JPS6110343Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、共振回路及び移相回路をプリント
基板に取付けた波器に関する。

第１図ａ，ｂ，ｃは従来の波器の構造を示す
ものである。同図において、１は前面及び上面が
開口された金属製の筐体で、この筐体１内には複
数（ここでは４個）の部屋を形成するための仕切
部１ａ，１ａ…が設けられている。２はプリント
基板、３はこのプリント基板２に取付けられた貫
通端子、４，４…は上記各部屋に対応して設けら
れた共振回路、５，５…は共振回路４間に接続さ
れた移相回路、６は筐体１の上面開口部にねじ７
により固定された上蓋、８は同じく前面開口部に
固定された前面蓋である。

この波器においては、共振回路４の一端を筐
体１の例えば底面に固定し、他端をプリント基板
２に取付けられた貫通端子３の一端に半田接続す
ると共に、プリント基板２の前面において貫通端
子３の他端に移相回路５の一端を半田接続するこ
とにより、両回路を接続する構造となつている。
従つて、回路を製作する場合には、共振回路４と
移相回路５とを別々に製作し、両回路を筐体１内
に別々に組込み、筐体１内において両回路の接続
を行わなければならなかつた。このため、従来、
組込み作業が困難であり、その作業時間も長くな
り、製作費が高くなつていた。また、共振回路４
と移相回路５とが別体構造であるため、回路構成
が大きくなり重量が重くなると共に、電気的にも
回路が不安定になることがあつた。

また、筐体１の２方向を開く構造となつている
ため、各段間の電波漏洩が多くなる。このため、
各段間の仕切部１ａの厚さを厚くし、上蓋７と筐
体１との密着性を良くするためにフライス盤など
で接触面を均一に仕上げなければならず、かつ上
蓋７を筐体１に止めるねじ７を多く使用しなけれ
ばならず、外観上体裁が悪いという問題があつ
た。

この考案は上記実情に鑑みてなされたもので、
その目的は、共振回路及び移相回路の筐体内への
組込み作業が容易で、電気的にも安定化し、かつ
小型軽量化が可能で安価な波器を提供すること
にある。

以下、図面を参照してこの考案の一実施例を説
明する。第２図ａ，ｂ，ｃにおいて、１１は前面
に開口を有する金属製の筐体である。この筐体１
１の開口の方向は電波漏洩防止のために筐体１１
の断面積の少ない方向がよい。筐体１１内には複
数（ここでは４個）の部屋を形成するように仕切
部１１ａ，１１ａ…が設けられている。１２はプ
リント基板であり、この基板１２の裏面には上記
部屋に対応して複数（４個）のコイルとコンデン
サから成る共振回路１３，１３…が取付けられて
いる。これら共振回路１３，１３…におけるコイ
ルの巻き方向はプリント基板１２面に平行となつ
ており、その両端が共にプリント基板１２に固定
されている。これら共振回路１３，１３…間に
は、それぞれプリント基板１２の表面において移
相回路１４，１４…が接続固定されている。すな
わち、プリント基板１２には共振回路１３，１３
…及び移相回路１４，１４…が一体的に取付けら
れている。このプリント基板１２は、筐体１１内
において、回路調整が前面からできるように移相
回路１４，１４…を前面にして、ねじ１５により
仕切部１１ａ，１１ａ…に固定されている。筐体
１１の前面の開口部には前面蓋１６がねじ１５に
より固定されている。

従来の共振回路４は第１図ａ〜ｃのようにコイ
ルの巻き方向がプリント基板２に対して垂直方向
になつていたため、どうしてもその一端を筐体１
の底面（または側面）に取付けなければならなか
つたが、第２図ａ〜ｃの共振回路１３は、コイル
の巻き方向がプリント基板１２と平行になつてい
るため、その両端を容易にプリント基板１２に固
定することができる。従つて、回路の小型化、単
純化が可能となり、電気的にも安定化する。

（従来、回路を一体化する場合には、プリント
基板に共振回路取付用の板を基板に直角に取付
け、その板に共振回路を固定したり、または共振
回路取付用板を複雑に折り曲げたりして製作し、
その板にプリント基板と共振回路とを取付けしな
ければならず、製作費及び組込費が高くなつてい
た。また、電気回路が不安定となる要素があり、
そのために調整時間を多く必要とし、また回路の
安定化のためにアース板等を使用すると回路全体
が複雑になり大型化していた。） また、筐体１１の開口が一方向で、蓋は前面蓋
１６のみでよいため、各段間及び外部への電波の
漏洩が大幅に減少し、従来のように漏洩防止のた
めに仕切部１１ａを厚くしたり、フライス盤など
で接触面を均一化する必要はない。また、蓋固定
用のねじの数も少なくてすみ、外観体裁もよくな
る。

さらに、共振回路１３，１３…及び移相回路１
４，１４…がプリント基板１２と一体構造になつ
ているために、筐体１１内で回路を組込む必要が
なく、筐体１１外において組込みができる。従つ
て、組込み作業が容易となり、作業時間が短縮さ
れる。

また、回路が一体構造であるため、小型化で
き、従つて波器全体の小型化が可能となると共
に、材料費、加工費、組込み費などの製品価格が
安価になる。また、回路が一体構造であるため、
電気的性能が安定化し、回路調整時間を短縮でき
る。

以上のようにこの考案によれば、プリント基板
に共振回路及び移相回路を一体化し、これを一方
向に開口を有する筐体に組込むようにしたので、
組込作業が容易で、電気的にも安定し、かつ小型
軽量で安価な波器を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ〜ｃは従来の波器の構造を示すもの
で、ａは一部断面して示す平面図、ｂは同じく正
面図、ｃは右側面断面図、第２図ａ〜ｃはこの考
案の一実施例を示すもので、ａは一部断面して示
す平面図、ｂは同じく正面図、ｃは右側面断面図
である。 １１……筐体、１１ａ……仕切部、１２……プ
リント基板、１３……共振回路、１４……移相回
路、１６……前面蓋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一方向に開口を有し、かつ複数の共振回路用の
   部屋を形成するための仕切部を有する筐体と、こ
   の筐体内に表面を前記開口部側に向けて配設され
   たプリント基板と、両端が前記プリント基板の裏
   面に固定された複数のコイルとコンデンサから成
   る共振回路と、前記プリント基板の表面において
   前記共振回路間に接続され、前記共振回路と共に
   前記プリント基板に一体化された移相回路と、前
   記筐体の開口部に取付けられた蓋とを具備したこ
   とを特徴とする波器。