JPS608711Y2 - 加圧連続式マイクロウエ−ブ加熱殺菌装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、加圧連続式マイクロウェーブ加熱殺菌装置に
おいて、マイクロウェーブ加熱を多段式にすることによ
り、加熱ムラがなく、しかもテクスチャーの改善された
高品質の密封包装食品を得ることを目的としたものであ
る。

密封包装食品を加圧加熱殺菌することは、安全で経済的
な食品保存法として古くから知られ、熱水、又は蒸気等
を用いて缶詰、瓶詰あるいはプラスチック等を用いたい
わゆるレトルト食品の製造が行なわれているが、このよ
うな外部加熱方式は、密封容器内の食品への熱伝導が、
熱の伝導と対流の法則によるものであって、密封容器内
の食品の中心部への熱伝導はわるく、例えば１号缶等の
大型容器詰め食品では、適切な殺菌を行なうには１２０
°Ｃの熱水中１時間近く浸漬しなければならないことが
あり、容器と接している食品の周辺部は過度の加熱を受
はオーバータック状態となる。

そこで、最近、マイクロウェーブを利用した加熱殺菌方
法が検討されてきたが、このマイクロウェーブによる加
熱は、マイクロウェーブが食品のような損失係数の大き
いものにあたると、分子摩擦によって電波エネルギーが
熱エネルギーに変る原理に基づく、いわゆる内部加熱方
式といわれるもので、迅速に加熱されるので加熱殺菌に
要する時間が著しく短縮される。

そして、このマイクロウェーブ加熱殺菌の迅速性を利用
するには、バッチ式よりベルトコンベアを装置内に設け
、加圧下で連続的にマイクロウェーブ照射する方式の方
が効率的であって、この方式はすでに提案されている。

しかし、この提案されている方２式のものは、単に、密
封包装食品を加圧下で連続的にマイクロウェーブで照射
し、加熱殺菌するだけのものである。

本考案者の研究によれば、加圧下で密封包装食品にマイ
クロウェーブを照射すると、食品の温度は、照射開始と
ともに上昇し、所定の殺菌温度に品温が達しても、さら
に同じ発振出力でマイクロウェーブを照射し続ければ、
品温の飽和蒸気圧が加圧圧力と一致する温度まで加熱さ
れた時点で密封包装食品は破裂し、また品温か所定の殺
菌温度に達した時点でマイクロウェーブ照射を中止すれ
ば、品温は直ちに下降しはじめるので、いずれにしても
、食品の温度を一定時間保持して、一定の殺菌効果を得
ることができないことを知り、さらに研究を進めた結果
、食品の温度を所定の殺菌温度に一定時間保持して、一
定の殺菌効果を得るには、所定の殺菌温度に食品が加熱
された時点で、マイクロウェーブの発振出力を、所定の
殺菌温度を保持するのに必要な出力まで低下させること
で解決でき、これが製品の均一性に有効であることが解
明された。

本考案は、この解明された結果をさらに一歩進めて、よ
り効果的にして品質の高い加熱殺菌された密封包装食品
を得ることができる装置であって、以下実施例の図面に
ついて説明する。

図面は本考案の装置の概略を示す断面図であって、搬入
部１、第１マイクロウェーブ照射部２、第２マイクロウ
ェーブ照射部３、第３マイクロウェーブ照射部４、冷却
部５及び搬出部６は、シャッター？、８，９，１０，１
１を介して順次連設されている。

第１．第２．第３マイクロウェーブ照射部２．３．４は
それぞれ同じ構成のもので、シャッター１３．１４．１
５によって食品加熱室１７及び食品温度保持室１８に別
れており、これら食品加熱室１７及び食品温度保持室１
８の天板には、導波管２０を有するマイクロウェーブ発
振器１９が取りつけられており、導波管２０のフランジ
２０ａはマイクロウェーブは通すが空気は通さない性質
の材料、例えばテフロン等により形成されている。

又天板にはスタラーファン２１、ニアコンプレッサー（
図示せず）に連通している加圧用パイプ２２が、さらに
下板には排気パイプ２３が設けられている。

冷却部５の水槽２４には冷却水２５の導入パイプ２６と
排水パイプ２７とが設けられており、また搬入部１及び
排出部６にもシャッター１２．１６があってさらに区切
られており、各区画部にも加圧用パイプ２２と排気用パ
イプ２３とが設けられている。

ベルトコンベア２８は、搬入部１を除いた他の各部に、
シャッター７乃至１１及び１３乃至１６を貫通して連設
されており、冷却部５では水槽２４を通るようになって
いる。

さらに搬入部１には傾斜板２９があって、これにて密封
包装食品３０が、ベルトコンベア２８上に投下されるよ
うになっている。

本考案の装置は、搬入部１、第１、第２、第３マイクロ
ウエーブ照射部２，３，４、冷却部５、搬出部６の各部
が、予め圧力バイブ２２を通じて所定の圧力に加圧され
ており、密封包装食品３０は搬入部１＋り傾斜板２９に
てベルトコンベア２８上に投下され、第１マイクロウェ
ーブ照射部２の食品加熱室１７に搬入される。

こ）で導波管２０を介してマイクロウェーブ発振器１９
にて発振出力の高いマイクロウェーブが照射され、所定
の温度まで加熱され、次の食品温度保持室１８に送られ
て、同様に導波管２０を介してマイクロウェーブ発振器
１９で発振出力の低いマイクロウェーブが照射されて所
定の加熱殺菌温度に一定時間保持される。

密封包装食品３０は、このような所定の殺菌温度までの
加熱と一定時間の所定の殺菌温度での保持とを第２マイ
クロウェーブ照射部３及び第３マイクロウェーブ照射部
４にて段階的に繰返した後ベルトコンベア２８で冷却部
５の水槽２４中を経て冷却され、排出部６から製品とし
て排出される。

本考案の装置は、マイクロウェーブ照射部を２つ以上連
設しであるから、例えば第１マイクロウェーブ照射部２
でｌｌ０Ｃ！まで一定時間保持し、次に第２マイクロウ
ェーブ照射部３で１２０℃まで加熱して一定時間保持し
、さらに第３マイクロウェーブ照射部４で１３０’Ｃに
加熱して一定時間保持するようなことが可能となり、ま
た、この場合、各部の加圧圧力を別個に設定し、密封包
装食品の温度が上昇するに従って加圧圧力を高め、冷却
とともに加圧圧力を低下せしめるいわゆる定差圧加熱殺
菌を行なうことができるように制御することができる。

この場合、第２図の定圧式加圧と定差式加圧との比較図
に示すように、例えば、搬入部、第１マイクロウェーブ
照射部２の加圧圧力を０．５ｋｇ／ｃｌＮ、第２マイク
ロウェーブ照射部３の加圧圧力を１．０ｋｇ／ｃｎ！、
第３マイクロウェーブ照射部４の加圧圧力を１．５ｋｇ
／ａｌ！とじて、第１マイクロウェーブ照射部２で１０
０℃まで、第２マイクロウェーブ照射部３で１１０℃ま
で、第３マイクロウェーブ照射部４で１２０℃まで密封
包装食品を加熱して殺菌し、冷却部５にて冷却するとと
もに加圧圧力を徐々に低下することが可能になる。

なお、第２図において、実線は定圧式加圧、１点鎖線は
定差圧式加圧、点線は照射食品の飽和蒸気圧（密封容器
が破袋しないように飽和蒸気＋０．５ｋｇ／ｃｉｔの加
圧を一般に行なう）を示し、ａ線、ｂ線は冷却室を２つ
設け、加圧圧力を段階的に低下した場合、Ｃ線は冷却と
ともに加圧圧力を低下した場合を示し、斜線部分は不必
要な加圧の部分を示している。

この第２図において、定差圧加熱殺菌の方式が定圧加熱
殺菌方式より優れていることがわかる。

本考案は、以上説明したようにマイクロウェーブ照射部
を２つ以上連設して、密封包装食品の加熱殺菌を段階的
に行なうように構成したものであるから、マイクロウェ
ーブ加熱特有の加熱ムラをよく時代することができ、し
かも定差圧加熱殺菌を行なうことができるから、殺菌開
始より冷却まで同じ加圧圧力下に保持した場合よりも不
必要に加圧されることが少ないため、食品のテクスチャ
ーは改善され、食品内部のくずれがなくなり、含気包装
食品（空間部をもったプラスチック容器、パウチ詰食品
）の殺菌も可能となり、全体として均一で高品質の密封
包装食品を得ることができる。

その上、加熱殺菌が外部加熱方式と異なり、内部加熱方
式であるから、加熱が迅速であり、しかもベルトコンベ
アによる連続式であるため極めて能率的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の概略図の断面図、第２図は定圧式
加圧と定差式加圧との比較説明図である。 符号１・・・・・・搬入部、２・・・・・・第１マイク
ロウェーブ照射部、３・・・・・・第２マイクロウェー
ブ照射部、４・・・・・・第３マイクロウェーブ照射部
、５・・曲冷却部、６・・・・・・搬出部、７〜１１．
１２〜１６・曲・シャッター、１７・・・・・・食品加
熱室、１８・・・・・・食品温度保持室、１９・・・・
・・マイクロウェーブ発振器、２４・・・・・・水槽、
２８・曲・ベルトコンベア、２９・・曲傾斜板、３０・
・・・・・密封包装食品

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 連設された搬入部、マイクロウェーブ照射部、冷却部及
   び搬出部がシャッターによって互いに隔絶されるととも
   に、搬入部以外の各部は一連のベルトコンベアが内設さ
   れている装置において、マイクロウェーブ照射部は２つ
   以上連設され、各マイクロウェーブ照射部は、マイクロ
   ウェーブ発振出力の高い食品加熱室とマイクロウェーブ
   発振出力の低い食品温度保持室とからなり、これらの各
   部会室には、その内部圧力が別個に設定制御されるため
   の加圧用パイプが設けられている加圧連続式マイクロウ
   ェーブ加熱殺菌装置。