JPS6132209Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は冷蔵庫等の冷凍サイクル内に設けら
れ、このサイクルを開閉する流体制御弁に関す
る。

すなわち、高圧容器型の電動圧縮機を用いた冷
蔵庫等の冷凍サイクルにおいて、該電動圧縮機が
停止すると冷凍サイクルの低圧側が高圧状態にな
り、低圧側を通じて蒸発器に高圧ガスが流入する
こと、並びに高圧側である凝縮器からも減圧器を
介して蒸発器に流入することから運転再開時には
蒸発器に対して大きな熱負荷となり、消費電力量
を必然的に大きくしてしまう欠点を有している。

そこで本出願人は、蒸発器に高圧側、低圧側か
らの過熱ガスの流入を阻止すべく、電磁弁等の電
気力を使用せずシステム内の流体圧力を利用して
この目的を達成する流体制御弁を提案できるが、
かかる流体制御弁は流体圧力によつて通路を開閉
する第１の弁装置と、逆止弁動作を行なう第２の
弁装置とを個々のケーシングに形成してこのケー
シングを一体化して構成したものである。一方、
上記流体制御弁は使用される冷凍サイクルによつ
て圧力に差異があるため流体圧力を感知するパワ
ーエレメントを付勢する圧力調整用スプリングの
付勢力を調整部材にて可変としている。この調整
部材の調整を行なうに際してケーシング内に螺合
されるものであるためその作業が極めて困難なも
のであつた。

そこで本考案は該調整部材の調整が簡単で、し
かも別途特殊な加工を施さずに調整を行ない得る
ようにすべく調整部材の連連口を調整用の工具係
止穴に兼用したものであり、以下その一実施例を
添付図面に従い説明する。

図は冷蔵庫の冷凍サイクルに流体制御弁本体１
を組み込んだものを示し、２は高圧容器型の電動
圧縮機（以下ロータリーコンプレツサと称す。）、
３は凝縮器、４は減圧器、５は蒸発器である。上
記流体制御弁本体１は凝縮器３と減圧器４間の高
圧回路Ａ内に介在される第１の弁装置６と、蒸発
器５とロータリーコンプレツサ２間の低圧回路Ｂ
内に介在される第２の弁装置７とを有する。この
第１及び第２の弁装置６，７はそれぞれ上部ケー
シング８と下部ケーシング９に形成され両ケーシ
ング８，９を一体的に組合せて本体１を構成する
ものである。すなわち上部ケーシング８の第１の
弁装置６と下部ケーシング９第２の弁装置７とは
ベローズで成るパワーエレメント１０にて上下に
区画されており、第１の弁装置６は冷媒入口１１
と冷媒出口１２間に形成した弁座体１３と、この
弁座体１３を開閉する弁１４とで構成される。こ
の弁１４は下端をパワーエレメント１０の凹部１
０ａに嵌合しており、パワーエレメント１０が感
知する高圧回路Ａ、低圧回路Ｂの圧力差並びにパ
ワーエレメント１０自体の伸縮力さらにはこのパ
ワーエレメント１０の伸縮力を調整する圧力調整
用スプリング１５の関係によつて弁座体１３を開
閉するものである。また第２の弁装置７は、下部
ケーシング９に固定し冷媒入口（流入口）１６を
有する接続管１７に形成した弁座体１８と、この
弁座体１８を流体圧力によつて開閉するリーフバ
ルブ１９とで構成される。すなわち、運転時にお
ける冷媒入口１６から上部ケーシング８に穿設し
た冷媒出口（流出口）２０への冷媒流れが存在す
る時リーフバルブ１９が上方に移動することで弁
座体１８を開口し、停止時における冷媒出口２０
から冷媒入口１６への逆圧が加わつた時にリーフ
バルブ１９が弁座体１８に当接することで閉成す
るいわゆる逆止弁動作を行なうものである。

一方２１は上部ケーシング８下端開口のねじ部
８ａに螺合された調整部材であり、内面を上述圧
力調整用スプリング１５の下端を受ける受面と
し、ねじ部８ａへの螺合位置に応じてパワーエレ
メント１０の伸縮力に対するスプリング１５の付
勢力を調整するものである。またこの調整部材２
１は冷媒入口１６と冷媒出口２０とを連通せしめ
る連通口２２，２２′，２２′……を穿設してお
り、下面２１ａを弁座体１８に相対向して配置
し、もつてこの下面２１ａをリーフバルブ１９の
上方へ移動した時のストリツパ面としている。２
１ｂは調整部材２１の下面に突出するよう成形し
た支持部で、下部ケーシング９と当接してリーフ
バルブ１９のストロークを規制する。またこの調
整部材２１ｂの連通口２２，２２′，２２′……は
図示する如く中央に穿設された正方形状の連通口
２２と支持部２１ｂの内側に略等間隔で多数穿設
した連通口２２′，２２′……で成るものであり、
上記中央の連通口２２はドライバー等の調整具
（図示せず）が挿入可能で、該調整具にてねじ部
８ａへのねじ込み状態を可変とする。

而して、調整部材２１によつてスプリング１５
の付勢力を調整した後、下部ケーシング９を上部
ケーシング８の下端開口周縁に位置させ、Ｏリン
グ２３を両ケーシング８，９間に介在した上で下
部ケーシング９の開口フランジをかしめ、調整部
材２１の固定と、両ケーシング８，９の固定を行
つている。

上記構成により、調整部材２１がスプリング１
５の保持とリーフバルブ１９のストツパ面２１ａ
とを兼用するので全体として小型化と部品の合理
化が計れ、かつ上部ケーシング８と下部ケーシン
グ９との組立も容易に行ない得る。そして、特に
連通口２２が調整具の工具係止孔として利用でき
るため調整作業が簡単に行なえ、かつ別途調整用
の穴等を必要としないものであるから調整部材２
１の構成が簡素化されることは言うまでもなく、
別加工による圧力調整用スプリング１５の受面、
リーフバルブ１９のストツパ面２１ａへの悪影響
を与える恐れがなく、正確な動作が期待できる。

尚参考までに上記流体制御弁１の動作について
簡単に説明すると、ロータリーコンプレツサ２の
運転時は、当然高圧回路Ａが高圧に、低圧回路Ｂ
が低圧になることから、パワーエレメント１０は
この圧力差を感知し、スプリング１５の付勢力に
打ち勝つて弁１４が弁座体１３を開放し、またリ
ーフバルブ１９も冷媒入口１６からの冷媒圧力に
よつて持ち上げられ、調整部材２１のストツパ面
２１ａに当接する。もつて冷媒はロータリーコン
プレツサ２→凝縮器３→第１の弁装置６→減圧器
４→蒸発器５→第２の弁装置７（詳しくは冷媒入
口１６→連通口２２，２２′，２２′……→冷媒出
口２０）→ロータリーコンプレツサ２と流れ通常
の冷凍作用を行なう。ロータリーコンプレツサ２
が停止すると、該コンプレツサ２の吸入側から高
圧ガスが逆流し冷媒出口２０から弁本体１内に流
入し、かつ連通口２２，２２′，２２′……を介し
てリーフバルブ１９に至るがリーフバルブ１９が
この逆圧によつて弁座体１８を閉成する一方、パ
ワーエレメント１０がこの時の圧力差を感知し、
かつスプリング１５の付勢力によつて弁１４を押
し上げ弁座体１３を閉成する。つまり高圧回路
Ａ、低圧回路Ｂとも第１、第２の弁装置６，７で
閉じられ、蒸発器５への過熱ガス流入を阻止する
ものである。

以上の説明からも明らかな如く、本考案による
流体制御弁は、第１の弁装置と第２の弁装置を組
合せて成り、第１の弁装置の弁を付勢するスプリ
ングの調整部材に設けた連通口を工具係止穴と兼
用させて付勢力を調整し得るようにしたものであ
るから、調整作業が容易で、かつ調整部材が簡素
化されるとともに、別途調整用の加工を施さなく
てもよいので、この調整部材に接する他の構成部
材への悪影響（誤動作）の必配がないものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例の流体制御弁の断面図
及びこの弁が組み込まれる冷凍サイクル図、第２
図は調整部材の平面図を示す。 ６……第１の弁装置、７……第２の弁装置、８
……上部ケーシング（一方のケーシング）、９…
…下部ケーシング（他方のケーシング）、１０…
…パワーエレメント、１５……圧力調整用スプリ
ング、１６……冷媒入口（流入口）、２０……冷
媒出口（流出口）、２１……調整部材、２２……
連通口（工具係止孔）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 第１の弁装置を有する一方のケーシングと、第
   ２の弁装置を有する他方のケーシングと、前記第
   １、第２の弁装置を区画するパワーエレメント
   と、このパワーエレメントを付勢する圧力調整用
   スプリングと、このスプリングの付勢力を調整す
   べく前記両ケーシングのうち一方のケーシングに
   螺合された調整部材とより成り、この調整部材に
   前記一方のケーシングの流出口と他方のケーシン
   グの流入口とを連通する連通口を穿設するととも
   に、この連通口を非円形としてドライバー等の調
   整具の工具係止孔と兼用した流体制御弁。