JPS6124304Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はオルゴール付の置物に関し、特にオル
ゴールの回転力を利用して人形の腕などの可動部
に往復回動運動を与えるための手段に係る。

オルゴールの回転力は本来ドラムを回転させる
ためのものであるが、人形の腕などに往復運動を
与えるための駆動源としても用いられる。従来の
この種の製品において、オルゴールの回転力は剛
体製のレバーにより可動部に直接伝達するように
している。このため子供などが誤つて可動部を動
かしたり、あるいは可動部が障害物に当つたりす
ると、オルゴールに大きな負荷がかかるため、オ
ルゴールが破損したり、オルゴールの駆動系特に
上記レバーが変形したりする。この結果、可動部
およびその駆動系の寿命はオルゴールの耐久性に
比較して不均合な状態となつている。

ここに本考案の目的は、オルゴールによつて駆
動される可動部に大きな外力が作用したとして
も、その外力がオルゴール特にその駆動系に伝達
されないような簡単な構造を提供し、上述の欠点
を解消する点にある。

上記目的のもとに本考案は、オルゴールの回転
力によつて駆動されるレバーと可動部分とを弾性
体の連結棒により連結し、この連結棒の途中に螺
旋状の巻き部を形成し、この巻き部の弾性変形に
より可動部に加えられた外力を連結棒の部分で吸
収するようにしている。

以下、本考案を図に示す一実施例にもとづいて
具体的に説明する。

本考案のオルゴール付置物１は２つのケース
２，３により構成されている。下方のケース２は
上面開口型で台座を形成しており、その内部でオ
ルゴール４を収納している。このオルゴール４
は、一般的なものでぜんまいケース５の内部のぜ
んまい６の戻り回転力を一対のベベルギヤ７，８
によりドラム９に伝達する。ドラム９はフレーム
１０に対し回転自在に支持されており、その外周
のピン１１を対応の振動板１２に当接させてそれ
らの振動板１２に振動を与える。なおこの振動板
１２は止めねじ１７でフレーム１０の上面に固定
されている。またドラム９の回転はギヤ１３、複
合ギヤ１４，２２によりガバナー１５に伝達され
る。このガバナー１５は空気的な制動力によりド
ラム９の回転速度を安定化させている。もちろん
ぜんまい６はぜんまいケース５の内部で一端をハ
ンドル軸１６に固定され、他端をぜんまいケース
５に係止されている。またフレーム１０に２つの
ブラケツト１８，１９が取付けられている。一方
のブラケツト１８は上面から見てコ字型で駆動軸
２０を回転自在に支持している。駆動軸２０の一
端はギヤ２１を形成しており、その部分でドラム
９のギヤ１３に噛み合つている。また駆動軸２０
の他端はオルゴール４の側方に突出していてクラ
ンク２３を支持している。また一方のブラケツト
１９は止めねじ１７などを利用してフレーム１０
に取付けられており、フレーム１０の側方位置で
回動支点としての支点ピン２４によりレバー２５
を回動自在に支持している。このレバー２５はそ
の支点ピン２４を中心とし、左右の位置で連結棒
２６，２７の下端に係合している。またこのレバ
ー２５の一端はＵ字状の溝２８を形成しており、
この溝２８はクランク２３の先端に固定されてい
る連結ピン２９に嵌り合つている。

一方、上方のケース３は例えば人形を構成して
おり、基板３０の上に固定されていて、この基板
３０とともにケース２の上面に置かれている。こ
の人形の左右の腕は可動部３１，３２を構成して
おり、この可動部３１，３２はそれぞれ人形の肩
すなわちケース３に対し水平方向の支軸３３，３
４により回転自在に支持されている。これらの支
軸３３，３４はケース３の内部でアーム３５，３
６を固着している。そして前記連結棒２６，２７
は基板３０の孔４０から上方にのびており、その
上端はアーム３５，３６の先端の孔部分に対し係
合状態にある。２本の連結棒２６，２７はともに
弾性材で、そのほぼ中間部分は螺旋状の巻き部３
７，３８を形成している。この巻き部３７，３８
はそれぞれの連結棒２６，２７に対し大きな弾性
力を付与している。なお人形の可動部３１，３２
としての腕はピアノ３９に対応している。このピ
アノ３９は人形と対向する状態で基板３０の上に
固定されていて、上面で蓋付の小物入れ４１を形
成している。

さて利用者がハンドル軸１６を回転させてぜん
まい６に戻り回転力を与えてから、ハンドル軸１
６の拘束を解くと、ぜんまい６はその戻り回転力
によりドラム９を回転させる。ドラム９のピン１
１は対応の振動板１２に当り、それに振動を与え
るため、振動板１２は所望のメロデイを奏でる。
一方、ドラム９の回転はギヤ１３，２１を経て駆
動軸２０に回転運動として伝達される。駆動軸２
０はその回転によりクランク２３を回し、それを
レバー２５に往復回動運動として電達する。この
ようにしてレバー２５はオルゴール４の回転力を
受けて往復回動運動とする。この往復回動運動は
２本の連結棒２６，２７に上下運動として伝達さ
れるため、人形の腕すなわち可動部３１，３２は
往復回動運動を行なう。連結棒２６，２７の下端
は支点ピン２４を中心としてレバー２５の左右の
位置に係り合つているため、両者の揺動運動は逆
方向となる。したがつて可動部３１，３２の動き
は交互運動となつて、あたかもピアノ弾くかのよ
うな動作となつている。

さて、動作中あるいは停止中に子供などがいず
れかまたは両方の可動部３１，３２に大きな外力
を加えると、その力は支軸３３，３４を中心とし
た回転力となつてアーム３５，３６を経て連結棒
２６，２７に伝えられる。しかしこの外力に対し
連結棒２６，２７の巻き部３７，３８が第１図に
仮想線で示すようにねじり変形をし、その回転力
によるアーム３５，３６の変位量を吸収する。こ
のため可動部３１，３２に加えられた外力は巻き
部３７，３８で吸収され、レバー２５にそのまま
伝達されない。こねためレバー２５、クランク２
３、駆動軸２０、ギヤ２１，１３、ベベルギヤ
７，８およびぜんまい６はその外力による変形ま
たは破損から保護されることになる。また動作中
にいずれかの可動部３１，３２が障害物に当つた
場合には、レバー２５の回動運動が連結棒２６，
２７の巻き部３７，３８で吸収されるため、可動
部３１，３２が停止状態にあつても、オルゴール
４は演奏動作を継続することになる。

なお、上記実施例はドラム９の回転力をギヤ１
３，２１および駆動軸２０により間接的に取り出
しているが、ドラム９の回転力はその軸を延長
し、それにクランク２３を直接に取付けることに
よつても行なえる。もちろんオルゴール４の駆動
源はぜんまい６に限らずモータであつてもよい、
さらに上記実施例において、連結棒２６，２７の
巻き部３７，３８は、一種のねじりコイルばねを
形成しているが、圧縮または引張りコイルばねと
して構成してもよい。またクランク２３およびレ
バー２５は一種の揺動スライダクランク機構を構
成しているが、この機構は例えば揺動カム装置で
置き代えることもできる。

本考案では、上方のケースが人形として形成さ
れており、その左右の腕としての可動部が人形の
肩部分で回動自在に支持され、かつそれぞれが連
結棒によりオルゴールのドラム回転力により往復
回動するレバーの回動支点を挟んで異なる側に連
結されているため、オルゴールによる曲の鳴動に
対応して、人形の腕部分があたかもピアノを弾く
ような動作をするため、オルゴールの演奏曲と人
形の打鍵運動とが一体となり、付加価値の高い動
的なオルゴール付置物が得られる。また、オルゴ
ールのレバーと可動部のアームとが弾性を有する
連結棒によつて連結されているため、可動部に外
力が加わつても、それらの連結棒が弾性変形によ
つて吸収するので、オルゴールの駆動部分がその
外力から確実に保護される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のオルゴール付置物の側面から
みた断面図、第２図はその内部の背面図、第３図
はオルゴール部分の拡大平面図である。 １……オルゴール付置物、２，３……ケース、
４……オルゴール、９……ドラム、２３……クラ
ンク、２５……レバー、３１，３２……可動部、
２６，２７……連結棒、３１，３２……可動部、
３５，３６……アーム、３７，３８……巻き部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. オルゴールを収納した下方のケースと、ピアノ
   および人形とを模した上方のケースと、前記オル
   ゴールのドラムの回転力により駆動され往復回動
   をするレバーと、前記上方のケースの人形の肩部
   で支軸により回動自在に設けられ腕を模した左右
   の可動部と、前記各支軸に固定されたアームと、
   前記レバーの回動支点を挾んで異なる側にそれぞ
   れの一端が係合されると共に前記各アームの先端
   にそれぞれその他端が係合された弾性変形可能な
   ２本の連結棒とを備え、前記オルゴールに合わせ
   て可動部である腕が交互に往復回動し、あたかも
   人形がピアノを弾いているかのように見せるオル
   ゴール付置物。