JPS6128721B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、フランジ付き筒状焼結部品を焼結
後に再加圧することによつて、その寸法あるいは
形状などを矯正する方法に関する。

粉末冶金法によつて各種の機械部品を製造する
場合、粉末材料を加圧成形して得た圧粉体を焼結
後、その焼結体を再加圧することによつて、製品
の寸法あるいは形状などの精度を高める方法が採
られている。これは、焼結含油軸受などの貫通穴
をもつ筒状の焼結部品でもそうである。

この筒状の焼結部品の再加圧には、ダイ、上下
パンチおよびコアーロツドを備えた成形機が用い
られるが、この成形機における部品供給機構とし
ては、従来一般に回転テーブル方式が用いられて
いる。回転テーブルには、その周方向に沿つて一
定間隔をもつて複数の部品保持穴が設けられてお
り、矯正すべき焼結部品は、一旦、それらの各部
品保持穴内に保持され、その後その回転テーブル
が間欠的に回転することによつて矯正用ダイ側に
順次送られる。

ところで、回転テーブル１の部品保持穴２は、
第１図に示すように、アダプターブツシユ３によ
つて構成されている。矯正時、この部品保持穴２
内の焼結部品４は、回転テーブル１下方の矯正用
ダイ５内に落とす処置が行われていたが、その場
合、焼結部品４は上側の外向きフランジ４ａ部分
がフランジ矯正用ダイ５ａの上側面取り部分に引
つかかり宙に浮いた状態になる。ここで、このよ
うな焼結部品４の底面が本体矯正用ダイ５ｂに乗
り、その状態で矯正されるのを防ぐため、焼結部
品４の底面と本体矯正用ダイ５ｂとの間にはわず
かにすき間６を設けておかねばならない。したが
つて、従来ではフランジ矯正用ダイ５ａの長さを
焼結部品４の全長Ｈよりも少し大き目に設定せざ
るを得なかつた。

しかし、そのような長いフランジ矯正用ダイ５
ａを用いた場合には、ダイのセツトに時間がかか
るだけでなく、成形機の種類によつてはスペース
上ダイおよびパンチ、コアーロツドを下側に伸ば
すことが不可能になることもあつた。

この発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、その主目的はフランジ矯正用ダイ５ａの長さ
を短くすることにある。その他の目的について
は、今後の説明によつて明らかになるであろう。

第２図はそのような主目的を達成することがで
きるこの発明の原理を明らかにしている。そこに
示されているように、この発明にあつては、部品
保持穴２０を構成するアダプターブツシユ３０を
外向きフランジ４ａ用のダイ５ａの一部として利
用する点に特徴がある。これにより、実際の外向
きフランジ４ａ用のダイ５０ａはその分だけ短く
なり、たとえば焼結部品４の全長Ｈの1/3〜1/4と
なる。したがつて、そのダイ５０ａの短くなつた
分だけ、下側のスペースを大きくとることがで
き、従来問題のあつた下側のダイの取り付けを問
題なく行なえるようになつた。なお、前記アダプ
ターブツシユ３０における部品保持穴２０は、上
側部分２０ａが下に行くほど小径となるテーパ穴
になされ、下側部分２０ｂが外向きフランジ４ａ
用のダイ５０ａと同径のストレート穴になされて
いる。この上側部分２０ａと下側部分２０ｂとの
比は適宜な値に設定することができる。また、従
来一般のアダプターブツシユ３は樹脂製あるいは
軟鋼製であつたが、この発明のアダプターブツシ
ユ３０では、それをダイとしても利用するので、
軟鋼製あるいは焼入れ鋼製などとする。

以下、添付の第３図〜第６図に示す実施例を説
明することによつて、この発明の内容をより明ら
かにする。なお、この発明においては、フランジ
矯正用ダイの長さを短くするという前述した主目
的のほかに、矯正時に問題となるカジリやキズの
発生をも有効に防止するようにすることにも配慮
している。後者については、矯正用コアーロツド
１１を上パンチ１０の動きに合わせてダイ５０
ａ，５ｂの上側に設けた点、およびダイ５０ａ，
５ｂの下側に位置出し用のガイドコアーロツド７
を設けることによつて、ダイ５０ａ，５ｂ内のセ
ツト時に焼結部品４の位置出しを行なうようにし
た点に特に留意されたい。

第３図〜第６図は矯正の作動状態を順に示して
おり、まず第３図は回転テーブル１の回転により
アダプターブツシユ３０内の焼結部品４がダイ５
０ａ，５ｂの上方に送られた状態を示している。
このとき、焼結部品４は、アダプターブツシユ３
０内から下方に落ち、その下側部分がガイド用コ
アーロツド７の先端部７ａにはまり込み、それに
よつて位置決めがなされている。この場合、下側
のガイドコアーロツド７をシリンダ８内のスプリ
ング９によつて上方に押し上げるようにしている
が、スプリング９に代えてエアーシリンダなどを
用いることもできる。また、ガイドコアーロツド
７の先端部７ａにテーパあるいは段を設けておけ
ば、ガイドコアーロツド７を焼結部品１の貫通穴
４ｂ内にスムーズに通すことができる。なお、ガ
イドコアーロツド７の外径が焼結部品１を正確に
位置出し得る範囲においてではあるが、ガイドコ
アーロツド７の外周と焼結部品４の内周との間に
若干のクリアランスを有するように設定されてい
るのは勿論であり、そうすることによつてガイド
コアーロツド７の焼結部品４に対する挿入を容易
なものとしている。

次に、第４図は矯正（加圧）を行なつた状態を
示している。矯正は上パンチ１０を下降すること
によつて行なわれるが、その前あるいはそれと同
時に矯正用コアーロツド１１がダイ５０ａ，５ｂ
の上側から焼結部品４の貫通穴４ｂ内に挿入され
る。この矯正用コアーロツド９は、貫通穴４ｂの
矯正を行うためのものであり、したがつて焼結部
品４の加圧矯正時における肉厚変化等を考慮して
その外径が設定されている。上パンチ１０が下降
すると、焼結部品４の底面が下パンチ１２に接
し、ダイ５０ａ，５ｂおよびコアーロツド１１に
よつて焼結部品４はそれらの形状に合うように加
圧し矯正される。この時、ダイ５０ａ，５ｂ内の
焼結部品４は下側のガイドコアーロツド７によつ
て予め調芯されているので、カジリやキズを発生
することなく、しかも高さバラツキなども生じる
ことなく良好に矯正される。なおこの矯正時、下
側のガイドコアーロツド７は上側の矯正用コアー
ロツド１１によつて押し下げられるので、シリン
ダ８内のスプリング９は縮んだ状態となつてい
る。

このようにして加圧を終えた後、上パンチ１０
が上方へ戻り、また下パンチ１２が上昇すること
により、矯正された焼結部品４がダイ５０ａ，５
ｂから抜き出される。この抜き出しの状態は第５
図および第６図に示されており、焼結部品４がダ
イ５ｂ，５０ａから上方へ抜き出されるときに矯
正用コアーロツド１１も焼結部品４と同様に上方
へ向つて移動せしめられる。したがつて、矯正用
コアーロツドと焼結部品４との間に摩擦力が作用
するのを防止することができる。そして、焼結部
品４がダイ５ｂ，５０ａから抜け出た後、矯正用
コアーロツド１１は、焼結部品４から抜き出され
る。このとき、焼結部品４は、ダイ５ｂ，５０ａ
から抜け出てその押圧力から解放され、スプリン
グバツクしているから、矯正用コアーロツド１１
と焼結部品４との間に作用する摩擦力は非常に小
さなものである。したがつて、矯正用コアーロツ
ド１１が切断するのを防止することができる。ま
た、矯正用コアーロツド１１と焼結部品４との間
に作用する摩擦を軽減することができるから、貫
通穴４ｂの内壁にキズが発生するのを有効に防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの種の矯正方法における問題点を明
らかにする図、第２図はこの発明の原理を説明す
るための図、第３図〜第６図この発明の一実施例
を作動順に示す図である。 １……回転テーブル、２０……部品保持穴、３
０……アダプターブツシユ、４……フランジ付き
筒状焼結部品、５０ａ……外向きフランジ用のダ
イ、７……ガイドコアーロツド、１０……上パン
チ、１１……矯正用コアーロツド、１２……下パ
ンチ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外向きフランジおよび貫通穴をもつ筒状の焼
   結部品を、一旦、回転テーブルの周方向に一定間
   隔をもつて設けられた部品保持穴に保持し、つい
   でその焼結部品を外向きフランジを上側にして回
   転テーブル下方のダイ内にセツトし、その後前記
   貫通穴に矯正用コアーロツドを通しかつ上パンチ
   をダイ内に押し込んで加圧し矯正する方法におい
   て、前記部品保持穴を構成するアダプタ−ブツシ
   ユを、前記外向きフランジ用のダイの一部として
   利用し、しかも前記焼結部品のセツト時に、ダイ
   の下側から前記貫通穴内にガイドコアーロツドを
   通すことによつて焼結部品の位置出しを行ない、
   その後、この位置出しされた焼結部品の貫通穴か
   ら前記ガイドコアーロツドを下方に引き抜きなが
   ら同焼結部品の貫通穴内にダイの上側から前記矯
   正用コアーロツドを通すことを特徴とするフラン
   ジ付き筒状焼結部品の矯正方法。