JPS6015409Y2 - 突極形回転電機の回転子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、たとえば水車発電機等のように回転子リムの
外周に磁極鉄心をダブテール係合いより取付けてなる突
極形回転電機の回転子に関する。

従来の回転電機の磁極鉄心取付構造を第１図に示す。

回転子リム１には軸方向に沿う末広がりの凹部ダブテー
ル溝２が、磁極鉄心３は末広がりの凸部ダブテール４が
それぞれ設けられ両者を係合している。

トルクに対する曲げ剛性を高めるとともに適切な磁束の
通路を形成する目的で、これらダブテール溝２とダブテ
ール４との間に２枚１組のテーパー状のコツタツキ−５
を固く挿入することにより、磁極底面３ａを回転子リム
１の表面に密着させる構造になっている。

このように構成した突極形回転子においては、運転時の
回転により磁極鉄心３に遠心力およびトルクの曲げモー
メントが作用するため、ダブテール４の最も巾の狭いく
びれた部分（以下ダブテール首部と称す）に最大の応力
が作用するので、首部寸法Ａを応力に耐える極小寸法と
なる様に設計されていた。

ところで近年水車発電機の高速太夫容量化に伴いタ′ブ
テール溝２に挿入されるコツターキー５の寸法が大形化
し同時に個数も増加して製作に多大の時間と労力を要す
る様になった。

このためコツターキーを省略する方法として第２図の如
き構造が考えられた。

すなわちダブテール４の底面とダブテール溝２の底面と
の間隙にコツターキー１０を強制介挿し、磁極鉄心３を
固定させ、磁極底面３ａと回転子リム１の表面との間に
できるスキマに軸方向に装脱自在に固定される磁気平衡
ライナー１１を挿入するものである。

そして磁気ライナー１１がとび出さないように磁極鉄心
３の側面にストッパー１２を取付る構造が採用されてい
た。

しかしながらストッパー１２を取付けるため磁極鉄心３
の径方向高さ寸法Ｂを大きくする必要上回転電機の風損
が増加すること、回転子リム１の形状により磁気平衡ラ
イナー１２の形状が複雑化し製作費が増大すること、お
よび取付作業に多大の時間と労力を要することなどの欠
点があった。

本考案の目的は、回転子リムの外周面を円筒状に構成し
、さらに磁極鉄心の底面を直線的な平面に構成して両者
の形成手段を容易にならしめ、さらに回転子リムの表面
に磁極鉄心を直接的に当接させても両者の間に十分な磁
路を形成できる突極形回転電機の回転子を提供するにあ
る。

以下本考案の実例を図面により説明する。

第３図に示した回転子の磁極取付構成図において、磁極
鉄心３のボディ一部は角形であって特にその底面３ａが
直線的な平面に形成される。

さらにこのボディ一部の底側には末広がり凸部ダブテー
ル４が一体的に形成されている。

この凸部ダブテール４の首部寸法りは、従来構成のよう
に機械的強度により極小寸法に設定するものではなく、
磁極鉄心３と回転子リム１との間を接続する磁路面積が
とれるようにボディー巾Ｃの１ｎ以上とする。

但し底辺の巾寸法Ｅは界磁コイル６の装着を可能とする
ためボディー巾Ｃを超えないように設定する。

一方、回転子リム１はその外周面が回転軸中心に対して
同心である円筒状に形成される。

そして円筒状の外周面には上記凸部ダブテール４を係合
するタブテール溝２が設けられている。

このダブテール溝２には、左右の末広がり傾斜面に凸部
ダブテール４の末広がり傾斜面が後述する固定手段によ
り直接押し付けられ、さらにその底面と凸部ダブテール
４の底面との間には微小ギャップの逃げ隙間ができるよ
うに形成されている。

このような磁極鉄心３と回転子リム１との固定はダブテ
ール部に形成されている逃げ隙間にライナー７を強制介
挿してもよい腰又第４図に示したように回転子リム１に
螺合した押ネジ８により鉄心３の底面を押すようにして
もよい。

以上のように構成された回転子は、磁極鉄心３のボディ
一部底面３ａが直線的に平面に形成され、一方、回転子
リム１の外周面が円筒状に形成されているから、両者の
取付面の間には第３図に示されているように磁束を通さ
ないくさび状の隙間９が形成されている。

しかしながら、鉄心の凸部ダブテール４の首部寸法りが
ボディー巾Ｃの１ｎ以上となっており、十分な磁路面積
を有するようになっているので、隙間９が形成されてい
ても磁束が飽和して電気的な不具合を生ずることがない
。

しかも磁極鉄心３のボディ一部が角形であり、また回転
子リム１の外周面が円筒状であることは形成手段がきわ
めて容易であり、したがって製造時間の短縮に有効なも
のである。

特に磁極鉄心３が塊状のものは困難な円弧切削部がない
ので切削加工時間を著しく節減できる。

さらに第２図で説明した磁気平衡ライナーやストッパー
などの複雑な介装部材がないので不完全接触を生ずるこ
ともなく、また磁極の径方向高さＢの増大による風損の
増大も解消される。

以上詳述したように本考案によれば、円筒外周面の回転
子リムと角形のボディ一部に形成さた磁極鉄心とを末広
がりの凹凸ダブテールにより直接的に係合するようにし
たので、両者を容易に製造可能ならしめ、さらに、凸部
ダブテールの首部を磁極鉄心と回転子リムとの間の磁路
となるようにその巾寸法りを設定し、かつボディ一部の
巾寸法Ｃを超えない範囲に底辺の巾寸法Ｅを設定して構
成したので、特殊な介装物を必要とせず、また組立上も
支障なく簡単な構成により所定の磁束密度を超えない磁
路を形成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ従来の磁極鉄心の取付構
成を示した回転子の要部断面図、第３図は本考案の一実
施例を示した回転子の要部断面図、第４図は同じく固定
手段の一例を示した回転子の要部断面図である。 １・・・・・・回転子リム、２・・・・・・凹部ダブテ
ール溝、３・・・・・・磁極鉄心、４・・・・・・凸部
ダブテール、Ｃ・・・・・・ボディー巾寸法、Ｄ・・・
・・・首部巾寸法、Ｅ・・・・・・底辺巾寸法。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外周面が回転軸心に対して同心である円筒状に形成され
   、かつ外周表面に末広がりの凹部ダブテール溝を有する
   回転子リムと、この回転子リムの凹部ダブテール溝にボ
   ディ一部と一体に設けた末広がりの凸部ダブテールを直
   接係合させた磁極鉄心と、これら両者の間に介装され磁
   極鉄心を径方向外側へ押圧する固定手段とを備えた突極
   形回転電機の回転子において、磁極鉄心の回転子リム外
   周面と対向する磁極底面を直線的な平面となし、さらに
   凸部ダブテールはその首部の巾寸法りを磁極鉄心と回転
   子リムとの間の磁路となるように設定し、かつ伏込の巾
   寸法Ｅをボディ一部の巾寸法Ｃを超えない範囲に設定し
   て構成したことを特徴とする突極形回転電機の回転子。