JPS6115873Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、寝たきり老人や身体の不自由な身体
障害者を搬送する際、車椅子あるいは担架等と乗
席相互の移乗に適用される身体障害者用等の自動
車のシート装置に関するものである。

従来、上述自動車には、車椅子あるいは担架等
に乗せたまゝで移乗・降できるようにしたものは
実施されている。

これは、車椅子あるいは担架等を載置可能とし
た昇降リフトを具備し、該リフトを電動又は、手
動操作によつて昇降するよう構成したものであ
る。

しかし、上述昇・降リフトを備えたものは、
昇・降リフト、その他の付属装置が大がかりなも
のとなる為天井の低い車を用いた場合は、移乗が
極めて困難となるから実用化するにはどうしても
中型車や大型車にならざるを得ないものであり、
為に価格が著しく高謄し、これが普及を妨げる大
きな原因となつている。

そこで乗席を引き出し装置により車外に引き出
し可能とした安価な構成により、車椅子、担架と
乗席相互の移乗が、看護人等によつて容易かつ、
安全に行なわれ得るようにしたものも、既に提案
されているが、これによるときは、乗席が車内で
の高さを保持したまま車外に引き出されてくるこ
とから、当該自動車が小型で、その車床も低い場
合は、引き出された乗席も、それほど地面から高
くないが、大型車とか特に車床の高い車であると
きは、乗車も可成り高位となつてしまい、この結
果病人等をかかえて座らせる作業が極めて困難ま
たは不可能となる欠陥がある。

本考案は上述自動車のシート装置を改良したも
のであつて、その目的とするところは、乗席を車
外に延出した状態にあつて、リフト装置を操作す
ることにより、当該乗席を傾斜下降そして水平復
帰自在としたシーソー装置を適切に組み付ける構
成とすることによつて、車床の高い自動車等にあ
つても車椅子、担架と乗席相互の移乗を簡単か
つ、容易にして安価に、しかも上記リフト装置の
設置により病人等に不安を与えることなく、安全
に行なわしめることにある。

以下本考案の一実施例を示した図面について詳
述すれば、第１図において、自動車１内には座席
等の乗席２を車体３のリヤー乗降口４若しくはサ
イド乗降口から引き出し可能な引き出し装置５
と、乗席２を車外に延出した状態で傾斜下降およ
び水平復帰可能とするシーソー装置６と、乗席２
を上記引き出し装置５と共にシーソー式に傾斜昇
降動作させるためのリフト装置２１とを配設して
構成したものである。

こゝで図示の引き出し装置５は、第１図、第２
図に示したように、下部レール７と、上部レール
８を相互に係嵌して形成したもので、該上部レー
ル８に乗席２を配設してある。

更に詳しくは、下部レール７および上部レール
８は、固定レール７ａ，７ａおよび横断面略コ字
形状のレール８ａ，８ａを外側に固定した支持部
材８ｂ，８ｂを相互に対応する間隔をもつて夫々
並行に連結部材７ｂおよび８ｃにて枠組みして
夫々形成してあり、上記下部レール７における固
定レール７ａ，７ａの内側には長手方向へ適宜間
隔毎に複数個のベアリング７ｃ……とガイド７ｄ
……を配置して、上部レール８における両レール
８ａ，８ａを長手方向へスライド自在に係嵌して
形成してある。

又、この引き出し装置５は、リヤー乗降口４方
向に向けて、下部レール７の後端両側を車床９に
シーソー装置６で枢着され乗席２を車外に引き出
し可能にかつ、乗席２を車外に延出した状態で前
後が交互に上下動して乗席２を路面近くまで傾斜
下降可能に、又水平復帰可能なるようにしてあ
り、乗席２への乗降以外のときは、水平状態で上
部レール８は下部レール７と共に車内に収納でき
てドア１０の開閉が自由に行なわれるようになつ
ていると共に、車外への引き出しエンドは、下部
レール７と上部レール８に適当なストツパー（図
示せず）を設けることによつて行なわれる。

こゝで上記シーソー装置６としては、車床９の
リヤー乗降口４近傍両側に第２図が示したような
金具１１，１１をボルト等にて固定し、該金具１
１，１１の軸孔１１ａ，１１ａに、下部レール７
の後端両側を軸１２により枢着して形成されてい
る。

又、上記リフト装置２１としては、図示のよう
に螺杆２２を回転して伸縮するジヤツキ、その他
縦型ジヤツキ、油圧ジヤツキ等が適用されるもの
で、何れの場合も、その可動部材２３と前記下部
レール７における固定レール７ａの略中央部等を
軸２４により枢着して引き出し装置５と共に乗席
２をシーソー式に傾斜昇降できるようにしてあ
る。

次に上記乗席２は、図示例による時は、第２図
に示したように、上部レール８における両側支持
部材８ａ，８ａの内側に、同レール８の引き出し
方向へ向けて横断面略コ字形状のレール８ｄ，８
ｄを固定し、該レール８ｄ，８ｄに、左右両側へ
ベアリング１４……とガイド１５……を夫々設け
た移動テーブル１３をスライド可能に係嵌し、こ
の移動テーブル１３の軸孔１６に回転軸１８を係
嵌して乗席２を支持してある回転テーブル１７を
回転自在に支承し、乗席２を回転自在とすると共
に、回転テーブル１７に設けたロツクレバー１９
を移動テーブル１３に設けた回転ストツパー２０
の円周方向へ適宜角度毎に設けてある複数個の凹
部２０ａ……に係脱自在に任意に係嵌すること
で、任意の向きに固定できるようにしてあるが、
この他、乗席２は第１図に示したように、引き出
し方向に向けて、又は引き出し方向に対して横向
き等、任意の向きに固定するようにしてもよい。

又、乗席２の出し入れは動力、手動により行な
うように設けられる。

以上説明したように本考案は、車内に設けられ
た引き出し装置上に、当該引き出し装置によつて
リヤー乗降口若しくはサイド乗降口から引き出し
自在とした乗席を設け、当該引き出し装置を、車
外に延出した状態で傾斜下降および水平復帰の上
下動が可能となるよう車体に枢支したシーソー装
置を介して、車内に取付けると共に、当該シーソ
ー装置を、上下動自在としたリフト装置が、車体
に設けられてなるものであるから、その乗席２
と、車椅子および担架等相互の移乗を乗席２は傾
斜状態で路面近くまで下降することによつて身体
障害者等を看護人等がだきかゝえて行なう場合、
低い位置において極めて容易にかつ、自動車の天
井が障害となることもなく安全に移乗させること
ができる。

そして、さらに本考案では乗席２が引き出され
た後、リフト装置２１により下降させる構成であ
るから、乗席２に座つている病人等は、返道など
においても引き出された際、不本意に降下してし
まうといつた不安感をもつことなく安心して看護
人にまかせることができ、上記の如き返道などで
も着座した病人を手動的に持ち上げるのでなく、
リフト装置２１の稼動で行い得るので、どのよう
な地形条件下でも容易にして、かつ安全に病人等
の乗りおり作業を行うことができ、リフト装置２
１も小型のもので事が足りるから安価に提供する
ことが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動車のシート装置の乗
席引き出し状態を示す斜視図、第２図は同シート
装置の一実施例を示した分解斜視図である。 ２……乗席、４……リヤー乗降口、５……引き
出し装置、６……シーソー装置、２１……リフト
装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車内に設けられた引き出し装置上に、当該引き
   出し装置によつてリヤー乗降口若しくはサイド乗
   降口から引き出し自在とした乗席を設け、当該引
   き出し装置を、車外に延出した状態で傾斜下降お
   よび水平復帰の上下動が可能となるよう車体に枢
   支したシーソー装置を介して、車内に取付けると
   共に、当該シーソー装置を、上下動自在としたリ
   フト装置が、車内に設けられてなる自動車のシー
   ト装置。