JPS6122114B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は機械式シールド機によるトンネル掘削
工法に関する。

地下鉄道等の隧道施工に用いられるシールド工
法においては、機械式シールド機械が用いられて
おり、この場合シールド機械は坑道内のシールド
の前方の切羽を回転するカツタ装置で掘削し、後
方に形成された坑道はシールド機械のスキンプレ
ート内でセグントにより造形し、シールド機械を
前進させて掘進作業を進めるようになつている。
したがつてシールド機械のカツタ装置は、回転と
前進作用を行ないつつ切羽の岩石が土砂を切削
し、切削した岩石や土砂を機外に排出しなければ
ならない。そのために従来この排出作業は加圧水
を用い、この加圧水で岩石やシールド機械外の後
方坑道に搬出していたが、この加圧水による輸送
は効率が悪く、掘削土砂の分離が簡単でなく、加
圧水が漏洩して十分な加圧ができず、また加圧水
がシールド機後方のテールボイドまで達して、掘
進の妨げとなる等幾多の欠点を有していた。

したがつて、本発明は従来の泥水式加圧法のも
つ上記欠点を除去できる機械式シールド機による
トンネル掘削工法を提供するにある。

本発明によれば、従来使用されている加圧水に
代えて発泡剤を含有した水が空気とともに使用さ
れ、かつ撹拌翼を有する撹拌装置で土砂と泡とを
混合させるようになつている。

以下本発明による方法を実施した装置を示す図
面を参照して、本発明の実施の態様を説明する。

図において、全体をＡで示すシールド機はスキ
ンプレート１を有し、坑道２を掘進するものであ
り、シールド機Ａの回転軸３はテールスキンプレ
ート１と一体に取付けられた隔壁４に軸受５によ
つて矢印の方向に回転自在に支持され、図示しな
い原動機によつて回転するよようになつている。
回転軸３の先端にはカツタ装置６が取付けられ、
シールド機Ａを例えば図示しないジヤツキにより
前進させることにより切羽７の岩石や土砂をカツ
タ装置６で掘削するようになつている。

切羽７と隔壁４とスキンプレート１とにより囲
まれたスペースは、加圧室８を形成しており、こ
の加圧室８には撹拌翼を有する撹拌装置９が適数
台隔壁４に設けられている。

本発明の実施に際して、この加圧室８には水と
発泡剤と空気との混合体を流入させるようになつ
ている。すなわち、坑道内の適所またはシールド
機Ａに付属的に設けたタンクＴには、水と発泡剤
との混合物が収容されており、そして水と泡を空
気とよりなる混合体はパイプ１５を介して流入パ
イプ１０により吸引され、そしてポンプＰから空
気とともに隔壁４を貫通して延びるパイプ１６を
介して加圧室８に供給される。カツタ装置６によ
り掘削された土砂を含有する混合体は撹拌装置９
によつて混合されて、切羽７の面を加圧する。流
入パイプ１０により順次送りこまれた上記混合体
は土砂と混練されて切羽７を加圧し、このように
土砂と混練されて土砂を含む余剰な混合体は加圧
室８の下部に設けられたパイプ１１を介して排出
槽１２に排出される。この排出槽１２に貯留した
排出土砂は例えばコンクリートポンプ１３で坑外
に排出され、切羽よりの掘削土砂はかくして坑外
に輸送される。

切羽加圧力を一定に維持するため、導管１１中
に例えば絞り弁１４を設けてその抵抗により調節
するとよい。また切羽の加圧制御は、従来の泥水
式加圧法と同様に隔壁部に圧力検出器（図示せ
ず）を設けて水と発泡剤と空気すなわち泡よりな
る混合体の送りこみを制御するようにしてもよ
い。

切羽土砂の大部分が砂等の粒子より成る場合に
は、混合体としてペントナイトなどの膨潤作用を
有する材料を使用するのが好ましい。

本発明によれば以上の通り、水に発泡剤を入れ
て撹拌するので、泡が生じ、したがつて泥土と水
と空気すなわち泡とよりなる土砂を含む混合体が
形成され、その結果この土砂を含む混合体は圧縮
性を有するので、配管系にエアーチヤンバーを設
ける必要がなく、かつ下記の如き効果を奏するも
のである。

(1) 切羽に充填される混合体の比重および粘度が
水より大きく、かつ泥と泡とで切羽を押圧する
から、切羽の安定効果は従来の泥水を使用する
ものに比較して大きい。

(2) 切羽を充填する混合体に発泡剤を使用し、気
泡を撹拌装置によつてまぜこんでいるため、適
当の圧縮性があり、圧力変動が緩やかである。

(3) 土砂を含む混合体が粘性を有するので切羽地
山への逸泥の恐れがない。

(4) 土砂を含む混合体に含有される水の量がすく
ないので、従来の泥水輸送に比較して輸送され
る泥土の濃さが高く効率よく送られる。

(5) 土砂とともに排出される水の量が、従来の泥
水式に比較して非常にすくないため、掘削土砂
の分離が簡単になるか、或は全く分離作業の必
要がなくなる。

(6) 切羽の流体は、シールド機後方のテールボイ
ドまで充填するため、従来行なつていた裏込注
入を助ける働らきをする。

(7) 特に撹拌装置を設けたので、泥砂と水と泡と
が均一に混合されるので、上記の切羽の安定効
果や排泥効果が均一化され、かつ効率が向上す
る。

(8) 土砂を含む混合体で加圧室が充満されている
ので、地下水の漏洩がなく掘進がスムーズであ
る。

本発明の実施に際して土砂を含む混合体は例え
ばスクリユーコンベアで排出してもよく、また撹
拌装置として回転カツターの軸にアームを取付け
たものを用いてもよい。

実施例 断面積7.6m²の円形の坑道を掘削するに際し、
水100に対して発泡剤（商品名 エヤーセツト
竹本油脂製）を１Kgの割合で混合し、82／
minの割合で加圧室に送つた。このとき空気は
0.3Nm³／minの割合で供給した。シールド機は３
cm／minの速度で前進させた、排出槽には0.5
m³／minの割合で土砂を含む混合体が排出され
た、この排出される土砂の割合は従来技術に比べ
て、約３倍に増加した。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の方法を実施した機械式シールド機
が切羽を掘進しているところを示す説明図であ
る。 １……スキンプレート、２……坑道、３……回
転軸、４……隔壁、５……軸受、６……カツタ装
置、７……切羽、８……加圧室、９……撹拌装
置、１０……注入ポンプ、１１……導管、１２…
…槽、１３……コンクリートポンプ、１４……絞
り弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 掘進しようとする切羽面とシールド機のスキ
   ンプレートと隔壁とによつて画成された加圧室を
   備え、その加圧室内において加圧媒体を送り込
   み、かつ回転するカツタ装置によつて切羽を切削
   して、その切削された土砂を加圧室に供給した加
   圧媒体とともに加圧室から排出させる機械式シー
   ルド機によるトンネル掘削工法において、加圧室
   内に水と発泡剤を空気とより成る混合体を供給
   し、その混合体と切削した土砂とを加圧室内に設
   けた撹拌翼のある撹拌装置で混合し、その土砂を
   含んだ混合体で切羽面を加圧し、そして余剰の土
   砂を含んだ混合体を加圧室から排出することを特
   徴とするトンネル掘削工法。