JPS6046809B2 - 空心形リアクトル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は空心形リアクトルに係り、特に電力系統に使
用される大容量の空心形リアクトルに関するものである
。

空心形リアクトルは、第１図に示す如く油などの絶縁
媒体（図示せず）を満すタンク４内に、絶縁被覆覆を施
した導体を用いて巻回形成した巻線１及び珪素鋼板のよ
うな磁性材料を積層して巻線１を配置する窓部を有する
磁気シールド用の矩形空心形の磁気鉄心２やこの締金具
３などを備えたリアクトル中身を収納し、巻線１からの
リード線をタンク４に固定するブッシング５と接続して
構成している。

ところで、空心形リアクトルにおいては、低電圧系統
用では第２図に示すように、磁気鉄心２の窓内に配置す
る巻線１は、その軸方向中央部から線路側のブッシング
５に接続するリード線６を引出し、巻線の上下両端部を
他端子側として上下の区分を並列に使用する構造とする
ことが多く用いられる。

これは、巻線軸方向のアンペアターン分布（以下ＡＴ分
布と称する）を一様にでき、しかも巻線１の上下両端面
と磁気鉄心２との間の絶縁構造を簡単にできることによ
る。しかし、高電圧系統用ては、巻線の軸方向中央部を
線路側のリード線の引出点とすると、インパルスに対す
る絶縁を考慮せねばならないために、リード線の引出点
から巻線両端部までの寸法を大きくせねばならず、全体
寸法が大きくなる不都合が生じて来る。このため、第３
図に示すように巻線１は、導体を一端から他端まで連続
した巻回となるようないわゆる巻通し構造に形成して、
その下端或いは上端を線路側のリード線６の引出点とし
てブッシング５に連らなるようにした端部印加構造が、
他端子側までの絶縁距離が充分に得られるためによく用
いられている。この端部印加構造における巻線１は、通
常第４図に示す如く高圧の線路側のリード線６に近いコ
イルを形成する導体７の絶縁被覆８の厚さは、低圧の他
端子側のコイルを形成する導体７の絶縁被覆８より厚く
なる段絶縁方式にしている。それ故、この構造の巻線１
では、巻線軸方向では何種類かの絶縁被覆８の厚さの異
なる導体７を用いて各コイルを製作せねばならないし、
巻線１の幅方向寸法が各コイルでほぼ等しくなるように
形成するときには、線路側のリード線に近いコイルの巻
数が少なく他端側のコイルの巻数が多くなる不均一なＡ
Ｔ分布となつてしまうし、ま．た第３図の如く下端が線
路側のリード線６なる空心形リアクトルの構造ては、巻
線１の上下端と磁気鉄心との間の絶縁寸法は、巻線の高
電圧側である下端面と磁気鉄心２間の寸法Ｄが、低電圧
側の上端面と磁気鉄心２間の寸法ｄより当然大きくな．
”るから、通電時の発生磁束は破線で示す如く上部に比
べて下部では締金具３やタンク４側側へ漏れ易く、漏れ
磁束によつて断面コ字状の締金具３の平板部３Ａなどの
構造物に局部過熱を生じさせて損失を大きくしたり、超
高圧用になるに従がい線く路側のリード線６による電界
集中が生ずるなどの恐れがあつた。本発明の空心形リア
クトルの目的は、高電圧系統用のものでも絶縁性能を向
上できると共に損失の低減が図れて容易に製作できるよ
うにすることにある。

上記の目的を達成するため、絶縁媒体を満すタンク内に
、巻線とこれを配置する窓部を有する矩形に形成した空
心形の磁気鉄心と、この磁気鉄心の上下を固定する締金
具とを備えるリアクトル中身を収納して空心形リアクト
ルを構成する際、巻線は同一厚さの絶縁被覆を施した導
体を一端から他端まで巻回してＡＴ分布を一様に形成し
、このフー端から引出す線路側のリード線をタンクに固
定するブッシングと接続させ、磁気鉄心は磁性材料を巻
線の平均直径以上に積層して形成し、しかも締金具は少
なくともリード線の引出し点側ではその断面形状をＬ字
形としたことを特徴とするもの・である。

以下、本発明の空心形リアクトルについて従来と同一部
分を同符号で示す第５図から第７図を用いて説明する。

本発明における空心形リアクトルにおいては、゛第５図
に示すように絶縁媒体を満すタンク４やこれに取付ける
ブッシング５などは従来のものと同様であるが、タンク
４内に収納するリアクトル中身に特別の工夫を施してい
る。すなわち、巻線１は第６図に示すように、導体７に
同一厚さの絶縁被覆８を施して巻線軸方向の一端から他
端まで巻通す構造として各コイルを同一の巻数で形成し
ており、これによつて巻線１はその軸方向のいかなる位
置においても、巻線内径及び外径寸法Ｒｌ，Ｒ２を等し
くでき、しかもＡＴ分布をほぼ一様にできるようにして
いる。

第５図及び第６図に示す巻線１では、その下端部から線
路側のリード線６を引出して上端を他端子側とし、ブッ
シング５と接続することにより、超高圧用のブッシング
の如くタンク４内に挿入する長さが著しく長くなつた場
合でも、特別な絶縁支持構造を要することもなく簡単に
接続することがてきるようにしているが、線路側のリー
ド線６は巻線１の上端より引出すようにすることもでき
る。磁気鉄心２は、周知の如く巻線１を配置するための
窓部を有するように磁性材料を積層して矩形の空心形に
して上下を締金具３て締付固定して形成するが、本発明
の場合、巻線１を巻通し構造にしてＡＴ分布をほぼ一様
にしたため、磁気材料の積層厚さＷを後述するように設
定している。

磁気鉄心２を締付固定する締金具３は、第５図では巻線
１の上下端面に対向する平板部を省略した断面形状がＬ
字形のものを用いた例を示しており、この断面Ｌ字状の
締金具３は少なくとも線路側のリード線６の引出し点側
（第５図ては右側）に位置するものを断面Ｌ字形のもの
とすれば、リード線６による電界集中を大幅に軽減でき
るはかりか、漏れ磁束の大きな巻線上下端面に締金具３
の平板部が存在しないため、局部過熱の恐れもなく且損
失の低減が図れる。磁気鉄心２の積層厚さＷは、第７図
に示すように巻線１の平均直径″・゛Ｒ１＋外 ・゛Ｒ
２ （ ２ ）より小さいと、特性曲線１０
て示すインダクタンス特性及び特性曲線１１て示す損失
は急激に悪化し、ほぼ平均直径から改善された特性は外
径寸法Ｒ２と等しくなつても同一傾向であるので、巻線
１のほぼ平均直径程度とすれは重量低減に顕著な効果が
あるので、漏れ磁束による損失の増加面をも考慮して巻
線の平均直径以上で適宜設定する。

本発明の如く空心形リアクトルを構成すれば、高電圧系
統用のリアクトルであつても、ＡＴ分布を一様にして巻
線の絶縁性能を損うことなく巻通し構造で容易に製作で
きるし、磁気鉄心の積層厚さの適切な設定により、イン
ダクタンス特性や損失特性を良好にできるし、しかも少
くともリード線の引出し点側に位置する締金具の断面形
状をＬ字形にして用いたので、電界集中や局部過熱がな
く一層の損失低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は単相空心形リアクトルの一部断面した斜視図、
第２図及び第３図はそれぞれ異なる従来の空心形リアク
トルを示す概略縦断面図、第４図は従来の空心形リアク
トルの巻線構造を示す縦断面図、第５図は本発明の空心
形リアクトルの一実施例を示す概略縦断面図、第６図は
第５図に用いる巻線構造を示す縦断面図、第７図は鉄心
の積厚さと損失及びインダクタンスの関係図である。 １・・・・・・巻線、２・・・・・・鉄心、３・・・・
・・締金具、４・・・・・・タンク、５・・・・・・ブ
ッシング、６・・・・・・リード線、７・・・・・・導
体、８・・・・・絶縁被覆、Ｒ１・・・・・巻線内径寸
法、Ｒ２・・・・・・巻線外径寸法、Ｗ・・・・・・磁
性材料の積層厚さ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 絶縁媒体を満すタンク内に、絶縁被覆した導体を巻
   回して形成した巻線と、磁性材料を積層して前記巻線を
   配置する窓部を有する矩形に形成した空心形の磁気鉄心
   と、前記磁気鉄心の上下を固定する締金具とを備えるリ
   アクトル中身を収納し、前記巻線の一端から引出す線路
   側のリード線をタンクに取付けるブッシングと接続する
   ものにおいて、前記巻線は同一厚さの絶縁被覆を施した
   導体を一端から他端まで巻回してそのアンペアターン分
   布を一様に形成し、前記磁気鉄心は磁性材料を巻線の平
   均直径以上に積層して形成すると共に、前記締金具は少
   なくともリード線の引出し点側ではその断面形状をＬ字
   形としたことを特徴とする空心形リアクトル。 ２ 前記巻線はその下端部を線路側のリード線の引出点
   としたことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の空
   心リアクトル。