JPS6114598Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は多気筒集合型シリンダヘツドに係り、
特にシリンダヘツドと排気マニホールドとを一体
として形成し、機関の軽量、小型化を図り、冷却
水の効率的循環を企図する、と共に、鋳造を容易
となした排気マニホールド内蔵型のシリンダヘツ
ドに関するものである。

従来、２以上の気筒を有する多気筒集合型の内
燃機関は第１図に明らかな如く、上下に摺動する
ピストン１を収容したシリンダ２の上部に吸、排
気弁、吸、排気ポート等を有するシリンダヘツド
３を備え、ロツカーアーム４の揺動により上下動
する排気弁５によつて燃焼室６から排出される排
気ガスは、上記排気弁５と連通する排気ポート７
を通り、上記シリンダヘツド３の側面８に固定し
た排気マニホールド９の枝部１０を経て、各気筒
に共通に連通する排気通路１１を通つて機関外へ
排出される。上記シリンダヘツド３は高温の燃焼
室６の上壁をなし、排気ポート７及び排気通路１
１は高温高圧の排気が通過するため、シリンダヘ
ツド３内には水ジヤケツト１２を、排気マニホー
ルド９内には水ジヤケツト１３を設けて、それぞ
れ各高温部を冷却している。しかし、上記の如く
シリンダヘツド３と排気マニホールド９とを別体
に鋳造したものでは、別々の水ジヤケツト１２及
び１３が必要となり、水ジヤケツトの形状が複雑
となり、水ジヤケツトを覆う壁体が多くなるため
機関全体が大型化する、と共に、機関重量の増加
及び製造価格の上昇を招来し、且つ、組立時の工
数が増加する。従つて本考案の第１の目的は、シ
リンダヘツドと排気マニホールドを一体として鋳
造し、水ジヤケツトを一連化することを可能とす
ることにより、シリンダヘツド、排気マニホール
ドの駄肉を取り、機関全体の軽量化、小型化及び
水ジヤケツトの形状を単純化することにある。又
叙上の如きシリンダヘツド３と排気マニホールド
９とが別体となつている従来のシリンダヘツドで
は、排気マニホールドの枝部１０の様に水ジヤケ
ツトに覆われない部分が存在するため、このよう
な部分に誤つて人手が触れることによる火傷の危
険性があり、かかる高温の枝部等に油が付着する
ことにより火災の生ずる虞れがあり、且つ、この
ような高温部分は著るしく耐久性が損われるとい
う不都合がある。従つて本考案の第２の目的は排
気マニホールドをシリンダヘツドと一体とするこ
とで、高熱部分をより広範囲に水ジヤケツトで覆
い、火傷や火災の危険性を解消し、部品の寿命を
延ばさんとすることにある。又シリンダヘツド及
び排気マニホールドを一連の水ジヤケツトで覆つ
た場合、冷却水の入口又は出口部分もシリンダヘ
ツドと一体化しているので、鋳造時におけるこの
部分の鋳砂抜きが困難であり、又中子の保持が難
かしく、鋳造技術上の問題が生じる。従つて本考
案の第３の目的は、上記した如き鋳造上の問題を
起さないシリンダヘツドの提供にあり、排気マニ
ホールドをシリンダヘツド内に一体として形成す
る、と共に、上記排気マニホールド及びシリンダ
ヘツドを覆う一連の水ジヤケツトの壁体の一部を
開放し、該開放部を脱着可能な冷却水蓋で密封し
た構成を特徴とするものである。

以下、更に第２図以降の添附図面を参照しつ
つ、実施例につき詳しく説明する。第２図は一実
施例であるシリンダヘツドの部分横断面図、第３
図は同正面図、第４図は同Ａ−Ａ矢視図である。
図は６気筒内燃機関の場合を示し、各気筒のシリ
ンダ中心２１，２１，……を横に一直線に配列し
たシリンダヘツド２３は各排気弁中心２５，２
５，……を中心として設けた図示しない６個の排
気弁とそれぞれ連通する６個の排気ポート２７，
２７，……を有しており、各排気ポート２７，２
７，……は上記シリンダヘツド２３をシリンダ中
心２１，２１，……の列に平行に設けた左右排気
マニホールド２９，２９に直角に連通しており、
上記排気マニホールド２９の前面壁３１、同上、
下面壁３３，３５及び前記排気ポート２７の上、
下面壁３７，３９は一連の水ジヤケツト４１によ
り覆われている、と共に、上記排気マニホールド
２９の前面壁３１を覆う水ジヤケツト４１の一部
である水ジヤケツト４１ａの前面に設けた開放部
４３ａはシリンダヘツド２３の正面部４３にボル
ト４５，４５により密着固設された冷却水蓋４７
により密閉されており、排気マニホールド２９の
左右両端部４８，４８の前面に設けた開孔４９，
４９には蓋部材５１，５１が装着されている。又
左右マニホールド２９，２９の中央部末端５３，
５３の前面壁５５，５５には開孔５７，５７が穿
設されており、上記前面壁５５，５５に密着固設
されたベンド管である排気集合管５９の排気通路
６１，６１が前記開口５７，５７に連通してい
る。

次に上記実施例の作用を説明すると、図外の冷
却水ポンプにより圧送された冷却用清水又は海水
は一連の水ジヤケツト４１内に流れ込み、排気ポ
ート２７の上面壁３７、排気マニホールド２９の
上面壁３３、同前面壁３１、同下面壁３５及び排
気ポート２７の下面壁３９に沿つて流れ、排気ポ
ート２７、排気マニホールド２９を冷却する。一
方図外の燃焼室より排出された排気ガスは、排気
弁を通つて各気筒に連通する排気ポート２７，２
７，……を通つて排気マニホールド２９で合流
し、開口５７，５７を経て排気集合管５９の排気
通路６１，６１より機関外へ排出される。又水ジ
ヤケツト４１内の水アカ等を除去するにはボルト
４５，４５を緩めて冷却水蓋４７を開けて行う、
と共に、排気マニホールド２９内を掃除するには
蓋部材５１を開放して行う。

本考案は以上述べた如く、シリンダヘツドと排
気マニホールドとを一体として鋳造等の手段によ
り形成し、水ジヤケツトを一体に連結しうるもの
であり、且つ、上記一体連結された水ジヤケツト
の壁体の一部を開放し、該開放部を脱着可能な冷
却水蓋で密封したものであるから、水ジヤケツト
を覆う壁体の一部を省略することができ、機関全
体の軽量化、小型化及び水ジヤケツトの形状を単
純化しうるものであり、経済的である、と共に、
水ジヤケツト内での冷却水の流れが円滑となり、
冷却効率及び冷却水ポンプの効率が向上し、且
つ、高熱部分が全て水ジヤケツトで覆われること
になつたため、誤つて火傷を負つたり、火災の生
じる危険性が解消され、更に、部品が高熱に曝さ
れることがなくなり、その寿命が著るしく増長す
ることとなつた。又水ジヤケツトを覆う壁体の一
部が開放されているため、鋳造技術上狭い水ジヤ
ケツトを形成するための中子を必要とせず、鋳砂
の抜き取りが極めて容易となり、且つ、排気マニ
ホールドの前面壁を覆う水ジヤケツトの外壁を着
脱可能な冷却水蓋により構成しているから、この
冷却水蓋を取外せば広い面積に渡つて水ジヤケツ
トを露出させることができるので、水ジヤケツト
内の水アカ等の掃除が著るしく容易に、且つ、広
範囲に行えるため、水アカの蓄積による冷却効率
の低下等の問題が解消されることとなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシリンダヘツド及び排気マニホ
ールドの断面図、第２図は一実施例であるシリン
ダヘツドの部分横断面図、第３図は同正面図、第
４図はＡ−Ａ線矢視側面図である。 ２３……シリンダヘツド、２９……排気マニホ
ールド、３１……前面壁、４１，４１ａ……水ジ
ヤケツト、４３ａ……開放部、４７……冷却水
蓋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツド内に排気マニホールドを一体形
   成してなる多気筒集合型シリンダヘツドにおい
   て、前記排気マニホールドの外周とシリンダヘツ
   ド内部とを、一連の水ジヤケツトにより覆い、か
   つ、前記排気マニホールドの前面壁を覆う水ジヤ
   ケツトの壁体の一部を開放して、該開放部を脱着
   可能な冷却水蓋で密閉すると共に、前記排気マニ
   ホールド内の排気通路の一部にシリンダヘツド外
   部と連通する開孔を設け、該開孔を開閉可能な蓋
   部材で閉鎖せしめたことを特徴とする排気マニホ
   ールド内蔵型シリンダヘツド。