JPS6121528Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関の弁腕室に関するものであ
る。

内燃機関の吸排気弁のリフトを行なう動弁装置
である弁腕装置を設けたシリンダヘツド上には、
それら弁腕装置をシリンダヘツドカバーで覆つた
弁腕室が設けられているが、従来の弁腕室には弁
腕装置への注油通路は設けられておらず、シリン
ダヘツドと弁腕取付台とを直接連通する注油通路
を設けるか、またはパイプからなる注油通路を設
けて弁腕装置への注油を行つており、更には、別
体式の弁腕軸の中にきり穴を設ける等の手段との
組み合せによつて狭い弁腕室内に注油通路を設け
ており、弁腕装置への注油経路の設計の自由度が
非常に小さいという欠点があつた。

また、弁腕室内の動弁装置による騒音は弁腕室
の上部より外部に伝達され、その機関運転中の騒
音発生の大きな要因となつていた。

そこで、弁腕室内の動弁装置による騒音減少を
はかるために、シリンダヘツドカバーの外壁外周
に多数の冷却用ひれ板を設けた２重壁を構成し、
油ポンプにより圧送された潤滑油をこの２重壁間
部に環流させた後、クランクケースへ送ると共
に、その潤滑油の一部を２重壁の内壁に穿設した
小孔から動弁機構へ撒布させた内燃機関の潤滑装
置に関する特公昭31−10259号の発明がなされて
いるが、この場合の弁腕装置への注油は上記のご
とき小孔からの撒布であり、強制注油ではなく、
また潤滑油の戻りパイプ及び送りパイプは機関外
に設け、さらにシリンダヘツドカバーのシリンダ
ヘツドへの取付けは弁腕取付台とは別体の締付螺
棒により行われており、その機関のコンパクト化
がはかれないという欠点があつた。

そこで本考案は、前記従来の欠点を解消するた
めになされたものであり、弁腕室内に設けられた
動弁装置から発生する騒音に対する遮音効果を有
し、かつ弁腕装置への注油経路の設計の自由度を
向上可能とする内燃機関の弁腕室を提供すること
を目的としたものである。

即ち、本考案は内燃機関のシリンダヘツド上の
弁腕装置を内設する弁腕室において、該弁腕室の
上面に、該弁腕装置の各弁腕のメタルとの摺動部
に連通する注油通路に連通する潤滑油溜りを設け
ることにより構成される。

以下図面を参照して本考案の詳細を説明する
が、第１図は本考案の実施例１における内燃機関
の弁腕室１の上面の平面図であり、第２図は第１
図のＡ−Ａ方向の側断面図である。

この弁腕室１には、シリンダヘツド２上に取付
けられた弁腕取付台３にメタル４を介して回動自
在に軸支された弁腕５等からなる弁腕装置が内設
されており、その弁腕室１の上面に潤滑油溜り６
を設けている。

次に、この内燃機関の図示されていない油ポン
プから供給された潤滑油は、シリンダヘツド２内
の油供給路８から上記弁腕室１に設けられた油供
給路９経由、潤滑油溜り６に連通し、矢印しのご
とく潤滑油を潤滑油溜り６に供給する。

上記の潤滑油溜り６を有する弁腕室１は、弁腕
取付台３の上部にシールワツシヤ等のパツキン１
０を介してボルト１１により固定されており、弁
腕取付台３にはこのボルト１１内を貫通して潤滑
油溜り６内から各弁腕５のメタル４との摺動部等
の弁腕装置に潤滑油を供給する注油通路１２が設
けられている。

なお、図中１３で示すのは油供給路９の端部を
封鎖するテーパプラグであり、また１４で示すの
は注油通路１２の端部を封鎖する閉め球であり、
更に、１５で示すのは弁腕５の止め輪である。

また、上記弁腕室１の油供給路９とシリンダヘ
ツド２の油供給路８との接合の際は、焼付ゴム１
６等を一部変形させて接合時に圧着できるように
するとよい。

次に、第３図は本考案の実施例２における内燃
機関の弁腕室１を示しており、第２図の実施例１
とほぼ同様の構成及び機能を有するものであり、
第２図と同じ部品は同じ部品番号で示している
が、相違点は潤滑油溜り６から弁腕装置への注油
通路２２を、弁腕室１、弁腕取付台３及びシリン
ダヘツド２を貫設する植込みボルト１７内に設け
た点であり、第３図の１８で示すのはＯリングで
あり、更に２０で示すのは止めナツトで、２１で
示すのは袋ナツトである。

なお、上記実施例１及び２において、シリンダ
ヘツド２の油供給路８から潤滑油溜り６へ潤滑油
を供給する油供給路９の代りに、第４図に示す実
施例３のごとく油パイプ１９を設けても良い。

更に、第５図は本考案の実施例４における弁腕
室１を示しており、第３図の実施例２とほぼ同様
な構成からなり、同じ部品は同じ部品番号で示し
ているが、相違点は弁腕室１の油供給路９を廃し
てシリンダヘツド２の油供給路８と植込みボルト
１７内に設けた注油通路２２とを連絡する油供給
路２３をシリンダヘツド内に設け植込みボルト内
注油通路２２を弁腕室１の潤滑油溜６への注油通
路とした点である。

また、第６図は本考案の実施例５における弁腕
室１を示しており、第１図および第２図の実施例
１とほぼ同様な構成からなり、同じ部品は同じ部
品番号で示しているが、相違点は弁腕室１は板金
製外側部材１ａと板金製内側部材１ｂとからな
り、油パイプ１９を有している点である。

さらに、第７図は本考案の実施例６における弁
腕室１を示しており、第３図の実施例２とほぼ同
様な構成からなり、同じ部品は同じ部品番号で示
しているが、相違点は弁腕室１の板金製外側部材
１ａと板金製内側部材１ｂとからなり、油パイプ
１９を有している点である。

第８図は本考案の実施例７における弁腕室１を
示しており、第５図の実施例４とほぼ同様な構成
からなり、同じ部品は同じ部品番号で示している
が、相違点は弁腕室１が板金製外側部材１ａと板
金製内側部材１ｂとからなつている点が異なる。

従つて、本考案の弁腕室を適用した内燃機関に
おいては、弁腕室上面、すなわちシリンダヘツド
上面の大部分を注油通路にできるため、弁腕装置
への注油経路の設計の自由度が飛躍的に向上す
る。つまり、従来例のものでは、吸気弁や排気弁
の弁腕が、ヘツドボルトを締め付けるインパクト
レンヂとの干渉に充分注意して、弁腕室内の限ら
れた空間内に設置しなければならず、したがつ
て、その設計自由度は非常に小さいものであつ
た。しかし本考案によれば、弁腕室の内部に油溜
りを設けたため、複雑な配管は不要となり、その
結果弁腕装置への注油通路の設計自由度は飛躍的
に向上することになる。

また、内燃機関のシリンダヘツドの上部から発
生する大きな騒音に対して、潤滑油溜りを有する
弁腕室が遮音効果を生ずるので、その内燃機関の
騒音防止をはかる上で有効である。

なお、本考案は各種内燃機関の弁腕室に対して
有効に適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例１における内燃機関の
弁腕室の上面の平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ
方向の要部側断面図、第３図は本考案の実施例２
における弁腕室の要部側断面図、第４図は本考案
の実施例３における弁腕室の要部側断面図、第５
図は本考案の実施例４における弁腕室の要部側断
面図、第６図は本考案の実施例５における弁腕室
の要部側断面図、第７図は本考案の実施例６にお
ける弁腕室の要部側断面図、第８図は本考案の実
施例７における弁腕室の要部側断面図である。 １……弁腕室、２……シリンダヘツド、３……
弁腕取付台、５……弁腕、６……潤滑油溜り、９
……油供給路、１２……注油通路、１９……油パ
イプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドの上方に弁腕装置を内設した弁
   腕室を設け、該弁腕室の上面に、該弁腕装置の各
   弁腕のメタルとの摺動部に連通する注油通路に連
   通する潤滑油溜りを設けたことを特徴とする内燃
   機関の弁腕室。