JPS6113782Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、機械式デイスクブレーキの隙間自動
調整装置に関するものである。機械式デイスクブ
レーキに於て、機械的推力機構によつてパツドを
ロータに押圧して制動する形式がある。かかる形
式に於ては、カム等の一定回動角度に対して制動
力が一定であることが望ましく、そのためのパツ
ドの摩耗につれてパツドとロータ間の隙間を自動
調整する装置が種々提案されている。

本考案は、隙間自動調整装置に於て、調整代が
過大となることを防止するために、アジヤスタケ
ースを使用し、ホールドナツトとアジヤステイン
グナツト、及びアジヤステイングナツトとアジヤ
ステイングスクリユとの２段階調整による隙間自
動調整装置を提供するものであり、その構成は次
の通りである。すなわち、キヤリパボデイ内に、
回動を拘束し、かつ軸線方向の移動を所定隙間に
制約させて配設されたアジヤスタケースに、アジ
ヤステイングナツトとホールドナツトを可逆ねじ
結合させ、かつアジヤステイングナツトとアジヤ
ステイングスクリユとを可逆又は非可逆ねじ結合
させて内蔵し、ホールドナツトはアジヤステイン
グナツトに対して回転しその背面をアジヤスタケ
ースの内面に押圧当接自在とし、アジヤステイン
グナツトはアジヤステイングスクリユに対して回
転して機械的推力装置に係合されたロツドに押圧
当接自在とし、アジヤステイングスクリユの先端
をパツド裏金に当接させると共に、アジヤスタケ
ースをロツドとの間に設けたアジヤステイングス
プリングにて前記所定隙間を縮小する方向に付勢
し、ホールドナツトをホールドスプリングにてア
ジヤスタケースに当接するように付勢し、アジヤ
ステイングナツトをウエーブスプリングにてロツ
ドに向けて付勢し、ホールドスプリングとウエー
ブスプリングとの圧縮反撥力の和をアジヤステイ
ングスプリングの圧縮反撥力より大きく設定した
機械式デイスクブレーキの隙間自動調整装置であ
る。

しかして、機械的推力装置を外力にて作動させ
れば、ロツドを介してアジヤステイングナツトお
よび該ナツトに螺合するアジヤステイングスクリ
ユを一体的に先方に移動させると共に、アジヤス
タケースはアジヤステイングスプリングに押圧さ
れて所定隙間を縮小させて移動して、制動作動が
なされる。

パツドが摩耗していると、アジヤスタケースの
所定隙間の移動後更に、ロツドはアジヤステイン
グナツト及びアジヤステイングスクリユを伴つて
移動し、ホールドナツトがアジヤスタケースから
離れ、アジヤステイングナツトに可逆ねじ結合す
るホールドナツトはホールドスプリングの反撥力
を受けてアジヤステイングナツトに対して回転
し、その背面をアジヤスタケースの内面に押圧当
接する。

制動を解除すれば、ホールドスプリングとウエ
ーブスプリングとの反撥力の和がアジヤステイン
グスプリングの反撥力に勝るため、アジヤスタケ
ースは元位置に復帰して、所定隙間を確保する。
その際、ホールドナツトがアジヤスタケースに押
圧当接した後は、アジヤステイングナツトはウエ
ーブスプリングの反撥力にてロツド方向に押さ
れ、ホールドナツト及びアジヤステイングスクリ
ユに対して回転し、ロツドに押圧当接する。この
結果、アジヤステイングスクリユを先方へ若干押
出して、パツド間隔を自動調整することができ
る。

なお、アジヤステイングナツトのホールドナツ
トと螺合するねじのピツチとアジヤステイングス
クリユと螺合するねじのピツチとの比を適宜選定
することにより、オーバアジヤストしにくい隙間
自動調整装置とできる。

以下図面に基づいて実施例説明する。

１はデイスクブレーキのキヤリパボデイで、２
は、アウターパツドで、３は、インナーパッドで
ある。４ａは、パツド押圧部材で、アジヤステイ
ングスクリユ４の先端と一体に、又は一体的に結
合されてインナーパッド３に当接している。アジ
ヤステイングスクリユ４は、その後端外周に螺刻
されたねじにより、アジヤステイングナツト１４
と可逆又は非可逆ねじ結合により螺合している。
又、アジヤステイングナツト１４は、その外周に
螺刻されたねじによりホールドナツト１５と可逆
ねじ結合にて螺合している。１０は、アジヤスタ
ケースであり、その前端部にはフランジ１０ｄが
形成され、その後面の環状面１０d′は、キヤリパ
ボデイ１の段付部１ａに当接し得る。又環状面１
０d′の一部には突出部１０ａが形成され、これが
キヤリパボデイ１に形成された回り止め溝１ｂに
係合してキヤリパボデイ１に対する回動を拘束し
ている。又中央部には円錘部１０ｂが形成され、
後端の底部にはロツド１７が挿入される孔１０ｃ
が穿設されているが、該孔１０ｃは、ロツド１７
の外周軸線方向に設けた突起１７ｂと係合し、ロ
ツド１７の回動を抑止する切欠１０c′を有する。
ロツド１７は、制動時に外力によりてこ２１を介
してカム２０を回動させてコネクテイングリンク
１８を図上にて左方へ移動さす機械的推力装置の
作動によりアジヤステイングナツト１４を図上に
て左方へ移動さすべくその先端円錘面１７ａに
て、アジヤステイングナツト１４の後端の円錘面
１４ａに当接している。

５は、キヤリパボデイ１に固定された止め輪で
あり、止め輪５に係止されたワツシヤ６はホール
ドスプリング１１及びウエーブスプリング７の座
を兼ねると共に、非制動時にはアジヤスタケース
１０の前端面１０d″との間に所定隙間Ａを保有
し制動時にはアジヤスタケース１０の進行を制限
する当接板の作用を有する。８及び１２はベアリ
ング受で、９，１３はベアリングである。又ロツ
ド１７に係止されたワツシヤ１９とアジヤスタケ
ース１０の円錘部１０ｂの外周面との間にアジヤ
ステイングスプリング１６が圧縮反撥力を与えら
れて介装されている。ここに、ウエーブスプリン
グ７とホールドスプリング１１の押圧力の和は、
アジヤステイングスプリング１６の押圧力よりも
大なる如くに設定されている。

２２は、キヤリパボデイ１とカム２０間に介在
するベアリングであり、カム２０の回動を円滑に
する。

２３は、てこ２１の戻しばねであり、２４は、
ダストシールである。

次に本考案に係る隙間自動調整装置付機械式デ
イスクブレーキの作動について説明する。

制動時に、外力により機械的推力装置を作動さ
すと、すなわちてこ２１によりカム２０が回動
し、コネクテイングリンク１８が、図上にて左方
へ押され、ロツド１７は、ワツシヤ１９を介して
アジヤステイングスプリング１６を圧縮し、かつ
ロツド１７の先端円錘面１７ａに当接するアジヤ
ステイングナツト１４及びアジヤステイングナツ
ト１４に螺合するアジヤステイングスクリユ４を
図上にて左方に一体的に移動さす。この際にアジ
ヤスタケース１０は、キヤリパボデイ１に固定さ
れた止め輪５に係合するワツシヤ６に当接して所
定隙間Ａが零となるまで一体的に移動する。パツ
ド２，３が摩耗してアジヤスタケース１０が、ワ
ツシヤ６に当接しても、なおかつパツド２，３が
図外のロータを押圧し得ない場合には、更に、ロ
ツド１７は、アジヤステイングナツト１４及びア
ジヤステイングスクリユ４を伴つて図上にて左方
へと移動する。するとホールドナツト１５の背面
である円錐部１５ａは、アジヤスタケース１０の
円錐部１０ｂ内面から離れる、するとアジヤステ
イングナツト１４に可逆ねじ結合するホールドナ
ツト１５は、ホールドスプリング１１の圧縮反撥
力による推力を、ベアリング受１２及びベアリン
グ１３を介して受けてアジヤステイングナツト１
４上をアジヤスタケース１０に当接するまで回転
し押し戻される。かかる作動は、アジヤスタケー
ス１０が、ワツシヤ６に当接した状態に於てロツ
ド１７の図上での左方への移動に対応して続行さ
れる。

ついで、制動を緩めるために、外力が除去さ
れ、戻しばね２３の復元力によりてこ２１が復帰
すると、アジヤスタケース１０は、ホールドスプ
リング１１及びウエーブスプリング７の圧縮反撥
力の和が、アジヤステイングスプリング１６の圧
縮反撥力に勝るために、アジヤスタケース１０の
フランジの後面の環状面１０d′がキヤリパボデイ
１の段付部１ａに当接するまで、図上にて右方へ
押し戻される。

次に、アジヤステイングナツト１４とアジヤス
テイングスクリユ４との作動について述べる。制
動時、すなわち、コネクテイングリンク１８が図
上にて左動して、所定隙間Ａを越えるべくコネク
テイングリンク１８を移動させた場合には、ホー
ルドナツト１５がアジヤステイングナツト１４上
を回転して図上にて右方へ押し戻されるので、ア
ジヤステイングナツト１４は、図上にて逆に左方
へとパツドの摩耗分だけ送り出されている。制動
を解除し、コネクテイングリンク１８を復帰させ
てアジヤスタケース１０がキヤリパボデイ１に当
接した時点で、アジヤステイングナツト１４は、
ロツド１７の円錐部１７ａとの係合を離脱し、よ
つてアジヤステイングナツト１は、ウエーブスプ
リング７の圧縮反撥力によりベアリング受８及び
ベアリング９を介して図上にて右方へと押圧され
る。この際にホールドナツト１５は、その円錐部
１５ａにてアジヤスタケース１０の円錐部１０ｂ
に当接して固定されているために、アジヤステイ
ングナツト１４は、ホールドナツト１５及びアジ
ヤステイングスクリユ４に対して回転しながらロ
ツド１７の円錐部１７ａに当接して停止する。

従つて、アジヤステイングスクリユ４を図上に
て左方へ押出すことになり、パツド押圧部４ａは
図上にて左方へ移動してパツド２，３間隔は調整
される。ところで、アジヤステイングスクリユ４
とアジヤステイングナツト１４との螺合を非可逆
ねじ結合とすれば、制動時に於けるアジヤステイ
ングナツト１４の回転力の発生が確実に防止で
き、従つて誤作動を惹起しない安定したアジヤス
ト性能が得られる。

又アジヤステイングナツト１４のホールドナツ
ト１５と螺合するねじのピツチとアジヤステイン
グスクリユ４と螺合するねじのピツチとを相互に
一致させれば１回の制動により完全なアジヤス
ト、すなわちワンシヨツトアジヤストでき、アジ
ヤステイングスクリユ４と螺合するねじのピツチ
を小とすれば、そのピツチに比例してのアジヤス
ト、すなわち、マイクロアジヤストすることとな
る。

かくて、上記ピツチ比を適宜選定することによ
りオーバアジヤストしにくいオートアジヤスト装
置となる。

以上の説明により理解される如く、本考案に係
る隙間自動調整装置に於ては、アジヤスタケース
とキヤリパボデイ間の隙間で基準のパツドストロ
ークを定め、ホールドナツトとアジヤステイング
ナツト間の可逆ねじ結合によるアジヤステイング
ナツトの送り出しによりパツド摩耗量に対応する
最大の調整代を定め、アジヤステイングナツトと
アジヤステイングスクリユとの可逆又は非可逆ね
じ結合により上記最大調整代範囲内に於てロータ
とパツド間の隙間調整がなされるので調整代が過
大となることを防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る隙間自動調整装置付機械
式デイスクブレーキの断面図で、第２図は、アジ
ヤスタケースの側面図で、第３図は、同正面図で
ある。 １……キヤリパボデイ、４……アジヤステイン
グスクリユ、７……ウエーブスプリング、１０…
…アジヤスタケース、１４……アジヤステイング
ナツト、１５……ホールドナツト、１６……アジ
ヤステイングスプリング、１７……ロツド、１８
……コネクテイングリンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キヤリパボデイ内に、回動を拘束し、かつ軸線
   方向の移動を所定隙間に制約させて配設されたア
   ジヤスタケースに、アジヤステイングナツトとホ
   ールドナツトを可逆ねじ結合させ、かつアジヤス
   テイングナツトとアジヤステイングスクリユとを
   可逆又は非可逆ねじ結合させて内蔵し、ホールド
   ナツトはアジヤステイングナツトに対して回転し
   てその背面をアジヤスタケースの内面に押圧当接
   自在とし、アジヤステイングナツトはアジヤステ
   イングスクリユに対して回転して機械的推力装置
   に係合されたロツドに押圧当接自在とし、アジヤ
   ステイングスクリユの先端をパツド裏金に当接さ
   せると共に、アジヤスタケースをロツドとの間に
   設けたアジヤステイングスプリングにて前記所定
   隙間を縮小する方向に付勢し、ホールドナツトを
   ホールドスプリングにてアジヤスタケースに当接
   するように付勢し、アジヤステイングナツトをウ
   エーブスプリングにてロツドに向けて付勢し、ホ
   ールドスプリングとウエーブスプリングとの圧縮
   反撥力の和をアジヤステイングスプリングの圧縮
   反撥力より大きく設定したことを特徴とする機械
   式デイスクブレーキの隙間自動調整装置。