JPS6110006Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車マーク類やその他の装飾用
マーク（以下、オーナメントという。）を自動車
ボデー外板やパネル等に係止保持するための樹脂
リテーナの改良に関するものである。

例えば、第１図に示すような従来の樹脂リテー
ナ１は、被取付体であるオーナメント２のボス部
３に嵌装し、取付基板である自動車ボデー外板４
の差込孔５にボス部３とともに差込んで、オーナ
メント２をボデー外板４に係止保持するために用
いられる。

しかし、上記従来の樹脂リテーナ１は、単なる
外周突部１ａを差込孔５の内縁部５ａに係止保持
する構造であるため、外周突部１ａの弾性力が乏
しくて差込み作業に多大な力を必要とする上に差
込み後の保持力が弱くてがたつきやすく、また、
オーナメント２の着脱を繰り返すと外周突部１ａ
に摩耗や破壊が生じて係止保持の耐久性が損なわ
れると共に、さらに、樹脂リテーナ１は、ボス部
３に弾性力で嵌装されているだけであるから、ボ
ス部３の抜取時に、外周突部１ａの係止力の方が
強くて樹脂リテーナ１が差込孔５に抜け残る等、
幾多の問題があつた。

この考案は、上記従来の諸問題点に鑑みてなさ
れたもので、取付基板の差込孔に差込自在な筒状
のリテーナ本体の一端側の内周面に、被取付体の
ボス部の先端側に設けたくびれ段部に係止可能な
内出肩部を形成して、リテーナ本体を予じめボス
部に係止保持し得るようにして差込孔からのボス
部の抜取時の抜け残りを防止する一方、該リテー
ナ本体の他端側の外周面に、円周溝孔と、この円
周溝孔の附近から立上つた外出爪部とを形成し
て、外出爪部に弾性力を付与し得るようにして繰
り返し着脱による係止保持の耐久性を保障すると
同時に、差込孔への差込み作業を弾性力に助長さ
れた軽い力で行なえ、かつ強い保持力を保障でき
るようにしたものである。

以下、この考案の実施例を添附図面について説
明する。

第２図および第３図に示すように、オーナメン
ト１０のボス部１１は、先端部にくびれ段部１２
を設けたテーパ軸状に形成し、先端縁を面とりし
て構成している。

樹脂リテーナ１３は、上記ボス部１１よりやや
大きい内径と、ボデー外板１４に設けた差込孔１
５とほぼ同径の外径とを有する、ボス部１１の外
形に沿つたコーン状のリテーナ本体１６を備え、
該リテーナ本体１６の縮径して一端側の内周面に
は、上記ボス部１１のくびれ段部１２に係止可能
な内出肩部１７を形成する。

リテーナ本体１６に、ボス部１１のくびれ段部
１２と相まつて内出肩部１７を形成すれば、リテ
ーナ本体１６を、拡径した他端側からボス部１１
に挿入してゆくと、内出肩部１７が、ボス部１１
の先端面とり部で弾性力により徐々に拡がり伸ば
され、ついでくびれ段部１２に落ち込んで収縮す
ると、くびれ段部１２で抜脱不自在に係止保持さ
れるようになる。

つぎに、該リテーナ本体１６の拡径した他端側
の外周面には、大径のツバ部１８に接近して、円
周上四等分の位置に、スリツト状の円周溝孔１
９，……，１９を形成すると共に、各円周溝孔１
９，……，１９の円周方向の中央部から立上り、
上記一端側へ傾斜する外出爪部２０，……，２０
を形成する。

リテーナ本体１６に、円周溝孔１９とともに外
出爪部２０を形成すれば、外出爪部２０に加わる
応力が円周溝孔１９によつて吸収され、外出爪部
２０に弾性力が付与されるようになる。

上記のように樹脂リテーナ１３を構成すれば、
差込み作業体に、樹脂リテーナ１３を予じめオー
ナメント１０のボス部１１に挿入すると、内出肩
部１７がくびれ段部１２で係止保持されて、樹脂
リテーナ１３はボス部１１に抜脱不自在に組付け
られる。

そして、ボス部１１とともにボデー外板１４の
差込孔１５に差込んでゆくと、外出爪部２０，…
…，２０が差込み孔１５の外縁部２２による応力
で内方へ弾性的に変位され、軽い力で差込み作業
が行なると共に、差込孔１５の内縁部２１に至つ
て外方へ弾性的に復元すると、外出爪部２０，…
…，２０が内縁部２１でしつかりと係止保持され
て、オーナメントは強い保持力でがたつきなくボ
デー外板１４に係止保持されるようになる。

つぎに、ボデー外板１４に取付けたオーナメン
ト１０を取り外す際には、オーナメント１０を手
前に強く引くと、樹脂リテーナ１３の外出爪部２
０，……，２０が差込孔１１の内縁部２１による
係止力にさからつて内方へ弾性的に変位され、差
込孔１１からスムースに抜き取れるようになる。

この場合、樹脂リテーナ１３は、その内出肩部
１７がボス部１１のくびれ段部１２に係止保持さ
れているので、くびれ段部１２の係止力の方が強
くてボス部１１の抜き取り時に、樹脂リテーナ１
３が差込孔１５に抜け残ることがない。

さらに、オーナメント１０に複数のボス部１
１，……，１１を設けている場合には、ボデー外
板１４にそのピツチに一致する差込孔１５，…
…，１５を穿設する必要があるが、ピツチに多少
の誤差があつても、樹脂リテーナ１３の内径がボ
ス部１１よりも大径に形成してあるから、ボス部
１１に対する拡径した他端側のがたつきで融通が
つき、樹脂リテーナ１３，……，１３を差込孔１
５，……，１５に無理なく差込めるようになる。

以上の説明からも明らかなように、この考案
は、樹脂リテーナのリテーナ本体の一端側に内出
肩部を形成して取付基板のボス部のくびれ段部に
係止保持するようにしたから、樹脂リテーナの組
付けが特別な工具等用いることなく簡単かつ確実
に行なえると共に、被取付体の取り外し時、樹脂
リテーナが取付基板に抜け残ることもなくなる。

また、樹脂リテーナ本体の他端側に、円周溝孔
と外出爪部とを形成したから、外出爪部に弾性力
が付与されるようになり、差込孔への差込み作業
を軽い力で行なえ、かつ強い保持力が保障される
と共に、繰返し着脱による摩耗や破壊が生じにく
く係止保持の耐久性が向上するようになる。

さらに、リテーナ本体の内径は、ボス部よりや
や大き目であるから、複数のボス部があ差込孔の
ピツチ誤差を吸収でき、加工精度をラフにするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の樹脂リテーナの組付け縦断面
図、第２図はこの考案に係る樹脂リテーナの組付
け縦断面図、第３図は第２図の樹脂リテーナの側
面図である。 １０……オーナメント、１１……ボス部、１２
……くびれ段部、１３……樹脂リテーナ、１４…
…ボデー外板、１５……差込孔、１６……リテー
ナ本体、１７……内出肩部、１９……円周溝孔、
２０……外出爪部、２１……内縁部、２２……外
縁部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 被取付体のボス部に嵌装し、取付基板の差込孔
   にボス部とともに差込んで、被取付体を取付基板
   に係止保持するための樹脂リテーナであつて、 上記ボス部よりやや大きい内径と、上記差込孔
   とほぼ同径の外径とを有する筒状のリテーナ本体
   を備え、該リテーナ本体の一端側の内周面に、上
   記ボス部の先端側に設けたくびれ段部に係止可能
   な内出肩部を形成して、リテーナ本体を予じめボ
   ス部に係止保持し得るようにすると共に、該リテ
   ーナ本体の他端側の外周面に、円周上ほぼ等角度
   間隔の複数の円周溝孔を形成し、該各円周溝孔の
   円周方向の中央部から立上り、上記差込孔の内縁
   部に係止可能な外出爪部を形成して、円周溝孔に
   より外出爪部に弾性力を付与し得るようにしたこ
   とを特徴とする樹脂リテーナ。