JPS6113358B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、誘導子コイルの電磁誘導作用によ
り、たとえば鉄鋼圧延ラインにおけるスラブ、ホ
ツトバー、あるいはストリツプ等の被加熱物を加
熱する平面加熱形誘導加熱装置の誘導子コイル装
置に関するものである。

第１図ＡおよびＢは従来のこの種誘導加熱装置
の誘導子コイル装置を示す正断面図と側断面図
で、１はほぼＥ字形の硅素鋼板を所定厚さに積層
して構成された積層鉄心で、この積層鉄心１間に
は、第１図Ｂに示すように、積層鉄心内で発生し
た熱を冷却するための複数の水冷銅板２が所定間
隔をあけて介装されている。３は上記積層鉄心１
と水冷銅板２とを積層方向に貫通してこれらを一
体に締付け固定するための複数の絶縁ボルトで、
この各絶縁ボルト３は図示しない絶縁チユーブと
絶縁ワツシヤとによつて積層鉄心１と水冷銅板２
とに電気的に絶縁するように構成されている。ま
た、上記積層鉄心１の中央脚部１ａに所定回数巻
回された誘導子コイル４は、外表面に絶縁処理を
施し、しかも内部に冷却水を流通させるようにし
た中空銅管によつて構成されている。５は上記積
層鉄心１と、誘導子コイル４とを包蔵するように
これを埋設した耐熱コンクリートで、この耐熱コ
ンクリート５は誘導子コイル４の電磁誘導作用に
よつて加熱された被加熱物６の熱から積層鉄心
１、絶縁ボルト３、および誘導子コイル４等を保
護するために設けられたものである。

なお、上述した誘導子コイル装置は、被加熱物
６の上面にのみ所定間隙をあけて対向させた場合
について述べたが、一般に上記のように構成され
た単体の誘導子コイル装置を、被加熱物５の上面
と下面はもちろん、この被加熱物６の両側面にも
配置して、この被加熱物６を周囲から同時に誘導
加熱するように構成されている。そして、上記各
誘導コイル装置の誘導子コイル３に所定の交流電
流を流すことによつて発生した交番磁束ｂは、積
層鉄心１内と被加熱物６内を通る閉回路を通過
し、この被加熱物６内に生じる渦電流によるジユ
ール熱によつて被加熱物が温度上昇する。なお、
このとき積層鉄心１内もジユール熱によつて温度
上昇するが、これは水冷銅板２によつて冷却され
るようになされている。

一般に上述した積層鉄心１の場合、その両積層
端部には、相当の剛性を有する端板を重合させ、
かつ締付ボルトにより積層方向に締付けて両端部
の薄い硅素鋼板がめくれないようにする必要があ
るが、従来この種誘導加熱装置における誘導コイ
ル装置においては交番磁束の乱れがはげしくなる
ため、積層鉄心１の端板として鉄板を使用するこ
とができず、水冷銅板２を端板として利用してい
るが、乱れた交番磁束が、この水冷銅板２に鎖交
する量がきわめて多いため、銅板の冷却不足が発
生し、これが赤熱することがあり、かかる現象は
当然誘導子コイル４の電気効率を著しく低下させ
る欠点となつていた。

この発明はかかる点に着目してなされたもの
で、積層鉄心の両積層端部に重合させる端板とし
て、たとえば500℃以上の耐熱性を有する絶縁板
を用いて上述した欠点を排除するようにした誘導
加熱装置を提供しようとするものである。

すなわち、第２図Ａ，Ｂはこの発明の一実施例
を示す正断面図と側断面図であるが、上述した従
来のもの（第１図）と同一符号は同一構成部材に
つきその説明を省略する。

７，７は積層鉄心１の両積層端部に重合された
耐熱絶縁板で、この両耐熱絶縁板７，７は中間部
に所定間隔をあけて複数の水冷銅板２を介装した
硅素鋼板からなる積層鉄心１と共に、積層方向に
貫通する複数の絶縁ボルト３によつてこの積層鉄
心１に一体に締付固定されており、この耐熱絶縁
板７としては、500℃以上の耐熱度を有し、一般
に「ミオレツクス」と呼ばれている亜鉛酸化物硼
酸結合複合体、シリカボード、アルミナボード、
マグネシヤボード、または繊維状セラミツクと有
機バインダとの加圧成形品、あるいは炭火硅素、
アルミナ、ステアタイト、焼成セラミツク板等を
用いればよい。

以上述べたように、この発明は積層鉄心１の両
積層端部に重合させる端板として耐熱絶縁板７，
７を用いるようにしたので、この耐熱絶縁板７が
非導電体であるため、その発生損失がきわめて少
なく、従来のように誘導子コイル４の電気効率を
著しく低下させるようなことのないことはもちろ
ん、誘導加熱装置の各部品の損傷を未然に防止
し、しかもこれらの寿命を著しく延長させること
ができる効果も有している。また、積層端部の硅
素鋼板の積層厚さを適当に選択すれば、水冷銅板
２の冷却によつて安全限界内に積層鉄心の温度上
昇を抑えることが可能でであるばかりでなく、積
層鉄心１、絶縁ボルト７、および誘導子コイル４
等を耐熱コンクリート５内に埋設して、これらを
被加熱物６からの高温輻射熱から保護するように
しているから従来のように、積層鉄心１の両積層
端部をことさら水冷銅板で水冷する必要はない。

なお、この発明は上述した誘導加熱装置の積層
鉄心保護だけでなく、たとえば電気溶接装置の溶
接部焼鈍に用いられるシームアニーラ用鉄心の保
護にも適用し得られることはいうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図ＡおよびＢは従来の誘導加熱装置を示す
正断面図と側断面図、第２図ＡおよびＢはこの発
明の一実施例を示す正断面図と側断面図である。 図面中、１は積層鉄心、２は水冷銅板、３は絶
縁ボルト、４は誘導子コイル、５は耐熱コンクリ
ート、６は被加熱物、７は耐熱絶縁板である。な
お、図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 所定位置に被加熱物と対向する誘導子コイル
   を巻回した積層鉄心の両積層端部に重合させた端
   板として耐熱絶縁板を用いたことを特徴とする誘
   導加熱装置。 ２ 耐熱絶縁板として亜鉛酸化物硼酸結合複合
   体、シリカボード、アルミナボード、マグネシヤ
   ボード、ステアタイト、焼成セラミツク等を用い
   たことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   誘導加熱装置。 ３ 誘導子コイルと積層鉄心を耐熱コンクリート
   内の所定位置に埋設したことを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載の誘導加熱装置。