JPS6017775Y2 - 温度ヒユ−ズ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は周囲温度が特定の温度以上に上昇すると溶断
する可溶合金を用いた温度ヒユーズに関するものである
。

周囲温度が異常に上昇すると電気回路を遮断して、それ
以上の温度上昇を防止する電気機器の温度過昇防止装置
として広く用いられているものに、温度ヒユーズとパイ
ルメタルスイツがある。

前者温度ヒユーズは一度電気回路を遮断すると元に戻ら
ず、後者バイメタルスイッチは周囲温度が特定の温度以
下に下降すると再び電気回路を閉じる復元性を有し、夫
々は用途目的に使い分けられている。

また温度ヒユーズは可溶合金を用いたものと、絶縁性化
学物質の粉末を圧縮成形した感温ペレットを用いたもの
に大別され、前者可溶合金タイプのものは、後者感温ペ
レットタイプのものに比較して構造簡単、製造容易、安
価という利点を有している。

上記可溶合金タイプの温度ヒユーズの一般的従来例を第
１図に示すと、１は導電性の棒状可溶合金、２及び３は
可溶合金１の両端面に半田付やかしめ等の手段で電気的
且つ機械的に接続した２本のリード線で、これら三者は
一直線上に並ぶ。

４は可溶合金１を囲むセラミック、ガラス等の絶縁チュ
ーブ、５及び６は絶縁チューブ４の開口両端部とリード
線２，３の先端部分とに溶着した樹脂等の封止材である
。

なお、可溶合金１の酸化防止及び溶断時の可溶合金１の
リード線２又は３の内方端への濡れ性を良くするために
、可溶合金１の周面にフラックス性を有する物質を被着
する場合もある。

この温度Ｌユーズは常温時２−１−３の径路で電流が流
れる。

そして、周囲温度が可溶合金１の融点以上に上昇すると
可溶合金１が溶断して前期電流径路が遮断される。

ところで、可溶合金１は溶融すると第２図に示すように
各リード線２，３のいずれか一方又は両方の先端部に表
面張力で球形に近い可溶合金側１ａｉｂとなって付着す
る。

この可溶合金側１ａ、ｌｂの形状は絶縁チューブ４の内
径ｄ１が比較的大きい場合は球状となって、両可溶合金
溜１ａ、ｌｂ間の距離１□が所定の大きさとなり、動作
後の耐電圧が大きく設定できる。

しかし、絶縁チューブ４の内径ｄ１を大きくすると温度
ヒユーズ全体が大型化する問題がある。

また温度ヒユーズの小型化のため、第３図に示すように
絶縁チューブ４′の内径ｄ２を小さくすると、可溶合金
１ａ、１ｂが生皮される時に溶融可溶合金が絶縁チュー
ブ４′の内周面に当って流れ、そのため可溶合金溜ｌａ
、ｌｂが絶縁チューブ４′の軸方向に拡がった不定形と
なることがある。

このようになると可溶合金溜１ａ、ｌｂ間の距離１゜が
小さくなり、動作後の耐電圧が大幅に低下する。

また、絶縁チューブ４，４′が図示例のように直円筒状
の場合、可溶合金１とリード線２，３とを絶縁チューブ
４．４′の中心軸に固定配置することが困難で、もし偏
心して固定配置されると、小径の絶縁チューブ４′を用
いた場合と同様にあるいはそれ以上に、動作後の耐電圧
が大幅に低下し、はなはだしい場合は可溶合金１が溶融
しても、両可溶合金溜ｌａ、ｌｂが橋絡して、回路を開
放できないことがある。

本考案は上記従来の問題点に鑑み、これを改良・除去し
たもので、リード線の可溶合金側先端部に溶融した可溶
合金を積極的に取込む可溶合金溜部材を付加した温度ヒ
ユーズを提供する。

以下本考案を図面の実施例でもって説明する。

本考案を第１図の温度ヒユーズに適用した一例を第４図
に示すと、第１図と同一符号のものは第１図と同一内容
のものを示し、異なる点は一方のリード線３の可溶合金
側先端部に、可溶合金溜部材の一例としてのカップ部材
７を付加することにある。

このカップ部材７は可溶合金１と濡れ性の良い金属で形
成される。

またカップ部材７の内面は半凹球面状に湾曲し、この内
面の中心に貫通したリード線３の先端が突出する。

またカップ部材７は、このカップ部材７の付加により小
型化した絶縁チューブ８に内接する大きさを有し、それ
によって可溶合金１は絶縁チューブ８の中心軸に容易且
つ確実に固定配置される。

次に第４図の温度ヒユーズの動作を説明する。

。周囲温度が可溶合金１の動作温度（融点）以上に上昇
して可溶合金１が溶けると、溶融可溶合金は表面帳力で
両端のリード線２，３に引張られる。

この時一方のリード線３の先端に溶融可溶合金との濡れ
性の良いカップ部材７があるため、溶融可溶合金はカッ
プ部材７の内面に沿って流れ、一度流れ出すと溶融可溶
合金は急速にカップ部材７に引き込まれる。

そのため他方のリード線２の先端部には溶融可溶合金が
全く溜らないか又は集まる溶融可溶合金の量が極端に少
くなり、結果的に第５図に示すような可溶合金溜１ｃ、
ｌｄが各リード線２，３の先端に生皮される。

つまり、一方のリード線２の先端の可溶合金溜１ｃは外
径の小さな小球状となり、他方のリード線３の先端の可
溶合金溜１ｄはカップ部材７に収納された定形となる。

この可溶合金溜１ｄの形状はカップ部材７の容積と可溶
合金１の量で決まる。

例えば、第５図のように可溶合金１に対してカップ部材
７の容積を比較的小さくすると可溶合金溜１ｄはカップ
部材７から凸球面状に少し食み出した形となり、また第
６図に示すようにカップ部材７′の容積を比較的大きく
すると可溶合金溜１ｄはカップ部材７′内に凹球面状に
窪んだ形となる。

いずれにせよ各可溶合金溜１ｃ、１ｄは絶縁チューブ４
の内径に関係なくカップ部材７の形状で決まる。

常に安定した形で生皮され、従って絶縁チューブ８の小
型化が可能であり、また各可溶合金溜１ｃ、１ｄ間の距
離１３が安定して、動作後の耐電圧を安定した大きさに
設定できる。

またカップ部材７に溶融可溶合金が積極的に引き寄せら
れることにより、可溶合金１の溶断速度が速くなり、応
答性が良くなる。

尚、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、例
えば可溶合金両端のリード線に夫々カップ部材を付加す
ることも可能である。

またカップ部材内面を予めフラックス処理しておく工夫
も有効である。

以上説明したように、本考案によれば可溶合金溜部材の
付加により、可溶合金を絶縁チューブの中心軸に容易且
つ確実に固定配置できるのみならず、可溶合金の溶融に
よる動作後の耐電圧を下げることなく全体の小型化が図
れ、また動作時に溶融した可溶合金が可溶合金溜部材に
積極的に引き寄せられるので、確実且つ迅速な溶断が行
われ、応答性の良い安定した動作の温度ヒユーズが提供
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、従来の温度ヒユーズの動作前及び
動作後の断面図、第３図は第１図の温度ヒユーズの変形
例を示す動作後の断面図、第４図及び第５図は本考案の
一実施例を示す動作前及び動作後の断面図、第６図は本
考案の変形例を説明する動作後の断面図である。 １・・・・・・可溶合金、 ２゜ ３・・・・・・リード線、 ７゜ ・・・・・・可溶合金溜部材（カップ部材）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 棒状可溶合金の両端にリード線を電気的且つ機械的に接
   続して絶縁チューブに挿通し絶縁チューブの開口両端部
   を封止材で封止してなる温度ヒユーズに於いて、 前記リード線の少なくとも一方の可溶合金側先端部に、
   可溶合金と濡れ性の良い材料よりなりその外径が絶縁チ
   ューブの内径と略一致する有底円筒状の可溶合金溜部材
   を、その開口端を可溶合金側に向けて固定配置したこと
   を特徴とする温度ヒユーズ。