JPS6114122Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は外部を絶縁物で構成した回路しや断器
において短絡電流しや断時のアークガスが接点以
外の通電部や機構構成部品などの耐アーク性の低
い部分に直接触れ溶損しないようにして、しや断
性能を向上した回路しや断器に関するものであ
る。

第１図は従来の回路しや断器の側断面図であ
る。絶縁物でできたカバー１とケース２で外郭を
構成しハンドル３を操作することにより、ばね４
の力で開閉機構を動作せしめ、固定接点５から可
動接点６を開離する。短絡電流等の大電流が流れ
ると瞬時引外し素子が作動しばね４の力で瞬時に
可動接点６は固定接点５より開路し、消弧装置８
によつて発生したアークを消弧する。この時発生
する高温のアークガスＡは矢印×に示すように排
気孔よりしや断器外へ放出される。ばね４は接点
部より十分離れかつバーリヤ７でアークガスＡが
直接むれないようになつているため、短絡電流を
しや断した後も、その特性は大きく変化すること
なく開閉動作が可能である。

しかしながら、第２図に示すような分電盤用な
どの比較的小形の回路しや断器においては、スペ
ース上ばね４は固定接点５および可動接点６に非
常に近いところに取付けられ、又消弧室も小形に
なつている。従つて、第３図に示すように短絡電
流しや断時に固定接点５と可動接点６の間に発生
するアークは小さな消弧室内の圧力上昇により、
アークの駆動方向（第３図の下方向）だけでなく
逆方向（第３図の上方向）にも拡がり、そのアー
クによる高温のアークガスＡが直接ばね４や可動
接点５を一端に有する導体からなる可動片９、お
よび固定接点６を一端に有する導体からなる固定
片１０の接点以外の耐アーク性の低い部分（一般
に銅系材料からなる）にふれるため、ばね４は熱
変形したに溶けたりして開閉操作不能になり、可
動片９および固定片１０もアークによりその表面
が溶けしや断性能を著しく低下する欠点があつ
た。

本考案は前述の欠点をなくし、さらにしや断性
能を向上するようにした小形の回路しや断器を提
供することを目的とする。

以下、本考案を図面に示す実施例について説明
する。第４図において、１０は通電部を構成する
導体よりなる固定片、５は固定片１０の一端に銀
ロー付した固定接点である。１１はＬ字形に形成
した絶縁バーリヤで、１１ａは固定接点５が入る
ために絶縁バーリヤ１１に設けた孔である。一方
９は通電部を構成する導体よりなる可動片で、可
動接点６は可動片９の一端に銀ロー付され、また
可動片９の他端側は切込まれていてその切込部に
接点を開離するばね４が収つている。そして切込
部の奥にばね４を掛ける孔９ａが穿設されてい
る。１２は絶縁バーリヤで、リベート１３でもつ
て絶縁バーリヤの一端に設けた孔１２ａと可動片
９のばね４の掛け孔９ａと可動接点６の中間に設
けた孔を通して可動片９に固着される。絶縁バー
リヤ１１および１２はシリコンゴムを含浸したガ
ラスマツトあるいは薄いフアイバーやポリエステ
ル板のように曲げに対して弾性のある耐熱材料で
ある。このように、固定片１０においては固定接
点５以外の耐アーク性の低い部分が絶縁バーリヤ
によつて完全に覆われている。又、絶縁バーリヤ
１１をＬ字に形成しケース内面１４も覆うように
している。一般にケースはフエノール樹脂などで
構成されているためアークに触れると絶縁劣化す
るので絶縁バーリヤ１１はこの防止も兼ねるよう
にしている。この絶縁バーリヤ１１は弾性がある
のでＬ字の曲げ角度の寸法精度を必要とせず、又
取付場所の形状に合うように消弧装置８で固定で
きる。可動片９においては可動接点６以外の耐ア
ーク性の低い部分およびばね４が絶縁バーリヤ１
２によつて覆われている。開閉操作時可動片９と
ばね４の相対位置が変化するが絶縁バーリヤ１２
には弾性があるので開閉操作時のばね４の動きを
制約することがないようにしている。

以上の部品を使用した回路しや断器に短絡電流
が流れた場合、第５図に示すように固定接点５と
可動接点６の間に発生したアークは消弧装置８に
より冷却消弧するが、この時発生した高温のアー
クガスＡは絶縁バーリヤ１１および１２により直
接ばね４、可動片９および固定片１０にふれるこ
とがないため、ばね４は熱変形したに溶けて開閉
操作が出来なくなることはなく、又アークの足が
アーク駆動方向と逆方向、すなわち可動片９と固
定片１０の方向に拡がつても可動片９と固定片１
０の表面が熱で溶けることがないため、従来より
大きなしや断性能を有する高性能の小形の回路し
や断器を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の大形回路しや断器の側断面
図、第２図は分盤用の小形回路しや断器の側断面
図、第３図は第２図に示した小形回路しや断器に
短絡電流が流れた時の消弧部の説明図、第４図は
本考案の構成部品を示す斜視図、第５図は本考案
の実施例を示す側断面図である。 １……カバー、２……ケース、３……ハンド
ル、４……ばね、５……固定接点、６……可動接
点、８……消弧装置、９……可動片、１０……固
定片、１１，１２……絶縁バーリヤ、１３……リ
ベツト、１１ａ……絶縁バーリヤの孔、１４……
ケース内面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定接点を有する固定片と、この固定接点に接
   離する可動接点を有する可動片と、この可動片を
   ハンドルを操作する外力によつて作動するリンク
   装置と、短絡電流によつて作動する引外し素子
   と、この引外し素子に連動して前記リンク装置の
   係合を解離して閉路状態にある可動片を開路する
   引外し装置と、これらを収納するカバーとケース
   とで構成される筐体とからなる回路しや断器にお
   いて、前記固定片の固定接点部分を除いたアーク
   に触れる部分と固定片を装着した面と隣接するケ
   ース内面のアークに触れる部分とを覆うようにそ
   の一辺に固定点が入る孔を設けたＬ字形に形成し
   た弾性のある耐熱材料の絶縁バーリヤを装着する
   ことともに、対峙した前記可動片のアークに触れ
   る部分と前記引外し装置のばねとを覆うように弾
   性のある耐熱材料で形成した絶縁バーリヤを可動
   片の可動接点の近傍にその一端を固着して設けた
   ことを特徴とする回路しや断器。