JPS6117734Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、立体的な変化に富んだ表面を有する
両面編地に関する。

従来、両面編地を編成するに際し、表側組織と
裏側組織をそれぞれ編成し、該表側および裏側組
織の適宜個所を結接する袋編の編方とした両面編
地が知られている。

しかしながら、従来の両面編地は、前記結接点
を模様状に配置せしめることにより、袋編の両面
編地の表面に変化を与えていたので、編方、組織
の制約からその変化柄には制限があり、自然な感
じのふくれ柄を得ることは不可能であつた。

本考案の目的は、かかる従来の問題を解決し、
自然な感じのふくれ柄を有する変り両面編地を与
えることにある。

即ち、本考案は、糸軸方向に沿つて行収縮部分
と低収縮部分とを有する熱可塑性合成繊維フイラ
メント糸Ａと、このフイラメント糸Ａより低い沸
水収縮率を有する糸Ｂとにより編成された両面編
地であつて、前記フイラメント糸Ａにより構成さ
れる部分と、前記低収縮糸Ｂにより構成される部
分とをそれぞれ編成し、該両部分を対向するよう
に編地の表裏に配置せしめ、且つ、適宜個所にお
いて両部分を結接せしめた袋編とし、且つ、該袋
編を構成する部分の少くとも１が針抜組織により
編成されていることを特徴とする変り両面編地に
ある。

以下、本考案を詳細に説明する。

本考案の両面編地は、第１図にその断面図を示
すようにの部分との部分を適宜個所で結接
せしめた袋編地の構造を有する。かかる編地は例
えば、第２図の編方図により示す編方で編成され
る。即ち、第１図の示した側は、第２図に示す
第１給糸、第２給糸（右側の数字は給糸番号を示
す）の糸により編成される。

又、第１図の示した側は、第２図に示す第３
給糸〜第６給糸の糸により編成される。第１図の
示す結接点は、第２図の□・で示すタツク編目に
より形成される。

第２図においてC₁，C₂，………C₆はシリンダ
ー針を、D₁，D₂，………D₆はダイヤル針を示
し、又□×印はシリンダー針による編成を、□Γ印は
ダイヤル針による編成を、〓印は針抜したことを
示す。

さらに、本考案では、前記のようにして袋編の
構造を有する編地の該袋編を構成する部分、即
ち、第１図ので示した側又はで示した側の少
なくとも１つが針抜組織により編成されている。
例えば、第２図の編方図ではダイヤル針D₄，
D₅，D₆が針抜されたものであり、かくて、この
針抜された部分は、編目が形成されない。

次に、本考案の編地に使用する糸の１つは、糸
軸方向に高収縮部分と低収縮部分とを有する熱可
塑性合成繊維フイラメント糸Ａである必要があ
り、この熱可塑性合成繊維フイラメント糸Ａは、
第１図に示すの側を編成する。

かかる高収縮部分と低収縮部分とを有する合成
繊維フイラメント糸Ａは、延伸糸を間歇的に熱処
理する方法、未延伸糸を自然延伸倍率以下で延伸
する方法、高配向未延伸糸を２次転移点温度以下
の低温度で予熱しながら低倍率延伸する方法等に
より得ることが出来る。

又、本考案の編地に使用する他の糸は、前記フ
イラメント糸Ａより低い沸水収縮率を有する熱可
塑性合成繊維フイラメント糸Ｂからなるものであ
り、この糸により第１図に示すの側を編成す
る。前記沸水収縮率の差は、10％以上あることが
好ましく、この差が10％未満では袋編に編成し、
後熱収縮させて、ふくれ調の編地とすることが困
難となる場合がある。

このようにして編成された両面編地は、染色、
仕上加工等で加えられる熱処理により、フイラメ
ント糸Ａの高収縮部分が収縮して、第１図の面
全体を収縮させるが、この際、フイラメント糸Ａ
の部分的な収縮により、低収縮繊維のフイラメン
ト糸Ｂで編成される面にふくれ柄を生じさせる
変り両面編地となる。

さらに、フイラメント糸Ａは、高収縮部分と低
収縮部分とがランダムに存在するものであるか
ら、このフイラメント糸Ａで編成される面に相
対する面は、前記のふくれ柄が、不規則模様を
呈し、自然な感じのふくれ柄となる。又この際、
ふくれ柄模様では、編地が重つて、編地に重い感
じを与え、風合として好まれない場合があるが、
本考案のごとく針抜きの編方とすることにより、
前記のフイラメントＡが針を抜いた長さだけ浮
き、抱束力を少となりふくれ柄模様の柄効果を向
上させると共に前記の編地の重複部分を減少せし
めて、編地に軽快さを与えるものである。又、袋
組織の編地では、両面編地であつても、結接点以
外は、編地が１重になつているから、「ラン」が
発生し易いが、前記のフイラメント糸Ａを使用す
ることにより「ラン」が発生し難く、編地の安定
に役立つものである。

尚、第１図に示すa′は、フイラメント糸Ａの高
収縮部分の編目部分を示し、これが「ラン」の発
生を防止する。

以下、実施例により説明する。

実施例 糸軸方向に高収縮部分と低収縮部分とを有する
熱可塑性合成繊維フイラメント糸Ａとして、ポリ
エステルフイラメント糸（94de／36fils）であつ
て、高収縮部分が58％、低収縮部分が12％、平均
が43％の沸水収縮率を有するものを使用し、低い
収縮率を有する熱可塑性繊維フイラメント糸Ｂと
して、ポリエステルフイラメント加工糸
（60de／36fils）であつて、平均12％の沸水収縮
率を有するものを使用して、編組織として、第２
図の編方図からなる袋組織の編地を編成した。

該編地を液流染色機にて、120℃の温度により
染色したところ、フイラメント糸Ｂで編成された
側には、凹凸のシワ状の表面が得られ、且つ、該
凹凸感は、極めて従来の人為的パターンにとらわ
れない自然な感じのするものであり、特異なふく
れ調の両面編地を得ることが出来た。又、該ふく
れ柄部分は、前記フイラメント糸Ａで編成する側
のダイヤル針が針抜きにより編成されているか
ら、ふくれ柄を有するに拘わらず軽やかに編地が
得られた。又、フイラメント糸Ａで編成された側
は、針抜きにより編成されたぬめり感の少ないス
パンライクなものであつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施態様を両面編地断面を
示す側面図、第２図は、第１図の両面編地の編成
法を示す編方図である。 ……フイラメント糸Ａで編成される編地部
分、……フイラメント糸Ｂで編成される編地部
分。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 糸軸方向に沿つて高収縮部分と低収縮部分とを
   有する熱可塑性合成繊維フイラメント糸Ａと該フ
   イラメント糸Ａより低い沸水収縮率を有する糸Ｂ
   とにより編成された両面編地であつて、前記フイ
   ラメント糸Ａにより構成される部分と、前記低収
   縮糸Ｂにより構成される部分とをそれぞれ編成
   し、該両部分を対向するように編地の表裏に配置
   せしめ、且つ、適宜個所において両部分を結接せ
   しめた袋編とし、且つ、該袋編を構成する部分の
   少くとも１が針抜組織により編成されていること
   を特徴とする変り両面編地。