上記支持部
   材の前端部に対応する部分に配設されたブレーキ
   用マスタシリンダとを具備するものにおいて、上
   記支持部材は一体に形成され同支持部材における
   上記ステアリングコラムの支持部よりも車体前方
   部分に上記前端部と上記後端部が車幅方向にオフ
   セツトするように屈曲した脆弱部が形成され、車
   両衝突時に上記マスタシリンダを介して上記トー
   ボードおよび上記支持部材の前端部に車体後方向
   への大きな荷重が作用したときに、上記屈曲した
   脆弱部が変形して同支持部材における前端部と上
   記ステアリングコラムの支持部との距離が縮小さ
   れるように構成されたことを特徴とする自動車の
   車体構造。