JPS6113096Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、セルロース系パルプの製造において
用いられる液剤、とくに蒸解用、洗浄用および漂
白用の液剤のための砂捕集器に関し、かつ、遠心
浄化器として作動する型式のものであつて、その
上端部に浄化されるべき液剤の送入口、浄化され
た液剤のための上部中央排出口および分別された
砂のための底部排出口を有する直立槽を包含する
砂捕集器に関する。その中では、液剤は激しい旋
回運動をさせられており、特に重い粒子たとえば
砂は、遠心力により槽の壁面に向つて動かされ、
ついで重力の作用により底部排出口に向つて下降
するが、他方、純化された液剤は、中心部の渦状
上昇流中を上方に向つて動き始める。通常は槽の
下部は円錐状に先細となつており、渦状流は圧縮
されて徐々に増大する角速度を持つようになり、
砂の粒子は増大しつつある遠心力の影響を受け
る。槽壁面のある区域においては、砂粒子に作用
する力、すなわち遠心力と重力との合力は壁面に
対して垂直に向けられることになり、結果的に粒
子が底部排出口に向つて動かないで、その上で、
滞留することになるだろう。このことは摩耗の増
大をもたらし、好ましからぬ場合においては、槽
の壁がある高さで弱化せしめられ、比較的短い操
業時間の後に破り抜かれるという結果を生じるこ
ともあり得る。このことに拮抗するために、円錐
頂角を安定値に変更したり鉛直板を挿入するなど
の試みがなされたが、もちろん、これらの処理は
旋回運動の低下や砂分離効果の劣化をともなうも
のである。

本考案の目的は、このような欠陥を除去し、充
分急速に運び去られない砂による槽の摩耗という
重大な危険をともなうことなしに、液剤の激しい
旋回運動の維持を可能にすることである。本考案
に従うと、砂が水平環状に蓄積する危険がある場
所では壁面が穿孔されており、それによつて砂も
しくは少なくともその大部分が渦状流の外に出さ
れるようにされていることによつて、この目的が
原理的に達成されている。うがたれた孔を通過し
た砂は、ついで液剤の環流が全くないか、もしく
はごく弱くにしかない空間に排出され、底部排出
口に向つて沈下することができる。壁の内側での
液剤の旋回流の速度は、穿孔によつてはごくわず
かに減殺されるに過ぎないであろう。

本考案はまた、中心部の上昇旋回流の中の液剤
によつて砂が随伴される危険が減少することによ
る砂の分離の改善をもたらす。

上述の原理を実現する、本考案を際立たせてい
る構造上の特徴は、前掲の実用新案登録請求の範
囲の各項に提示されている。

本考案に従い設計された砂捕集器の２種の具体
例は、附属の図面の参照をともなつて、以下にさ
らに細密に記述されよう。第１図は、本考案に合
致するように建造された砂捕集器の鉛直断面図で
あり、第２図は本考案の利点が得られるように改
造し完成された在来設計の砂捕集器の、部分的に
断面とした側面図である。

第１図に示された砂捕集器は、頂部覆１１を持
つ閉鎖された直立槽、上部円筒状部分１３、接続
する円錐状部分１５およびバケツト型下方部分１
７から本質的になつている。浄化されるべき液剤
は、円筒状壁１３の上部に接線方向で連結された
送入口１９を通して供給され、したがつて、最初
は円筒状壁面１３に沿つて下向きの、ついで円錐
状壁面１５に沿つたらせん状旋回運動を演ずるに
至り、砂および恐らくは他の特別の重い粒子は、
遠心力によつて槽壁面に向い移動せしめられる。
そこで解放された液剤は、中心部の渦流中を上方
に向つて押しやられ、頂部覆１１の上の液剤排出
口２１を通して放出される。圧力損失を軽減し、
かつ、上方に向う渦状流と下方に向う渦状流とを
案内し、かつ分離するためのじようご型のスリー
ブ２３とが、頂部覆に接続して具えられている。
下方槽部分１７は分別された砂のための底部排出
口２５を持つており、これはバルブ２７，２８に
よつて周期的に開かれ、これに接続する管路２９
を通して放出することができる。加圧の下にある
液剤は、放出時間帯に砂を送り出すために、接続
方向に接続された管路３１を通して供給されるこ
とができる。

上記のような細部は、在来の設計にその類似が
見られる。本考案の本質的に際立つた特徴は、部
分的に穴あきの二重底もしくは槽の上部と下部と
の間に挿入された中間板として描かれることがで
きる要素３３に存在している。さらに細密に描写
するならば、該要素は、均一な厚さの鋼板でつく
られた円錐台型の殻もしくは覆の形のじようご状
挿入物を形成している。それの上部の縁は外向き
の環状つば３５をそなえている。本考案に従う
と、槽の上部および下部はフランジ３７，３９に
よつて連結されており、それらの間につば３５が
挾まれている。フランジ結合をはずすことによつ
てじようご３３を検査することができ、もし必要
ならば取除いて新しいものと置換えることができ
る。

じようごは広いオリフイスを上に向けて槽の中
で中心に置かれており、オリフイスの縁は可能な
限りなめらかに円錐状槽の壁１５の内面につなが
れている。じようごは好ましく該壁部分と同等の
円錐度を持つものであり、かつ、好ましくは15度
ないし30度の程度の倍の頂角（開き角度）を持つ
ものである。じようごの狭い方の端は、槽の底部
分１７の中に突き出ていて、そのオリフイスは底
部排出口２５よりも幾らか上方に位置している。
オリフイスの面積は、槽の最大断面積のおよそ10
ないし20％とすることが好ましい。

本考案の本質的特徴の１つは、じようごが穿孔
されているという点にある。好ましくは、その穿
孔は列をなして配置され、じようごのつば３５よ
りも下方にある実質的に全面積にわたつて分布し
ている、４ないし10mmの直径を持つ円形の穴から
なつている。また、他の本質的特徴の１つは、該
じようごの下端部に内方に張り出したフラツトな
環状フランジ４３が形成されていることである。

本考案のさらに他の本質的特徴は、じようごに
対してまたじようごを取巻いて放射方向で外側
に、じようごによつて槽の残余の部分から部分的
に隔離されているが、槽の内部全体に同一の静圧
力がゆきわたるように常に他の部分と開かれた導
通を持つような砂捕集室４１がそなわつているこ
とである。しかしながら、狭いオリフイスを持つ
じようごがあるために、液剤の旋回運動は、上記
室の中にはきわめて抑制された程度にしか拡がる
ことができない。

液剤の渦流によつて運ばれた砂は、遠心力のみ
ならず、また重力の影響も受け、従つて謀に沿つ
て下降する。液剤の渦流が円錐面によつて拘束さ
れるのにともなつて砂粒子の角速度は増大し、遂
には砂粒に及ぼされる力が上方に向つて傾斜する
円錐面に沿つて砂を上方に動かそうとしているそ
の力の成分が反対方向の重力と均衡するくらいに
大きくなり、結果的に砂がほぼ同一の水準内で繰
返して周回するように運びまわられるのである。
しかしながら、それによつてひき起されるであろ
う顕著な摩耗は、砂が大量に蓄積する時間が経過
する前に砂の粒子が通過するのを許すような穿孔
された開き口を用意することによつて防止され
る。じようごの外側の空間においては渦流運動は
かなりの程度抑制され、砂の粒子は砂捕集室４１
の底に向つて静かに降下する。木材の細片などの
軽い粒子は、槽の長軸に向い内側に力を加えら
れ、頂部排出口２１に向い液剤の上昇渦流を随伴
する。

第２図は、最も単純な方法で本考案を利用する
ように在来設計のものに後で変更を加えた砂捕集
器を示している。その図の中の参照番号は、第１
図の中のものと同一の項目を指示している。当初
は管状の壁１３と円錐状の壁１５とは永久的な一
体結合として建造されていたが、これらの部分は
後に切離され、槽の内部に接近できるように、そ
れらの間にフランジ結合３７，３９を持つ部分が
挿入された。

本考案の応用においては、槽の壁と同軸的な穿
孔された円錐状じようごが槽の下部に挿入され
た。じようごの上の縁は壁体１３と同じ直径を持
ち、フランジ結合から上方にかなりの距離を置い
て壁体に望ましい溶接により接触せしめられてい
る。じようごの下部は、円錐状部分の中にその部
分の半分もしくはそれ以上の高さに相当する長さ
を下向けに突き出している。したがつて、円錐状
の壁１５は、当初の設計では激しい摩耗を受ける
のであるが、今では保護されるようになつて、砂
はその代りにじようご３３を摩耗させるように旋
回する。じようごは軸方向に大きく延長されてい
て壁１５よりも小さい円錐頂角を持つことが好ま
しい。ある一定水準位置において旋回する砂粒が
蓄積する傾向は、きわめて弱い旋回運動が存在す
るに過ぎないじようごよりも放射方向に外側の空
間に向つて通過し得るように穿孔されたじようご
によつて打消の作用を受ける。もちろん、上述の
危険が優越する水準位置は、液剤の供給速度と並
んで砂捕集器の大きさ、中でもとくにじようごの
大きさに応じて変化するが、通常はじようごの下
半部に位置し、したがつて穿孔が高さ全体にわた
つていることは必要ではない。穿孔の大きさと密
接度とは、じようごのオリフイスの方に向うほど
増大するようにしておいてもよい。そのオリフイ
スのところでは、好ましくは同じく穿孔され、か
つ、旋回運動を誘導してこれが上向きに転向し、
著しく下方に向つて発達し砂捕集室に入ることが
ないようにするのに役立つ内向きのフランジ４３
を具えられている。変形法によると、上述のフラ
ンジは拡張されて全面的に、もしくは少なくとも
その表面の一部に穿孔された、平坦な円形底面を
形成する。

記述された砂捕集器は、木片の供給と連関して
連続セルロース蒸解器に再環流される蒸解用液剤
の精製に対して有利に利用されることができ、ま
た、スウエーデン特許明細書第300755号に記載さ
れた工場設備において、ポンプ４７の出口側に挿
入されることもできる。これらの砂捕集器はま
た、セルロースの製造に用いられる他の液、たと
えばパルプの洗浄や漂白に用いられる液もしくは
木片の洗浄に用いられる液から、砂もしくは類似
の固形不純物を分離し去ることにも使用されるこ
とができる。

在来の砂捕集器の改造を行なおうとするときに
可能な他の変形法は、槽の円錐状壁面の下部に穿
孔すること、その部分を第１図のカツプ型下方部
分１７に似た閉鎖外部容器で包み込むこと、なら
びに排出口２５を後者に底部に移動させることか
ら成り立つ。

もちろん、上述の２種の例示的具体化は、冒頭
の実用新案登録請求の範囲に提示された考案の範
囲内で変更を加えられてよい。そこでたとえばじ
ようごは折られたり曲げられたりした外形を持つ
ていてもよく、また、うがれた孔の代りに細隙と
してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による砂捕集器の鉛直断面図で
あり、第２図は本考案の利益を生じさせるために
改造され完成された在来設計の砂捕集器の、断面
図とされた部分を含む側面図である。 １１……頂部覆、１３……円筒状壁、１５……
円錐状壁、１７……バケツト型下方部分、１９…
…送入口、２１……液剤排出口、２３……じよう
ご型スリーブ、２５……底部排出口、２７，２８
……バルブ、２９……管路、３１……接線方向管
路、３３……じようご、３５……つば、３７，３
９……フランジ、４１……砂捕集室、４３……内
向き環状フランジ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 純化されるべき液剤のための接線方向頂部送
   入口１９、純化された液剤のための頂部中央排
   出口および分別された砂のための底部排出口２
   ５を持つ直立型槽１３，１５から成り、該直立
   型槽の内側下端部に配置され、じようご３３の
   形を有する環状壁体は、少なくとも穿孔され、
   かつ該じようごの下端部には、内方に張り出し
   たフラツトな環状フランジ４３が形成され、該
   じようごの下部は、前記槽の下端に位置し、か
   つ前記底部排出口２５に接続する閉鎖状態の砂
   捕集室４１内に突出し、該室によつて取り囲ま
   れていることを特徴とする遠心浄化器としての
   作動を行うセルロース系パルプの製造において
   用いられる液剤のための砂捕集器。 ２ 該じようごの下端部のフランジが内方に押し
   拡げられた、穿孔されていない、または少なく
   とも一部が穿孔された円形底板である実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載の砂捕集器。