JPS6029809B2 - ２サイクル内燃機関の掃気装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は２サイクル内燃機関、特にュニフロー掃気式２
サイクルディーゼル機関の掃気装置に関する。

第１図及び第２図は従来のュニフロ一掃気式２ディーゼ
ル機関の１例を示し、同図において、１はシリンダライ
ナ、２はシリンダカバー、３はクランクケース、４は排
気弁、５はピストン、６は橋気室、７は給気管、８はシ
リンダラィナ１の下部に円周方向等間隔に穿設された掃
気孔である。

第１図及び第２図にはかかるディーゼル機関における掃
排気中の空気やガスの流れの模様を矢印で示してある。
即ち、ピストン５はほぼ下死点付近にあり、掃気孔８と
排気弁４はほぼ全開の状態にあり、シリンダラィナ１内
の燃焼ガスは排気弁４を通って排出され、図示しない排
気タービンへ導かれる。該排気タービンによって駆動さ
れる過給用圧縮機（図示せず）により加圧された空気は
、空気冷却器（図示せず）によって冷却された後、給気
管７を経て、掃気孔８の外周に形成される掃気室６から
掃気孔８を通ってシリンダラィナー内に供給される。上
記のような２サイクル内燃機関において、最近の低燃費
化の要請に応えるためには、排気弁４の開き始め時期を
ピストン５の下降ストロークに対して、出来るだけ遅ら
せピストン５に実質的に十分仕事をさせた後に排気弁４
を開くようにすることが必要である。

しかしながら、橋気孔８は単にピストン５の頂面の動き
によって開閉されることになるので該掃気孔８の上端の
高さｈ，および下端の高さｈ２（ｈ，，ｈ２はピストン
５の下死点におけるピストン５頂面の位置から測った高
さ）はシリンダ内の膨脹行程における圧力変化に対応し
て注意深く設定されなければならない。

即ち、ピストン５の下降とともに、シリンダ内の膨脹、
排気作用が進みシリンダ内の圧力が、掃気室６の圧力に
対してほぼ等しい程度に低下した時期に掃気孔８が開口
しはじめる様にし、かつその後の掃気孔８の閉口面積の
増加に応じて、桶気室６からの新気を掃気孔８を通して
シリンダ内に十分供給し得るだけの掃気孔８の面積を与
える必要がある。

しかしながら前述の排気弁４の閉口時期を遅らせて、ピ
ストン５の有効仕事量を増大させて燃料消費率を改善し
ようとすると、ピストン５の下降ストロークに対してシ
リンダ内の圧力降下が遅れることになり、掃気孔８が閉
口しはじめる時期までにシリンダ内の圧力を十分低下さ
せることが出来なくなり、掃気孔８の関口しはじめの一
定期間、シリンダ内から掃気室６側への逆流いわゆる“
吹返し”の現像が激しくなる。

このため、掃気孔８が掃気室６内の汚損がはげしくなる
と共に、シリンダ内への新気の供給が十分にできず、橋
気効率の低下につながる等の不具合が発生する。この“
吹返し”を防止するため、掃気孔８の上端の位置を低く
する（即ちｈ，を小さくする）と、桶気孔８の絶対面積
が不足してシリンダ内の縞気作用が不十分となり、燃焼
を悪化させる。以上のように、従来の機関においては単
にピストンの往復運動のみによって直鞍掃気孔８の開閉
を行なわせているため、掃気孔８の開閉タイミングおよ
び面積のとり方に対して設計上の自由度が少なく、今後
の低燃費化のための大きな障害となつていた。

本発明は上記に鑑みなされたもので、掃気孔開きはじめ
の“吹返し”を防止しつつ、実質的な掃気孔開□面積を
十分確保できる様にし、排気弁の閉口時期を遅らせても
掃気作用が十分行なわれる様にすることにより、燃料消
費率の低減された２サイクル内燃機関を提供することを
目的とする。

このため本発明は、｛１） 掃気孔を上部婦気孔と下部
婦気孔の２段に分離する。

■ 上部橋気孔に、シリンダラィナの外部即ち婦気室側
からシリンダラィナの内部に向かう空気の流れのみを許
容する逆止弁を設ける。

｛３’ 上記逆止弁により、上部橋気孔がピストンの下
降により関口しても、シリンダ内から掃気室に向うガス
の“吹返し”が発生しないようにする。

ことを特徴としている。

以下第３図を参照して本発明の１実施例につき説明する
と、１１はシリンダライナ、３はクランクケース、５は
ピストン、６は掃気室、７は給気管であり、該シリンダ
ラィナ１１にはその鞠線方向に沿って上部掃気孔２１と
下部掃気孔２２が夫々円周方向適当な間隔で穿設されて
いる。

上記シリンダラィナ１１の全ての上部婦気孔２１の入口
端にはリード弁２３、弁座２４及びストッパ２５からな
る逆止弁３０が装着されている。即ち、上記逆止弁３０
の弁座２４及びストッパ２５はボルト２６によりシリン
ダラィナ１１の外壁に固着され、リード弁２３は薄鋼板
等の弾性体で形成され、その一端が上言己弁座２４に固
着され、他端が自由端とされて弁座２４に穿設された空
気通路２４ａを開閉するようになっている。上記装置に
おいてピストン５が下降すると、まず上部掃気孔２１が
開□するが、この時期にシリンダ内１１１の圧力が掃気
室６の圧力より高い場合はリード弁２３が弁座２４に密
着して空気通路２４ａを塞きシリンダ内１１１のガスが
掃気室６に逆流する（吹返し）のを阻止する。更にピス
トン５が下降して、シリンダ内１１１の圧力が掃気室６
の圧力よりも低くなるとその差力によりリード弁２３が
開きストリッパ２５に押し付けられ、掃気室６内の新気
が上部掃気孔２１からシリンダ内１１１に流入する。

更にピストン５が下降すると下部掃気孔２２も関口し掃
気室６内の新気は上部婦気孔２１及び下部掃気孔２２の
双方からシリンダ内１１１に流入する。本発明は以上の
ように構成されており、本発明によれば、下記の利点が
ある。

【１）排気弁の閉口時期を遅らせて、ピストンの下降ス
トロークに対するシリンダ内の圧力降下が遅れても逆止
弁の作用により上部婦気孔からの吹返しを防止すること
ができる。

更に逆止弁をリード形逆止弁とすれば上部掃気孔弁が開
□しても、逆止弁のりード弁の位置が上部婦気孔の内部
に深く挿入されているためシリンダラィナの内周とりー
ド弁との間に形成される附加膨脹容積が極めて４・さく
なり、このためシリンダ内ガスの無駄な膨脹が非常に少
なくなる。

｛２）上記吹直しを防止しつつ、掃気孔の最上端の高さ
を高く採れるので、全体的に掃気孔の最大関口面積を大
きくとることができ掃気作用が良好となる。

‘３｝ 橋気孔が上下２段に分離されているので、上気
掃気孔２１１と下部掃気孔２１２の形状及び向きを適当
に絹合せることにより、掃気効率を向上させることがで
きる。

‘４｝ 逆止弁がリード形逆止弁の場合はこれが上部掃
気孔の外周側から掃気室内に若干突出しているのみで、
給気管からの新気が掃気室内でシリンダラィナの全円周
に配置一された上下掃気孔へまわり込んで流入すること
を妨げず、各掃気孔から均一に新規を流入せしめること
ができる。

上記により、燃料消費率の低い２サイクル内燃機関を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従釆の２サイクルディーゼル機関の
１例を示し、第１図はシリンダ軸心線に沿う断面図、第
２図は第１図のローロ線に沿う断面図である。 第３図は本発明の１実施例を示す掃気孔周辺を拡大した
断面図である。１１……シリンダライナ、５……ピスト
ン、６・・・・・・掃気孔、２１・…・・上記掃気孔、
２２・・・・・・下部掃気孔、２３・・・・・・リード
弁、２４・・・・・・弁座、３０・・・・・・逆止弁。 第１図 第２図 第３図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シリンダライナに、上部掃気孔と該上部掃気孔より
   もピストンの下死点側に下部掃気孔とをそれぞれ円周方
   向に沿つて複数個かつ軸方向に２段穿設した２サイクル
   内燃機関において、上記上部掃気孔の入口端に、掃気室
   からシリンダ内部に向かう空気の流れのみを許容する逆
   止弁を設けたことを特徴とする２サイクル内燃機関の掃
   気装置。 ２ 上記逆止弁が、シリンダライナの外壁に固着される
   と共に上記上部掃気孔に連通する空気通路が穿設された
   弁座と、一端が上記弁座に固定され他端が自由端とされ
   て上記掃気孔とシリンダ内との圧力差により上記空気通
   路を開閉する板状のリード弁とから成ることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の２サイクル内燃機関の掃
   気装置。