JPS6125190Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は誘導子コイルによる交番磁界中に置
かれた導電性物体、たとえば帯鋼に生ずるうず電
流損およびヒステリシス損、すなわち誘導子コイ
ルによる電磁誘導作用によつてこの帯鋼を加熱す
る誘電加熱装置に関するもので、特にこの考案
は、帯鋼の両縁部の加熱に有用な縦磁束方式を用
いた誘電加熱装置に関するものである。

第１図および第２図は縦磁束方式による従来の
帯鋼などの誘導加熱装置を示し、第１図は斜視
図、第２図はその底面図である。図中１はＥ字形
の積層コア、２はこの積層鉄心の中心脚に巻装さ
れた誘導子コイル、３は上記積層コア１と所定間
隔をあけて対応し搬送装置（図示せず）により所
定速度で搬送される帯鋼等の被加熱物で、この被
加熱物３の巾寸法「ａ」よりも上記積層コア１の
巾寸法ｂが充分に広くなるように形成されてい
る。

いま、第２図に示すように、上記誘電子コイル
２に矢印Ａの方向に交番電流を流すと、被加熱物
３の面を直角に貫通する方向に流れる磁束が生じ
ると同時に、この磁束を打消す方向に、被加熱物
３に破線矢印Ｂの方向に誘導電流が流れ、この誘
導電流のジユール損失によつて帯鋼等の被加熱物
３が加熱されるが、この被加熱物３内の電流は、
誘電子コイル２の電流に極力近いパスを流れよう
とするため、被加熱物３の両端部においては、こ
の両縁部の狭い領域に集中して電流が流れること
になり、被加熱物３の両縁部の電流は著しく集中
し、被加熱物３の中央部よりも高温に加熱され
る。

しかしながら、この場合、誘導子コイル２に印
加される交番電圧の周波数がたとえば1KHzのよ
うに高いと、積層コア１内の磁束に極端なかたよ
りが生じる。

第３図および第４図は、第１図におけるＸ方向
とＹ方向に沿つた断面におけるそれぞれ磁束分布
を示すものであるが、これによつて明らかなよう
に、積層コア１の端部に著しい磁束のかたよりが
みられる。この磁束の変化は、次式に示すような
電圧が積層コア１の内部に誘起されるが、 ｄφ／dt＝Ｖ ……〔１〕 磁束φが積層コア１内の端部において変化する
ため、この積層コア１内の端部においては各積層
コア間で約100Vにもおよぶ大巾な電位差が生
じ、通常のコア絶縁構造においては、簡単に貫通
して積層コア内に短絡パスを生成して積層コア１
を溶融するおそれがある。

この考案はかかる点に着目してなされたもの
で、第５図に示す一実施例のように、帯鋼等の被
加熱物３に所定間隔をあけて対応する積層コア１
の少なくとも端部に近接する積層コア間に、耐熱
性の優れたたとえば雲母のような複数の絶縁板４
を介挿するようにしたもので、このように構成す
ることによつて、積層コア間に生成される短絡パ
スによつて積層コアの溶融を容易に防止すること
ができる優れた実用的効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は縦磁束方式による従来の誘電加熱装置
を示す斜視図、第２図はその底面図、第３図およ
び第４図は磁束分布図、第５図はこの考案の一実
施例を示す断面図である。 図面中、１は積層コア、２は誘導子コイル、３
は帯鋼等の被加熱物、４は絶縁板である。なお、
図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 帯状の被加熱物に対し所定間隔をおいて配置
   された積層鉄心に誘導子コイルを巻装し、この
   誘導子コイルに高周波通電を行うことによつて
   前記被加熱物の端部を主として加熱する誘導加
   熱装置において、 前記積層鉄心のうち被加熱物の端部に対応す
   る磁束集中領域で、積層鉄心を構成する絶縁積
   層コア片間に耐熱性絶縁板を介装したことを特
   徴とする誘電加熱装置。 (2) 前記耐熱性絶縁板は雲母を使用したものであ
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載の誘電加
   熱装置。