JPS6115288Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、操作用の流体圧がなくなつたとき
とか、手動調整が必要なときに手動操作可能なダ
イヤフラム式アクチユエータに関するものであ
る。

被制御体、例えばバルブなどを自動的に遠隔操
作するための作動機構として、圧力室をダイヤフ
ラムにより区画し、この圧力室に加えられる空気
圧によつてダイヤフラムを圧力変化させ、バルブ
のロツドをスプリング圧などに抗して開閉作動さ
せるようにした、いわゆるダイヤフラム式アクチ
ユエータがよく知られている。

ところで、このような装置においては、何らか
の原因で空気圧が低下してダイヤフラムへの作用
力がなくなつたり、あるいは手動調整が必要な場
合、ダイヤフラム上部に配設したプレートを手動
操作して、ロツドを上下作動させるように形成し
ているのであるが、この構成の場合、操作用空気
圧が途絶えているときに、前記プレートを手動操
作すると、圧力室の容積増加に伴ない内部圧力が
大気圧以下に低下するために、ダイヤフラムが同
時にプレートとは反対方向の大気圧を受け、この
結果、ダイヤフラムの一部を外側にたわませて形
成した周縁部、すなわち山部分が圧力室側に反転
して圧力室の容積変化を招き、その後の空気圧に
よる正常操作を不安定化させる不都合があつた。

そしてこのような不都合を是正して、簡単な構
成により手動操作時にダイヤフラムが大気圧の影
響を受けないようにするものとして、さきに実公
昭55−6964の提案をなくしたが、この提案の場
合、操作空気圧がなくならないとき、すなわち空
気圧操作にさからつて強引に手動操作したとき、
内部圧力が大気圧が大気圧以下にならないため
に、ダイヤフラムの山部分が反転することはない
が、このとき操作空気圧が大気中に放出されてし
まつて、圧力エネルギの損失となるほか、手動機
構をバルブの中間開度設定器、いわゆるストツパ
として利用するときにも、同様に操作空気圧が大
気中に放出されてしまつて使用不能となる欠点が
あつた。

この考案は従来のこのような欠点を除去し、圧
力エネルギ損失がなくて、しかも操作空気圧の有
無に拘わらず手動操作可能なダイヤフラム式アク
チユエータを提案するものである。

以下、この考案の一実施例につき、添付図面を
参照して詳細に説明する。

図において、ケース本体１は、上側ケース２と
下側ケース３とに分割されており、ねじなどの接
続部材１４によつて一体結合されている。このケ
ース本体１の内部は、環状周縁部４ａを有するダ
イヤフラム４により、操作空気圧の供給バルブ６
が接続された上側の圧力室５と、開口部８で大気
に連通する下側の大気室７との上下２室に区画さ
れている。ダイヤフラム４には大気室７を貫通す
るロツド９の上端部が固定されており、このロツ
ド９の下方への延設端はバルブなどの被制御体１
２に連結されている。またロツド９とともにダイ
ヤフラム４に固定されてダイヤフラムに大きな面
積で接触している支持板１０と、下側ケース３内
面との間には、空気圧とロツド９とをたわみ力に
よつて平衡させるばね１１が介装されている。

一方、前記圧力室５を形成する上側ケース２の
上面に固定された蓋体１５の中心部には、ダイヤ
フラム４の中心部に対向して上側ケース２の開口
１３に連続する段付きのプレート室１６が圧力室
５と連通して設けられており、このプレート室１
６内には、溝１９内に嵌入したＯリング２０で気
密保持された段付きのプレート１８が上下動自在
に嵌合されている。このプレート１８の上端部に
は、蓋体１５のねじ孔に螺合されたハンドル２２
付きのねじ棒２１が固定されており、外部からハ
ンドル２２を把持してねじ棒２１を回動操作する
ことによりプレート１８が上下動するように構成
されている。プレート１８の上昇限位置における
Ｏリング２０の反圧力室２側には、プレート室１
６と大気とを連通する通孔１７が開口されてお
り、またこの位置におけるＯリング２０の圧力室
２側には、操作流体圧導入通路としての前記供給
パイプ６とプレート室１６との間を仕切り弁２４
を介して連通する連通孔２３が開口されている。
そして、外部からの手動操作でプレート１８を上
下動させると、その下降位置ではダイヤフラム４
を押圧してこれを変形させるように構成されてい
る。

以上のように構成されたダイヤフラム式アクチ
ユエータの動作を説明する。仕切り弁２４が閉じ
られた状態で圧力室５へ操作空気圧が導入される
と、ダイヤフラム４がばね１１の弾発力に抗して
変形し、これと一体のロツド９が下降することに
より被制御体１２が作動する。この場合、プレー
ト１８は上昇限位置にあつて静止しており、圧力
室５はＯリング２０で気密にシールされている。

次に前記実施例構成における操作空気圧有無の
状態での各場合の手動操作について述べる。

（） 操作空気圧が何らかの理由によつてなく
なつた場合 この場合は、仕切り弁２４を開いておき、ハン
ドル２２の回動によりプレート２０でダイヤフラ
ム４を押圧して、ロツド９を操作させればよく、
このとき圧力室５はＯリング２０が連通孔２３の
位置を過ぎた時点で通孔１７により大気に開放さ
れるために、この圧力室５が大気圧以下に低下す
ることはなく、換言すると圧力室５と大気圧７と
が等圧になつて、ダイヤフラム周縁部４ａが大気
圧で反転せず、たとえ周縁部に山部分をもたない
ダイヤフラム４であつても、その後の作動の影響
する惧れがない。

（） 操作空気圧がある場合 この場合は、仕切り弁２４を閉じたまゝにして
おけば、通孔１７と連通孔２３間が密封されたま
まとなるので、ハンドル２２の回動により前記の
ようにロツド９をどの位置に作動させても、圧力
室５が大気に連通されることなく、従つて操作空
気圧の大気中への放出がなされず、圧力ネルギの
損失はなく、しかも圧力室５の圧力が大気室７で
の大気圧よりも大きいから、この手動機構を被制
御体１２がバルブであるときには、中間開度設定
器とし利用できることになる。

なおこゝで、操作空気圧の有無の確認は供給パ
イプ６に圧力計を装着しても、あるいは仕切り弁
２４を一旦開いてから手動操作を行ない、通孔１
７からの空気圧の放出をみても可能であり、通孔
１７からの放出があつたときには直ちに仕切り弁
２４を閉じればよい。

以上の説明により明らかなように本考案によれ
ばダイヤフラム式アクチユエータにおいて、圧力
室のダイヤフラム対向部に設けたプレート室内
に、外部からの手動操作で上下動するプレートを
シール部材を介して嵌合し、プレートの上昇限位
置におけるシール部材の両側に、大気とプレート
室とを連通する通孔と、操作流体圧導入通路とプ
レート室とを仕切り弁を介して連通する連通孔と
をそれぞれ開口するという簡単な構成により、操
作空気圧の有無にかわらず手動操作時でのダイヤ
フラムの作動を操作空気圧および大気圧の影響な
しに行なうことができ、手動操作後の空気圧によ
る正常操作が安定するとともに、操作空気圧の大
気中への放出がなく、圧力エネルギーの損失が減
少する。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係るダイヤフラム式アクチユエー
タの一実施例を示す断面図である。 １……ケース本体、４……ダイヤフラム、５…
…圧力室、６……供給パイプ、７……大気室、８
……開口、９……ロツド、１１……ばね、１２…
…被制御体、１５……蓋体、１６……プレート
室、１７……通孔、１８……プレート、２０……
Ｏリング、２１……ねじ棒、２２……ハンドル、
２３……連通孔、２４……仕切り弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケース本体内部をダイヤフラムにより区画し
   て、上側に操作流体圧を導く圧力室、下側に大気
   に連通した大気室を形成させると共に、前記圧力
   室に操作流体圧を加えて前記ダイヤフラムを下方
   に変位させ、このダイヤフラムに連結された被制
   御体を操作するようにしたダイヤフラム式アクチ
   ユエータにおいて、前記圧力室のダイヤフラム対
   向部に圧力室に連通して形成されたプレート室
   と、このプレート室に気密シール部材を介して嵌
   合され外部からの手動操作で上下動可能なプレー
   トであつて下降位置において前記ダイヤフラムを
   押圧変形させるプレート室と、上昇限近傍位置に
   ある前記シール部材の反圧力室側に位置し前記プ
   レート室と大気とを連通する通孔と、上昇限近傍
   位置にある前記シール部材の圧力室側に位置して
   前記プレート室に開口し圧力室への操作流体圧導
   入通路との間を仕切り弁を介して連通された連通
   孔とを設けたことを特徴とするダイヤフラム式ア
   クチユエータ。