JPS609379Y2 - デイ−ゼル機関の吸気スワ−ル制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として直接噴射式のディーゼル機関の吸気
スワール制御装置に関するものである。

従来、小型高速の直接噴射式ディーゼル機関においては
、吸気ポートあるいは吸気弁を工夫して適度に強い吸気
の旋回渦巻、即ちスワールを発生させると共に、燃焼室
の形状を改善して噴霧燃料の良好なる燃焼を行なわせる
ようにしている。

従って、そのディーゼル機関にとっては、適切なスワー
ルの強さが、直接機関の性能を左右する要因となってい
る。

即ち、例えば、機関の中速回転時におけるスワールＳの
強さが最適となるように設定された機関にあっては、第
１−２図に示すごとく、ノズルＮより各方向に噴射され
た噴霧燃料Ｆは、上記スワールＳによって流れつつ広散
し、極めて好ましい吸気との混合が可能となる。

しかしながら、このように設定した機関にあっては、機
関の低速回転時（第１−１図）にはスワールＳの発生が
必然的に弱くなってしまうので、スワールＳは噴霧燃料
Ｆを流し広散することが殆んどできない。

また逆に、機関の高速回転時（第１−３図）にあっては
、スワールＳが必然的に極めて強大化し、これによって
噴霧燃料Ｆは大きく流されて相隣接する噴霧燃料Ｆに追
いつき、かさなってしまう。

そして上記いずれの場合にも、吸気との混合（空気利用
率）が悪くなって円滑な燃焼が行なえなくなってしまう
。

上述のことは、スワールＳの他の回転速度において最適
となるように設定したとしても、それ以外の回転速度で
は、必然的にスワールＳは強すぎてしまったり、あるい
は弱すぎてしまうことになり、機関の性能を改善するこ
とはできないことを示している。

これは公知のようにスワールＳの強さが、吸気の燃焼室
流入速度（吸気弁近傍における吸気流速）に比例して強
くなることによるものであり、その速度は機関の回転速
度に比例して増速されるからである。

そこで、吸気の燃焼室流入速度を機関の回転速度の増加
に対し、それと比例して増加しないように吸気ポート内
にスワール制御板を設け、吸気ポートの流路断面積を調
節するようにした特公昭５１−７２４３の発明等がある
が、多気筒ディーゼル機関においては、これらのスワー
ル制御板等を制御する装置が複雑になるという問題があ
る。

そこで本考案は、前記の従来の問題点を解消するために
なされたものであり、ディーゼル機関の回転速度の変化
に応じて最適なスワールを発生させうる、構造の簡単な
吸気スワール制御装置を提供することを目的としてもの
である。

即ち本考案は、ディーゼル機関の吸気ポート内に回転可
能に内設した円筒部材の吸気弁側を半円状に絞った吐出
口に形成すると共に、ディーゼル機関の停止時及び低速
時にはその吐出口をその吸気弁に対する高スワール側に
位置するように付勢されたはね材を、その円筒部材と吸
気ポートの固定部材との間に配設し、かつ、ディーゼル
機関の回転速度上昇に応じてその吐出口が吸気弁に対し
て低スワール側に順次移動するように、円筒部材を吸気
流により回転可能とする案内羽根をその円筒部材内に設
けることにより構成される。

以下図面を参照して本発明の詳細な説明する。

まず、第２図に示す本考案の実施例のスワール制御装置
を適用したディーゼル機関の燃焼室において、１はシリ
ンダ、２はシリンダヘッド、３はシリンダヘッド２内に
形成された吸気ポートであり、その吸気ポート３内には
円筒部材である回転式の可変ポート部材４が挿入されて
いる。

上記可変ポート部材４は、吸気ポート３内壁面３１に対
しわずかな隙間Ｈを保持しなから回動可能に内設されて
おり、その吸気弁８側の先端部を絞り、−側部に偏心さ
せた半円状の吐出口４１に形成し、その回転式の可変ポ
ート部材４とその内部に設けた内筒４３との間に複数の
案内羽根４４を設け、これにより一種の羽根車を形成し
ている。

また、内筒４３はベアリング４５を介してシャフト４６
に支持されているが、このシャフト４６はコの字形の支
持具４７に取り付けられ、更に、この支持具４７の両端
４７ａがシリンダヘッド２に形成された溝２１に挿入さ
れ、吸気マニホールド５によって押し付けられた状態で
シリンダヘッド２に固定されている。

一方、案内羽根４４は吸気マニホールド５から可変ポー
ト部材４内を通り、シリンダ１に流入する吸気流により
第３図中の矢印Ｒのごとく可変ポート部材４を回転可能
にしている。

次に、第４図に示す６は吸気ポート３の固定部材である
支持具４７と可変ポート部材４との間に配設された可変
ポート部材４の復元用のばね材であるが、その一端が可
変ポート部材４の端面から突出した突起４２に、他端が
第５図に示すごとくシリンダヘッド２に取付けられ、ま
たその中間部がシャフト４６に巻き付けられており、吸
気流を受けて矢印Ｒのごとく回転する可変ポート部材４
の回転に抗するように付勢されている。

また、可変ポート部材４の突起４２は支持具４７の一方
の端部に形成された突起４７ａに当接するようになって
おり、ディーゼル機関停止時には両突起４２，４７ａが
当接し、この状態で吐出口４１はばね材６のスプリング
力により第２図に示すごとく吸気弁８に対する矢印Ｘで
示す高スワール側に位置するようになっている。

以上の構成において、ディーゼル機関の回転速度の上昇
に応じて吸気マニーホルド５側からの吸入空気量が増大
すると共に、案内羽根４４に当る吸気流が増大腰可変ポ
ート部材４はばね６のスプリング力に抗して９０°以内
の範囲で回動し、可変ポート部材４の先端部の半円形状
の吐出口４１が第６図に示すごとくディーゼル機関の停
止時及び低回転時の実線の位置から、当初は、一点鎖線
、更に、二点鎖線のごとく矢印Ｒ方向に回転することに
よって第２図に示す吸気弁８に対する矢印Ｙで示す低ス
ワール側にも順次移動する。

即ち、ディーゼル機関の停止時及び低速回転時において
、シリンダ１の周囲から矢印Ｘのごとく流入してスワー
ルＳを強めていた吸気が、ディーゼル機関の回転速度上
昇と共に、シリンダ１の中心寄りにも流れるようになる
ので、スワールＳの強さが適度に弱まり、そのディーゼ
ル機関の回転速度に応じてスワールＳの強さの制御が適
切に行なわれることになる。

従って、本考案の吸気スワール制御装置は確実な吸気の
燃焼室流入速度の制御ができ、そのディーゼル機関の全
回転速度にわたって常に最適なスワールを発生すること
ができるので、安定した燃焼が行なわれ得る結果、スモ
ーク発生の防止、出力の向上及び機関の静しゆく化等多
大に効果が得られる。

特に、本考案の吸気スワール制御装置は、構造が簡単で
あるので、多気筒ディーゼル機関は対しても容易に適用
できるという利点がある。

なお、本実施例においては可変ポート部材４の復元用の
ばね材６を支持具４７と前記ポート部材４との間に配設
するとしたが、前記ばね材を第７図および第８図に示す
如く、シャフト４６を支持具４７から突出する如く延長
して前記支持具４７の外側に取付けても良いものである
。

【図面の簡単な説明】

第１−１図は低速、第１−２図は中速、第１−３図は高
速の機関回転状態における燃焼室内の燃料の拡散状態を
示す模型的説明図、第２図は本考案の実施例における機
関停止時の吸気ポート要部の平断面図、第３図は第２図
のＡ−Ａ線方向の側断面図、第４図は第２図のＢ−Ｂ線
方向の側断面図、第５図は第４図のＣ−Ｃ線方向の要部
平断面図、第６図は第２図のＤ−Ｄ線方向の側断面図、
第７図はばね材の取付けの他の実施例を示す平断面図、
第８図は第７図のＤ−Ｄ線方向の要部平断面図である。 １・・・・・・シリンダ、３・・・・・・吸気ポート、
４・・・・・・・・・可変ポート部材、６・・・・・・
ばね材、８・・・・・・吸気弁、４１・・・・・・吐出
口、４４・・・・・・案内羽根、４５・・・・・・ベア
リング、４６・・・・・・シャフト、４７・・・・・・
支持具、Ｓ・・・・・・スワール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ディーゼル機関の吸気ポート内に円筒部材を回動可能に
   内設し、かつ、該内筒部材の吸気弁側を絞り、−側部に
   偏心させた吐出口に形成すると共に、該ディーゼル機関
   の停止時及び低速時には、該吐出口を該吸気弁に対する
   高スワール側に位置するように付勢するばね材を配設し
   、かつ、該ディーゼル機関の回転速度上昇に応じて該吐
   出口が吸気弁に対する低スワール側に順次移動するよう
   に、該円筒部材を前記ばね材に抗して吸気流により回動
   可能とする案内羽根を該円筒部材内に設けたことを特徴
   とするディーゼル機関の吸気スワール制御装置。