JPS6122717B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は地盤にボーリングされた立坑等の孔
内に挿入される内外管相対進退可能な２重管構造
の薬液注入管に対孔内壁とのシール作用を奏する
膨出パツカー部材が設けられたパツカー装置に関
するものであり、特に、内外管スライド面に圧搾
可能な液体封入室が設けられ、該液体封入室が外
管の外周面に付設された膨出パツカー部材内部に
連通されているパツカー装置に係るものである。

従来、土木工事に於けるグラウト工の施工等に
使用されるパツカー装置のパツカー部材膨出機構
には種々の態様のものが案出され使用されてい
る。

而して、その第１の態様としては内外管が軸方
向に相対進退動自在とされている２重管構造に於
いて、当該内管と外管とに渡つて付設された弾性
材料による膨出パツカー部材が上記内外両管の相
対移動時に側方膨出されて地盤孔内に圧接する態
様のものがある。

しかしながら、上記構造のものは膨出パツカー
部材の側方膨出力が内外管の軸方向スライド力の
間接分力によつてなされる様にされている為に孔
内壁に対するパツカー圧接力が充分確保されない
欠点があり、管先端から噴出される硬化材等がパ
ツカー圧接部に浸入して硬化する可能性もあり、
装置引き抜きが行なわれ難くなる虞れ等もあつ
た。

又、第２の態様としては挿入管の外面に付設し
た膨出パツカー部材内に地上よりエア或いは作動
圧液を送結してパツカー膨出を行なう様にした態
様のものもあるが、この場合においては膨出パツ
カー部材へのエア、作動圧液送給路による圧力損
失によつてパツカー圧接力が充分確保されない難
点があると共に、エア、作動圧液送給圧の調節を
誤まると送給路であるパイプ等が破損する不都合
さも生じる可能性があつた。

従つて、かねてより、効率的な膨出パツカー部
材の膨出機構を備えたパツカー装置の案出が望ま
れているものであつた。

この発明の目的は上記従来技術に基づくパツカ
ー装置のパツカー部材膨出機構に対する問題点に
鑑み、軸方向に相対進退動自在な内外管のスライ
ド面に形成された液室に封入された作動圧液によ
つてパツカー部材を膨出させる様にして上記欠点
を除去し不利点等を無くし、地盤孔内へのパツカ
ー圧接力が増強された優れたパツカー装置を提供
せんとするものである。

上記目的に沿うこの発明の構成は、装置本体を
地盤に屈折された孔内に挿入し２重管の内外管を
軸方向に相対移動させると、内管と外管との間に
形成された液室内に封入された作動圧液が作動圧
を印加され膨出パツカー部材の側方膨出力として
作用し、該膨出パツカー部材は上記の作動圧によ
り全面膨出力を有して孔内壁に圧着することによ
つてパツカーシール作用が強固になされる様にさ
れたことを要旨とするものである。

次にこの発明の実施例を図面に基づいて説明す
れば以下の通りである。

１はこの発明のパツカー装置であつて、地盤中
に適宜予め掘設された孔２内に挿入され、その構
造は結合部３を介して外管４が所定長連結されて
おり、その内部には同じく結合部５を介して所定
長連結された内管６が嵌装されて両管は軸方向に
相対進退可能とされており、当該進退は地上突出
部分に設けられた進退機構７によつてなし得る様
にされている。

而して、上記進退機構７の構成は、内管６の上
端に刻設されたネジ部８に螺装されたフクロナツ
ト９の下端部に埋め込みボルト１０を介して固定
されたカラー１１が前記外管４の上端に螺装され
た停止管１２に係止されて成つており、該フクロ
ナツト９の回動によつて、外管４と内管６とが軸
方向に相対進退する様にされている。

又、上記外管４はその先端部位に内方段付部１
３が設けられており、一方、前記内管６の外周面
には該内方段付部１３と相対するピストンフラン
ジ１４が周設されて外管４内面に対し適宜シール
材１５を有して接している。尚、１６は上記シー
ル材１５の押さえナツトである。

１７はリングであつて、上記外管４内面に嵌設
されており、内外管の軸方向相対進退時に上記ピ
ストンフランジ１４上面に当接可能とされて進退
量の規制がなされている。

而して、上記ピストンフランジ１４と前記内管
６の内方段付部１３とで囲まれる部分が液室Ａと
され、その内部に作動圧液であるオイル１８が封
入されている。１９はオイル１８の注入排出用の
栓であり、予め作動オイル１８が所定量エア抜き
されて充満されている。

２０はゴム製の膨出パツカー部材であつて、そ
の上下端部が取付ナツト２１，２２によつて前記
外管４の先端部位表面に添設されており、該膨出
パツカー部材２０と外管４外周面との間隙部Ｂは
外管４に穿設された連通孔２３、及びこれに連結
して外管４内周面に刻設された連通溝２４を介し
て上記液室Ａ内部と連通されている。

尚、内管６の内部Ｃ、及び、外管４の内部Ｄは
グラウト剤通路とされ内管６の上端に設けられた
図示しないスイーベルジヨイントによつて同じく
図示しないグラウト供給ポンプに連絡されてい
る。

２５は内管６のヘツドで、２６は外管４のヘツ
ドである。

上記構成のパツカー装置によつてグラウト工等
を行なうに際しては、地盤中に予め掘削された孔
２内にパツカー装置１を設定深度挿入し、地上突
出部に設けられた前記フクロナツト９を矢印方向
に回動させ、ネジ部８の進行作用によつて内管６
を外管４に対して進出させること、該内管６に周
設されたピストンフランジ１４と外管４の内方段
付部１３との相対位置が近接し両者に囲まれる液
室Ａは第２図に示される様にその内容積が減少
し、従つて、該液室Ａ内のオイル１８は被圧され
て前記連通溝２４、及び、連通孔２３を経て膨出
パツカー部材２０と外管４の外周面との間隙部Ｂ
内に圧注入され、該パツカー部材２０は側方に膨
出される。

上記膨出パツカー部材２０は孔２内壁に圧接す
るが、当該圧接力はオイル１８の膨出力によつて
内壁に対して垂直方向に均一に働くので該膨出パ
ツカー部材２０によるシール作用は充分なされる
こととなる。

而して、図示しないグラウト供給ポンプによつ
て同じく図示しないスイーベルジヨイントから内
管部Ｃ、及び外管内部Ｄを経てグラウト剤が外管
ヘツド２６から孔２内部に圧入され地盤改良が成
される。

地盤改良作業終了後には、グラウト剤の圧注を
停止した後に、フクロナツト９を前記と逆方向に
回動せしめネジ部８の螺合作用によつて内管６を
外管４に対して退行させると前記液室Ａは膨脹
し、膨出パツカー部材２０と外管４外周面との間
隙部Ｂ内に注入されていたオイル１８が吸引され
て該パツカー部材が収縮されてシール作用が解除
される。

而して後にパツカー装置１を地上に抜き上げて
作業が完了される。

尚、オイル１８交換等の必要性がある場合には
前記栓１９を外ずし適宜対処することが出来る。

尚、この発明は上記実施例によつてのみ実施さ
れるものではなく、例えば、内管に段付部を設け
外管内周面にピストンフランジを周設することに
よつて液室を構成する態様に設計出来ることは勿
論であり、又、作動圧液の代わりに空気を使用す
ることも設計の範囲とされるものである。

上記の様にこの発明によれば、内管と外管とが
軸方向に相対進退動自在とされた２重管の外周面
上に膨出パツカー部材が設けられたパツカー装置
において、内外管のスライド面に作動圧液が封入
された液室が設けられているので、従来のものの
様に地上からパイプ等によつて作動圧液を供給す
る必要がなく供給装置等の設備を省きコストダウ
ンを図れるのみならず、パイプ破損等の事故も生
じることのないメリツトがある。

而して、上記作動圧液によつてパツカー部材を
膨出させる様にしている為に液体の均圧性によつ
て孔内壁へのシール作用が確実になされ得ること
が出来、又、該作動圧液のパツカー部材内部への
供給圧付与は内外管の相対進退動によつて行なう
ことが出来るので極めて操作がし易い利点があ
る。

即ち、この発明のパツカー装置は従来の内外管
進退動式操作性良好性と、液圧によるパツカー膨
出方式のシール確実性との両利点を備え、しか
も、その構成が簡潔化された優れたものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すものであり、第
１図は縦断面図、第２図はパツカー圧接時の縦断
面図、第３図は地上突出部の半断面説明図であ
る。 ６……内管、４……外管、２０……膨出パツカ
ー部材、１……パツカー装置、１３……段付部、
１４……ピストンフランジ、Ａ……液室、１８…
…作動圧液、Ｂ……膨出パツカー部材内部、２
３，２４……連通路。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内管と外管とが軸方向に相対進退動自在とさ
   れた２重管の外周面上に膨出パツカー部材が設け
   られたパツカー装置において、内外管のスライド
   面にて、一方の管の周面に設けられた段付部と他
   方の管の周面に設けられたピストンフランジとに
   囲まれた液室内に作動圧液が封入されており、而
   して、外管の外周面に付設された膨出パツカー部
   材の内部が上記液室内と連通路を介して連結され
   て成ることを特徴とするパツカー装置。