JPS6029614Y2 - オイルタペツトのオイル抜け防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、特に水平対向型内燃機関におけるＯＨＶ型動
弁機構に用いられてカムの回転運動を水平な直線運動に
変えるオイルタペットにおいて、機関停止時のオイル抜
けを防止するものに関する。

【従来の技術】 水平対向型内燃機関では第１図に示されるように、クラ
ンク軸１の左右に連接棒２、ピストン４を水平に対向し
て連結され、且つこのピストン４が同様に水平設置され
たシリンダ５内に挿入されて往復運動するようになって
いる。 また、クランク軸１の下にカム軸６が設けられ、このカ
ム軸６の左右にはオイルタペット７がクランクケース８
のタペット挿入孔９に嵌合してカム軸６のカム１０の回
転で水平移動するように対向設置され、このようなオイ
ルタペット７が略水平に延びるブツシュロッド１１を介
してロッカアーム１２のバルブ１３と反対側のアジャス
トスクリュー１４に連結し、これらのオイルタペット７
及びブツシュロッド１１の移動でロッカアーム１２を揺
動してバルブ１３を開閉動作するように構成されている
。 ここでオイルタペットについては例えば特公昭５２−２
４１６８号公報に記載のものが知られており、本考案の
課題となる従来のオイルタペットを第２図により詳記す
ると、水平設置される一端を閉じた筒状のタペット本体
１５の内部にプランジャ１６が移動可能に挿入される。 これらのタペット本体１５及びプランジャ１６の周壁部
の下部には油孔１７，１８が連通して穿設され、これら
の油孔１７．１８がクランクケース側支持部８の通路１
９に連通することで、オイルポンプにより圧送されるオ
イルが通路１９から油孔１７，１８を経てプランジャ１
６内及びそれとタペット本体１５との間に形成される圧
力室２０内に充填される。 また、プランジャ１６の圧力室側にはポールチェック弁
２１が取付けられると共に、プランジャスプリング２２
が付勢され、その反対側がストップリング２３で抜は止
めされ、且つ端部のブツシュロッドシート２４にブツシ
ュロッド１１の一端が球面接触し、その接触部に通路２
５及び規制板２６で所定のオイルを供給して潤滑も行う
ようになっている。 これにより、図のようなカム１０の山部によるリフト時
、まずタペット本体１５が押されて圧力室２０の油圧を
高くすることでポールチェック弁２１が閉じ、こうして
タペット本体１５とプランジャ１６が圧力室２０の油圧
を介して一体的に結合シて一緒に移動し、ブツシュロッ
ド１１を移動してバルブ開動作する。 一方、バルブ、ブツシュロッド等が加熱により熱膨張す
ると、プランジャ１６が圧力室２０の側に移行して縮少
することによりその熱膨張を吸収する。

【考案が解決しようとする問題点】

ところで、このような水平対向型内燃機関で水平設置さ
れたオイルタペットでは、機関停止時オイルの通路１９
の最も高い大気開放部から空気を吸込んでその通路１９
のオイルが抜けると、プランジャ１６内のオイルも油孔
１７，１８および各部隙間を経て抜けてしまう。 この場合にオイルタペット７が第２図のようにリフト状
態で止まっていると、機関再始動時リフト量が零になっ
てプランジャスプリング２２により圧力室２０の容積が
増大し、ボールチェック弁２１を開いて吸引作用する際
に、空のプランジャ１６から空気を吸込む。 そしてこの空気は容易に圧縮されることでプランジャ１
６およびブツシュロッド１１を所定のストローク移動す
ることができず、過大なバルブクリアランスによる着座
音及び出力低下を生じる。 また圧力室２０内に入った空気は軽くて上方に浮上する
ため、ボールチェック弁２１等からは容易に抜けず、上
記バルブ着座音等は長時間にわたって続く。

【問題点を解決するための手段】

本考案は、このような問題点を解消すべくなされたもの
で、オイルタペットのカム及びブツシュロッド側にそれ
ぞれオイル溜めを設けて、機関停止時オイル通路のオイ
ルが抜ける場合でも、オイルタペットのボールチェック
弁の箇所の半分よりやや高い位置までオイル中に浸して
、プランジャ内が完全に空になるのを防ぐようにしたオ
イルタペットのオイル抜は防止装置を提供するものであ
る。

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体的に説明
すると、第３図と第４図に示されるように、オイルタペ
ット７のカム１０の側の下部にはクランクケース８の結
合部８ａがあるので、この結合部８ａを利用し、ここの
オイル戻し孔の位置を上げるなどしてオイル溜め２７が
形成される。 また、オイルタペット７のブツシュロッド１１の側にお
いては、クランクケース８の下方開口部を塞ぐようにオ
イル受け２８が付設され、このオイル受け２８からクラ
ンクケース８のブツシュロッド収容部８ｂに及ぶ範囲の
オイルタペット７両側にリブ２９が立設される。 一方、ブツシュロッド１１はオイルタペット７から成る
角度で斜めに設置されているから、オイルタペット７か
ら遠ざかる程高い油面を確保し得る点に着目し、クラン
クケース８の部分８ｂの最もオイルタペット７から遠い
箇所においてリブ２９等の間に他のリブ３０が立設され
、これらのオイル受け２８、リブ２９．３０、クランク
ケース８の部分８ｂ、オイルタペット側の部分８ｃによ
りオイル溜め３１が形成される。 そして、クランクケース８の部分８ｃにカム１０の箇所
のオイルをオイル溜め３１に導くオイル落し孔３２を有
し、オイル受け２８のオイル溜め３１外部にオイル戻し
孔３３が設けられる。 ここで、オイル溜め２７では図示しないオイル戻し孔の
位置オイル溜め３１ではリブ２９．３０の高さ位置をオ
イルタペット７の半分よりやや高くしてその高さまでオ
イルを溜め得るようにしである。 ところで、オイル溜め３１においてはブツシュロッド１
１との関係でリブ２９，３０の高さが制限されるが、ブ
ツシュロッド１１を細くするなどにより上記油面高さを
確保し得る。 本考案はこのように構成されているから、機関運転時カ
ム１０に供給されたオイルがオイルパン側に直接戻るこ
となくそこのオイル溜め２７に溜まるようになり、この
オイル溜め２７の所定の高さまで溜まった以降はオイル
落し孔３２を経てオイル溜め３１の方に流れ落ちそこに
溜まる。 そしてオイル溜め３１の所定の高さまで溜まった以降は
リブ２９，３０をオーバーフローし、且つオイル戻し孔
３３を経てオイルパン側に戻るのであり、こうして両オ
イル溜め２７．３１にオイルが溜まってそのオイル中に
オイルタペット７の略半分が浸ることになる。 そこで機関が停止してオイル通路１９からオイルが抜け
るような場合でも、プランジャ１６内はオイル溜め２７
．３１のオイルでそれと同じ油面高さ、即ちボールチェ
ック弁２１の高さまではオイルが確保されるようになる
。 このため、機関再始動時圧力室２０にはプランジャ１６
内に残留するオイルのみが吸込まれ、直ちに正常な機能
を発揮することができる。

【考案の効果】

このように本考案による、オイルタペット７の周囲に配
置されているオイル溜め２７．３１でそのオイルタペッ
ト７内のオイル抜けが防止され、機関間始動時空気を吸
込まなくなるので、従来のようなバルブ着座音を生じな
くなる。 また、オイル溜め２７．３１には機関運転時にオイルが
自動的に溜まり、且つオイルパン側への戻りオイルを利
用するので何等支障を生じることがない。 更に、オイルポンプによるオイルの圧送が不充分な場合
でもオイル溜め２７，３１からオイルタペット７に補給
されて、その動作の確実性が増す。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用される水平対向型内燃機関の一例
を示す断面図、第２図は従来のオイルタペットの一例を
示す断面図、第３図は本考案による装置の一実施例を示
す断面図、第４図は第３図のＩＶ−ＩＶ断面図である。 ８・・・・・・クランクケース、７・・・・・・オイル
タペット、９・・・・・・タペット挿入孔、１０・・・
・・・カム、１１・・・・・・ブツシュロッド、２７，
３１・・・・・・オイル溜め。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクケースのタペット挿入孔に挿入されるオイルタ
   ペットの、一端にカムを摺接し他端にブツシュロッドを
   連設する動弁機構において、上記オイルタペットのカム
   及びブツシュロッド側にそれぞれオイル溜めを設けて、
   該オイルタペットの半分よりやや高い位置までオイル中
   に浸すように構成したことを特徴とするオイルタペット
   のオイル抜は防止装置。