JPS6045703B2

JPS6045703B2 - 耐食性および耐摩耗性に優れたオ−ステナイト球状黒鉛鋳鉄

Info

Publication number: JPS6045703B2
Application number: JP18913082A
Authority: JP
Inventors: 隆村上; 信義富田; 照夫増淵
Original assignee: Ebara Corp
Current assignee: Ebara Corp
Priority date: 1982-10-29
Filing date: 1982-10-29
Publication date: 1985-10-11
Also published as: JPS5980751A

Description

【発明の詳細な説明】この発明は、例えば軽スラリーを扱うポンプ用材料など
に適する耐食性および耐摩耗性に優れたオーステナイト
球状黒鉛鋳鉄に関するものである。

例えば、軽スラリーを扱うポンプ用材料は、耐食性と耐
摩耗性とを併せて具備していることが要求されている。

しかるに、普通鋳鉄（例えばＦＣ３０）では耐食性およ
び耐摩耗性が共に低く、オーステナイト球状黒鉛鋳鉄（
例えばＡＳＴＭＡ４３９ＴｙｐｅＤ−２）は耐食性は良
いが耐摩耗性は低い。また、約２７％のクロムを含有す
る高クロム鋳鉄は、耐摩耗性には優れているものの加工
性および鋳造性が共に悪く、またコスト高である上、耐
食性が十分ではない。本発明者等は上述のような観点か
ら、耐食性および耐摩耗性が共に高く、かつ、加工性お
よび鋳造性に優れている。

例えば軽スラリー用ポンプ用材料などに適した鋳鉄を得
べく研究を行なつた結果、従来のオーステナイト球状黒
鉛鋳鉄（Ｃ■３．０％以下、Ｓｉ：１．５〜３．０％、
Ｍｎ：０．７〜１．２５％、Ｎｉ：１８〜２５％、Ｃｒ
：１．７５〜２．７５％）成分組成のうち、Ｍｎ含有量
を２．０〜７．０％、またＣｒ含有量を３．０〜７．０
％とすることにより、オーステナイト球状黒鉛鋳鉄のも
つ耐食性を損うことなく、かつ、クロムによる基地中の
セメンタイトの増加によつて、耐摩耗性が向上すること
を知見した。この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであつて、Ｃ：２．０〜３．５％、Ｓｉ：１．５〜３．０％、Ｍｎ：２．０〜７．０％、Ｎｉ：１５．０〜２５．０％、Ｃｒ：３．０〜７．０％Ｆｅおよび不可避不純物：残り、（以上重量％）からな
ることに特徴を有するものである。

次に、この発明のオーステナイト球状黒鉛鋳鉄ノにおい
て、その成分組成範囲を上述のように限定した理由を述
べる。

（１）ＣＣは、鋳鉄の耐食性、耐摩耗性、機械的性質および鋳造
性に大きな影響を及ぼす元素である。

しかし、その含有量が２．０％未満では、炭化物を十
分に析出させることができないため所望の硬度が得られ
ず、一方、その含有量が３．５％を超えると、機械的性
質、耐食性および耐摩耗性が共に劣化する。従つてＣの
含有量を、２．０〜３．５％の範囲内に限定した。（２
）ＳｉＳｉには、鋳造時における鋳鉄の主要元素の酸化を防止
すると共に、その鋳造性を改善する作用がある。

しかし、その含有量が１．５％未満では、上記作用に所
望の効果が得られず、一方、その含有量が３．０％を超
えると、機械的性質が劣化する。従つてＳｉの含有量を
、１．５〜３．０％の範囲内に限定した。（３）ＭｎＭｎには、鋳鉄の機械的性質を改善する作用がある。

しかし、その含有量が２．０％未満では、上記作用に所
望の効果が得られず、一方、その含有量が７．０％を超
えても上記作用に格別の向上が現われない。従つてＭｎ
の含有量を、２．０〜７．０％の範囲内に限定した。（
４）ＮｉＮｊには、オーステナイト生成元素として鋳鉄の基地組
織をオーステナイトに保ち、耐食性および機械的性質を
向上させる作用がある。

しかし、その含有量が１５．０％未満では、上記作用に
所望の効果が得られず、一方、その含有量が２５．０％
を超えても上記作用に格別の向上が現われない。従つ、
てＮ１の含有量を、１５．０〜２５．０％の範囲内に限
定した。（５）ＣｒＣｒには、鋳鉄の基地組織中にセメンタイトを晶出させ
、機械的性質および耐摩耗性を向上させ．る作用がある
。

しかし、その含有量が３．０％未満では、上記作用に所
望の効果が得られず、一方、その含有量が７．０％を超
ると、鋳造性および加工性を劣化させる。従つて、Ｃｒ
の含有量を、３．０〜７．０％の範囲内に限定した。上
記本発明鋳鉄の製造は、電気炉等で原料を溶解精錬し、
上記成分組成範囲となるように成分調整を行ない接種を
施した後、出湯して鋳型に鋳込み鋳造する通常の方法で
行なうことができる。なお鋳造後は歪取り焼鈍を行なう
のみで供給する。次に、この発明を実施例により説明す
る。第１表に示した化学成分組成を有する本発明鋳鉄と
従来鋳鉄とから、耐食性試験用として５０×３５×５ｍ
ｇの大きさの試験片を調製した。

ついで、上記試験片について、第１図に断面図で示す
試験装置を使用し、浸漬腐食試験を行なつた。

第１図において、１は試験液が収容された試・験槽、２
は試験片、３は試験片２を保持して試験槽１内に浸漬す
るためのガラス製治具である。浸漬腐食試験は、上記試
験槽１内に、試験液として温度が２５℃で、ＰＨが３〜
１０の各種の３％ＮａＣｌ水溶液を収容し、上記試験片
のそれぞれを、各試験液中に４０日間浸漬した後、単位
面積当りの腐食減量からその腐食度を測定することによ
り行なつた。第２図はその測定結果を示すグラフで、
Ｏ印は本発明鋳鉄、×印は普通鋳鉄（ＦＣ３Ｏ）、Δ印
は高Ｃｒ鋳鉄、●印はＡＳＴＭＡ４３９ＴｙｐｅＤ−２
鋳鉄を示す。

図面かられかるように、本発明鋳鉄はＰＨ３〜１０のす
べてにおいて、ＡＳＴＭＡ４３９ＴｙｐｅＤ−２鋳鉄と
同等または同等以上の優れた耐食性を示した。次に、
上記第１表に示した本発明鋳鉄および従来鋳鉄の試験片
と、下記第２表に示すＭｎおよびＣｒが本発明鋳鉄の成
分組成範囲から外れた比較鋳鉄の試験片とについて、第
３図に断面図で示す試験装置を使用し、摩耗試験を行な
つた。

第３図において、４は試験槽、５は試験片、６は試験
片５の固定部材、７は図示されていないモータにより回
転する、試験槽４内にその側壁を通′して水平に軸着さ
れた回転軸で、回転軸７の先端には試験片５の取付けら
れた固定部材６が固着されている。

摩耗試験は、試験槽４内にけい砂が５％混入されている
３％ＮａＣｌ水溶液を収容し、前記試験片をその回転軸
７により２０００ｒ．ｐ．ｍの速度で１８吟間回転させ
た後、試験片５の摩耗による重量ロスを測定することに
より行なつた。第４図はその測定結果を示すグラフで、
図面かられかるように、本発明鋳鉄は従来の普通鋳鉄（
ＦＣ３Ｏ）、ＡＳＴＭＡ４３９ＴｙｐｅＤ−２鋳鉄およ
び比較鋳鉄の何れよりも優れ、高クロム鋳鉄（２７％Ｃ
ｒ）とほぼ同等の高い耐摩耗性を示した。

次に、下記第３表に示すような■の含有量が異なる成分
組成の３種類の試験片につき、その硬さ（ＨＢ）を調べ
た。その結果を第３表に付記すると共に第５図にグラフ
で示す。上記第３表および第５図かられかるように、Ｍ
ｎの増加に伴つて硬さが次第に増加し、かつ、基地のオ
ーステナイトが強化されるため、耐食性も向上した。

更に、下記第４表に示すようなＣｒの含有量が異なる成
分組成の３種類の試験片につき、その硬さ（ＨＢ）を調
べた。

その結果を第４表に付記すると共に第６図にグラフで示
す。上記第４表および第６図かられかるように、Ｃｒの
増加に伴つて硬さが著しく増加する結果、耐摩耗性は顕
著に向上した。

以上説明したように、この発明のオーステナイト球状黒
鉛鋳鉄によれば、耐食性および耐摩耗性が共に高く、か
つ加工性および鋳造性が良好で、軽スラリーを扱うポン
プ用材料としてすぐれた性能を有する等、工業上有用な
効果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

第１図は耐食試装置の断面図、第２図は本発明鋳鉄と従
来鋳鉄との浸漬腐食試験結果を示すクラブ、第３図は摩
耗試験装置の断面図、第４図は本発明鋳鉄、比較鋳鉄お
よび従来鋳鉄の摩耗試験結果を示すグラフ、第５図はＭ
ｎ量と硬さとの関係を示すグラフ、第６図はＣｒ量と硬
さとの関係を示すグラフである。図面において、１，４・・・・・・試験槽、２，５・・
・試験片、３・・・・・・治具、６・・・・・・固定部
材、７・・・・・・回転軸。

Claims

【特許請求の範囲】１Ｃ：２．０〜３．５％、Ｓｉ：１．５〜３．０％、Ｍｎ：２．０〜７．０％、Ｎｉ：１５．０〜２５．０％、Ｃｒ：３．０〜７．０％Ｆｅおよび不可避不純物：残り（以上重量％）、からな
ることを特徴とする耐食性および耐摩耗性に優れたオー
ステナイト球状黒鉛鋳鉄。