JPS6033695Y2 - ガス絶縁電気機器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はガス絶縁開閉装置や管路電気送電線のように、
絶縁ガスを密封した金属容器内に機器を収納して構成す
るガス絶縁電気機器に関するものである。

一般にガス絶縁電気機器は、必要な機器を収納したガス
密封金属容器を複数個組合せて相互に気密に接続するこ
とにより構成され、隣接する金属容器相互間には各金属
容器を他の金属容器から円分するとともに充電部導体を
支持するための絶縁スペーサが配設される。

例えば、ＳＦ６を絶縁ガスとしたガス絶縁開閉装置では
、しゃ断器、断路器と接地装置、変流器、計器用変成器
、避雷器、及び母線等の発変電所に必要な機器をそれぞ
れ別個の円筒状金属容器内に収納し、これらの機器を収
納した金属容器を所定の順序で配列して相互に絶縁スペ
ーサを介して気密に接合している。

この種の機器においては、絶縁スペーサと金属容器とが
接する部分の電位傾度が高くなるのを防ぐため、絶縁ス
ペーサの肉厚部内に電界緩和用のシールド部材を埋設し
ている。

しかしながら従来はこのシールド部材が絶縁スペーサの
厚味方向の略全域に亘って設けられていたため、このシ
ールド部材を埋設した部分で絶縁スペーサを構成する樹
脂が分断され、絶縁スペーサの機械的強度が大幅に低下
する欠点があった。

本考案の目的は、シールド部材の存在による絶縁スペー
サの機械的強度の低下を抑制してしかも金属容器と絶縁
スペーサとが接する部分の電位傾度が高くなるのを防ぐ
ことができるようにしたガス絶縁電気機器を提供するこ
とにある。

本考案は、隣接する管状のガス密封金属容器間に一方の
金属容器側へ突出する導体貫通支持部を有する絶縁スペ
ーサを介在させ、該導体貫通支持部を貫通する導体によ
り前記隣接するガス密封金属容器内の機器を電気的に接
続するガス絶縁電気機器に適用されるもので、本考案に
おいては絶縁スペーサの肉厚部の前記一方の金属容器（
スペーサの導体貫通支持部が突出している側の金属容器
）側寄りの領域にのみ前記金属容器と同心的に延びる環
状の電界緩和用シールド部材を埋設する。

そして前記シールド部材を埋設する領域の前記金属容器
の軸線方向への寸法は、前記絶縁スペーサの厚味寸法の
略半分以下に設定されている。

すなわち、本考案においては、絶縁スペーサの機械的強
度の低下を抑制するために絶縁スペーサを埋設する領域
の軸線方向を該絶縁スペーサの厚味寸法の略１／２以下
に設定するのであるが、この場合絶縁スペーサと金属容
器とが接する部分の電位傾度の上昇を抑えて耐電圧性の
向上を図るために、環状のシールド部材を、絶縁スペー
サの導体貫通支持部が突出している側の金属容器側に片
寄せて配設することが重要である。

以下図示の実施例により本考案のガス絶縁電気機器を詳
細に説明する。

第１図及び第２図において１は、全三相−話形ガス絶縁
開閉装置の隣接する筒状の金属容器２及び３の間に介在
された絶縁スペーサであり、この絶縁スペーサは通常エ
ポキシ等の合成樹脂により製作される。

絶縁スペーサ１は円板状のフランジ部１ｆと一方の金属
容器２側に突出する３つの導体貫通支持部ＩＲ，Ｉｓ及
び１丁とを一体に有し、フランジ部１ｆの周辺部が金属
容器２及び３の端部のフランジ２ｆ及び３ｆ間に挟持さ
れている。

絶縁スペーサ１のフランジ部１ｆの周辺部には、金属容
器２及び３側に開口するネジ穴４ａを有する複数の埋込
金具４，４．・・・がフランジ部１ｆの周方向に等間隔
で埋設され、金属容器２及び３のフランジ２ｆ及び３ｆ
には各埋込金具４゜４、・・・のネジ穴４ａに整合する
ボルト貫通孔２ａ、２ａ、・・・及び３ａ、３ａ、・・
・が設けられている。

そしてこれらのボルト貫通孔２ａ、２ａ、・・・及び３
ａ、３ａｔ・・・をそれぞれ貫通してネジ穴４ａ、４ａ
、・・・にボルト５，５．・・・が螺入され、これらの
ボルトの締付けにより絶縁スペーサが金属容器２及び３
に気密に接続され、各金属容器内にはＳＦ６ガスが密封
されている。

絶縁スペーサ１の導体貫通支持部ＩＲ，Ｉｓ及びＩＴを
それぞれ気密に貫通する埋込導体６Ｒ，６Ｓ及び６Ｔが
設けられ、これらの埋込導体の金属容器２側の端部には
金属容器２内に収納された機器の３相の端子から延びる
接続導体７Ｒ，７Ｓ及び７Ｔ （７Ｒは図示せず。

）が接続されている。また埋込導体６Ｒ，６Ｓ及び６Ｔ
の金属容器３側の端部にはこの金属容器３内に収納され
た機器の３相の端子から延びる接続導体８Ｒ，８Ｓ及び
８Ｔ （８Ｒは図示せず。

）が接続されている。上記の絶縁スペーサ１に電界緩和
用シールド部材を埋設する場合、このシールド部材を絶
縁スペーサの厚み方向の略全域に亘って設けた場合には
該シールド部材により絶縁スペーサを構成する樹脂が分
断されるため、絶縁スペーサの機械的強度が大幅に低下
する。

そこで本考案においては電界緩和用シールド部材９を埋
設する領域の、容器の軸線方向への寸法ｄ□を絶縁スペ
ーサ１のフランジ部１ｆの厚み寸法ｄ２の略１／２以下
に設定して絶縁スペーサ１の機械的強度の低下を防止す
る。

この場合、電界緩和用シールド部材９の配設位置として
は、絶縁スペーサ１の厚み方向の略中央部と、金属容器
３寄りに片寄った位置と、金属容器２側に片寄った位置
とが考えられる。

シールド部材９をこれらいずれの位置に配置するかを決
定するに当っては、シールド部材９を設ける領域を制限
したことにより電界緩和効果が低減されることがないよ
うに配慮する必要がある。

そこで上記のような形状の絶縁スペーサを設けた場合の
電位分布を求めたところ、第３図に示す通りであった。

第３図において実線は絶縁スペーサ１内にシールド部材
を埋設しない場合の等電位線を示している。

この電位分布さら明らかなように、上記の絶縁スペーサ
を用いた場合に電位傾度が最大になるのは通常第１図の
Ａ点（絶縁スペーサ１と、該絶縁スペーサの導体貫通支
持部が突出している側の金属容器２のフランジ２ｆとが
接する部分）である。

すなわち、電界の緩和を図る必要があるのはＡ点付近で
あり、良好な電界緩和効果を得て耐電圧性能を向上させ
るためにはシールド部材９をこのＡ点に近い側に配置す
ることが必要である。

そこで本考案においては、絶縁スペーサ１の金属容器２
側（Ａ点側）寄りの領域に電界緩和用シールド部材９を
埋設するようにし、このシールド部材を埋設する領域の
、容器２の軸線方向への寸法ｄ１を絶縁スペーサ１のフ
ランジ部１ｆの厚み寸法らの略２ハ以下に設定する。

本実施例におけるシールド部材９は金網を環状に成形し
たものからなっていてその軸線方向の両端縁部９ａ、９
ａは径方向の外側に湾曲するように成形されている。

このシールド部材９は金属容器２と軸線が一致するよう
に配置され、放射状に設けた導電性の固定ピン１０，１
０．・・・により埋込金具４，４．・・・に固定されて
いる。

したがってシールド部材９は固定ピン１０、埋込金具７
及びボルト５を通して金属容器２及び３に接地されてい
る。

上記の領域ｄ□内におけるシールド部材９の設は方は任
意であるが、この場合先ずＡ点の表面における電界値が
金属容器２の内面における電界値以下になるように配慮
する必要があるのは勿論であり、またシールド部材９の
表面における電界値が所定の希望値以下になるように配
慮する必要があるのは勿論である。

絶縁スペーサ１のフランジ部１ｆの金属容器２側の端面
とシールド部材９の金属容器２側の端部との間の距離へ
は、この部分の機械的強度を損なわない程度に設定して
おく必要がある。

この距離へを或程度大きくしても、シールド部材９の内
周面の位置、シールド部材９の端縁部のアールの曲率半
径、或いはシールド部材９の形状等を適当に選定するこ
とにより、シールド部材９の表面及び金属容器２のＡ点
の表面の電界値を希望値以下に抑えることができる。

またシールド部材を埋設する領域の寸法ｄ１を小さくし
た場合には、シールド部材９を充電部導体に近ずけると
ともにシールド部材９の断面形状を円形または半円形に
近ずけることにより上記の各電界値を希望値以下に抑え
ることができる。

ここでシールド部材９の断面形状を円形または半円形に
近ずけるのは、シールド部材９の表面の電界値を抑制す
るためであり、シールド部材９を充電部導体に近ずける
のはＡ点の表面電界値を希望値以下に抑えるためである
。

一般に良好なシールド効果を得るためには、シールド部
材９の内周面の位置が、金属容器２の内周面と同一の位
置か、または金属容器２の内周面より充電部製体側に寄
った位置にくるようにシールド部材を埋設することが好
ましい。

第１図に示したようにシールド部材９を絶縁スペーサ１
内に埋設した場合の電位分布は第３図に破線で示した通
りであり、上記のようにシールド部材を絶縁スペーサの
厚味方向の略半分以下の領域のみに埋設するようにして
も金属容器のＡ点付近の電界を緩和する目的を十分達成
できることが確認された。

尚第３図の破線の電位分布はｄ□／ｄ２を約０．４３と
した場合である。

絶縁スペーサ９としては、第１図乃至第３図に示した形
状のものの外、コイル状等の断面円形のもの、或いは断
面が半円形のもの等を用いることができる。

上記の実施例では、１つの金属容器内に３相分の機器を
一括して収納するようにしたが、各金属容器内に１相分
の機器のみを収納する相分離型のガス絶縁電気機器に対
しても全く同様に本考案を適用できる。

以上のように、本考案によれば、電界緩和用のシールド
部材を絶縁スペーサの厚味方向の略半分以下の領域にの
み設けるので、従来のようにシールド部材により絶縁ス
ペーサを構成する材料が分断されることがなく、シたが
って絶縁スペーサの機械的強度の低下を大幅に抑制する
ことができる。

しかも本考案おいては、シールド部材を、絶縁スペーサ
の導体貫通支持部が突出している側の金属容器側に片寄
せて配設したことにより、金属容器と絶縁スペーサとが
接する部分の電位傾度が高くなるのを抑えることができ
るので、耐電圧性能の向上を図ることができる利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の要部の側断面図、第２図は
第１図の■−■線断面図、第３図は絶縁スペーサ付近の
電位分布図である。 １・・・・・・絶縁スペーサ、１ｆ・・・・・・フラン
ジ部、ＩＲ，Ｉｓ、 ＩＴ・・・・・・導体貫通支持
部、２，３・・・・・・金属容器、９・・・・・・シー
ルド部材、１０・・・・・・固定ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 隣接する管状のガス密封金属容器間に一方の金属容器側
   へ突出する導体貫通支持部を有する絶縁スペーサを介在
   させ、該導体貫通支持部を貫通する導体により前記隣接
   するガス密封金属容器内の機器を電気的に接続するガス
   絶縁電気機器において、前記絶縁スペーサの肉厚部の前
   記一方の金属容器寄りの領域にのみ前記金属容器と同心
   的に延びる環状の電界緩和用シールド部材を埋設してな
   り、前記シールド部材を埋設する領域の前記金属容器の
   軸線方向への寸法は前記絶縁スペーサの厚味寸法の略半
   分以下に設定されていることを特徴とするガス絶縁電気
   機器。