JPS6110008Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は操作装置の操作力を被操作装置に伝達
する遠隔伝達機構において、該伝達機構は可撓性
索導管と導管内に摺動自在に挿通された可撓性内
索とから構成され、前記索導管から露出する内索
湾曲部を案内する案内部材の固定装置を改良した
ものである。

ドラムブレーキに用いられている従来の案内部
材の固定装置例を第１図及び第２図により説明す
る。１は車体の非回転部に固定されるプレート、
２，３はプレート１上に可動的に装架された断面
Ｔ字状の一対の対向するブレーキシユーであつ
て、その外周にライニング４，５が貼着されてい
る。

ブレーキシユー２，３の方隣接端２ａ，３ａ間
にはアンカー部材６が載置され、前記隣接端２
ａ，３ａ上にまで張出す保持部材７と共に、２本
のリベツト８，８で以て一体的に固定されてい
る。そして両隣接端２ａ，３ａ縁はシユー２，３
間に張設したスプリング９により、常時アンカー
部材６に当接している。１０はブレーキレバー、
１１は可撓性内索、１２は可撓性索導管である。
索導管１２内に摺動自在に挿通される内索１１の
図示しない一端は操作装置である車室内のハンド
レバーに、他端はこれに固着した端末金具が被操
作装置である前記ブレーキレバー１０の入力部に
夫々接続される。索導管１２はその一端が適宜車
体に固定され、他端はこれに固着したキヤツプ金
具１２ａが、プレート１斜面部の開口に挿通さ
れ、且全周スミ肉溶接されたパイプ部材１３に取
付けられる。この取付けはキヤツプ金具１２ａの
中間部の鍔部１２ｂがパイプ部材１３端面にほぼ
当接する迄、その一端軸部１２ｃをパイプ１３穴
に嵌入し、該パイプ部材１３に把持したＣ字形の
線ばねクリツプ１４の爪１４ａをパイプ部材１３
に設けた穴を貫通して、前記軸部１２ｃの環状溝
１２ｄ内に差し込み、以て抜脱を阻止している。
パイプ部材１３の穴の代りにスリツトを形成し、
該スリツトを通して軸部１２ｃの環状溝１２ｄ内
にパイプ部材１３外周を把持するクリツプの一端
を直線と成した直線部を差し込んでも良い。パイ
プ部材１３のブレーキ内部に位置する部分は、第
２図において、ブレーキレバー１０をブレーキシ
ユー２，３の拡開方向とほぼ平行に作動させるべ
く、且内索１１のキヤツプ金具１２ａからの露出
部分の屈曲を滑らかにするために湾曲した案内部
分１３ａを有する。滑らかな案内部分１３ａは操
作力に対する機械損失の減少と内索１１の強度低
下の防止を考慮したものである。１５はキヤツプ
金具１２ａとブレーキレバー１０間の内索１１露
出部分に圧縮巻装されたスプリングであつて、内
索１１とパイプ１３穴との直接々触を避けて両者
の耐久性向上を図ると共に、ブレーキレバー１０
非作動時に、それらを原位置に復帰させる役割を
果す。

上述構成において、運転者がハンドレバーを操
作すると、内索１１を介してブレーキレバーを操
作すると、内索１１を介してブレーキレバー１０
が牽引され、ブレーキシユー３上方端に回動自在
に枢支したブレーキレバー１０の上方出力端によ
り、該シユー３を拡開すると共に、ブレーキレバ
ー１０中間部と他方のブレーキシユー２間に懸け
渡した支柱により他方のシユー２が拡開される。
（ブレーキシユー２，３とブレーキレバー１０の
上方及び中間部は図示せず）以て、両ライニング
４，５がブレーキドラム（図示せず）に摩擦係合
し、車両の静止状態が維持されるものである。

上述した構造から明らかな如く、ライニング
４，５とドラムとの確実な摩耗係合を得るために
は、ブレーキシユー２，３がプレート１上に正し
く整列されなければならず、然も同時に、内索１
１の耐久性信頼度及び高い機械効率が保証されな
ければならない。

しかし乍ら、上述した従来のものは、ブレーキ
外部から内部への浸水防止のために、パイプ部材
１３全周に亘つてスミ肉溶接しなければならず、
その熱影響によりプレート１に歪が生じ、ブレー
キシユー２，３の整列が乱れた。そのため、半周
のみにスミ肉溶接を施して熱影響の減少を図つた
ものがあるが、このものにおいては強度低下を招
く事は勿論の事、パイプ部材１３とプレート１穴
との隙間にシーラーを埋設しなければならず、多
大の手数を要し煩雑であつた。又、通常プレート
１の外形々状が複雑で、該部分のスペースが狭い
場合が多く、溶接作業がし難いと同時に手数が掛
かつた。更に溶接箇所の冷却速度によりパイプ部
材１３外径とプレート１穴との隙間相当分、パイ
プ部材１３取付角度がバラツキ易く、又、パイプ
部材１３の案内部分１３ａの湾曲加工が面倒であ
る等々の欠点があつた。

本考案は上述欠点を解消したものであつて、第
３図、第４図及び第５図の分解図により詳細に説
明する。上記従来例と同一の参照数字は同一部品
を示し、１はプレート、２，３はブレーキシユ
ー、４，５はライニング、６はアンカー部材、７
は保持部材、８，８はリベツト、９はスプリン
グ、１０はブレーキレバー、１１は内索、１２は
索導管、１２ａはそのキヤツプ金具、１２ｂは鍔
部、１２ｃは軸部、１２ｄは環状溝である。又、
１４はクリツプであつて、１４ａはその爪、１５
は内索１１に巻装したスプリングである。そし
て、本考案によるパイプ部材１６の外形々状は第
５図に示す如く、プレート１への取付側が小径の
小径軸１６ａに形成され、内索１１の湾曲部を案
内する案内部材１７はパイプ部材１６から独立し
た薄板より成形されている。案内部材１７の一端
平面部１７ａには前記小径軸１６ａに嵌装する穴
１７ｂが穿設され、中間部は内索１１湾曲部を滑
らかに案内するために曲率半径の大きな湾曲部１
７ｃに形成され、更に他端の平面部１７ｄにはプ
レート１に穿設した突起１ａに嵌合して位置決め
する穴１７ｅが穿設されているものである。上記
の案内部材１７の一端平面部１７ａの穴１７ｂは
Ｕ字状の切欠溝であつても良く、又他端の平面部
１７ｄに設けた位置決め用の穴１７ｅとプレート
１との嵌合は凹凸状の曲面嵌合であつても良い。
更に案内部材１７の湾曲部１７ｃを、第６図に示
す如く断面ｃ字状に形成しておくと、たとえ内索
１１が緩く配索された場合でも内索１１とスプリ
ング１５の異常な曲がり、即ちシユー２との干渉
を完全に防止し得る。

然して、パイプ部材１６と案内部材１７の取付
けは、例えば次の手順で行なわれる。先ずプレー
ト１穴にパイプ部材１６の小径軸１６ａをその段
付面が当接するまで嵌装して突出させ、次いで案
内部材１７の他端の穴１７ｅをプレート１の突起
１ａに嵌合すると共に、一端平面部１７ａを若干
弾性変形させてプレート１斜面に沿わせる如く移
動し、小径軸１６ａ突出部に穴１７ｂを嵌装した
後、その小径軸１６ａ突出端をプレス加工で以て
膨大して固定する。上述手順これに限らず、予め
案内部材１７をプレート１に沿わせて設置してお
き、次いでパイプ部材１６の小径軸１６ａをプレ
ート１と案内部材１７両者の穴に嵌入した後、そ
の突出端を膨大しても良い。

上述した構造から明らかな如く本考案によれば
伝達機構の効率及び耐久性を損うこと無く、案内
部材１７の取付けがプレス加工で簡単に出来る。
従つてプレート１に歪が生じない。更にパイプ部
材１６の取付面がプレート１斜面に完全に密着さ
れるので、パイプ部材１６の取付角度が安定する
と共に防水も確実である等その効果大なるものが
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のドラムブレーキの要部正面図、
第２図は第１図の−断面図、第３図本考案に
よるドラムブレーキの要部正面図、第４図は第３
図の−断面図、第５図は第４図の要部分解
図、第６図は第５図の−断面図である。 １……プレート、２，３……ブレーキシユー、
６……アンカー部材、１０……ブレーキレバー、
１１……内索、１２……索導管、１２ａ……キヤ
ツプ金具、１３，１６……パイプ部材、１６ａ…
…小径軸、１７……案内部材、１７ｂ……穴、１
７ｃ……湾曲部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 索導管内に導通された内索の一端が操作装置
   に、他端が被操作装置に接続され、且、内索の露
   出部が湾曲配設されているものにおいて、前記索
   導管のキヤツプ金具を取付ける段付外形のパイプ
   部材の小径軸を、固定プレートに設けた開口と内
   索湾曲部を案内する部分を備えた案内部材の一端
   に嵌挿突出し、該突出端の膨大により前記案内部
   材を前記固定プレートに挾着してなることを特徴
   とする内索案内部材の固定装置。