JPS6031359Y2 - 電気音響変換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はスピーカやヘッドホンに用いられるコンデンサ
タイプの電気音響変換器にかかり、特に、背極の不要振
動を抑制し、特に、高域における音質を改善したものに
関する。

従来から、コンデンサタイプのヘッドホンに使用される
電気音響変換器として、第１図に示すような電気音響変
換構造が知られている。

これは二枚の背極１，２間に振動膜３を挾み込んだもの
であり、その背極１，２として、ステンレスや黄銅ある
いはアルミニウムなどが、また振動膜３としてポリエス
テルフィルムやマイラーフィルムなどの面に金属膜を蒸
着したものなどが使用される。

そして上記振動膜３と背極１，２との間にバイアス電圧
とともに音声信号４を印加し、その音声信号レベルに応
じて振動膜３を震わせ、音声を出力するように動作する
。

しかし、一方、振動膜３からの音声信号の放射による空
気伝播音および振動膜を支枝するリングからの固体伝播
音は、上記背極１，２にも音響勢力を生じさせることと
なる。

したがってこの背極１．２は不要振動を起こして、再生
音質に悪影響を及ぼし、特に、高域においては、金属音
的なシャリシャリまたはキンキンした音となる欠点があ
った。

本考案はこのような振動膜の振動によって背極が受ける
反発振動を抑制するものであり、特に、上記背極に対し
この背極を横切るように補強枠を固着し、背極自体の上
記伝播音による振動を抑圧して、中高音域における音質
改善を図った、新規な電気音響変換器を提供することを
目的とする。

以下、本考案の一実施例を図面について説明する。

第２図および第３図はその実施例の斜視図および断面図
である。

５，６は板状の背極７，８を固着したリング枠で、合成
樹脂にて一体的にモールド成形されている。

これら背極７，８には放音用の細孔９，１０が多数穿設
されている。

１１は上記リング枠５，６間に挾まれるように取取り付
けられたリング状の歩持枠で、その内周縁には、既述の
ものを同様に振動膜１２が保持され、この振動膜１２と
上記背極７，８との間には特間隔の空隙が設けられてい
る。

さらに、上記各背極７，８の外側面は外径約２ミリの黄
銅製の補強用棒体１３，１４が背極７，８を横切るよう
に半田付けにより固着されている。

なお、ユニニレクレットを安定に保存する上で、ステン
レスを背極７，８として用いる方が良い。

また、直流バイアス方式やバックニレクレット方式の場
合には、黄銅やアルミニウムなどの他の金属も広く用ら
れる。

上記棒体１３，１４を半田付けによらずに、接着剤によ
り接着あるいはスポット溶接などで、背極７，８に固着
することをできる。

１５，１６は上記背極７．８の端子板である。

かかる構成になるものによれば、上記棒体１３．１４は
背極７，８の高域における伝播振動を吸収し、振動膜１
２による背極７，８の反発振動を抑制することとなり、
金属鳴音をことごとく取り除くことができる。

この場合、上記棒体１３゜１４の材質、形状や大きさを
上記背極７，８の性質および構造に応じて任意に設定す
る必要がある。

第４図は第２図における背極７のＡ点および従来品の背
極の同部位における振動加速度の違いをデータにして示
したグラフである。

このグラフを見ると、実線で示した本考案における背極
７は、点線で示した従来品の背極板に比較して、高域に
おける加速度が著るしく減衰され、特に、１０００Ｈｚ
以上の周波数では、共振鋭度およびレベルで大きな差を
生じ、音質が改善されていることが分かる。

第５図は本考案の他の実施例をを示す。

これは上記と同様の構成になる背極７，８にＹ字状の枠
体１７を半田付けしたものである。

これによれば、上記金属音を取り除く効果がさらにすぐ
れる点で好ましい。

しかし、このように背極７，８の振動を抑える部材を不
必要に多くすると、これが却って高域における音質低下
を来たすという欠点が生じるので、その枠体１７の構成
や形状は上記と同様の振動加速度の測定により適当に決
定されねばならない。

さらに、図示しないが、上記金属音の除去のため、背極
７，８としてステンレスや黄銅板にアルミニウム板を一
体接合したもの、またはこれらの選択的−のものに合成
樹脂その他の金属の皮膜を塗布したもの、あるいは上記
背極７．８に金属や合成樹脂などのかたまりを固着させ
たものが任意に使用できる。

以上のように、本考案は、振動膜と対向するごとく配置
され、多数の細孔を有する背極を備えたコンデンサタイ
プの電気音響変換器において、上記背極にこの背極を横
切るように補強部材を固着して、当該背極の不要振動を
抑えるようにしたことにより、振動膜からの放射された
空気伝播音および振動膜と連通ずる部材からの固体伝播
音による、背極の反発振動を抑制するとかでき、特に、
高域におけるシャリシャリな振動音を抑制して、全体と
して中低音がしまったクリアーな高音が得られる。

また、かかる効果を得るための構成は簡単かつ容易に得
られるので、実用上類る有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電気音響変換器の概略を示す断面図、第
２図は本考案にかかる電気音響変換器の斜視図、第３図
は同じく縦断面図、第４図は従来および本考案における
背極の加速度振動特性を示すグラフ、第５図は本考案の
電気音響変換器の他の実施例を示す斜視図である。 ７．８・・・・・・背極、９，１０・・・・・・透孔、
１２・・・・・・振動膜、１３． １４． １７・・・
・・・補強部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 振動膜と対向するごとく配置され、多数の細孔を有する
   背極を備えたコンデンサタイプの電気音響変換器におい
   て、上記背極にこの背極を横切るように補強部材を固着
   して、当該背極の不要振動を抑えるようにしたことを特
   徴とする電気音響変換器。