JPS6118990Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は射出成形機の型開閉用油圧回路に関す
るものである。

射出成形機の型開閉行程においては、一般に、
可動盤が移動して可動側金型が固定側金型に接触
するとき、その接触に伴う衝撃によつて金型が損
傷されることを防止するために金型が接触する直
前に可動盤の速度を高速から低速へと変化させて
いる。このために従来は、油圧ポンプから型開閉
シリンダへの供給される油量を電磁切換弁を切換
ることによつて大油量から小油量へと急激に減少
させていた。従つて、第１図に示すように、可動
盤の速度も急激に変化することになる。その結
果、速度を変化させるときに騒音及び衝撃を発生
していた。また、金物と樹脂とを結合した製品を
得るインサート成形の場合には、可動側金型に前
もつて押入された金物が速度変化時の衝撃によつ
て金型から外ずれ落ちて金物のない不良製品が成
形されたり、外ずれた金物が可動側金型と固定側
金型との間にはさまつて金型を損傷することがあ
つた。

このような不具合を防止する方法とし、高速域
の速度をある程度小くして低速域との速度差を少
なくすることによつて速度変化時の衝撃を緩和す
る方法がある。しかし、高速域の速度を小さくす
ると、型閉行程の行程時間が長くなり、このこと
は生産性の低下につながるという欠点がある。

従つて、本考案は、このような従来の欠点を解
消した射出成形機の型開閉用油圧回路を得ること
をその目的とするものである。

以下、本考案をその実施例を示す添付図面の第
２図に基づいて説明する。

油圧ポンプ１の吐出側には、油圧を制御する圧
力制御弁２が設けられ、これによつて調圧された
圧力油は並列に配置された高速用流量制御弁３及
び低速用流量制御弁４を介して電磁切換弁５に導
びかれ、電磁切換弁５の出口は型開閉用電磁切換
弁６のＰポートに接続されている。型開閉用電磁
切換弁６のＡポート及びＢポートはそれぞれ、型
開閉シリンダ７の第１シリンダ室８及び第２シリ
ンダ室９に接続されている。型開閉シリンダ７の
ピストン１０には可動盤１１が連結され、この可
動盤１１には固定側金型１２に対向するように可
動側金型１３が取付けられている。型開閉用電磁
切換弁６の排出用Ｔポートと連通するタンク回路
１４はオイルクーラ１５を介してドレーンされて
おり、またこのタンク回路１４は流量制御弁１６
及びチエツク弁１７を介して第１シリンダ室８と
接触されている。なお、チエツク弁１７は流量制
御弁１６から第１シリンダ室８への流れのみを許
容する向きに配置されている。

この油圧回路は次のように作動する。

今、金型１２，１３が開いた状態にあるとし
て、電磁切換弁５のソレノイドａを消勢すると共
に型開閉用電磁切換弁６のソレノイドａを付勢す
ると、油圧ポンプ１からの圧力油は高速用流量制
御弁３を通つて型開閉シリンダ７の第１シリンダ
室８に導入され、これによつて可動盤１１は高速
で右方向への移動を開始し、型閉が行なわれる。
可動側金型１３が固定側金型１２に接触する少し
前の位置までくると、図示してないスイツチの作
用によつて電磁切換弁５のソレノイドａが付勢さ
れ、これによつて、第１シリンダ室８に送られる
圧力油は低速用流量制御弁４を通ることになり、
可動盤１１は低速型閉に移行する。この際、可動
盤１１には高速時の慣性があり、そのままの速度
で移動しようとするにもかかわらず、第１シリン
ダ室８に供給される油量は減少しているので、第
１シリンダ室８内の油圧は負圧になる傾向にあ
る。一方、第２シリンダ室９からの排出油は型開
閉用電磁切換弁６のＢポート、Ｔポートを通りタ
ンク回路１４に流され、更にオイルクーラ１５を
通つて排出されるが、この回路における抵抗のた
めにタンク管路１４には数Kg／cm²の圧力が発生す
る。この圧力のために、タンク管路１４の排出油
は流量制御弁１６及びチエツク弁１７を通つて、
負圧傾向にある第１シリンダ室８に流れ込む。従
つて、可動盤１１の速度は急激に変化することな
く、第３図に示すように、徐々に減衰して行く。
なお、この減衰に要する時間は、流量制御弁１６
を調節することによつて、所望の長さにすること
ができる。

次いで、可動盤１１の速度が、油圧ポンプ１か
ら低速用流量制御弁４を介して供給される油量に
相当する速度まで減衰すると、型開閉シリンダ室
７の第１シリンダ室８の圧力が上昇し、チエツク
弁１７が閉じられ、タンク管路１４からの油の流
れは止まり、可動盤１１の速度は低速用流量制御
弁４によつて制御される速度となり、金型１２及
び１３をゆるやかに接触させ型閉行程を完了す
る。なお、以上の説明は型閉行程について行なつ
たが、タンク管路１４を同様に流量制御弁及びチ
エツク弁を介して第２シリンダ室９の方に接続す
ると、型開工程において同様の効果を得るように
することができる。

以上の説明から明らかなように、本考案による
と、型開閉行程時の速度変化を円滑に制御するこ
とができ、騒音や衝撃を発生させることなく高速
の型開閉動作が可能になり、生産性を向上するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の油圧回路による可動盤の速度変
化を示す線図、第２図は本考案による油圧回路を
示す油圧回路図、第３図は本考案油圧回路による
可動盤の速度変化を示す線図である。 １……油圧ポンプ、２……圧力制御弁、３……
高速用流量制御弁、４……低速用流量制御弁、５
……電磁切換弁、６……型開閉用電磁切換弁、７
……型開閉シリンダ、８……第１シリンダ室、９
……第２シリンダ室、１０……ピストン、１１…
…可動盤、１２……固定側金型、１３……可動側
金型、１４……タンク回路、１５……オイルクー
ラ、１６……流量制御弁、１７……チエツク弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 射出成形機の型開閉用油圧回路において、油圧
   ポンプ１と型開閉用電磁切換弁６との間に設けら
   れた電磁切換弁５と上記油圧ポンプ１との間に高
   速用及び低速用流量制御弁３，４を並列に配置
   し、型開閉シリンダ７の第１及び第２シリンダ室
   ８，９への油圧の供給及び排出を切換える型開閉
   用電磁切換弁６の排出用ポートＴと接続されたタ
   ンク回路１４を、型閉行程用として流量制御弁１
   ６とこれに直列に配置されたタンク回路１４から
   の流れのみを通過させるチエツク弁１７とを介し
   て、上記第１シリンダ室８に接続したことを特徴
   とする油圧回路。