JPS6120387B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は連続鋳造設備における鋳片切断部の断
熱カバーに関するものである。

連続鋳造設備で製造される高温の鋳片を冷却す
ることなく直接圧延工程へ送給する（冷却するこ
となく圧延するに必要な温度まで昇温させて圧延
工程へ送給するホツトチヤージを含めて以下直送
圧延と云う。）ことは大巾な省エネルギーを可能
とし、生産性を高める等秀れた効果のあることが
従来より知られている。

而して該直送圧延を可能ならしめるために従来
より種々の提案がなされている。しかしながら前
記従来手段ではいずれも連続鋳造設備の搬送ロー
ラ上を移送される間の鋳片の温度低下が著しく、
このため、必然的に、加熱炉で多量の燃焼が必要
となり、又場合によつては実質的に直送圧延が不
能となる等前記直送圧延に期待される効果を満足
に得られるものではなかつた。

本発明は、前記問題点を解決するために発明さ
れたもので、搬送ローラ上を移送される高温鋳片
の切断装置走行範囲における効果的な保熱を可能
ならしめる装置の提供をその主たる目的とするも
のである。

さて、連続鋳造設備において鋳片は、第１図に
示すようにタンデイツシユ２に貯留された溶鋼３
を鋳型４に注入して製造され、引出しガイドロー
ラ群５で連続的に引出されて後続する搬送テープ
ル６へ送給される。搬送テーブル６にはガスもし
くはレーザーを利用した切断トーチ７１を備えた
切断装置７が配設され、搬送テーブル６の搬送ロ
ーラ６０上を移送される高温の鋳片１を連続的
に、かつ、所定長さに切断する。切断装置７は搬
送テーブル６を自在に走行するよう構成されてお
り、鋳片１の移送速度と同調して走行させながら
切断トーチ７１を鋳片１の巾方向へ移動させるこ
とによつて鋳片１の切断を行う。切断された鋳片
１は、搬送ローラ６０上をさらに移送され、後続
する圧延設備、あるいは加熱炉、保熱炉等へ送給
される。

ところで第２図および第３図は本発明の実施例
を示す切断装置および断熱カバーの断面構造図お
よび平面図である。図において８は、鋳片１の周
辺を包囲する断熱カバーである。本実施例の断熱
カバー８は、上板８１ａと側板８１ｂが一体構造
で断面溝型に形成された上部断熱カバー８１と平
板状の下部断熱カバー８２とから構成されてい
る。上部断熱カバー８１には、切断トーチ７１の
移動経路に沿つて切欠部９が設けられている。即
ち、切断トーチ７１は切断装置７が鋳片１の移送
速度と同速度で走行するため移送中の鋳片１に対
しては、その移送方向軸線ｘと直交して横移動す
るが、固定された上部断熱カバー８１に対しては
前記軸線ｘと傾斜角αを形成して横移動し、二点
鎖線で示す如き本発明で称する移動経路ｙを形成
する。前記傾斜角αは、鋳片１および切断装置７
の移送速度（以下、特記する以外は単に鋳片移送
速度と云う）と切断トーチ７１の横移動速度とか
ら決定される。而して鋳片１の巾サイズおよび移
送速度が種々変化しても、切断トーチ７１の横移
動開始位置を所定位置に設定すると共にその横移
動速度を鋳片移送速度に応じて適宜制御すれば常
に所定の傾斜角αを有した移動経路ｙに沿つて切
断トーチ７１を移動させることが可能である。

上部断熱カバー８１に設けられた切欠部９は、
前記移動経路ｙに沿つて、切断トーチ７１の構
造、大きさ等に応じ、それが上部断熱カバー８１
を貫通して鋳片１の切断を行い得る巾ｗを有せし
めて開孔されている。尚、前記実施例では切断装
置７に切断トーチ７１が２基設置され、これが両
端から同時にそれぞれ切断を行うよう構成されて
いるため移動経路ｙおよび切欠部９はＶ形を形成
している。又、それぞれの切断トーチ７１が鋳片
１の中央近傍部まで切断を完了したら片方の切断
トーチ７１は切断を中止して後退し、他方の切断
トーチ７１のみが、そのまゝ横移動し、あるいは
片方の切断トーチ７１が後退するまで一旦停止
し、然る後横移動し、残りの未切断部を切断する
よう延長切欠部９ａおよび平行切欠部９ｂが構成
されている。

一方、第４図は、切断トーチ７１が１基のとき
の実施例を示すものであり、切欠部９１は所定の
傾斜角αを有して直線状に構成されている。勿
論、切断トーチ７１の移動速度を、例えば鋳片１
の端部と中央部で変化させる必要のあるときには
図示はしないけれども移動経路ｙは曲線状となる
がこのような場合でも、切欠部９を、前記曲線状
の移動経路ｙに沿つて構成すれば本発明の機能を
支障なく発揮できる。

以上のように本発明は、断熱カバー８、詳しく
はその上部断熱カバー８１に切断トーチ７１の移
動経路ｙに沿つた切欠部９を設け、その他の部分
は、断熱カバー８により鋳片１の周囲を包囲する
閉塞空間１０を形成することによつて、鋳片１の
効果的な保熱を可能ならしめるものである。而し
て断熱カバー８にはセラミツクフアイバー、アス
ベスト等の断熱材８ａをライニングし、その保熱
効果を高めることが好ましく、又断熱カバー８の
構造も前記実施例に限定するものではなく、例え
ば第５図に示すように上部断熱カバー８１の上板
８１ａと側板８１ｂを分離した部材で構成すると
共に側板８１ｂを、鋳片側面との隙間をできるだ
け少なくできるよう横移動可能に構成することも
効果的である。さらに下部断熱カバー８２も、開
閉可能な構造とし、鋳片切断中の部位に対応する
下部断熱カバー８２のみを順次開とし、その他は
閉状態を保持する構成とすれば、閉塞空間１０の
解放を少なくできることから保熱効果を高めら
れ、加えて下部断熱カバー８２の上に堆積するス
ケールの除去を容易にし、かつ鋳片切断中に落下
する切断屑から下部断熱カバー８２を保護でき、
効果的である。

尚第２図に示すような固定構造の下部断熱カバ
ー８２においては上部断熱カバー８１と同様に切
断トーチ７１の移動経路ｙに沿つた切欠部９を設
けることが切断屑から下部断熱カバー８２を保護
し、かつその効率的な排出を可能とすることから
効果的な手段である。

さて、次に本発明の切断装置７の作動要領を説
明する。切断装置７は、第１図に示すように移送
テーブル６の切断装置走行範囲ａ部に配設された
軌条１１上を走行するが切断を行つていない待機
時には前記走行範囲ａの後方所定位置に停止して
いる。鋳片１の移送に伴つて切断すべき部分、即
ち、切断対応部が切断装置７の待機位置、詳しく
は切断装置７における切断トーチ７１の横移動位
置と、前記切断対応部が一致した時点で切断装置
７の走行装置７２が駆動され、鋳片移送速度と同
期して切断装置７は、前方への走行を開始する。

前記走行装置７２の駆動制御は、例えば、第１
図に示すようにピンチローラ５０に接続された速
度検出器１２によつて検出される鋳片移送速度と
移送テーブル６、あるいはガイドローラ群５に配
設された測長装置１３によつて検出される鋳片１
の移送距離を制御装置７３に入力し、該制御装置
７３で前記鋳片１の移送速度および移送距離と予
め設定されたシーケンスに従つて駆動開始タイミ
ングおよび走行速度、さらには切断トーチ７１の
駆動装置７４等を適宜制御させればよい。

切断装置７が走行を開始し、切断トーチ７１が
前記断熱カバー８の切欠部９に達したら制御装置
７３の指令で駆動装置７４が駆動し、切断トーチ
７１を切断セツト位置まで降下させ、横移動を開
始する。さらに切断トーチ７１の切欠部９に沿つ
た横移動に伴つて切断トーチ７１が鋳片端面に達
したことが検出されたらガス、あるいはレーザー
が発射され、切断トーチ７１による鋳片切断が行
われる。鋳片１の切断が完了したら切断トーチ７
１は、直ちに、断熱カバー８の上面以上まで上昇
し、かつ後退する。これと共に走行装置７２が停
止し、切断装置７の前方への走行が停止する。然
る後、切断装置７は走行装置７２の逆方向への駆
動によつて所定の待機位置まで後退し、次回の切
断開始まで待機する。

以上のように本発明は切断トーチ７１等を備え
た複雑な構造の切断装置７が頻繁に走行する部分
において切断トーチ７１の移動経路ｙに沿つた切
欠部９を有する断熱カバー８を設置することによ
つて搬送ローラ上を移送される高温鋳片の周辺を
包囲し、これによつて、鋳片１の効果的な保熱を
可能ならしめたものである。而して、鋳片１の温
度低下を著しく防止させることができ、この結
果、切断装置７によつて切断された鋳片１の効率
的な直送圧延が可能となり、加えて断熱カバー８
の構造も、前述のように極めて単純なものである
ことから狭隘なスペースの切断装置走行範囲ａに
おいても容易に設置でき、かつその整備性も非常
に秀れている。

以上詳述したように本発明は、簡単な構成では
あるがその実用的効果は非常に大である。

【図面の簡単な説明】

各図は本発明の実施例を示すもので第１図は連
続鋳造設備の断面構造図、第２図は切断装置およ
び断熱カバーの断面構造図、第３図は第２図の平
面図、第４図および第５図は断熱カバーのそれぞ
れ他の実施例を示す平面図および断面構造図であ
る。 １：鋳片、２：タンデイツシユ、３：溶鋼、
４：鋳型、５：引出しガイドローラ群、５０：ピ
ンチローラー、６：搬送テーブル、６０：搬送ロ
ーラ、７：切断装置、７１：切断トーチ、８：断
熱カバー、９，９１：切欠部、１０：閉塞空間、
１１：軌条、１２：速度検出器、１３：測長装
置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 搬送ローラ上を移送される高温鋳片をガスも
   しくはレーザーによつて巾方向に切断する際に、
   前記搬送ローラ上の高温鋳片の周辺を包囲すると
   共に、切断トーチ移動経路に沿つて切欠部を設け
   たことを特徴とする鋳片切断部の断熱カバー。