JP4280345B2 - 汎用v型内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,汎用V型内燃機関に関し,特に,クランク軸の軸端側からの正面視で,クランクケースの上部にV字状に配置された第1バンク及び第2バンク間に,両バンクに混合気を供給する気化器を配置し,クランク軸の一端に固着された冷却ファンを収容するシュラウドを,これによりクランクケース及び両バンクの正面を覆うように配設したものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝる汎用V型内燃機関は,例えば特開昭53−92056号公報に開示されているように,既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示されている汎用V型内燃機関では,両バンク間の谷部の上方に,水平方向に偏平なエアクリーナを配置しており,燃料タンクの配置については考慮されていないので,燃料タンクは別途設置されるものと思われる。
【0004】
本発明は,大容量の燃料タンクを一体に備えるにも拘らず,各バンク及び気化器のみならず,燃料タンクの冷却をも効果的に行い得るようにした,前記汎用V型内燃機関を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,クランク軸の軸端側からの正面視で,クランクケースの上部にV字状に配置された第1バンク及び第2バンク間に,両バンクに混合気を供給する気化器を配置し,クランク軸の一端に固着された冷却ファンを収容するシュラウドを,これによりクランクケース及び両バンクの正面を覆うように配設した,汎用V型内燃機関において,前記気化器に供給すべき燃料を貯留する燃料タンクと,前記気化器の吸入空気を浄化するエアクリーナとを,これらが両バンク間の谷部の上方でクランク軸の軸方向に沿って隣接するように配置し,前記シュラウドを,これが前記気化器の正面を覆うように形成し,前記両バンク,燃料タンク及びエアクリーナにより前記シュラウド内部に連なる冷却風通路を前記谷部に画成したことを第1の特徴とする。
【0006】
この第1の特徴によれば,汎用V型内燃機関に,両バンクに干渉されることなく大容量の燃料タンクを一体に備えることができる。しかも,この燃料タンクは,両バンク,エアクリーナ及びシュラウドと協働して,シュラウド内に連なる冷却風通路を両バンク間の谷部に画成するので,冷却風通路の構成が簡単であると共に,冷却ファンからシュラウドを通して冷却風通路に圧送される冷却風により,両バンク及び気化器のみならず,燃料タンクの底面をも効果的に冷却することができる。したがって燃料タンクは,両バンクの上方に位置するも,両バンクによる加熱を回避することができる。
【0007】
また本発明は,上記特徴に加えて,前記シュラウドの直上に前記エアクリーナを配置して,このエアクリーナの吸入口を前記冷却風通路の上流側に開口したことを第2の特徴とする。
【0008】
この第2の特徴によれば,エアクリーナは,シュラウドを通過した比較的奇麗で且つ比較的低温な空気を吸入することになり,エアクリーナの寿命を延ばすと共に,機関の充填効率を高めて出力向上を図ることができる。
【0009】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記燃料タンクの,エアクリーナ側々面に,前記エアクリーナ及び気化器間を接続する吸気ダクトを受容する凹部を形成したことを第3の特徴とする。
【0010】
この第3の特徴によれば,吸気ダクトに干渉されることなく,燃料タンク及びエアクリーナの近接した隣接配置が可能となり,冷却風通路から燃料タンク及びエアクリーナ間への冷却風のリークを極力少なくすることができると共に,外観の向上に寄与し得る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の汎用V型内燃機関の正面図,図2は同内燃機関の,シュラウドを取り外した状態での一部縦断正面図,図3は図1の3−3線断面図である。
【0013】
先ず,図1及び図2において,汎用V型内燃機関Eは,クランクケース1の上部に,その正面視でV字状に配置される第1及び第2バンクB1 ,B2 が連設され,これらバンクB1 ,B2 の開き角度は,クランクケース1に支承されるクランク軸3を中心として90°に設定されている。またクランクケース1の底部に設置用フランジ1aが形成される。
【0014】
図2及び図3に示すように,第1及び第2バンクB1 ,B2 は,それぞれクランクケース1の上面に一体に連設されるシリンダブロック2と,このシリンダブロック2の上面に接合されるシリンダヘッド4とからなっている。クランクケース1の前後両側壁に支承されるクランク軸3は単一のクランクピン3aを備えており,これに各シリンダブロック2の単一のシリンダボア2aに嵌装されるピストン5がコンロッド6を介して連接される。
【0015】
クランク軸3の一端には冷却ファン17が取付けられ,他端は動力取出し部3bとされる。
【0016】
上記冷却ファン17を収容しながらクランクケース1,両バンクB1 ,B2 及び,両バンクB1 ,B2 間の谷部18の正面を覆うシュラウド19がクランクケース1及び両バンクB1 ,B2 に取付けられる。シュラウド19には,冷却ファン17に対面する部分に多数の同心円スリット状の冷却風入口20が設けられる。
【0017】
各シリンダヘッド4には,シリンダボア2aに開口する吸気ポート7及び排気ポート(図示せず)が形成されると共に,これらを開閉する吸気弁7A及び排気弁(図示せず)が設けられる。吸気ポート7及び排気ポートは,シリンダヘッド4の,クランク軸3の軸方向を向く両側面にそれぞれ開口しており,その両側面に吸気マニホールド10及び排気マニホールド(図示せず)がそれぞれ接合される。
【0018】
吸気マニホールド10は,その中央部に配置される分配チャンバ12と,この分配チャンバ12の両側壁から延出する一対の分岐管13,13とから構成され,それら分岐管13,13の下流端の連結フランジ13a,13aが対応するシリンダヘッド4にボルト14により接合され,これにより各分岐管13,13の内部が対応する吸気ポート7と連通される。また分配チャンバ12の上面に入口が設けられ,その上面に気化器15が取付けられる。こうして気化器15は,両バンクB1 ,B2 間の谷部18のシュラウド19側に寄った位置に配置される。この気化器15は,その吸気道を鉛直方向へ向けたダウンドラフト型に構成されている。この気化器15のメンテナンスを容易に行い得るように,シュラウド19の,気化器15に対面する部分は,着脱可能のリッド19aに構成される。
【0019】
この気化器15に供給すべき燃料を貯留する燃料タンク25と,この気化器15の吸入空気を浄化するエアクリーナ24とが,これらが両バンクB1 ,B2 間の谷部18の上方でクランク軸3の軸方向に沿って隣接するように配置される。その際,エアクリーナ24は燃料タンク25との隣接方向に偏平に形成されると共に,シュラウド19の直上に配置される。
【0020】
而して,両バンクB1 ,B2 ,燃料タンク25及び,エアクリーナ24は,シュラウド19内に連なる冷却風通路22を谷部18に画成し,この冷却風通路22は,シュラウド19と反対側が外部に開放した冷却出口21とされる。
【0021】
エアクリーナ24は,機関E外方側々面を開放したエアクリーナケース27と,このエアクリーナケース27に,その開放面を覆うように左右一対のクリップ26,26により着脱可能に結合されるエアクリーナカバー28と,これらエアクリーナケース27及びエアクリーナカバー28間に挟持されるエアクリーナエレメント29とを備えており,エアクリーナカバー28には,エアクリーナエレメント29の一側面が臨む未浄化室30が,またエアクリーナケース27には,エアクリーナエレメント29の他側面が臨む浄化室31がそれぞれ設けられる。またエアクリーナケース27の下部には,上記未浄化室30に連なると共に,前記冷却風通路22の上流側に開口する吸入口32が設けられ,さらに該ケース27の背面には,気化器15の吸気道に接続される吸気ダクト33が一体に突設される。
【0022】
このエアクリーナケース27の背面に隣接する燃料タンク25は,両バンクB1 ,B2 の頭部に立設される前後一対のブラケット34,34に取付けられて,両バンクB1 ,B2 及び谷部18の上面全体を覆うように配置される。この燃料タンク25の,エアクリーナ24側々面には,前記吸気ダクト33を受容する凹部35が形成され,また上面には,キャップ36を施す給油口25aが設けられる。
【0023】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0024】
各バンクB1 ,B2 の吸気行程時,エアクリーナ24の吸入口32から未浄化室30に流入した空気は,エアクリーナエレメント29により濾過されて浄化室31に移り,吸入ダクト33を経て気化器15に導入され,こゝで燃料を混合された後,吸気マニホールド10により各バンクB1 ,B2 に分配されて,対応する吸入ポート7,7へと吸入される。
【0025】
一方,冷却ファン17の回転により,シュラウド19の冷却風入口20に流入した外気即ち冷却風は,シュラウド19に誘導されて冷却風通路22へ圧送されるので,この冷却風通路22に臨む第1,第2バンクB1 ,B2 ,気化器15及び燃料タンク25を冷却して,冷却風出口21から外部へと排出される。
【0026】
ところで,燃料タンク25は,両バンクB1 ,B2 の上面及び谷部18全体を覆うようにして,両バンクB1 ,B2 に支持されるので,両バンクB1 ,B2 に干渉されることなく大容量の燃料タンク25の採用が可能となり,しかも相隣る燃料タンク25及びエアクリーナ24と,エアクリーナ24の直下に配置されるシュラウド19によって谷部18のみならず,気化器15を覆い隠すことができて,外観の向上を図ることができる。
【0027】
しかも,燃料タンク25は,エアクリーナ24及び両バンクB1 ,B2 と協働して,冷却風通路22を両バンクB1 ,B2 間の谷部18に画成するので,冷却風通路22の構成が簡単であると共に,上記のように冷却風通路22に圧送された冷却風により,両バンクB1 ,B2 及び気化器15のみならず,燃料タンク25の底面をも効果的に冷却することができ,燃料タンク25は,両バンクB1 ,B2 の上方に位置するも,両バンクB1 ,B2 による加熱を回避することができる。
【0028】
またシュラウド19の直上に配置されたエアクリーナ24の吸入口32は冷却風通路22の上流側に開口しているから,エアクリーナ24は,シュラウド19を通過した比較的奇麗で且つ比較的低温な空気を吸入することになり,エアクリーナ24の延命化を図ると共に,機関の充填効率を高めてその出力向上を図ることができる。
【0029】
さらに燃料タンク25の,エアクリーナ24側々面には,エアクリーナ24及び気化器15間を接続する吸気ダクト33を受容する凹部35が形成されるので,吸気ダクト33に干渉されることなく,燃料タンク25及びエアクリーナ24の近接した隣接配置が可能となり,冷却風通路22から燃料タンク25及びエアクリーナ24間への冷却風のリークを極力少なくすることができると共に,外観の向上に寄与し得る。
【0030】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,各バンクB1 ,B2 を多気筒型に構成することもできる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,汎用V型内燃機関に,その第1,第2バンクに干渉されることのない大容量の燃料タンクを一体に備えることができる。しかも,この燃料タンクは,両バンク及びエアクリーナと協働して,シュラウド内部に連なる冷却風通路を両バンク間の谷部に画成するので,冷却風通路の構成が簡単であると共に,冷却ファンからシュラウドを通して冷却風通路に圧送される冷却風により,両バンク及び気化器のみならず,燃料タンクの底面をも効果的に冷却することができ,したがって両バンクによる燃料タンクの加熱を回避することができる。
【0032】
また本発明の第2の特徴によれば,前記シュラウドの直上に前記エアクリーナを配置して,このエアクリーナの吸入口を前記冷却風通路の上流側に開口したので,エアクリーナは,シュラウドを通過した比較的奇麗で且つ比較的低温な空気を吸入することになり,エアクリーナの寿命を延ばすと共に,機関の充填効率を高めて出力向上を図ることができる。
【0033】
さらに本発明の第3の特徴によれば,前記燃料タンクの,エアクリーナ側々面に,前記エアクリーナ及び気化器間を接続する吸気ダクトを受容する凹部を形成したので,吸気ダクトに干渉されることなく,燃料タンク及びエアクリーナの近接した隣接配置が可能となり,冷却風通路から燃料タンク及びエアクリーナ間への冷却風のリークを極力少なくすることができると共に,外観の向上に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汎用V型内燃機関の正面図。
【図2】同内燃機関の,シュラウドを取り外した状態での一部縦断正面図。
【図3】図1の3−3線断面図。
【符号の説明】
1 ・・・第1バンク
2 ・・・第2バンク
E・・・・汎用V型内燃機関
1・・・・クランクケース
3・・・・クランク軸
15・・・気化器
17・・・冷却ファン
18・・・谷部
19・・・シュラウド
22・・・冷却風通路
24・・・エアクリーナ
25・・・燃料タンク
32・・・エアクリーナの吸入口
33・・・吸入ダクト
35・・・凹部

Claims (3)

  1. クランク軸(3)の軸端側からの正面視で,クランクケース(1)の上部にV字状に配置された第1バンク(B1 )及び第2バンク(B2 )間に,両バンク(B1 ,B2 )に混合気を供給する気化器(15)を配置し,クランク軸(3)の一端に固着された冷却ファン(17)を収容するシュラウド(19)を,これによりクランクケース(1)及び両バンク(B1 ,B2 )の正面を覆うように配設した,汎用V型内燃機関において,
    前記気化器(15)に供給すべき燃料を貯留する燃料タンク(25)と,前記気化器(15)の吸入空気を浄化するエアクリーナ(24)とを,これらが両バンク(B1 ,B2 )間の谷部(18)の上方でクランク軸(3)の軸方向に沿って隣接するように配置し,前記シュラウド(19)を,これが前記気化器(15)の正面を覆うように形成し,前記両バンク(B1 ,B2 ),燃料タンク(25)及びエアクリーナ(24)により前記シュラウド(19)内部に連なる冷却風通路(22)を前記谷部(18)に画成したことを特徴とする,汎用V型内燃機関。
  2. 請求項1記載の汎用V型内燃機関において,
    前記シュラウド(19)の直上に前記エアクリーナ(24)を配置すると共に,このエアクリーナ(24)の吸入口(32)を前記冷却風通路(22)の上流側に開口したことを特徴とする,汎用V型内燃機関。
  3. 請求項1又は2記載の汎用V型内燃機関において,
    前記燃料タンク(25)の,エアクリーナ(24)側々面に,前記エアクリーナ(24)及び気化器(15)間を接続する吸気ダクト(33)を受容する凹部(35)を形成したことを特徴とする,汎用V型内燃機関。
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