JPS6034056Y2 - オ−プンエンド精紡機等のワキシング装置におけるワツクスの保護構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はオープンエンド精紡機等のワキシング装置にお
けるワックスの保護構造に関するものである。

一般にオープンエンド精紡機においては、糸継ぎ時に紡
糸室の清掃作業が行なわれるが、このときブラシ等の清
掃器具がワキシング装置のワックス前面に当って傷損、
破損させ易く、もしワックスの破片が落下してケンスに
入りスライバに混入すると、スライバの円滑な取り出し
ができなくなるとか、スライバに付着したまま紡糸装置
に供給されるという欠陥があった。

またワックスの安定的回転が保障されないとワキシング
の均一性が損われるという問題があった。

本考案の目的は糸条の案内板に圧接されるワックスを押
圧する押圧部材の外周に対し、前記ワックスの端部を嵌
入し得る取付筒部を設けることにより、清掃あるいは点
検時等において清掃器具等が割れ易いワックスの外周角
部に直接当るのを防止してワックスを保護することがで
き、ひいては機械の円滑な運転を行なうことができ、し
かもワックスのセンタリングを確保してワキシング本来
のねらいを全うできるオープンエンド精紡機等のワキシ
ング装置におけるワックスの保護構造を提供することに
ある。

以下、本考案をオープンエンド精紡機に具体化した一実
施例を図面について説明すると、このオープンエンド精
紡機は概略的にみて、機枠１の前面に装設されたスライ
バを紡糸するための紡糸室を有する紡糸ユニット２と、
その紡糸ユニット２より紡出された糸条Ｙを上方へ引き
出すための糸引き出し機構と、前記ユニット２と糸引き
出し機構との間の糸条走行位置に配設されたワキシング
装置と、前記糸引き出し機構により引き出された糸条を
トラバースしながら巻取るための未巻取機構（図示略）
とからなっている。

そこで、本考案の主要部であるワキシング装置の説明に
先立って、糸引き出し機構の構成を第１図及び第２図に
ついて説明すると、機枠１には全錘共通の回転軸４が機
台長手方向に沿って回転可能に支承され、適宜の駆動機
構（図示略）により第１図の矢印方向に回転される。

この回転軸４には前記ヤーンパイプ３から糸条Ｙを引き
出すための多数の引き出しローラ５が各錘ごとに嵌合固
定されている。

前記回転軸４の上方において同軸４と平行するように機
枠１に固定された固定軸６上には、各錘ごとに多数の支
持アーム７が回動可能に取付けられ、それらの先端には
前記引き出しローラ５の周面に転勤接触するトップロー
ラ８がそれぞれ回転可能に支持されている。

又、これらのトップローラ８の一側周縁の一部には、第
２図に示すようにヤーンパイプ３から導出された糸条を
引掛けて前記引き出しローラ５とトップローラ８との間
に導くための糸引掛は部８ａが切欠形成されている。

前記引き出しローラ５とトップローラ８との接触部の前
下方において、同ローラ５と平行するように、機枠１に
全錘共通のトラバースロッド９が軸線方向の移動可能に
支承され、その外周には各錘ごとに糸条を係止してトラ
バースするための多数の糸ガイドｉ９ａが形成されてい
る。

従って、ヤーンパイプ３から導出された糸条Ｙがトップ
ローラ８の糸引掛は部８ａに引掛けられて、このトップ
ローラ８と引き出しローラ５との間に導かれると、その
糸条はトラバースロッド９の糸ガイド溝９ａによって第
２図に示すように一定の幅Ｗでそれぞれトラバースされ
ながら、前記トップローラ８と引き出しローラ５とによ
って上方へと引き出され、図示しない未巻取機構によっ
て巻取られる。

前記紡糸ユニット２と糸引き出し機構との間の糸条走行
位置には各錘ごとにワキシング装置が設けられ、糸条に
ワックスが塗着されるようになっている。

このワキシング装置の一錘分の一実施例を説明すると、
前記機枠１の前面には支持ブラケット１０がボルト１１
により締付固定されている。

この支持ブラケット１０の水平支持面１０ａ端部には鋼
製円筒部材の一部を長さ方向に切欠いて半径方向へ拡が
る弾性を付与し得るスプリングピン１２が上向きに植設
され、このスプリングピン１２により短円柱状の旋回ブ
ラケット１３が同ピン１２を中心に支持面１０ａに沿っ
て水平方向の回動可能に支持されている。

同旋回ブラケット１３の底面には第１，３図に示すよう
にストップピン１４が下向に植設され、同ストップピン
１４が支持ブラケット１０の後端面１０ｂに当接すると
、旋回ブラケット１３が定位置（後記ワックス２３の作
用位置）に停止されるようにしている。

前記旋回ブラケット１３の上面には嵌合溝１３ａが前後
方向に刻設され、この嵌合溝に対し後記引張バネ２５の
収納ケース１５が前後方向のスライド可能に嵌合され、
旋回ブラケット１３に対し嵌合溝１３ａと直交するよう
に螺入したストップボルト１６により同ブラケット１３
に固定されている。

前記収納ケース１５の前端面１５ａにはワックス支持軸
１７の基端部が挿入され、同ケース１５の先端下面から
上向きに螺入したストップボルト１８により固定されて
いる。

前記支持軸１７の後端部にはスリーブ１９が回転可能に
被嵌され、前記収納ケース１５の前端面１５ａと支持軸
１７に嵌合したストップリング２０によって前後方向に
位置規制されている。

前記スリーブ１９の前半部には糸条Ｙの案内面２１ａを
有する案内板２１が同スリーブ１９と一体回転可能に嵌
合固定されている。

この案内板２１の外周縁にはワキシング装置を退避位置
（第３図工点鎖線）から作用位置（第３図実線）へ移動
させるときに、糸条Ｙを案内板２１の案内面２１ａとワ
ックス２３の作用面２３ａの間に導くための案内斜面２
１ｂが後方はど大径となる横円錐台形状に一体形成され
ている。

一方、前記支持軸１７の先端部寄りには押圧部材２２が
回転可能に支承され、この押圧部材２２の後端外周に一
体形成した横短円筒状の取付筒部２２ａに対し肉厚横置
筒状のワックス２３の一端を嵌入して片持支持し、同ワ
ックス２３の先端作用面２３ａを前記案内板２１の案内
面２１ａに接触させている。

次に、前記案内板２１の案内面２１ａに対しワックス２
３の作用面２３ａを常に一定の圧力で押圧し得るように
した定圧機構について説明すると、前記収納ケース１５
の側面にはその長手方向にガイド溝１５ｂが同ケース１
５の中空部１５ｃと連通ずるように形成されている。

前記収納ケース１５の中空部１５ｃには平面し状をなす
加圧棒２４の後端がガイド溝１５ｂに沿って前後方向移
動可能に挿入され、同加圧棒２４の前端に形成した係合
還部２４ａは前記支持軸１７に嵌合されている。

又、前記収納ケース１５の中空部１５ｃには引張バネ２
５が収容され、その前端部は掛止金具２６を介して前記
加圧棒２４の後端に連結され、後端部は収納ケース１５
の後端面に係止される掛止金具２７に止着されている。

従って、前記引張バネ２５の力Ｐは加圧棒２４を介して
押圧部材２２に伝えられ、同押圧部材２２によりワック
ス２３が後方へ押圧され、ワックス２３の作用面２３ａ
と、案内板２１の案内面２１ａとの間に挾持され一定幅
ｗ’ （第３図参照）でトラバースされながら上方へ向
って走行中の糸条に圧力を付与し７糸条Ｙにワックスの
塗着作用を行なう。

このワキシング作用中においては糸条Ｙの上方への走行
によって案内板２１、ワックス２３及び押圧部材２２は
支持軸１７を中心として第２図時計回り方向に回転され
、従ってワックス２３は均一に摩耗する。

ところで、前記案内板２１に対するワックス２３の押圧
力（糸条接触面の圧力）をＰ１引張バネ２５の力をＦ、
支持軸１７部の摩擦係数をμ、ワックス２３と押圧部材
２２の重量をＷとすると、Ｐ＝Ｆ−μＷ の関係が成立するが、この実施例においては前記圧力Ｐ
が常に一定になるように引張バネ２５の力Ｆを設定して
いる。

すなわち、ワキシング作用の経過にともなってワックス
２３の重量が減少して前記重量Ｗが小さくなるのに比例
してバネ力Ｆが小さくなり圧力Ｐは一定となるように引
張バネ２５を設定している。

第２図に示すように前記加圧棒２４の係合還部２４ａに
は、支持軸１７の先端部に形成した小径部１７ｂが丁度
出入りし得る程度の切欠部２４ｂが設けられている。

従って、ワックスの交換を行なうときには、前記加圧棒
２４を引張バネ２５の力に抗して前方へ引張り、係合環
部２４ａを支持軸１７の大径部１７ａから小径部１７ｂ
まで移動させた状態で前記切欠部２４ｂから小径部１７
ｂを抜くようにして係合環部２４ａを小径部１７ｂから
離脱させ、この状態で押圧部材２２を使用済みのワック
ス２３とともに支持軸１７から外し、新しいワックスを
押圧部材２２の取付筒部２２ａに嵌合した後、再び保合
環部２４ａを支持軸１７に嵌め押圧部材２２に押圧する
。

一方、オープンエンド精紡機では、糸継ぎが行なわれる
が、この際ワキシング装置が邪魔になるため、支持軸１
７の先端小径部１７ｂをもって同支持軸１７、収納ケー
ス１５、旋回ブラケット１３、ワックス２３等のスプリ
ングピン１２の中心に第３図反時計回り方向へ回動し糸
継ぎに支障のない位置に退避させる。

糸継ぎが完了すれば支持軸１７の小径部１７ｂをもって
元の位置へ回動すると、糸条Ｙは案内板２１の案内斜面
２１ｂに沿って案内面２１ａとワックスの作用面２１ａ
の間に自動的に挟入される。

そして、旋回ブラケット１３に止着したストッパ１４に
支持ブラケット１０の後端面１０ｂに当接した状態でワ
ックス２３が正規の作用位置に停止される。

前述したようにして前記ワキシング装置により糸条のワ
キシングが行なわれるが、本考案実施例においては押圧
部材２２の外周に対しワックス２３の前端部を嵌入し得
る取付筒部２２ａを形成したので、紡糸ユニット２の清
掃時に清掃器具がワックスの前端角部に直接当るのをな
くして傷損、破損を防止することができ、ひいてはワッ
クスの破片がケンス内に落ちてスライバに混入するのを
なくしてスライバの取り出しを円滑に行ない良好な紡糸
作用を行なうことができる。

又、ワックス２３の中心軸線を支持軸１７の中心軸線に
一致させておくセンタリング作用があって、ワックスの
ガタつきや偏心を防止でき、正常なワキシング作用を行
なうことができる。

ワキシング作用は、糸の走行にもとづくワックス２３、
案内板２１、押圧部材２２の回転により連続的に行われ
るのであるが、糸へのワックス付着の均一を持続するた
めには、ワックスは常に回転中心を固定に保たなければ
ならない。

その点、図示実施例の場合、共通の支持軸１７にそれぞ
れ独立して押圧部材２２と案内板２１が取付けられてい
るため、有利であるとともに、押圧部材２２と案内板２
１が共通の支持軸１７に対して摩耗しガタつきが生じた
としても、押圧部材と案内板は独立しているため、ワッ
クスのガタつきは大きなものとならない。

なお、本考案は次のような実施例で具体化することもで
きる。

（１）ワックス２３が摩耗して押圧部材２２の取付筒部
２２ａが案内板２１の案内面２１ａと斜面２１ｃの交わ
る角部に至る直前において、ワックス２３の摩耗を報知
すべく、例えば加圧棒２４の移動量を検知するリミット
スイッチを収納ケース１５に止着すること。

（２）オープンエンド精紡機以外に、例えば糸条巻取機
等の繊維機械に具体化すること。

この糸条巻取機に実施する場合において、支持軸１７の
傾動をなくする構造にすること。

以上詳述したように、本考案は機械の清掃時等において
器具がワックスの割れ易い角部に当ってワックスを傷損
あるいは破損させるのを防止することができ、この結果
ワックスの破片がスライバ等に付着して正常な作業の障
害になるのを防止できるとともに、共通の支持軸に対す
る押圧部材と案内板の支承によりワックスのセンタリン
グ作用が長期間持続でき、均一なワキシング作用を円滑
に行なうこことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のワキシング装置のワックス保護構造を
オープンエンド精紡機に具体化した一実施例を示すワキ
シング状態の縦断面図、第２図は同じく正面図、第３図
はワキシング装置の拡大縦断面図である。 押圧部材２２、取付筒部２２ａ１ワツクス２３゜

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 糸条の走行経路とほぼ直交するように配設した支持軸に
   対し糸条の案内板を定位置において回転可能に支承し、
   同じく前記支持軸には筒状のワックス及び押圧部材をそ
   れぞれ回転可能にかつ前記案内板に向って移動可能に支
   承するとともに、前記押圧部材を前記支持軸に係合する
   スプリングによりワックスへ押圧して前記案内板とワッ
   クスの作用面との間を走行する糸条にワキシングを行な
   うようにしたオープンエンド精紡機等のワキシング装置
   において、前記押圧部材は、前記支持軸との支承部およ
   びそれと一体に形成されかつワックスの一端部を嵌入し
   得る取付筒部を設けたことを特徴とするワックス保護構
   造。