JPS6124021Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、運転席の横側部に予備苗のせ台を配
置し、かつ、運転席の後方に植付け装置を配置し
てある乗用田植機に関する。

上記のように、運転席の横側部に予備苗のせ台
を配置したものでは、運転席よりも前方側の機体
横側部に予備苗のせ台を設けるような構造のもの
に比べ、前方視界を良好に保つことができて、こ
の点では便利なものであるが、従来では、例え
ば、実開昭52−80817号公報に示されているよう
に、機体に固定された運転席の横側部に、単に予
備苗のせ台を配置しただけのものであつたため、
その予備苗のせ台から予備苗を取り出して、苗植
付け装置の苗のせ台に移し替えようとした場合
に、運転者が上体を捻じつて側方の予備苗のせ台
から予備苗を取り出し、その予備苗を持つたまま
一旦立上がつて、運転席と予備苗のせ台との間の
狭い隙間を通つて後方側へ移動し、植付け装置の
苗のせ台に予備苗を補給するという、苗補給作業
の煩わしさを招く欠点があつた。

このような苗補給作業の煩わしさを解消するに
は、運転席と予備苗のせ台との間の間隔を充分広
く設定し、かつ、運転席を回動自在に構成するな
どして、運転者が上体を捻じらなくとも予備苗を
取り出せるようにまた、一旦、運転席の前方で立
上がる必要はなく、そのまま後方向を向いて植付
け装置の苗のせ台に苗を補給できるようにするこ
とも考えられるが、これでは、予備苗のせ台の機
体外方側端部が大きく機体横外方へ張り出し、機
体の左右幅が大きくなり過ぎるという不都合、お
よび、予備苗のせ台が運転席から大きく離れるの
で、上体を予備苗のせ台側へ伸ばした不自然な姿
勢で予備苗を取り出す、あるいは、運転席から立
上がつて予備苗を取り出す等、予備苗取出し作業
を運転席に搭座したままの自然の姿勢で楽に行う
ことが困難になるといる不便さがあつた。

本考案は、上記の如く、運転席の横側部に予備
苗のせ台を設けるとともに、運転席の後方に植付
け装置を備えた乗用田植機において、予備苗のせ
台を機体横外方側へ大きく張り出させる必要のな
い状態で、運転者が運転席に搭載したままの自然
の姿勢で楽に予備苗を取り出し、さらに、その取
り出した苗を植付け装置の苗のせ台に補給するに
あたつても、楽な姿勢で行えるように、運転席と
予備苗のせ台ならびに植付け装置との組合わせ構
造を工夫するすることにその目的がある。

上記目的を達成するための本考案の特徴とする
構成は、上下軸芯まわりで回動自在に構成された
運転席の横側部に近接して予備苗のせ台を設ける
とともに、この予備苗のせ台の下側に、前記運転
席に搭座する運転者の膝部が運転席の回転に伴つ
て通過移動することを許す膝入り込み用空間を形
成し、さらに、前記運転席とその後部に位置する
植付け装置の苗のせ台とのあいだに、前記運転席
前部のフロアーと一連一体に構成されたフロアー
を設けた点にあり、かかる構成から次の作用効果
を奏する。

すなわち、運転席に上下軸芯まわりで回動自在
に構成するとともに、予備苗のせ台の下側に、運
転席の回動に伴つてそれに搭座する運転者の膝部
が通過移動することを許す膝入り込み用空間を形
成したものであるから、運転席と予備苗のせ台と
を充分近づけて配置しても、運転席に搭座したま
までの運転者の向き変更動作を予備苗のせ台の存
在によつて妨げられることがなく、従つて、予備
苗のせ台の機体横外方側への大きな張り出しを避
けられるものでありながら、運転者が運転席に搭
座したままで予備苗のせ台側および主苗のせ台側
へ向くことができ、しかも、運転席と予備苗のせ
台とは近接状態に配置されているので、予備苗の
せ台側へ大きく上体を乗り出した不自然な姿勢
や、一旦立上がるなどの必要なく、運転席に搭座
した、ごく自然な姿勢で予備苗のせ台から苗を取
り出すことができる利点がある。

そして、予備苗を取りだした後は、その運転席
に搭座したまま後方側へ向き、運転席と植付け装
置の苗のせ台との間に形成されたフロアーに立つ
て、植付け装置側苗のせ台の予備苗を補給すべき
箇所の上端に充分近接した比較的楽な姿勢で植付
け装置側苗のせ台に対する予備苗の補給作業を行
えるものであり、例えば、多条植田植機で予備苗
を補給すべき箇所が植付け装置の苗のせ台の左右
両端近くである場合に、運転席に搭座したまま
の、補給すべき箇所から遠く離れた位置にいて、
身体を乗り出して作業を行わなければならないよ
うな危険を回避する上で有効である。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図乃至第３図は３輪型式の乗用田植機を示
し、図中１は、機体横巾中央部の上下軸芯周りで
旋回可能な一つの駆動操向前輪２と左右一対の駆
動後輪３，３を繋ぐフレーム４に、操向輪２に対
するステアリングハンドル５及び、尻載せ部６Ａ
と背凭れ部６Ｂとからなる運転席６を設けてある
走行機体であり、７は、後方下方から前方上方に
向かう前傾姿勢苗のせ台８、植付け爪９、これら
の駆動機構を内装してある植付け伝動ケース１０
ならびに、苗植付け予定箇所の泥面を整地するフ
ロート１１等からなる６条植えの植付け装置であ
つて、この植付け装置７を、前記走行機体１の後
部に昇降用リンク機構１２を介して連結してい
る。

このような乗用田植機において、前記運転席６
と植付け装置７の苗のせ台８との間及び運転席６
とボンネツト１３との間に、人が自由に移動でき
る位の比較的大きな前後巾を有するフロアー１
４，１５を設け、これら両フロアー１４，１５
を、平面視ほヾ矩形状に一連一体に構成するとと
もに、前記運転席６の両横側脇には、３つの苗箱
１６……を横方向に並列した状態で夫々載置支持
する予備苗のせ台１７，１７を、その横側部ほど
下方に位置する傾斜姿勢で、かつ、運転席６に近
接させた状態で設けている。

また、前記運転席６を、上下軸芯ａ周りでの回
転により前後方向に向き変更ならびに固定可能に
構成するとともに、前記予備苗のせ台１７，１７
の下側には夫々、運転席６に座した運転者の膝部
が運転席６の回転に伴つて通過移動することを許
す膝入り込み用空間１８，１８を形成している。

前記運転席６の取付け構造は次の如く構成され
ている。

即ち、前記フロアー１４，１５の中央部に固着
した筒状保持部材１９に、前記運転席６の尻載せ
部６Ａ下面に連設した支軸２０を、前記保持部材
１９の軸芯でもある前記の上下軸芯ａ周りで回転
自在に挿嵌保持させるとともに、前記支軸２０に
は運転席６が所定の前向き姿勢にあるときのみ、
前記保持部材１９の上端に形成した係合溝１９ａ
に嵌係合することが可能なロツクレバー２１を、
ロツク姿勢と係合溝１９ａから上方に離脱させた
ロツク解除姿勢とに揺動切換自在に枢着し、か
つ、このロツクレバー２１と尻載せ部６Ａとの間
には、ロツクレバー２１をロツク方向に付勢する
ばね２２を介装している。

第４図、第５図は上述実施例の変形例を示し、
上下軸芯ａ周りで回転可能な運転席６の両横側脇
に、３つの苗箱１６……を正面視において横方向
に山形状に並列した状態で夫々載置支持する予備
苗のせ台１７，１７を、運転席６に近接させた状
態で設け、これら両予備苗のせ台１７，１７の下
側に、運転席６に座した運転者の膝入り込み用空
間１８，１８を形成するとともに、前記運転席６
と植付け装置７の苗のせ台８との間に位置する後
部フロアー１４と、運転席６とボンネツト１３と
の間に位置する前後フロアー１５とを、平面視に
おいてほヾエの字形状に一連一体に構成したもの
である。

第６図、第７図は夫々予備苗のせ台１７の変形
例を示し、第６図で示すものは、３つの苗箱１６
……をその横外側部ほど下方に位置する傾斜姿勢
で、かつ、内側の苗箱１６が隣接外側の苗箱１６
の下側に入り込む状態で載置支持すべく構成した
ものであり、第７図で示すものは、３つの苗箱１
６……を上下方向に多段積みした状態で載置支持
すべく構成したものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る乗用田植機の実施例を示
し、第１図は全体側面図、第２図は平面図、第３
図は要部の一部切欠正面図、第４図、第５図は他
の実施例を示す平面図とその要部の正面図、第６
図、第７図は夫々他の実施例を示す要部の正面図
である。 ６……運転席、７……植付け装置、８……苗の
せ台、１４，１５……フロアー、１７……予備苗
のせ台、１８……膝入り込み用空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下軸芯まわりで回動自在に構成された運転席
   ６の横側部に近接して予備苗のせ台１７を設ける
   とともに、この予備苗のせ台１７の下側に前記運
   転席６に搭座する運転者の膝部が運転席６の回転
   に伴つて通過移動することを許す膝入り込み用空
   間１８を形成し、さらに前記運転席６とその後部
   に位置する植付け装置７の苗のせ台８とのあいだ
   に、前記運転席６前部のフロアー１５と一連一体
   に構成されたフロアー１４を設けてある乗用田植
   機。