JPS6119830B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、液冷エンジンを有する自動車のエン
ジン冷却水の加熱装置に関し、特にエンジンの通
常運転状態においてはエンジン冷却水の流れを妨
げることなく、また長期間の使用によつても腐食
することがなく、さらに季節又は地域差によつて
加熱状態を制御することができるエンジン冷却水
の加熱装置に関する。

従来のエンジン冷却水の加熱装置は、ラジエー
タの底部から液令エンジンのウオータージヤケツ
トに至る間の冷却水循環路の途中に例えば円筒状
の加熱部を設け、この加熱部の内部に電熱ヒータ
ーを取り付けていた。しかしこの場合、確かに冬
季等においてエンジン冷却水を加熱しエンジンの
始動をスムーズとすることはできるが、該エンジ
ンが始動した後の通常運転状態においては、上記
電熱ヒーターが冷却水の循環路の中に存在してエ
ンジン冷却水の流れを妨げる障害物となり、エン
ジンのオーバーヒートの原因となるものであつ
た。特に、冬季以外の季節ではエンジン冷却水の
加熱は不要であるにもかかわらず、上記電熱ヒー
ターによるエンジン冷却水の流れ妨害によつてオ
ーバーヒートし易くなるという欠点があつた。ま
た、上記電熱ヒーターは冬季等の夜間においては
長時間継続して通電するが、上記加熱部が通常の
金属であるため長時間の加熱温度のため腐食する
ことがあり、加熱装置としての耐用命数は短いも
のであつた。さらに、エンジン冷却水の加熱温度
を検知する手段並びに電熱ヒータの加熱制御の手
段を有していないため、エンジン冷却水の温度が
上昇し過ぎることがある共に、季節又は地域差等
によつてエンジン冷却水の加熱温度を任意に設定
できないという欠点があつた。

本発明はこのような従来技術の欠点を解消する
ためになされたもので、エンジンの通常運転状態
においてはエンジン冷却水の流れを妨げることが
ないと共に長期間の使用によつても腐食すること
がなく且つ季節又は地域差等によつて加熱状態を
制御することができるエンジン冷却水の加熱装置
を提供することを目的とする。

以下、本発明の実施例を添付図面に基いて詳細
に説明する。

第１図は本発明によるエンジン冷却水の加熱装
置が適用されたエンジンを示す概略図である。ラ
ジエータ１の下室２からエンジン３のウオーター
ジヤケツト４に至る間の冷却水循環路５の途中に
は、加熱装置Ｈが設けられている。この加熱装置
Ｈは、特に冬季等においてエンジン３の冷却水を
適宜の温度に加熱するもので、第２図に示すよう
に、ヒーター保持体６と、ヒーター７と、検知器
１５と、コントローラ１６とで構成されている。
上記ヒーター保持体６は、この加熱装置Ｈの本体
となるもので、亜鉛引き鋼、ステンレス鋼等の耐
腐食性の高い金属パイプで略Ｔ字状に形成され、
その一端部９と他端部１０とにおいて冷却水循環
路５を構成するラバーホース８の途中に連通連結
されると共に、その中間には略直角に突出する枝
管部１１を有している。そして、この枝管部１１
には、ヒーター７が取り付けられている。このヒ
ーター７は、その固定部１２によつて上記枝管部
１１の後端開口を閉塞して固定されており、この
固定部１２から前方に突設された略Ｕ字形棒状の
加熱部１３が枝管部１１の後端開口より該枝管部
１１内に直接嵌挿されており、エンジン３の停止
時にヒーター保持体６内に滞留するエンジン冷却
水を直接加熱することができるようになつてい
る。尚、図中符号１４は上記ヒーター７の電源コ
ードであり、通常、車庫内に設けられたコンセン
トに接続される。

上記ヒーター保持体６の連通連結部の側壁に
は、上述のようにして加熱されるエンジン冷却水
の温度を検出する検知器１５が設けられると共
に、この検知器１５からの検出信号を受けて上記
ヒーター７の加熱を制御するコントローラ１６が
ヒーター７の電源回路中に設けられている。した
がつて、上記コントローラ１６による制御値を所
望の温度に相当する値に設定することにより、エ
ンジン冷却水の加熱温度を略一定に保つことがで
きる。なお、検知器１５は、例えばサーミスタ等
の熱に敏感な抵抗体又は感熱半導体である。

このように構成されたエンジン冷却水の加熱装
置Ｈを使用するには、冬季等において例えば消防
ポンプ自動車、救急車等の緊急自動車等の待機時
に電源コード１４を車庫内のコンセントに接続し
ておけば、ヒーター７の加熱部１３によつて先ず
ヒーター保持体６の枝管部１１内に滞留するエン
ジン冷却水が直接加熱され、さらに上記ヒーター
保持体６の連通連結部及びラバーホース８を介し
てエンジン３のウオータージヤケツト４内やラジ
エータ１内に滞留するエンジン冷却水が対流を起
してそのエンジン冷却水を所定の温度に加熱する
ことができる。この場合、上記ヒーター７の加熱
部１３は、上記ヒーター保持体６の枝管部１１の
中に納まつて連通連結部には張り出していないの
で、冷却水循環路５内のエンジン冷却水の流れを
妨げることはない。なお、第２図ではヒーター７
の加熱部１３を略Ｕ字形の棒状のものとして示し
たが、本発明はこれに限らず、ヒーター保持体６
の枝管部１１内に納まるものであればどのような
形状であつてもよい。

本発明は以上のように構成されたので、ヒータ
ー保持体６に取り付けられたヒーター７をエンジ
ン停止時に通電して加熱することにより、エンジ
ン冷却水に対流を起こさせて該エンジン冷却水を
直接加熱することができる。特に、冬季の夜間等
であつても、消防ポンプ自動車、救急車、パトロ
ールカー、ガス事故対策車、輸血自動車等のよう
に適宜の日時待機していて緊急発進を必要とする
緊急自動車のエンジン冷却水の温度を適温に加熱
することができ、発進が遅滞すると急速に被害が
拡大することを常とする上記緊急自動車のエンジ
ンを迅速に始動させると共に、その緊急発進を可
能らしめることができる。また、上記ヒーター保
持体６は略Ｔ字状に形成されその枝管部１１にヒ
ーター７を取り付けたので、その加熱部１３は該
枝管部１１の中に納まつて冷却水循環路５内のエ
ンジン冷却水の流れを妨げることがない。従つ
て、エンジンが通常運転状態となつたときのエン
ジン冷却水の流れはスムーズであると共に、冬季
以外において加熱装置Ｈが不要のときも上記加熱
部１３の存在によつてエンジン冷却水の流れが制
限されることなく、エンジンのオーバーヒートの
原因にはならない。さらに、上記ヒーター保持体
６は耐腐食性金属で形成されているので、冬季等
において長時間の待機時にヒーター７に継続して
通電しても、該部分が腐食することなく長期間の
使用に耐えられる。さらにまた、ヒーター保持体
６の連通連結部に側壁には検知器１５を設けると
共に、ヒーター７の電源回路にコントローラ１６
を設けたので、上記検知器１５によつて加熱中の
エンジン冷却水の温度を検出でき、該検知器１５
からの信号を受けてコントローラ１６によつてヒ
ーター７の加熱を制御することができる。従つ
て、エンジン冷却水の加熱温度をコントローラ１
６で設定した略一定温度に制御することができ
る。このことから、エンジン冷却水の温度が上昇
し過ぎるのを防止できると共に、季節又は地域差
等によつてコントローラ１６の設定温度を任意に
選択することにより最適の加熱状態を得ることが
できる。また、消防ポンプ自動車の場合は、常備
消防団、非常備消防団の区別なく使用することが
でき、管理面及び安全性並びに効率性の点で優れ
ている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるエンジン冷却水の加熱装
置が適用されたエンジンを示す概略図、第２図は
上記エンジン冷却水の加熱装置を拡大して示す一
部断面した分解組立図である。 Ｈ…加熱装置、１…ラジエータ、２…ラジエー
タの下室、３…エンジン、４…ウオータージヤケ
ツト、５…冷却水循環路、６…ヒーター保持体、
７…ヒーター、８…ラバーホース、９…一端部、
１０…他端部、１１…枝管部、１２…固定部、１
３…加熱部、１４…電源コード、１５…検知器、
１６…コントローラ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ラジエータの下室からエンジンのウオーター
   ジヤケツトに至る間の冷却水循環路の途中に一端
   部と他端部とで連通連結されると共に略直角に突
   出する枝管部を有し且つ耐腐食性金属で略Ｔ字状
   に形成されたヒーター保持体を設け、このヒータ
   ー保持体の上記枝管部の中にエンジンの停止時に
   エンジン冷却水を加熱するヒーターの加熱部を直
   接挿入すると共にヒーターの固定部で上記枝管部
   の後端開口を閉塞して該ヒーターを枝管部に取り
   付け、上記ヒーター保持体の連通連結部のエンジ
   ン冷却水の温度を検出する検知器を設けると共
   に、上記ヒーターの電源回路に上記検知器からの
   信号を受けて該ヒーターの加熱を制御するコント
   ローラを設けたことを特徴とするエンジン冷却水
   の加熱装置。