JPS6116210Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は角度調整可能なステアリングコラムの
持上げ荷重を減少する方向に支持するスプリング
装置の簡素化及びスペース効率の向上等が図れる
チルトステアリング装置に関する。

従来、自動車用ステアリング装置において、ス
テアリングコラムの反ステアリングホイル側端部
をフロントボデイ部に枢支することによりそのス
テアリングコラムの俯抑角度を運転者の好みに合
わせて調整可能としたチルトステアリング装置が
知られている。このものでは、フロントボデイ部
に設けたブラケツト及びこのブラケツトに取付け
たロツクレバーによりステアリングコラムを任意
の俯抑角度位置に固定可能とし、かつステアリン
グコラムをスプリング装置により持上げ荷重を減
少する方向に支持して角度調整に伴なうステアリ
ングコラムの持上げ動作を手軽に行なえるように
するのが一般的である。

ところで、従来のチルトステアリング装置では
前述したスプリング装置として例えばステアリン
グコラムを下方から押上げる捩りコイルスプリン
グ等を設けているが、このスプリング或いはその
取付装置が複雑であると共に、ステアリングコラ
ムの下方空間に突出して、運転者の膝等に当たり
運転操作或いは乗降動作時の邪魔になる不都合を
生じる場合があつた。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもの
で、ステアリングコラムの下方に十分なスペース
をあけ運転者の邪魔にならない状態で取付けるこ
とができる構成の簡単なステアリングコラム押上
げ用のスプリング装置を備えたチルトステアリン
グ装置を提供することを目的とする。

このような目的を達成する本考案の特徴は、ス
プリング装置をステアリングコラムの両側部に配
置される一対の捩りコイルスプリングにより形成
するとともに、該スプリングのコイル部をコラム
中心を含む中立面より上方に配置し、各コイルス
プリングの端部をステアリングコラムと前記ブラ
ケツトに連結することによりステアリングコラム
をその側方位置にて前記ブラケツトに対し持上付
勢させたことにある。

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

まず、チルトステアリング装置全体の構成を第
１図及び第２図によつて概略的に説明する。ステ
アリングホイル１を取付けたステアリングコラム
２の反ステアリングホイル側端部をフロントボデ
イ部３に枢支し、その枢支部４を介してステアリ
ングコラム２の俯抑角度を調整可能としている。
このステアリングコラム２のステアリングホイル
側を、フロントボデイ部３に設けたブラケツト５
及びこのブラケツト５に取付けたロツクレバー６
によつて任意の俯抑角度位置に固定可能とし、か
つスプリング装置７によつてステアリングコラム
２を持上げ荷重を減少する方向に支持している。
また、ステアリングコラム２は自動車衝突時に運
転者を当接負傷から防護するため、衝突時軸方向
に収縮可能なメインシヤフト８を衝突エネルギ吸
収用のコラムチユーブ９で被覆したものにすると
共に、このステアリングコラム２を保持するブラ
ケツト５を、フロントボデイ部３に剪断容易なピ
ンを介して衝突時位置ずれ可能に取付けられたブ
レークアウエイブラケツトとしている。

枢支部４は、フロントボデイ部３からコラムチ
ユーブ９の両側位置に突出するアンダブラケツト
１２と、コラムチユーブ９からアンダブラケツト
１２の内側部に沿つて突出した可動ブラケツト１
３とを、軸１４によつて接続する軸受構造を有す
るものにしている。

次に、ステアリングコラム２の俯抑角度調整時
の持上げ荷重を軽減するためのスプリング装置７
及びステアリングコラム２を所定の角度位置に固
定するロツクレバー６について説明する。

スプリング装置７は例えば第３図〜第５図に示
すように、ブレークアウエイブラケツト５に支持
状態でステアリングコラム２の両側部に配置した
一対の捩りコイルスプリング３０を有するものに
している。即ち、ブレークアウエイブラケツト５
は、コラムチユーブ９の枢支部から所定距離ステ
アリングホイル側に位置した部位を両側から挾持
する一対の垂下する挾持片３１を有している。こ
の各挾持片３１の前端部のロツクレバー６よりも
高い位置にスプリング取付け用のフランジ３２を
夫々表面をステアリングコラム軸線に直交する平
面と略平行にして突設している。また、コラムチ
ユーブ９の両側部上面部位に、フランジ３２に対
応する前後配置で一対のスプリング掛止用の掛止
部材、例えば鳩目金具状ブツシユ３３を保持金具
３４を介して取付けている。そして、捩りコイル
スプリング３０のコイル部３５と平行な軸線に沿
つて円弧状に湾曲した該スプリング３０の一端３
６を、ブレークアウエイブラケツト５のフランジ
３２に締付具、例えばビス３７で締付けることに
より立上り状態に締付けると共に、該スプリング
３０の鈎状に折曲した他端３８をコラムチユーブ
９の鳩目金具状ブツシユ３３の孔に立下り状態
で、かつその掛止点を一端の締付点からステアリ
ングコラム軸線までの距離に差を設けて掛止して
いる。即ち、このスプリング３０は、ブレークア
ウエイブラケツト５の前部に一端３６を支持され
てステアリングコラム２の側方に撓み部としての
コイル部３５を配置する如く立上り、かつ他端３
８をステアリングコラム２の側部に連結したもの
とし、ステアリングコラム２の下方スペースを大
きく確保し得る構成にしている。このときコイル
部３５は、ステアリングコラム２の中心線を含む
中立面より上部に位置するように配設されるので
ある。それと共に、スプリング３０のブレークア
ウエイブラケツト５への支持部を、そのスプリン
グ３０の捩り軸線と平行な方向で対向する締付け
面を有する締付部材を介して固定し、ステアリン
グコラム２への連結部を単に掛止するだけのもの
にして、スプリング装置構成を簡素ながらも、捩
れ等による位置ずれ等の生じない強固なものにし
ている。

また、ロツクレバー６は、第６図に示すよう
に、ブレークアウエイブラケツト５の挾持片３１
の一方の外側部に装着したものである。ブレーク
アウエイブラケツト５の各挾持片３１は互の対向
方向に可撓性を有するものにし、コラムチユーブ
９の下半部に溶着したコラム支持部材３９を緊緩
可能に挾持するようにしている。コラム支持部材
３９はコラムチユーブ９に溶着した湾曲板部４０
の両側部に、各挾持片３１の対向面に摺接する被
挾持片部４１を折曲形成したもので、この被挾持
片部４１間に挾圧力保持用リブとしての管体４２
を溶着している。そして、ブレークアウエイブラ
ケツト５の各挾持片３１の対向部位にあけたステ
アリングコラム移動方向つまり上下方向に長い長
孔４３と、コラム支持部材３９の被挾持片部４１
の管体４２軸心部にあけた透孔４４とに、挾持片
３１同志を互に締付けるための締付ロツド４５を
挿通している。この締付ロツド４５は一端に挾持
片３１の一方の外側面と当接する大径頭部４６Ａ
及び長孔４３に係止してこの締付ロツド４５の回
り止めをする段部４６Ｂを有し、また、挾持片３
１の他の外側面への突出部である他端の外周部に
比較的ピツチの小さいねじ部４７を刻設してい
る。ロツクレバー６はこの締付ロツド４５のねじ
部４７に螺合され、ブレークアウエイブラケツト
５の挾持片３１の一方を他方に向けて締付けて、
ステアリングコラム２をコラム支持部材３９を介
して所定の俯抑角度位置に固定可能とする。

以上に述べた実施例の構成によれば、スプリン
グ装置７を、一端３６がブレークアウエイブラケ
ツト５の各挾持片３１の前部にビス３７によつて
止着支持されて夫々ステアリングコラム２の側方
に撓み部としてのコイル部３５を配置する如く立
上り、かつ他端３８がステアリングコラム２の側
部つまりコラムチユーブ９の側部に鳩目金具状ブ
ツシユ３３を介して連結した捩りコイルスプリン
グ３０を有するものにしたので、スプリング装置
がステアリングコラムの下方に配置された従来の
ものと異なり、運転者の膝などが乗降時や車両衝
突時に当たるような危険が回避できる。また、こ
のような構成によると、スプリング装置をチルト
操作用のロツクレバー６から独立して取付けたの
で、従来のロツクレバーのボス部にスプリング装
置を設けるようなものに比べて構成の簡単化が図
れ、しかも従来では殆んど利用されていなかつた
ステアリングコラム２の側方のデツドスペースを
利用するのでスペース利用率が向上できると共
に、スプリング装置取付部に余計な制約を受ける
ことが少なく設計自由度も拡大する。

なお、前記実施例ではスプリング３０を捩りコ
イルスプリングにしたが、本考案はそのようなも
のに限らず、撓み部をステアリングコラム２の側
方に配置させる板状の曲げスプリングによつても
実施できることは勿論である。

また、スプリング３０の各端の止着構成につい
ても、ビス止めと掛止めとを逆にしたり、或いは
両方共同じ止着手段を用いるなど適宜変更できる
ことも勿論である。

本考案は以上の実施例で詳述したように、ステ
アリングコラムの下方に十分なスペースをあけ、
運転者の邪魔にならない状態で取付けることがで
きると共に、構成の簡単化が図れるという実用的
効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すもので、第１図は
ステアリングコラム全体を示す正面図、第２図は
一部を断面にして示す第１図の底面図、第３図は
第１図の矢視図、第４図は第１図の矢視図、
第５図は第３図に示すスプリング装置の組立状態
を示す斜視図、第６図はロツクレバー部を示す断
面図である。 １……ステアリングホイル、２……ステアリン
グコラム、３……フロントボデイ部、４……枢支
部、５……ブラケツト（ブレークアウエイブラケ
ツト）、６……ロツクレバー、７……スプリング
装置、３０……スプリング、３５……撓み部、３
６……スプリングの一端、３８……スプリングの
他端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステアリングコラムの反ステアリングホイル側
   端部をフロントボデイ部に枢支することにより前
   記ステアリングコラムの俯抑角度を調整可能と
   し、フロントボデイ部に設けたブラケツト及びこ
   のブラケツトに取付けたロツクレバーにより前記
   ステアリングコラムを任意の俯抑角度位置に固定
   可能とし、かつ前記ステアリングコラムをスプリ
   ング装置により持上荷重を減少する方向に支持し
   ているチルトステアリング装置において、前記ス
   プリング装置をステアリングコラムの両側部に配
   置される一対の捩りコイルスプリングにより形成
   するとともに、該スプリングのコイル部をコラム
   中心を含む中立面より上方に配置し、各コイルス
   プリングの端部をステアリングコラムと前記ブラ
   ケツトに連結することによりステアリングコラム
   をその側方位置にて前記ブラケツトに対し持上付
   勢させたことを特徴とするチルトステアリング装
   置。